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子猫の雨月と男の子の雨月

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 だめだわ……。

 完全に雨月の思っていることがわからないの。

 オムライスを作っている時も、食べようとしている時も、待ち遠しそうにお目目をキランキランさせてたのに……。

 雨月はどうして食べたくないのか、自分で伝える術はない。
 私が雨月の気持ちを汲んであげなきゃいけないのに……。

「雨月、『おねーさん』は雨月がどうして食べるのが嫌なのかわからないの。オムライスは食べたいのよね?」

 男の子の雨月は、目に涙をためながら小さく頷く。
 目を瞑ると涙がこぼれそう。

 私はそれが辛いよ、雨月……。
 わかってあげたいから……私、頑張るからね!

「雨月ー、雨月はオムライスをどうしたいの?」

 私は男の子の雨月に素直に聞いてみた。

 男の子の雨月は私の顔を見ながら「いいの?」って首を傾げて聞いているようだった。

「うん、『おねーさん』雨月がなにをしたいのかわかりたいから、して見せてくれるかな?それから考えるから」

 これを聞いた男の子の雨月は嬉しそうな笑顔を見せ、目を瞑って笑った瞬間涙が零れた。

「んー!」

 男の子の雨月は零れた涙を拭うことなく立ち上がってオムライスのお皿を持ち、それを寝室に持っていく。

 え?寝室?

 さすがに寝室にオムライスを持っていくとは想像していなかったので私は男の子の雨月の後を追ってみた。

 男の子の雨月は自分が寝ている頭の場所にオムライスのお皿を置いて、男の子の雨月はそれを眺めるように寝っ転がって両肘をつき、両手に顔をのせて左右に揺らしながら

「すきっ!すきっ!すきっ!すきっ!」

 と嬉しそうに繰り返し言っていた。


 あ……。


 なにを思ったんだろう……!
 自分の顔の前で両手を合わせてその光景を眺めてる私……。
 
 私は自分の頬がたくさんの涙で濡れるのを拭えないでいた。

  
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