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子猫の雨月と男の子の雨月

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 玄関近くまで行くとドアに体当たりしながら泣きまくってる雨月の声が聞こえてくる。

 廊下には隣に住んでいる女性が立っていた。私より一回り年上のOLさんです。
 仁王立ちとまではいかないまでも……多少お怒りのようです。

「中川さん、こんにちは。ご迷惑……お掛けしたみたいですよね?」
「私は……別にいいんだけど。可哀想でしょ?星野さん、ペット飼い始めたのね……」
「はい……」
「賃貸のわりのはここのマンション防音もちゃんとしてるけど……流石にこれ程泣かれると……隣でも聞こえちゃうのよね。気をつけてくれないかしら?」
「はい……。本当に申し訳ありませんでした!」

 逸る気持ちを押さえつつ、頭を下げて丁寧に謝罪した。

「ペット可とはいっても騒音は気にして欲しいわ。この泣き声じゃあ……下手をすると虐待と間違われて通報されちゃうわよ。それだけ!じゃあ、以後気を付けてね!」

 あ……。
 それを教えてくれたんだ……。

 もう玄関の中に入っていった見えなくなった女性にもう一度頭を下げた。

 まだ体当たりの音が聞こえる。私は直ぐに鍵を開けてドアを……

「ギャァアアアアアアアア!」

 泣き叫びながら子猫の雨月が私に飛びついてきたのであった。

 寂しかったのか悲しかったのか……
 無意識なのか……

「雨月、待って!ダメ、ダメだってば!」

 お怒りらしい子猫の雨月は私に飛びつくなり私の服に思いっきり爪をたてて何度も引っ掻いたのであった。

 
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