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いっぱいいっぱい抱きしめたい!

232 そろそろ離れてくれないかな?

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 胸元が冷たい。

 その冷たさの原因は雨月のよだれ。
 すやすや眠っているときに出たよだれなのよね……。

 着替えたいんだけど、離れてくれない。
 胸をしっかり掴んだままスヤスヤ眠ってるって……どういう技なのよっ!

 起きない雨月にしびれを切らした私は台所で簡単にご飯を作ってリビングで食べてるところです。

 おさない雨月は不思議と全く起きる気配もなくって。
 お手々も未だ両方の胸にあるんだよね……。
 どれ程私の胸がお気に入りなの?
 これくらいのおさなさだと未だお母さんのおっぱいが恋しいのかもしれない。

 なんて思いつつ「母性」は芽生えても「母」になるつもりはないのよね。
 せめて……「おねえさん」でしょう!

 今日はじめてのごはんはそうめん二束茹でて水道水で冷やしただけ。
 落ちないように左手で雨月を抱きしめて右手でなんとか作れるのを考えたらそうめんくらいしか思い付かなかった。
 お米を研ぐところから始めるとどうしても抱きついたままの雨月が邪魔になるしお米を研いでセットするだけなら片手でも出来るけど料理となると片手ではちょっとどころかかなりの難問。

 色々考えた挙げ句、そうめんに決めた。

 めんつゆ……というか、醤油と鰹節と昆布と椎茸で作った自家製の濃縮だしを薄めてめんつゆにしてる。

 めんつゆ用だけならそこに干しエビを投入するけどもうすぐ七月だからそろそろ作ってもいいかもしれない。

 雨月にちゅるちゅるを楽しんで欲しいな。
 冷やし中華だったら具材がいっぱいで美味しいかも!

 なんて思いながらガラスの器に氷を三個乗せたそうめんを箸で掴んでめんつゆを入れた小鉢に投入してそうめんを二三度ほど泳がせる。

 雨月が私のからだにへばりついてる状態だから食べにくいんだけど。
 でも私が座ったらへばりついていたお手々を緩めて私の太ももにちょこんと座ってる状態になってるのよね……。
 どうしてもおてては胸から離れたくないみたいでそのままなのがちょっと困るんですけどね。

 一口食べたそうめんが喉越しに心地よい。
 暫くなにも食べていなかった胃には優しかった。

 そうめんを選択したのは正解だったかも……。



 そう……
 私は数日間眠っていたみたいなの。

 ただ……
 今日が何時いつなのか未だわかっていないだけだった……。

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