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子猫の雨月と男の子の雨月

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 子猫の雨月はその言葉で嬉しそうに揺すっていた体を突然制止させ、目をウルウルさせて何度も首を横に降る。

 いやいやいや!首輪してして!

 って私に何度もすがるような目をして訴えてくる。

 私の想いもわかって欲しい。
 でも、子猫の雨月の想いもわかって理解してあげたい。

 子猫の雨月は、この赤い首輪がとってもお気に入りのようなの。
 それはきっと間違いないんだから……。
 それなら私が譲歩すればいいだけのこと……だよね?

「雨月、わかったから。ね、聞いてくれる?」

 子猫の雨月はじっと私の方を見て私の言葉を待ってくれる。
 子猫なのに目に涙がたまっちゃってて……抱きしめたくなっちゃう!

「雨月がその真っ赤な首輪が気に入ってくれているのはわかったから。首輪、『子猫』になった雨月につけてあげるからね……」

 子猫の部分を強調する。
 男の子の雨月ではダメだとわからせるように。

「でも晩ごはん食べ終わったら、はずしちゃうね。雨月はいつ『男の子』になるか『おねーさん』はわからないから。それでもいいなら雨月に首輪をつけてあげる。それが嫌なら……首輪は諦めて欲しいんだ」

 子猫の雨月はジーっと私の顔を見つめる。
 雨月なりにいろいろゆっくり考えているみたい。

 長時間、首輪をさせたくない。
 でも雨月は首輪をしたがる。どうしてそんなに気に入っちゃったのかはわからないけど、男の子の雨月はこの真っ赤な首輪を「たいせつなもの?」だと聞いた時、頷いたんだよね。何度も何度も。

 それも嬉しそうに……。

 雨月の首輪に対する想いを遡っているうちに、

「ニャァア!ニャァア!」

 理解できたとでもいうかのように大きな声で催促し始めた。
 雨月が声を出し体を伸ばして首を私に向かって差し出したの。

 「僕の首輪、つけて!」って……

 そう、言ってるみたいだった。


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