私が拾ったのは子猫なんですけど！そして私は男じゃない！

子猫の雨月と男の子の雨月

9

　今日は平日。金曜日。お仕事がある。

　警察に捕まる前にこの男の子と一緒に交番に行って、事情を説明したら刑は免れるかも……。
　あ、でもぴったりサイズの服を着ていない状況で交番に行ったら……児童に不純な行為をしたとか変な想像をされてもっと重い刑になって処罰されるとか……。

　どっちみち……この状況は完全に最悪じゃない！
　私がいったい何をしたっていうのよ。
　雨で濡れてうずくまってる黒い子猫を保護しただけじゃない……。
　うちの子にしたけど……。
　一緒に寝たけど……。

　全裸の男の子と一緒に寝る趣味はないってば！
　可愛い男の子だとは思うけどさ……。
　襲ったりするなんて……そんな想像さえしたことないんだからぁあああ！

　あ、誰に言い訳してるんだろう？　……私ったら。

　モヤモヤした複雑な気分でこれからのことを考えても……何もいい知恵は浮かばない。

　今日はお仕事絶対休めないし、切り替えて行動しなきゃ……いけないんだよね。

　あ、そうだ！
　ご飯を作って食べさせてあげなきゃ！私も昨日のご飯じゃ……物足りない。
　もしこの子が雨月だったら……（絶対あり得ないけど）、ご飯まだ何も食べてないからこの体だったら食べられる筈！
　……雨月じゃなくったって、朝はきっとお腹すいてるだろうし。

　よ、よし！

「ね？とりあえず、ご飯食べよっか？」

　抱きついたままの男の子は私の上に乗り上げ、私の顔が見えるところまでやってきて、首を何度も縦に振った。

　見えるところまで来るのはいいんですけど……。
　お手々、私の胸に乗せないで！

　ご飯という言葉はちゃんとわかるみたいだ。
　でも、「誰？」って聞いた時は何がなんだかわからないみたいだった。
　もしかしたら……自分のことがわからないのかもしれない。
　とりあえず、嘘だと思いながら尋ねてみる。

「雨月……なの？」

　これ以上もない笑顔で何度も首を縦に振った。

　うそ……。

　この状況を信じるにはちょっと……無理です。
　もう一度、聞いてみる。無情にも答えは一緒だった。

　ど、どうしよう？

　男の子……雨月らしいその男の子を初めてしっかり全身を見てみたら……上半身裸だと思っていたのに（上半身しか見えなかったし）……。

　雨月らしいその男の子は……当然なの？
　やっぱり想像したくなかったの？

……全裸です！　

「わわわわわわ……」
おもいっきり……見ちゃいました！