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『編み物男子部』?ができるまで。
2 やっぱりない!
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始業式も過ぎてそろそろどの部活に入部するか、新入生徒たちの部活見学が開始する放課後。
俺は部活動一覧表を見てため息をついた。
どの場所にどの部が活動していて詳しい活動内容と実績が見やすくなっていた。
ない……。
わかっていたことだけど。
家庭科部はあったけど求めているものとは違うんだ。
俺は編み物だけしたいから。
理想をいうなら、男子だけの。
んんん?
ないってことは、もしかしたら、もしかすると、俺の理想の
『編み物男子部』
作れるんじゃないか?
心が浮き立つ。
高校生になって一番やりたいと決めていたことだ。
ちょっと、自分が想像していた状態ではなくなったけど。
好きな人を遠くから想いながら一目一目想いを込めて作ろうと思っていた俺の野心を……。
あっさりと奪ってしまった張本人。
適度な距離とってくれないかな?
何故今じょうちゃんは俺の肩を抱いて部活動一覧表を一緒に見てるのだ?
お願いだから、俺の理性と穏やかな高校生活を奪わないでくれよ……。
そういいたいのだが、仲良くする気満々のじょうちゃんを止める術を俺は持っていない。
あ。じょうちゃんって呼んじゃうのは駄目だったんだ。気を付けなきゃ。
心通わせて仲良くしてる頃の小学時代をついつい懐かしんで呼んでしまった。
そうだ、もう呼べないんだった……。
神崎川君は入学早々目立っていた。
新入生の挨拶はもちろん受験成績トップの生徒が答辞を述べていたし、同じ中学からこの高校に来たのは俺たち含めて五人しかいないのに、何故か中学時代の神崎川君の通り名
『皇帝』
という言葉はあっという間に広まっていた。
神崎川君の仲がよかったグループ、残り四人は別の高校に行ったんだよね。
それ以外の生徒は寄り付かなかったし、寄り付けなかったという方が正しいのかな?
此処でもそうなりつつあった。
気配というのは感じるものだ。
きっと神崎川君もそうなのだろう。
だから俺と一緒にいたいのかもしれない。
嬉しいけど、ホント、嬉しくないんだ。
ホント、ゴメン。じょうちゃん……。
そんな中、だるそうな声が聞こえてきた。
「なるみー、中学と一緒でバレー部か?」
「違うよ。バレー部には入らない」
そう聞くや否や声がパッと明るくなった。
「じゃあ、サッカー部に入ろうぜ。バレー部だと俺にハンデあるだろ?サッカーなら始めるのは一緒だし」
満開に咲く華のような笑顔。
皇帝様の笑顔ってホントに破壊力あるんだよな。
女子ならとっくに絆されてる。あ、違った。俺もその虜だった……。
それを崩す言葉を言う俺って、生きて帰れるのか?
「サッカー部には入らないよ。もう決めてるんだ」
「はぁあああ???」
こ、怖い。やっぱり怖い……。
俺は部活動一覧表を見てため息をついた。
どの場所にどの部が活動していて詳しい活動内容と実績が見やすくなっていた。
ない……。
わかっていたことだけど。
家庭科部はあったけど求めているものとは違うんだ。
俺は編み物だけしたいから。
理想をいうなら、男子だけの。
んんん?
ないってことは、もしかしたら、もしかすると、俺の理想の
『編み物男子部』
作れるんじゃないか?
心が浮き立つ。
高校生になって一番やりたいと決めていたことだ。
ちょっと、自分が想像していた状態ではなくなったけど。
好きな人を遠くから想いながら一目一目想いを込めて作ろうと思っていた俺の野心を……。
あっさりと奪ってしまった張本人。
適度な距離とってくれないかな?
何故今じょうちゃんは俺の肩を抱いて部活動一覧表を一緒に見てるのだ?
お願いだから、俺の理性と穏やかな高校生活を奪わないでくれよ……。
そういいたいのだが、仲良くする気満々のじょうちゃんを止める術を俺は持っていない。
あ。じょうちゃんって呼んじゃうのは駄目だったんだ。気を付けなきゃ。
心通わせて仲良くしてる頃の小学時代をついつい懐かしんで呼んでしまった。
そうだ、もう呼べないんだった……。
神崎川君は入学早々目立っていた。
新入生の挨拶はもちろん受験成績トップの生徒が答辞を述べていたし、同じ中学からこの高校に来たのは俺たち含めて五人しかいないのに、何故か中学時代の神崎川君の通り名
『皇帝』
という言葉はあっという間に広まっていた。
神崎川君の仲がよかったグループ、残り四人は別の高校に行ったんだよね。
それ以外の生徒は寄り付かなかったし、寄り付けなかったという方が正しいのかな?
此処でもそうなりつつあった。
気配というのは感じるものだ。
きっと神崎川君もそうなのだろう。
だから俺と一緒にいたいのかもしれない。
嬉しいけど、ホント、嬉しくないんだ。
ホント、ゴメン。じょうちゃん……。
そんな中、だるそうな声が聞こえてきた。
「なるみー、中学と一緒でバレー部か?」
「違うよ。バレー部には入らない」
そう聞くや否や声がパッと明るくなった。
「じゃあ、サッカー部に入ろうぜ。バレー部だと俺にハンデあるだろ?サッカーなら始めるのは一緒だし」
満開に咲く華のような笑顔。
皇帝様の笑顔ってホントに破壊力あるんだよな。
女子ならとっくに絆されてる。あ、違った。俺もその虜だった……。
それを崩す言葉を言う俺って、生きて帰れるのか?
「サッカー部には入らないよ。もう決めてるんだ」
「はぁあああ???」
こ、怖い。やっぱり怖い……。
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