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『編み物男子部』?ができるまで。
12 いろいろあります
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話が逸れてる上に平行線だ。
担任に相談するんじゃなかったと後悔して踵を返そうとした。
「待て待て待て!これでもお前の担任だ。ちゃんとアドバイスしてやるから帰るな。こっちを見ろ」
帰してたまるか!というような勢いで担任が畳み掛ける。
俺の中でこの担任は、胡散臭さ百パーの烙印を押した。
「まずは声を掛けまくれ。勧誘ポスターも忘れるな。大きさはA4サイズ。顧問の許可印が押されたら掲示板に貼れるからな」
「顧問の許可印……ですか」
顧問なんている訳なく、そもそもポスターを作って張り出せることが出来るだなんて思いもつかなかったことに落胆する。
「新しい部を作ろうとしてるんだ。顧問なんている訳ないのはわかってるからな。俺が代わりに判を押してやるよ」
「え?いいんですか?」
渡りに船だ。胡散臭い担任でも何でもいい。
「ああ、無事に人数が集まったら、俺が顧問になってもいいぜ。二年前に科学部は廃部になったしな。……そうだ、この理科室を部室に使えばいい。いい案だろ?」
「本当にいいのですか?」突然の転換に胸がジンと熱くなる。まずは第一関門突破した気分だ。
「ああ、それぐらいお安い御用だ」片方の口角が上がる。俺はそれを見逃した。
「早く行って準備しろよ。期限は四月いっぱいなんだからな」
「ありがとうございます!失礼しました」今度こそ踵を返した。
準備室、理科室の扉が閉まる音を聞いてから担任が声に出して言う。自身に聞かせるためのように。
「男子だけの編み物部ねぇ……。女人禁制かぁ。あー!久々に面白いことが起こりそうだな。特等席で高みの見物とでもしようか?鳴海翔琉君よぉ……」
ここにはもう既にいない相手に不適な笑みを溢した。
*****
放課後になってまだそんなに時間が経過していないのに、教室にはもう誰も残っていなかった。
勧誘……。
声を掛ける相手がいない……。
俺が約束した訳じゃないけど、神崎川が部活を終わるのを待つことにした。
多分、今日入部してる。
グランドを見た時、確かに目があった。
気のせいじゃない。
強い眼差しで俺に視線を絡ませていた。
じょうちゃん……
神様って意地悪だ。何で同じクラスになっちゃったんだろう?
時間さえあれば俺の側に来ては肩を抱いて来る。
ダチごっこでもこんなにくっついたりはしないだろうに。
自分の席に座って上半身半分と顔を机に沈めた。
なにやってるんだろう……。俺。
じょうちゃんを追いかける決心をして……。
ここまで来た。同じ高校に入った。
同じクラスになったかと思えば、
突然、机の前に現れて、それからずっと俺の側を離れずにいて。
でも。
じょうちゃんのおかげなんだろう。
ささくれて、心を閉ざしていた俺がこんなに心を動かせるようになったのは。
こんなに一緒にいてくれてるから、少しずつ自分の表情を取り戻すかのように感じるようになったんだと思う。
俺から遠く離れて、雲の上の人になった筈なのに。
???
意識が混濁する。
窓の外を見てみると、空が夕焼けが近くなってきている色合いを見せている。
寝てた?
鞄を持って片に乗せ、サッカー部がいると思われるグランドの一角の側に行くことにした。
足を運ぶとどうやらミーティング中だ。たぶんそれが終わると今日は解散だろう。
グランドを隔ててる柵網に凭れて待つことにした。眺めてると、部員の中に女子マネらしき生徒が三人もいた。
「ありがとうございました!」
「解散!」
女子マネたちがタオルを持って部員たちに駆け寄り、それぞれにタオルを渡して労っていく。
一人の女子マネが神崎川に駆け寄って
「お疲れ!」と笑顔でいい、タオルを渡そうとした。ほんのり顔が赤い。
「いらねー」ぶっきらぼうに言いながら片手でそれを押し返す姿。
「で、でも……」なんとか食い下がろうとする彼女を見てちょっと居たたまれない気持ちになる。
女子マネ三人もいるし……いいんじゃないかな?
そう思ってその場から立ち去ろうとして歩き始めようとした背中に声が掛かる。
「翔琉!」
え?何で名前?
「あ、わりぃ。あいつ俺の一番のダチで、俺だけのマネしてくれる約束になってんだ。だから、いらねーの。悪いな」わざと『俺だけの』という言葉を強めに言ってるよね?
さっきの女子マネに微笑みながらそう言って、彼女を放置し俺の元に飛んで来た。
その彼女が、キッと俺を睨み付ける。そして部員たちの方へ去っていった。
『女避け』
なるほどね……。
見学していた女生徒もきゃあきゃあ言ってる言葉が聞こえてくるが、誰に言ってるかなんか耳に入らない。
「なぁ、神崎川。何で名前で呼びかけた?」
冷たい目線で射抜く。あの目は迷惑だ。
俺には関係ないもの……。
「その方が相手にダメージ与えられっかな?ってとっさに思った」その笑顔でダメージって。
「普通に呼べよ。ちゃんと来たんだし」もう……なげやりだ。
「タオルねーじゃん!」膨れっ面で言う。
「昨日の今日だし。何も考えてなかった」ホントにそうなんだから。
「ちょっと大きめのタオルがいいな」
「俺が用意するのか?」
「当たり前だろ?で、スポドリも欲しいな。欲を言えばハチミツ漬けレモンも呉れ」
「はぁあああ?」な、なんなんだ?この欲張りっ振りは?!
「それぐらいしてくれてもいいだろ?俺のマネだし、俺を蔑ろにしたし、俺は妥協してるって言ってるのに……文句あるのか?え?な・る・み」
その笑顔、妖し過ぎ!
出た……
『オレサマ』『皇帝様』
あ……
頭が痛くなってきた。
どうしようもない感情に苛まれながら。
俺は想い人を上目遣いで睨んだ。
担任に相談するんじゃなかったと後悔して踵を返そうとした。
「待て待て待て!これでもお前の担任だ。ちゃんとアドバイスしてやるから帰るな。こっちを見ろ」
帰してたまるか!というような勢いで担任が畳み掛ける。
俺の中でこの担任は、胡散臭さ百パーの烙印を押した。
「まずは声を掛けまくれ。勧誘ポスターも忘れるな。大きさはA4サイズ。顧問の許可印が押されたら掲示板に貼れるからな」
「顧問の許可印……ですか」
顧問なんている訳なく、そもそもポスターを作って張り出せることが出来るだなんて思いもつかなかったことに落胆する。
「新しい部を作ろうとしてるんだ。顧問なんている訳ないのはわかってるからな。俺が代わりに判を押してやるよ」
「え?いいんですか?」
渡りに船だ。胡散臭い担任でも何でもいい。
「ああ、無事に人数が集まったら、俺が顧問になってもいいぜ。二年前に科学部は廃部になったしな。……そうだ、この理科室を部室に使えばいい。いい案だろ?」
「本当にいいのですか?」突然の転換に胸がジンと熱くなる。まずは第一関門突破した気分だ。
「ああ、それぐらいお安い御用だ」片方の口角が上がる。俺はそれを見逃した。
「早く行って準備しろよ。期限は四月いっぱいなんだからな」
「ありがとうございます!失礼しました」今度こそ踵を返した。
準備室、理科室の扉が閉まる音を聞いてから担任が声に出して言う。自身に聞かせるためのように。
「男子だけの編み物部ねぇ……。女人禁制かぁ。あー!久々に面白いことが起こりそうだな。特等席で高みの見物とでもしようか?鳴海翔琉君よぉ……」
ここにはもう既にいない相手に不適な笑みを溢した。
*****
放課後になってまだそんなに時間が経過していないのに、教室にはもう誰も残っていなかった。
勧誘……。
声を掛ける相手がいない……。
俺が約束した訳じゃないけど、神崎川が部活を終わるのを待つことにした。
多分、今日入部してる。
グランドを見た時、確かに目があった。
気のせいじゃない。
強い眼差しで俺に視線を絡ませていた。
じょうちゃん……
神様って意地悪だ。何で同じクラスになっちゃったんだろう?
時間さえあれば俺の側に来ては肩を抱いて来る。
ダチごっこでもこんなにくっついたりはしないだろうに。
自分の席に座って上半身半分と顔を机に沈めた。
なにやってるんだろう……。俺。
じょうちゃんを追いかける決心をして……。
ここまで来た。同じ高校に入った。
同じクラスになったかと思えば、
突然、机の前に現れて、それからずっと俺の側を離れずにいて。
でも。
じょうちゃんのおかげなんだろう。
ささくれて、心を閉ざしていた俺がこんなに心を動かせるようになったのは。
こんなに一緒にいてくれてるから、少しずつ自分の表情を取り戻すかのように感じるようになったんだと思う。
俺から遠く離れて、雲の上の人になった筈なのに。
???
意識が混濁する。
窓の外を見てみると、空が夕焼けが近くなってきている色合いを見せている。
寝てた?
鞄を持って片に乗せ、サッカー部がいると思われるグランドの一角の側に行くことにした。
足を運ぶとどうやらミーティング中だ。たぶんそれが終わると今日は解散だろう。
グランドを隔ててる柵網に凭れて待つことにした。眺めてると、部員の中に女子マネらしき生徒が三人もいた。
「ありがとうございました!」
「解散!」
女子マネたちがタオルを持って部員たちに駆け寄り、それぞれにタオルを渡して労っていく。
一人の女子マネが神崎川に駆け寄って
「お疲れ!」と笑顔でいい、タオルを渡そうとした。ほんのり顔が赤い。
「いらねー」ぶっきらぼうに言いながら片手でそれを押し返す姿。
「で、でも……」なんとか食い下がろうとする彼女を見てちょっと居たたまれない気持ちになる。
女子マネ三人もいるし……いいんじゃないかな?
そう思ってその場から立ち去ろうとして歩き始めようとした背中に声が掛かる。
「翔琉!」
え?何で名前?
「あ、わりぃ。あいつ俺の一番のダチで、俺だけのマネしてくれる約束になってんだ。だから、いらねーの。悪いな」わざと『俺だけの』という言葉を強めに言ってるよね?
さっきの女子マネに微笑みながらそう言って、彼女を放置し俺の元に飛んで来た。
その彼女が、キッと俺を睨み付ける。そして部員たちの方へ去っていった。
『女避け』
なるほどね……。
見学していた女生徒もきゃあきゃあ言ってる言葉が聞こえてくるが、誰に言ってるかなんか耳に入らない。
「なぁ、神崎川。何で名前で呼びかけた?」
冷たい目線で射抜く。あの目は迷惑だ。
俺には関係ないもの……。
「その方が相手にダメージ与えられっかな?ってとっさに思った」その笑顔でダメージって。
「普通に呼べよ。ちゃんと来たんだし」もう……なげやりだ。
「タオルねーじゃん!」膨れっ面で言う。
「昨日の今日だし。何も考えてなかった」ホントにそうなんだから。
「ちょっと大きめのタオルがいいな」
「俺が用意するのか?」
「当たり前だろ?で、スポドリも欲しいな。欲を言えばハチミツ漬けレモンも呉れ」
「はぁあああ?」な、なんなんだ?この欲張りっ振りは?!
「それぐらいしてくれてもいいだろ?俺のマネだし、俺を蔑ろにしたし、俺は妥協してるって言ってるのに……文句あるのか?え?な・る・み」
その笑顔、妖し過ぎ!
出た……
『オレサマ』『皇帝様』
あ……
頭が痛くなってきた。
どうしようもない感情に苛まれながら。
俺は想い人を上目遣いで睨んだ。
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