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子猫の雨月と男の子の雨月2

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 四人が私と渡辺さんとの会話とその様子をジーっと見つめていただなんて全然気がつかなかった。
 蕩けている渡辺さんを元に戻したのは今川さんの一言だった。

「『ご主人様』って、星野のこと?」

「え?あ……その……」

 私が言葉を濁して返事を出来ないでいると渡辺さんが気にもしないように私の肩を抱いて明るく答えた。せ、セクハラー!

「うん、『うーちゃん』のご主人様は俺にとっても『ご主人様』!尻尾振ってなきゃ『うーちゃん』と仲良く出来ないもんねー!俺、すごーく子猫の『うーちゃん』ラブだしー」

 そういってしまりのないデレデレ顔をしていた。肩に手があるのを気づいた子猫の雨月が

「ギャァア!」

 と言って右前足で渡辺さんの顔を引っ掻く真似(正確には届かなかっただけ)をして渡辺さんを睨んでいた。
 渡辺さんは直ぐに腕を放してくれた。

「ごめんごめん。『うーちゃん』ごめん。ご主人様は『うーちゃん』のものだってわかっているからね!もう、しないから安心して」

 そう言って子猫の雨月の頭を二度撫でた。雨月は渡辺さんの顔をじっくり見てからプイッとする。せっかく仲良く出来た筈だったのに……渡辺さんは雨月の態度にシュンとしてしまった。ツンデレの雨月もいいよね!って言ってましたよね?

「うわぁ……渡辺さん、本当にラブありすぎで引くんですけどぉ……」

 美樹ちゃんが今川さんに寄り添うようにして引き見せる。

「し、信じられない……へ、変態!」

 そんなことを言うのは受付嬢の竹林さん。
 こっちも今川さんにもたれ掛かってるような……現在今川さんはモテモテです。あ、社内でもですけど。

「そ、そっかぁ……葉月さんにお近づきになる早道は、ペット攻略……っていうことですよね?『うーちゃん』僕とも仲良くしてくださーい!」

 そんなことを言って子猫の雨月の頭を撫でようと手を伸ばす柴田君を見て咄嗟に渡辺さんが「手を出すな!危ない!」って叫んだけど……遅かったです。

「ぎゃぁああ!い、いったぁあ!」

 情けない叫び声を発したのは……もちろん柴犬こと、柴田君。
 その伸ばした柴田君の手は……子猫の雨月の餌食になりました……。


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