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仕事が手につかない!
198 ハイテンションなのは……美樹ちゃんです!
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居酒屋に入ったらまだそんなに客がいなかったので、奥のテーブル席を渡辺さんがお願いしていた。馴染みの店員が快く奥のテーブル席へ案内してくれた。
渡辺さんが席に座ると直ぐに美樹ちゃんが渡辺さんの隣に座った。
「美樹ちゃん?」
私は不思議に思い聞いてみると
「今日は葉月先輩を弄るための飲み会なんですから葉月先輩が主役なんですもん。私は……しかたなーく渡辺さんの隣に座ってるんですよー」
「あ、あの……美樹ちゃん?」
「仕方なくとはなんだよ……失礼なヤツだな……」
あ、あの……美樹ちゃん……。
さっき、「イジるための飲み会」って言ってなかったっけ?
渡辺さんも話を態と遮ったでしょ?
やっぱり「イジる」って言葉、気のせいじゃないよね?
「さっきから気になってる言葉が……」
「ねーねー渡辺さん、やっぱり最初は生中でいいですよね?葉月先輩もそれでいいですか?」
「俺は断然それ!」
「わ、私も……お願い」
「店員さーん!生中みっつー!」
暫くして冷えっ冷えの生ビールが中ジョッキ三つ運ばれてきた。
三人ともそれぞれ自分の手元に来たビールのジョッキを片手に持った。
「とりあえず乾杯ー!お疲れー!」
渡辺さんの合図でみんなで中ジョッキを掲げてチン……ってグラスを鳴らす。
「お疲れさまー!」
「お疲れさまですぅー」
渡辺さんは一気に半分ほど、美樹ちゃんは一口二口とゆっくりめに、私はゴクゴクと音を鳴らして三分の一ほどビールを味わった。
「やっぱり仕事のあとはビールですよねー!私、毎日でも飲み会あったら嬉しいんですけどー」
「美樹ちゃん言うねー。今日は特になんだろ?」
「はーい!わかりますー?だって、渡辺さんの奢りなんですからぁー」
え?そんなことになっていたっけ?
「渡辺さん?」
恐る恐る聞いてみるとゲンナリした態度で両手をお手上げ状態にして見せた。
「まぁ……そういうこと。だから、少しは気にして……」
「気にせずにじゃんじゃん頼んでじゃんじゃん飲んで食べまくりましょうねー!葉月先輩!」
奢りだからって……本当に調子がいい美樹ちゃん。
私はつい、楽しくなって吹き出してしまった。
「ぷっはっ!やっぱり美樹ちゃんのテンションって最高だわ!隣に居たら抱きついちゃうのにぃ……」
「じゃあ、やっぱり私、葉月先輩の隣に……」
グイッ……
移動しようとした美樹ちゃんの首根っこを掴んで阻止をした渡辺さん。
「今日は二人できゃっきゃっと仲良くさせる気ないんだけど?」
「えー!?」
「つべこべ言わない。俺の奢りだし?俺の隣で接待しろとは言ってないだろ?今日は星野の話、聞くための飲み会だろーが。お前が隣に座ってどーするんだよ……ったく」
「隣でも聞けるもーん!」
「そうなったら俺を無視して二人だけで話するだろ?」
「あ、わかりますぅー?」
もう、完全に美樹ちゃんワールドだわ……
私は嬉しくなって二人のやり取りを聞き入っていた。
店員が乾杯が終わったのを見計らったかのように注文を聞きに来た。
自宅ではあまり食べないお刺身を注文したら、渡辺さんがそれじゃあとお任せお刺身盛り合わせ三人前に注文を変更してしまった。
お任せのお刺身なんて……ちょっと豪華なんだよね。
本当にいいのかな?
私がそう聞こうとしたらすかさず美樹ちゃんが答えちゃう。渡辺さんに聞こうとしてるんだけど?
「いいからいいから。渡辺さんって、いっつもケチってばっかりなんだからぁ。たまにはお金、吐き出させちゃっていいんだってばー!」
「それ、流石に酷くない?」
渡辺さんはぷいっと壁の方を向いている。
「全然ー!渡辺さん、拗ねてくだけだしー?」
美樹ちゃん……相変わらず誰にでも容赦ない……
それでいて、この可愛らしさなんだもん!
流石、総務の癒し系なんだから。
「もっと注文しなきゃ!渡辺さん、壁を見てたって注文出来ませんよー!本日のメニューも見て注文してくださいねー!」
いつもの粋のいい美樹ちゃんに気圧されてしまった渡辺さんは機嫌を取り直して美樹ちゃんが持っているメニューを覗き込んで色々と注文をし始めた。
渡辺さんが席に座ると直ぐに美樹ちゃんが渡辺さんの隣に座った。
「美樹ちゃん?」
私は不思議に思い聞いてみると
「今日は葉月先輩を弄るための飲み会なんですから葉月先輩が主役なんですもん。私は……しかたなーく渡辺さんの隣に座ってるんですよー」
「あ、あの……美樹ちゃん?」
「仕方なくとはなんだよ……失礼なヤツだな……」
あ、あの……美樹ちゃん……。
さっき、「イジるための飲み会」って言ってなかったっけ?
渡辺さんも話を態と遮ったでしょ?
やっぱり「イジる」って言葉、気のせいじゃないよね?
「さっきから気になってる言葉が……」
「ねーねー渡辺さん、やっぱり最初は生中でいいですよね?葉月先輩もそれでいいですか?」
「俺は断然それ!」
「わ、私も……お願い」
「店員さーん!生中みっつー!」
暫くして冷えっ冷えの生ビールが中ジョッキ三つ運ばれてきた。
三人ともそれぞれ自分の手元に来たビールのジョッキを片手に持った。
「とりあえず乾杯ー!お疲れー!」
渡辺さんの合図でみんなで中ジョッキを掲げてチン……ってグラスを鳴らす。
「お疲れさまー!」
「お疲れさまですぅー」
渡辺さんは一気に半分ほど、美樹ちゃんは一口二口とゆっくりめに、私はゴクゴクと音を鳴らして三分の一ほどビールを味わった。
「やっぱり仕事のあとはビールですよねー!私、毎日でも飲み会あったら嬉しいんですけどー」
「美樹ちゃん言うねー。今日は特になんだろ?」
「はーい!わかりますー?だって、渡辺さんの奢りなんですからぁー」
え?そんなことになっていたっけ?
「渡辺さん?」
恐る恐る聞いてみるとゲンナリした態度で両手をお手上げ状態にして見せた。
「まぁ……そういうこと。だから、少しは気にして……」
「気にせずにじゃんじゃん頼んでじゃんじゃん飲んで食べまくりましょうねー!葉月先輩!」
奢りだからって……本当に調子がいい美樹ちゃん。
私はつい、楽しくなって吹き出してしまった。
「ぷっはっ!やっぱり美樹ちゃんのテンションって最高だわ!隣に居たら抱きついちゃうのにぃ……」
「じゃあ、やっぱり私、葉月先輩の隣に……」
グイッ……
移動しようとした美樹ちゃんの首根っこを掴んで阻止をした渡辺さん。
「今日は二人できゃっきゃっと仲良くさせる気ないんだけど?」
「えー!?」
「つべこべ言わない。俺の奢りだし?俺の隣で接待しろとは言ってないだろ?今日は星野の話、聞くための飲み会だろーが。お前が隣に座ってどーするんだよ……ったく」
「隣でも聞けるもーん!」
「そうなったら俺を無視して二人だけで話するだろ?」
「あ、わかりますぅー?」
もう、完全に美樹ちゃんワールドだわ……
私は嬉しくなって二人のやり取りを聞き入っていた。
店員が乾杯が終わったのを見計らったかのように注文を聞きに来た。
自宅ではあまり食べないお刺身を注文したら、渡辺さんがそれじゃあとお任せお刺身盛り合わせ三人前に注文を変更してしまった。
お任せのお刺身なんて……ちょっと豪華なんだよね。
本当にいいのかな?
私がそう聞こうとしたらすかさず美樹ちゃんが答えちゃう。渡辺さんに聞こうとしてるんだけど?
「いいからいいから。渡辺さんって、いっつもケチってばっかりなんだからぁ。たまにはお金、吐き出させちゃっていいんだってばー!」
「それ、流石に酷くない?」
渡辺さんはぷいっと壁の方を向いている。
「全然ー!渡辺さん、拗ねてくだけだしー?」
美樹ちゃん……相変わらず誰にでも容赦ない……
それでいて、この可愛らしさなんだもん!
流石、総務の癒し系なんだから。
「もっと注文しなきゃ!渡辺さん、壁を見てたって注文出来ませんよー!本日のメニューも見て注文してくださいねー!」
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