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子猫の雨月と男の子の雨月2

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「昨日みたいな完全にリラックスモードっていうか、完全に飼い主様ラブを表現して寝ているのを見られるって俺にしてはレア物なんだよね。猫カフェでしか猫にふれあえないからさぁ。でも、今日のこれってさぁ……警戒してるっていうか、『うーちゃん』にとって嫌なことがあったってことだよね?なにも見たくない、なにも聞きたくないって全身で表現してるみたいなんだけど」

 私と同じ意見なんだ……。

 なんか、私以上に心配してるみたい。
 猫のことは猫好きに聞けばわかるのかもしれない。

「今朝からこんな感じなの。昨日はずーっと幸せそうな愛くるしい三日月寝姿だったんだけど……」

「じゃあ、『うーちゃん』は嫌な夢でも見ているのかもしれないね。早く起きてる姿みたいなぁ……。俺さ、昨日あの後我慢できなくなって猫カフェに行って猫と戯れてきたんだよなー。俺が行く猫カフェは仕事帰りのOLやサラリーマンの為に二十一時まで営業してるから」

「好きな子はいるのですか?お気に入りの猫」

 嫌な夢かぁ……。どんな夢を雨月は見ているんだろう?
 とっても気になってきた!雨月の夢の中に入れるのなら入りたいよぉ……!
 そんな事を思いながら渡辺さんと普通に会話する。

「いるよ。なかなかなついてくれないんだけどさぁ、でもそこもまたいいんだよなー」

「本当に渡辺さんって猫が好きなんですね!だったらペット可のマンションとかに住んで猫を飼っちゃえばいいじゃないですか」

「ペット可の賃貸ってちょっと高めのイメージだし。いくら残業少な目の総務でも俺がいない時間ひとりにするのは可哀想でさぁ。結婚したら心置きなく飼えるだろ?だから軍資金貯めるためにもアパート暮らししてんの。ま、猫好きの彼女はまだいなんんだけどね」

 そういいながらも子猫の雨月のケージにべったりくっついて『うーちゃん』の寝姿を飽きもせず眺めている。その時の表情がなんとも言えないほど蕩けそうな幸せそうな笑顔だった。

 渡辺さんって、案外真面目だったんだ。
 ちゃらんぽらんというか、人の事には我関せずみたいな素っ気なさだったし。
 あ、茶化すのは好きだったりするんだけどね。

 渡辺さんが猫と過ごすために結婚を意識していたことにちょっと不思議な好感を持てた。

 猫好きな彼女が見つかるといいですね……。

 私は心の中でそっと渡辺さんにエールをおくった。




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