上 下
58 / 280
子猫の雨月と男の子の雨月

53

しおりを挟む
 ……。
 …………。

 私と子猫の雨月はにらめっこ中です。

「ニャア?」

 子猫の雨月は意味がわからないとでもいうかのように、小首を傾げている。
 意を決してもう一度同じことを繰り返し子猫の雨月に伝えた。

「ね、雨月。だからね、雨月とは一緒にお風呂には入れないの……」

「ニャア?」

 意味わかんない……って言ってるんだよね?絶対に……。
 完全に私の気持ちは……無視されるみたいです。

 うーん、さすが雨月。
 一筋縄ではいかないわ……。

 今日はいろいろと寂しい思いさせちゃったし……。
 甘えたいみたいだし……。

 わ、私が妥協すればいいんだよね?

 なんか……甘やかしすぎてないかな?
 子猫の雨月は男の子の雨月でもあるんだから。
 甘やかしすぎは……ダメだよね?

 今日は……特別、うん。特別としよう!

「ね、雨月聞いてくれる?」

「ニャア?」

 雨月は首を傾げた。
 私にとってはその表情もめちゃくちゃ可愛くて大好きなんだよね!

 子猫の雨月の前足を持って私は親指で雨月の肉球をぷにぷに触りながらゆっくりと話を切り出した。

「雨月の爪は私には凶器なの。見てくれるかな?」

 私は自分のシャツをわかるように引っ掻かれてボロボロになった箇所を引っ張って見せた。

「雨月の前足のこの爪が破ったんだよ?これが私の肌だと……怪我しちゃうの」

 雨月の目が少しずつウルウルし始めた。
 泣かせたくないんだけど、ゴメンね。
 雨月にはちゃんと理解してもらわなきゃいけないから。

 抱き締めたいけど……今はダメ!

 私は心を鬼にしてしっかり目を見て子猫の雨月に諭すことにしたのである。  

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

見知らぬ男に監禁されています

月鳴
恋愛
悪夢はある日突然訪れた。どこにでもいるような普通の女子大生だった私は、見知らぬ男に攫われ、その日から人生が一転する。 ――どうしてこんなことになったのだろう。その問いに答えるものは誰もいない。 メリバ風味のバッドエンドです。 2023.3.31 ifストーリー追加

公爵に媚薬をもられた執事な私

天災
恋愛
 公爵様に媚薬をもられてしまった私。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【R18】通学路ですれ違うお姉さんに僕は食べられてしまった

ねんごろ
恋愛
小学4年生の頃。 僕は通学路で毎朝すれ違うお姉さんに… 食べられてしまったんだ……

幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?

ルイス
恋愛
「アーチェ、君は明るいのは良いんだけれど、お淑やかさが足りないと思うんだ。貴族令嬢であれば、もっと気品を持ってだね。例えば、ニーナのような……」 「はあ……なるほどね」 伯爵令嬢のアーチェと伯爵令息のウォーレスは幼馴染であり婚約関係でもあった。 彼らにはもう一人、ニーナという幼馴染が居た。 アーチェはウォーレスが性格面でニーナと比べ過ぎることに辟易し、婚約解消を申し出る。 ウォーレスも納得し、婚約解消は無事に成立したはずだったが……。 ウォーレスはニーナのことを大切にしながらも、アーチェのことも忘れられないと言って来る始末だった……。

王太子の子を孕まされてました

杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。 ※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。

王妃から夜伽を命じられたメイドのささやかな復讐

当麻月菜
恋愛
没落した貴族令嬢という過去を隠して、ロッタは王宮でメイドとして日々業務に勤しむ毎日。 でもある日、子宝に恵まれない王妃のマルガリータから国王との夜伽を命じられてしまう。 その理由は、ロッタとマルガリータの髪と目の色が同じという至極単純なもの。 ただし、夜伽を務めてもらうが側室として召し上げることは無い。所謂、使い捨ての世継ぎ製造機になれと言われたのだ。 馬鹿馬鹿しい話であるが、これは王命─── 断れば即、極刑。逃げても、極刑。 途方に暮れたロッタだけれど、そこに友人のアサギが現れて、この危機を切り抜けるとんでもない策を教えてくれるのだが……。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

処理中です...