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子猫の雨月と男の子の雨月

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 私が読むのは恋愛ものが多いの。
 夢のような話やせつない話、感動する話や胸を焦がれるような話を読んでいろいろ想像しながら楽しんでいる。
 現実では叶わないものを心にいっぱいでも片隅でも与えてくれるのが小説でしょ?
 イタイ人ではないと思ってるんだけど、端から見れば……どうなんだろうね。
 私は夢みたいなあり得ない小説のような恋を望んでいない。
 ごく普通に恋が出来たらいいとは思うけど、お見合いでもいいくらい。
 この身長がネックなんだけど……。

 相手を好きで堪らない!みたいな熱く燃えるような恋は絶対にお断りなの。

 結婚に夢は持っているけど、現実を知っているだけに望むつもりはないの。
 相反する気持ちを持つのは仕方ないよね?
 ちょっとしたジレンマです。

 結婚もしないで一人で生きていくかも……と何処かで思っていたから2DKの部屋を借りたのかもしれない。

 そんな私の生活の中に段ボールの中に捨てられていた子猫を拾った時、この子と一緒の生活を楽しもうと思っていた。
 ひとりと子猫。
 そんな構図しか浮かばなかった。

 男の子にもなる子猫。

 私は雨に出合った子猫に「雨月」と名付けた。

 雨月は見た目は小学生の男の子なのに中身は二才か三才なみ。

 突然母親になったような不思議な気持ちになりながらも、男の子の雨月に好かれてるのはこの上なく私の喜びになっている。

 気分は母ひとり子ひとりのシングルマザー?
 ……やっぱりちょっと違う気がする。

 私は数日間だけでひとりじゃない生活を知ってしまった。
 もう、きっと戻れない。

 どっちの雨月も私は好き。

 その好きって……親愛なんだよね?
 きっと。

 日が陰りだした窓を見ながらひとつため息をついて子猫の雨月の背中をそっと撫でた。
 子猫の雨月はその手に反応して寝返りをうち、私の手をお腹の方へ向けた。

 ニャァア……ニャァア……

 嬉しそうに聞こえる寝言を聞きながら私は「ここも撫でて!」って言っているような仕草の子猫の雨月のお腹を何度も何度も撫でた。



 そして、眠ってからも子猫の雨月は起きることはなかった……。


  
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