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子猫の雨月と男の子の雨月

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「今、あなたは『男の子の雨月』、そうだよね?」

 男の子の雨月は私の顔をじっと見ながら大きく何度も頷いた。

「雨月は服が嫌いなの?」

 私はTシャツと下着を片方ずつ手に持って雨月に聞いてみた。
 男の子の雨月は同じように何度も頷く。

 や、やっぱり……。
 予想通りの回答にガックリ項垂れてしまった。

 どうして嫌なのか聞いても「んー」と「やっ」しか答えられないのならイエス・ノー方式じゃないとわからない。
 なんて難しいんだろう……。
 きょ、今日はそこのところは諦めて次回に策を練ろう……。

 うん、そうしよう!

 私は男の子の雨月と話を再開させた。

「『子猫の雨月』は服を着なくてもいいんだ。体中毛が覆われているから服を着なくても大丈夫なの。『子猫の雨月』は『はだか』じゃないの。わかるかな?」

 男の子の雨月はゆっくりゆっくり考えてくれているようだ。
 私の顔を見てじっとしている。
 私は男の子の雨月が首を動かすのを待つことにした。
 男の子の雨月は態度を示すときはちゃんと首を縦か横に振って伝えてくれるから。
 言葉で伝えられないでも、必ず私に合図をくれる。

 男の子の雨月はおりこうさんなの!

 だから私は急かさずに待てる。
 今日は会社が休みで時間はたっぷりあるんだもん!
 出勤時は慌ててたし、無理矢理に近いような?感じで服を着せてたし……。
 今日は「服を着る行為」の必要性をわかってもらえるようにしたい。

 じゃないと……男の子の雨月が困るっていうより、私の方が困る!

 ……。

 そこんところは穏便に?
 内密でお願いしたいものです。

 いろいろと私が考えあぐねている間……。
 やっと男の子の雨月は首を縦に振ってくれたの。

 よ、よかったぁ……!

 安心しきった私は下着を持ち出して

「じゃあ、雨月。パンツはこうね!」

 と言って下着を広げた。

 しかし、私は忘れていた。
 まだ話が途中だったってことを……。
 まだ「子猫の雨月ははだかではない」としか認識させてなかったという事実を……。

「やっ!やっ!やっ!」

 案の定、男の子の雨月は首を横に振りまくってイヤイヤを表現した。

 あ、あれ?

 私は自分の早とちりの行為に気がつかないでいた。

  
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