あみdan

『編み物男子部』？ができるまで。

107 土曜日デス！続き ２

　それに気がついた朔田君が俺の前に守るように立ちはだかる。
　ちっちゃいのに、なんて勇ましいんだろう！

　智さんは俺の顔を見つめるや否や痛そうな弱々しそうな顔をして目を逸らし、視線は朔田君を捉えていた。

　ふらつきながら俺たちの方へやって来て、朔田君の両腕を掴んだ。

「と、智！」

　声で制止するけど、智さんは僕の声が聞こえないかのように、朔田君を見つめていた。

　朔田君は蛇に睨まれた蛙のようにブルブル震えながらそこから一歩も動けなくなっていた。

　智さんは朔田君の両腕をしっかり掴んだまま、朔田君に許しを乞うていた。

「ご、ごめん。ごめんなさい……。酷いことをしてしまった。嫉妬したんだ。翔琉にベッタリくっついてる君に。みんなの前でそんなことをしている君に……。冷静になりながらも、気が狂いそうになるのを、暴挙に出るのを止められなかった……。ごめんなさい。もうあんなことはしない。絶対しない……。許して……。僕を好きにしていいから……お願い……許して……」

　いい終えると智さんは崩れるように下を向いて座り込んでしまった。

　見てられないほどに憔悴しきった智さんを見て俺の心は少しチクリとした。

　智さん、そんなにならなくっても……。
　ホントに……あなたってひとは……。
　こんなにも。
　どこまでも。

　不器用なんですね……。