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人喰いの噂と自称探偵団6
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六頁・取引
─────それで?と俺達が中に入った瞬間、警戒心丸出しで聞いてくる店主に苦く思いながら落ち着いてほしいと宥めながら近付けば店主は後退りながらこちらを睨め付けた。
「私は、何用かって聞いてるの」
「……俺は、警戒されちゃ話が出来ないって言いたいんだ」
「ハッ!人の家をボロ屋扱いしてくる失礼な人を警戒して何が悪いのかな?学校では常識も教えてもらえないの?探偵サン?」
「……っ!?」
"探偵"
その言葉が聞こえた瞬間、俺達は耳を疑った。
俺達の探偵…自称だが、それを知っているのは妖と俺達の協力者のみ。
普段、学生として"普通"の人間として暮らしている俺達を探偵と呼ぶ人間はいない。
ならば、目の前の彼女は?
「ひとつ言っておくけれど、私は普通の人間だよ。少しその辺と関わりがあるだけでね」
「少し…?」
「あー…面倒くさい。それで?君たちは人喰いの事を聞きたいんじゃないの?はっきり言うけど私も…ここにいる妖達も何も知らないよ」
彼女がそう言えば店の奥の壁がぐらりと揺れた気がした。いや、曖昧な言い方はやめよう。実際、俺達の目の前の"壁"が動いた。
「あれ、ぬりかべさん。黙っててもよかったのに。私なんとかするよ?」
「いやいや、紫亜嬢。貴女だけにお任せするのは申し訳ないのです。元を辿れば我々妖の問題。私達が出るのは当然でしょう」
突然喋った"壁"に俺達が呆気にとられていればその"壁"はドスドスと足音をたてながら目の前まで来て小さく礼(?)をした。
「初めまして、探偵さん方。私の名前はぬりかべ。ご存知かな?」
「あ、いや、まぁ、妖の中でも名が知れてる方ではあるし、知ってはいるが…」
「なら、お話が早い。私はこの通り身体が大きい。だから自身ではほぼ何も出来ないのです。だから私は仲間の妖達にお願いして様々な情報を集めてきて貰っております。その中にはあなた方が探している人喰いの事もございます」
突然飛び込んできた糸口に、なら!と言おうとした俺を制し、ぬりかべはにっこりと微笑み「取引」とだけ告げた。
「とりひき…」
「ええ、取引。まさか、ただ教えて終わりのそんな簡単なお話だとお思いでしたか?」
「そう…だな……??」
確かにタダでとは言うつもりは無かったがまさか相手側から言われるとは思わなかった。
とはいえ、妖魔界に出入りしているとしてもただの人間たる俺に何を要求する気なのか。
「ああ、いえいえ。そんな身構えずに。私からの要求は簡単です。あなた方ならご存知でしょう?
鬼族の王、酒呑童子の御子
────鬼童丸様を。
あの方とのパイプが欲しいのですよ。あなた方には仲介人をお頼みしたい」
─────それで?と俺達が中に入った瞬間、警戒心丸出しで聞いてくる店主に苦く思いながら落ち着いてほしいと宥めながら近付けば店主は後退りながらこちらを睨め付けた。
「私は、何用かって聞いてるの」
「……俺は、警戒されちゃ話が出来ないって言いたいんだ」
「ハッ!人の家をボロ屋扱いしてくる失礼な人を警戒して何が悪いのかな?学校では常識も教えてもらえないの?探偵サン?」
「……っ!?」
"探偵"
その言葉が聞こえた瞬間、俺達は耳を疑った。
俺達の探偵…自称だが、それを知っているのは妖と俺達の協力者のみ。
普段、学生として"普通"の人間として暮らしている俺達を探偵と呼ぶ人間はいない。
ならば、目の前の彼女は?
「ひとつ言っておくけれど、私は普通の人間だよ。少しその辺と関わりがあるだけでね」
「少し…?」
「あー…面倒くさい。それで?君たちは人喰いの事を聞きたいんじゃないの?はっきり言うけど私も…ここにいる妖達も何も知らないよ」
彼女がそう言えば店の奥の壁がぐらりと揺れた気がした。いや、曖昧な言い方はやめよう。実際、俺達の目の前の"壁"が動いた。
「あれ、ぬりかべさん。黙っててもよかったのに。私なんとかするよ?」
「いやいや、紫亜嬢。貴女だけにお任せするのは申し訳ないのです。元を辿れば我々妖の問題。私達が出るのは当然でしょう」
突然喋った"壁"に俺達が呆気にとられていればその"壁"はドスドスと足音をたてながら目の前まで来て小さく礼(?)をした。
「初めまして、探偵さん方。私の名前はぬりかべ。ご存知かな?」
「あ、いや、まぁ、妖の中でも名が知れてる方ではあるし、知ってはいるが…」
「なら、お話が早い。私はこの通り身体が大きい。だから自身ではほぼ何も出来ないのです。だから私は仲間の妖達にお願いして様々な情報を集めてきて貰っております。その中にはあなた方が探している人喰いの事もございます」
突然飛び込んできた糸口に、なら!と言おうとした俺を制し、ぬりかべはにっこりと微笑み「取引」とだけ告げた。
「とりひき…」
「ええ、取引。まさか、ただ教えて終わりのそんな簡単なお話だとお思いでしたか?」
「そう…だな……??」
確かにタダでとは言うつもりは無かったがまさか相手側から言われるとは思わなかった。
とはいえ、妖魔界に出入りしているとしてもただの人間たる俺に何を要求する気なのか。
「ああ、いえいえ。そんな身構えずに。私からの要求は簡単です。あなた方ならご存知でしょう?
鬼族の王、酒呑童子の御子
────鬼童丸様を。
あの方とのパイプが欲しいのですよ。あなた方には仲介人をお頼みしたい」
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