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子猫の雨月と男の子の雨月2

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 空を見上げると至るところで雲が重なってて青い色はまばらにしか見えない。風も少しあるけど雲が流れていないから見える雲は上空の雲なのかな?
 うん、降らないと信じよう!
 私は鞄と子猫の雨月が眠っているケージを片手ずつで持ちながら、帰宅途中でケージがすっぽり入る大きなスポーツバッグがいいかな?それともケージを濡れないように防水シートだけを被せた方がいいかな?なんて考えながら会社まで歩いていった。

 業務開始時間三十分前に会社に到着はいつもの事なんだけど、自分の部署の階まで行ったら……先客がいました。客ではありませんけど。

「あ、星野おはよう!」

 出勤ギリギリの渡辺さんが私の隣の自分の席で伏せってた。私に気がついて一声かけ、身体を起こしているところです。

 いつも始業開始五分前に出社したらいい方の渡辺さんが三十分も早く会社に出社しているだなんて……明日、絶対雨だと思った。 

「渡辺さん、おはようございます。あの……まさかとは思いますけど、こんなに早い出勤は……」

「ピンポーン!正解。俺、『うーちゃん』会いたさに早く起きて出勤したんだ!」

 わかってはいましたが、それほどですか……。

「見るだけでお願いします。寝てるんですから声を出さないで下さいね。本当に渡辺さんって猫好きなんですね。あ、私少し席外しますから」

 渡辺さんにそう告げてから子猫の雨月のケージを渡辺さんに渡して雑巾を取りに給湯室へ向かった。
 絞った雑巾で上司の机から順に拭いていく。何度か濯ぎに行って最後に自分の机と渡辺さんの机を拭き、元に戻した。

「なぁ、星野」

「なんですか?渡辺さん」

「早く出勤していつも皆の机を拭いていたのか?」

「ええ、そうですけど?」

「ふーん。なぁなぁ、ご主人様『うーちゃん』どうしたの?元気ないじゃん……」

 渡辺さんの声は心配そうなんだけど、『ご主人様』って言葉は要りませんから。

 昨日の子猫の雨月の寝姿とはまるっきし違うんだからそう思うんだよね?きっと。
 渡辺さんの言い分はこうだった。

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