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なーちゃって何者?
187 今だけは…… 愛人side
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愛人side
本来の能力の半分しか戻っていない。
すべての能力……すべての力が戻ったら
私の居場所が判明してしまうし、私の意思が消えてしまう。
敢えて半分にした。
主は知らないこと。
私は主を忘れたくない。
今度こそ忘れない。
命じられても、何があっても、この先が闇でも、地獄でも……
主、あなたのいない世界には……なにもない。
私にとってあなたがすべて。
これからもずっと、あなたしか……
いらない。
そんなことを思っていることなど、あなたは知らないでしょう?
我が主……いえ、愛しの龍一。
「カレノ キオクニ シンニュウ シマス。
ジュバクガ カイジョ デキレバ ソコデ カイジョ シマス。
デキナケレバ デキルコトヲ シマス。」
私は命じられた事を伝えた。
命じられていない私の想いも伝える。
苦しい胸の内を。
「ワガアルジ、ワタシヲアイシテ……
ワガアルジ、イチドデイイ。
ワタシト ヒトツニナッテ……
ワガアルジ、ワタシト ヒトツニナッテ……」
涙が頬を伝う。
一度も私とひとつになろうとしなかった。
愛してくれた……私のすべてを。
愛し合えた……私たちはずっと。
それなのに、心だけしかひとつになれなかった……。
主……龍一の束縛から逃れられなくても、命に背く事になっても、この想いだけは消させない。
今度こそ、消させはしない!
私は主が私を命じる事の内容を伝える。
私の密かなる想いも伝える。
きっと……この時にしか叶わない。
心が潰れそうだ。
私の想いに応えてと、全身全霊で念じる。
「ワガアルジ、メイジテクダサイ。
コノモノノナカエハイリ イノチヲトリモドセ、ト。
ワガアルジ、メイジテクダサイ。
コノモノノナカエハイリ イノチヲトリモドセ、ト。
ワガアルジ……ワタシトヒトツニナッテ。
ワタシヲアイシテ……。
ワガアルジ……ワタシトヒトツニナッテ。
ワタシヲアイシテ……」
涙にくれる私を愛おしい気に見つめ、龍一が破顔する。
私の方へ一歩、また一歩と近づき手が届く所までゆっくりと近づいた。
両の手で優しく私の涙を拭い、おでことおでこをくっつけた。
「それをしたら、夏川君が泣いてしまうよ……」
「ナツカワ……シラナイ。ナツカワ……シラナイ」
どうして主はそんなことを気にするのだろう?
ここには、主と雨月君しかいないというのに。
思い出させないで。
龍一、今だけは……。
我が主、今だけは……!
本来の能力の半分しか戻っていない。
すべての能力……すべての力が戻ったら
私の居場所が判明してしまうし、私の意思が消えてしまう。
敢えて半分にした。
主は知らないこと。
私は主を忘れたくない。
今度こそ忘れない。
命じられても、何があっても、この先が闇でも、地獄でも……
主、あなたのいない世界には……なにもない。
私にとってあなたがすべて。
これからもずっと、あなたしか……
いらない。
そんなことを思っていることなど、あなたは知らないでしょう?
我が主……いえ、愛しの龍一。
「カレノ キオクニ シンニュウ シマス。
ジュバクガ カイジョ デキレバ ソコデ カイジョ シマス。
デキナケレバ デキルコトヲ シマス。」
私は命じられた事を伝えた。
命じられていない私の想いも伝える。
苦しい胸の内を。
「ワガアルジ、ワタシヲアイシテ……
ワガアルジ、イチドデイイ。
ワタシト ヒトツニナッテ……
ワガアルジ、ワタシト ヒトツニナッテ……」
涙が頬を伝う。
一度も私とひとつになろうとしなかった。
愛してくれた……私のすべてを。
愛し合えた……私たちはずっと。
それなのに、心だけしかひとつになれなかった……。
主……龍一の束縛から逃れられなくても、命に背く事になっても、この想いだけは消させない。
今度こそ、消させはしない!
私は主が私を命じる事の内容を伝える。
私の密かなる想いも伝える。
きっと……この時にしか叶わない。
心が潰れそうだ。
私の想いに応えてと、全身全霊で念じる。
「ワガアルジ、メイジテクダサイ。
コノモノノナカエハイリ イノチヲトリモドセ、ト。
ワガアルジ、メイジテクダサイ。
コノモノノナカエハイリ イノチヲトリモドセ、ト。
ワガアルジ……ワタシトヒトツニナッテ。
ワタシヲアイシテ……。
ワガアルジ……ワタシトヒトツニナッテ。
ワタシヲアイシテ……」
涙にくれる私を愛おしい気に見つめ、龍一が破顔する。
私の方へ一歩、また一歩と近づき手が届く所までゆっくりと近づいた。
両の手で優しく私の涙を拭い、おでことおでこをくっつけた。
「それをしたら、夏川君が泣いてしまうよ……」
「ナツカワ……シラナイ。ナツカワ……シラナイ」
どうして主はそんなことを気にするのだろう?
ここには、主と雨月君しかいないというのに。
思い出させないで。
龍一、今だけは……。
我が主、今だけは……!
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