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子猫の雨月と男の子の雨月

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 まさか嫌がられるとは思ってもみなかった。
 だって、『首輪』なのよ?
 男の子にするもんじゃないのよ。人道的にあり得ないのよ。

「雨月ー!お願いだから、首輪はずさせて!」

 何度もお願いしてみても、男の子の雨月は両の手で首輪を掴むように隠して泣きそうな顔をする。そして何度も

「やっ!やっ!」

 と言って、嫌がる。
 これ以上にない必死の抵抗をみせる男の子の雨月に私は焦ってしまう。
 首から見える赤い跡が首輪で擦れて……見てるだけで辛いよ。 

 泣きたいのは、私の方なのに……!
 犯罪者になっちゃうじゃない。

 ……そんなことを言ってもきっと男の子の雨月にはわからないとは思うけど。
 裸の雨月を何とかしたいけど、それよりも何よりも『首輪』よ、『首輪』!

 どうすれば、雨月も納得して首輪をはずさせてもらえるのか……?
 使わない頭を総動員させてでも何とかしなきゃ!

 私なりに考えてみることにした。
 どうして雨月は首輪をはずされるのを嫌がるのか?
 雨月にとって……『首輪』とは?

 首輪をした時は、雨月は『男の子の雨月』ではなく『子猫の雨月』だったのよね?
 昨日、私が子猫の雨月に首輪をした時って……

 あっ!

 ものすごーく喜んでいたじゃないの。
 踊りそうなほど体を動かして、歌ってるかのように

「ニャーニャー!ニャーニャー!」

 ないちゃって……。

 首輪……もしかして嬉しかったの?
 だって……首輪だよ。
 枷だよ。
 
 きっとわかってないんだ、首輪の意味が。
 ね、喜んじゃ、ダメだって!

 何がなんでも、雨月にわかってもらわなきゃ!

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