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子猫の雨月と男の子の雨月2

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 真美さんとは少しだけお話をして店をあとにし、渡辺さんがすぐに家まで送ってもらった。
 住所を聞いただけでこの場所がわかったのが不思議に思い、渡辺さんに聞いてみることにした。

「渡辺さん、どうして私の住んでいる場所がわかったのですか?住所だけで」

 少し言いづらそうに真相を話してくれた。

「あ、ああ……星野の住んでる所って、此方で住む場所を探していた時に賃貸物件業者に最初に案内してもらった物件なんだ」

 え、ええ?

 何て言う偶然!
 猫好きだもん。ペット可の物件を見てしまうの……わかる気がする。

「でも、やめたんだ。理由はこの前言っただろ?」

 なんか、寂しそうな横顔が申し訳なく思えて、私の方に伝染したみたい。

「星野が気にすることじゃないよ。俺が選んだんだ。独り身では猫と一緒に暮らさないってのは。その代わり、猫カフェだって通ってるし楽しく猫との交流はしてるんだぜ。この前話しただろ?」

 私の二つも年上なのにそういう話をしてる渡辺さんは少年のような笑顔を振り撒いていて、眩しかった。

 別れ際、ケージを開けて子猫の雨月を抱き抱えて一緒に渡辺さんに挨拶をすると渡辺さんは子猫の雨月を二度ほど頭を撫でて私には手を振って颯爽と車に乗り込み去っていった。

 子猫の雨月を片手で抱いたまま去り行く車に軽く会釈をし自宅へ向かった。



 玄関を開けて家に入る。

 やっとすべてから解放された気分!

 私は鞄とケージを床に置いてお風呂のセットをした。

 子猫の雨月を座布団の上に置いてスーツのジャケットを脱ぎハンガーに。スカートも同様にしてパンストを脱ぎブラウスと下着だけの状態。子猫の雨月はジーっと私を見つめたまま。

「久々に一緒にお風呂入ろっか、ね!雨月」

「ニャァアア!」

 元気な一声が聞こえ、嬉しくなった私は雨月を持ち上げて子供にするかのように高い高いを何度もしたの。

 やっぱり雨月は『うーちゃん』じゃない!
 私だけが呼べる特別な名前なんだ……。

 「ねぇ、雨月。私は雨月を他の人には呼ばせたくないんだ。独占欲かもしれないけど『うーちゃん』って仮の名で呼んでも許してくれるかな?雨月は私にとって特別なんだもん……」

 子猫の雨月は暫く考えてるいつものポーズをして……

「ニャァアア!」

 いつもの返事が返ってきた。

 こんなにも待ち遠しかった雨月とのやり取り。

「雨月ぅー!大好きだからね!私から離れちゃ嫌だからね!」

 目と目が絡み合う。

 これが恋でも恋じゃなくてもどっちでもいいの。
 私はどっちの想いでも雨月が大好きなんだから!

 久々に心から雨月に告白した気分でした!



 最後の言葉が本当の雨月を助けることになる言葉だなんて……。
 もちろん私が知る筈もなく……。



 本来の姿、銀髪の少年は夢に囚われていた…… 
 
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