上 下
37 / 280
子猫の雨月と男の子の雨月

32

しおりを挟む
 雨月の唾液でベッタベタになったロングTシャツやまっ裸の雨月と抱きしめあっていたことに気づかなかったほど、首輪の一件はかなり精神的に堪えた私。

 とりあえず服を着せなきゃ……!

 そう思い出したのはかなりの時間が過ぎ去っていた後だった。
 今日は休日出勤!午前中に仕事を終えるとはいえ男の子の雨月を裸のままって訳にはいかない。

 悩むことがあるとすれば……帰宅したらまた子猫に戻っている可能性も無きにしもあらずってこと。

 本当の雨月って……猫なの?人なの?

 昨日の男の子の雨月は「おにーさん」しか言葉を言えなかったけど、今日の男の子の雨月は「すきっ!」「やっ!」「んー」と言葉が増えた。肯定と否定の言葉が使えるようになったってことは私との意思疏通が可能だってこと。そこの部分はすがりたい!

「ねぇ、雨月。あなたは本当は『子猫』なの?それとも『男の子』なの?」

 私にとっては一番重大なところだから、どうしてもそこのところははっきりさせておきたいのよね。

 私の顔をジーっと見ながら首を傾げる。何を言っているのか理解不能みたいな仕草。
 うーん、これは手強そう!
 諦めて雨月のために購入したTシャツを着せたんだけど……

 ん?ツンツルてん?

 えっ?
 どうして?

 雨月のサイズを考えて購入したのに?
 下半身は見えるのは仕方がないこととはいえ、おへそが見えるほど尺を間違えた筈はないんだけど……。

 そういえば……昨日よりも数キロ重くなっていたような気が……?

「雨月ー、まさかだけどちょっと大きくなった?」

 男の子の雨月は明後日の方角を見て知らない振りを決め込んだみたいだった。

 昨日と同じく下着を履くのを嫌がったので、私の就寝用Tシャツを雨月が着ているTシャツの上から着せることにした。ブカブカだけどこれなら下半身が見えることはない。

 安堵しつつ、朝食の準備を始めた。
 あまり時間がないので、ご飯に葱だけの味噌汁。ハムエッグと豆サラダ。

「雨月ー、ここにおいで!」

 私が座った膝の上に座る雨月は……やっぱり昨日より重かったし、座高の位置が昨日よりも少し高かった。

 気のせいじゃ……ないよね?

 動揺を隠しつつ、雨月の口にご飯を運びながら一緒に食事を済ませた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

第一王女アンナは恋人に捨てられて

岡暁舟
恋愛
第一王女アンナは自分を救ってくれたロビンソンに恋をしたが、ロビンソンの幼馴染であるメリーにロビンソンを奪われてしまった。アンナのその後を描いてみます。「愛しているのは王女でなくて幼馴染」のサイドストーリーです。

朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。……これは一体どういうことですか!?

四季
恋愛
朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

処理中です...