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記憶の中へ……

192 誰の記憶だ?

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『彼は断頭台で処刑された……』

(この声は……誰だ?)

 今目の前で起こっているのは火炙りになっても死なない銀髪魔法師の姿だ。

 画面が切り替わる。

 断頭台だ。

 処刑の準備が出来ていた……

『彼は……嵌められた』

 上級魔法師が合図をする。

 執行人の魔法師がギロチンを指し示す。

(何をするつもりなのだ?)

 速い速度でギロチンが首を狙うーーー

(や、やめろーーー!)


『彼は断頭台で首を跳ねられた瞬間……消えた』


(な……なんだと?)


『彼が何処に消えるのか慌てた上級魔法師は……彼の時間を戻させ……醜い獣……忌まわしい黒いちっちゃな獣に変えてしまった……』


(お前は誰だ?……誰の記憶なのだ?)


『僕は……彼が元の姿に戻れるように……魔法をかけた……』


(どうして……そんなこと?)


『上級魔法師に見つからないように……僕が出来る限りの魔法で……』


(そんなことを……してくれたのか?)


『僕の魔法では……力不足だった……』


(君がそうしてくれたから……彼は命を長らえたかもしれない……)


『愛する人からの愛情が増せば増すほど……本来のからだに戻る……そうなってしまった……』


(君の英断に感謝する……きっと彼は……救われるだろう……)


『上級魔法師に……気付かれてしまっていたんだ!……僕には……どうすることも……ごめんな……』


(話を!話を聞かせてくれ!肝心な話が、まだ聞けてない!君は誰なんだ?)


 声が聞こえなくなった瞬間ーーー!



 彼の首は跳ねられ……転がり落ちる瞬間にからだと共に青い光に飲み込まれ……銀髪の魔法師はーーー忽然と消えた。


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