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婚約編
愛情が駄々漏れのようです
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ジークハルト様がキスしたことと私が泣いてしまったことでお化粧が崩れてしまったので、アイニさんがすぐにお化粧を直してくれた。そして長時間座っていたことでついてしまったドレスの皺なども直し、改めてジークハルト様に腕を差し出されたので自分の手を添えると、ゆっくりと歩き出す。
……ジークハルト様にキスされたのを、家族やアイニさんたちにバッチリ見られたことが恥ずかしくて顔を上げられない。というか、誰か止めてくれたっていいじゃない……。
「ミカ、口付けだけで照れているのか? 顔が赤いぞ? ……可愛いなぁ……そんな顔が見れるのならば、もっとしたくなる」
「……っ」
そんなことを囁いて、耳や頭にキスをしないでください、ジークハルト様! 皆様がニヤニヤしながら私たちを生温い目で見ているではありませんか!
そんな私の羞恥心はともかく、夜会の会場は舞踏会も開かれる大きな場所で、謁見の間よりも広いのだという。ジークハルト様は私をエスコートしながらそう教えてくれた。
今のジークハルト様の服は私と同じワインレッドの貴族服で、アスコットタイをしている。貴族服はビクトリア朝のフロックコートやモーニングなど、男性が結婚式などに着る服に近いデザインだ。
身長が高くがっしりとしたジークハルト様にとても似合っている。騎士服についていたサッシュなどの装飾品やマントもしておらず、剣も腰に差していない。
「ミカ。疲れないか?」
「大丈夫ですよ。過保護はやめてくださいね? 今まで通りで大丈夫ですから」
そう返してジークハルト様を見上げると、心配そうに見ていたものの笑みを向けてくれた。つられるように笑みを向けると、笑みが深くなる。
「今日の夜会ではそれほど長い時間そこにいる必要はない」
「そうなのですか?」
「ああ。発表の時にほぼ紹介は終わっているし、各家の茶会や夜会の招待は俺に直接くるか、アイゼンを通してミカに行くことになるからな。アイゼン自身が紹介しない限り、近寄らせはしないだろう。もちろん俺も近寄らせはしないが」
「紹介してくださった方と話すのは問題ないでしょうか」
「問題はないが、今日紹介されたばかりだからな……もしかしたら、誰も近寄っては来ないかもしれん」
紹介されもしないのにいきなり近寄ってくるような者は、ジークハルト様か父や兄に媚を売りたいだけの人間だそう。なので、そういった人には近づくなと言われた。
もっとも、父も兄も、ジークハルト様ですら近寄らせない気がするのは気のせいだろうか。
お茶会に関しても、最初は兄か父と一緒に行くか、ジークハルト様に時間があれば連れて行ってくれるという。但し、行く家となると上級貴族に限られてしまうそうだけれど。
……貴族の付き合い方って、まるで会社同士の付き合いみたいだと思った瞬間だった。そのことを父や兄に聞いたら、「微妙に違うが似たようなものだな」と言っていたから、概ね間違っていないのだろう。
正式な貴族同士の付き合い方なんて私にはわからないことだし、これから覚えていけばいいと言ってくれた。
会場に着き、ジークハルト様と一緒に先に王へ挨拶をし、それから王太后様や他の王族の方にも挨拶をする。その時に王太后様から王子妃教育のことで時間や期間などいろいろ聞かれたけれど、私はまだ勉強中なので当主である父と相談してほしいと返事をすれば満足そうに頷いていた。……もしかして試されたのだろうか。
それはともかく、挨拶が終わると父や兄と合流し、話しながら料理を食べたりしていた。お酒も薦められてワインを飲んだけれど、口当たりと喉越しのいい、芳醇な味のワインだ。
酔うと困るのでたくさん飲むことはしなかったけれど。
途中で宰相様ご夫妻が加わり男性陣は政治の話をし始めてしまったので、奥様であるラファエラ様と話をする。プラチナブロンドでグリーンの瞳のラファエラ様は、その名前の通り天使のような方だ。
童顔なのを気にされていたけれどそのようなことはなく、話をしているととても頭の回転が早い方だというのがわかる。さすがは公爵家のお嬢様といったところか。
そこにラファエラ様のご友人が二人、ご夫婦でいらした。二人は公爵家と侯爵家の方で、婚約発表の時に父が紹介してしてくださった方の家のご令嬢だ。
どちらも一人娘だからとお婿さんをとっていて、先ほど旦那様を紹介できなかったことを詫びていた。
「まあ、既に紹介されていたんですのね。彼女たちはわたくしの友人でもありますの」
「改めて、よろしくお願いいたしますわ、ミカ様」
「わたくしもお願いいたしますわ、ミカ様」
「私こそ、よろしくお願いいたします。まだまだ勉強中の身ですので、いろいろと教えてくださると嬉しいです」
そう挨拶を交わして笑みを向けると、三人は笑顔を向けて頷いてくださった。
「ふふ……よろしくてよ。ミカ様はご病気で、ずっとお勉強ができなかったと聞いておりますもの」
「わたくしも聞きましたわ。短期間でよくぞここまでと思いますもの」
「所作がとても綺麗でしたもの。とても努力なさったんですのね」
「ありがとうございます。そ、そうですね……」
そんな会話をしていく。貴族は噂好きだと聞いていたけれど……兄の言った意味がわかった気がする。確かに「異世界から来ました」と言って敬遠されるよりも、このほうがまだマシだと思えるのが不思議だ。
彼女たちは上流階級の方たちだけあって、話題がとても豊富だ。向こうにいた時に私と一緒にいてくれた友人や知り合いの女性を彷彿とさせて、なんだか懐かしくなる。
父や兄、ジークハルト様が私たちの会話を止めないことからも、彼女たちは信頼できる人物だということがわかる。
しばらく雑談し、お茶会をする約束をしたところで男性陣の話が終わったようで、そこでお開きとなった。そのあとジークハルト様と一曲踊り、その場をあとにして客間へと戻る。
「ミカ、慣れないから疲れただろう?」
「はい……」
よほど疲れた顔をしていたのか、客間に着くとジークハルト様が心配してくれた。疲れていないと言いたかったけれど、さすがに誤魔化すのは無理だった。
「アイゼン。明日の午前中、時間があるだろうか? ミカに布を届けたいのだが……」
「明日は実花を連れて登城することになっていますので、お昼にいらしてはいかがでしょうか」
「おお、そうさせてもうらうとしよう! では、お弁当とやらを所望するぞ!」
「私のですか? それとも料理長のでしょうか」
「ミカは意地悪なことを言う。もちろんミカの手製のやつをだ」
「……何か食べたいものはありますか?」
「特にない。今まで見たことのないものを期待している」
嬉しそうにリクエストをしてくるジークハルト様に、どのようなお弁当にしようかと頭を悩ませる。ジークハルト様に今日のお礼を言い、帰る支度をする。これからあの魔法陣がある場所まで移動し、そこから帰るという。
行きと違い、帰りの案内はジークハルト様自らがしてくださった。
現在の時刻は夜の十時過ぎ。お付きの人の紹介は明日のお昼にするということになった。……彼らの分のお弁当も用意しなければならないだろうか。
魔法陣がある部屋に着くと、扉のところに騎士が二人いた。ジークハルト様を見ると敬礼している。
それに頷いたジークハルト様が扉を開けさせ、私たちが中に入ると一旦扉が閉められた。来る時と同様に兄が魔法陣を発動し、今度は先にアイニさんとシェーデルさんが家に帰る。
「アイゼン、今日はありがとう。それではミカ、また明日」
「どういたしまして」
「はい」
挨拶を交わしている間にアレイさんと仔虎姿になったナミルさん、兄が魔法陣に乗る。そして父のあとに続いて魔法陣に乗ろうとしたら、ジークハルト様に呼び止められた。
「ミカ、お弁当を楽しみにしている」
「はい。ん……」
抱きしめられて、お弁当を頼まれたと思ったらすぐに唇が塞がれた。口腔を味わうようなキスで、思わず身体が震える。
「ゴホンっ! 殿下、そろそろ娘を返していただけますかな?」
咳払いのあとで父の低い声が響くと、ジークハルト様は名残惜しそうにキスを止め、私を解放する。彼の温もりがなくなって寂しい。
「おやすみなさい、ジークハルト様」
「ああ、おやすみ。また明日」
挨拶を交わして父の隣に行く。ジークハルト様を見れば手を上げていた。
その顔がとても寂しそうに見えて、私と同じ気持ちなのだと思うと少しだけ寂しさが紛れる。
それではと言った父の合図で視界が白く光ると、あっという間に我が家に着いてしまった。全員コーヒーを飲みたいからと着替えることにし、着替えたあとはサロンで夜のお茶会もどきです。
「まさか、グラナートがあそこまで実花に惚れるとはねぇ……」
「お、お兄様……っ」
「次はアルの番か?」
「そうだね。まあ、そのうち縁談でも舞い込んで来るんじゃなの?」
「ああ、そうだろうな」
私がジークハルト様と婚約したことで王家との繋がりができるから、それに擦り寄りたい家から縁談が舞い込むだろうと父も兄も言う。
「『角がない』って理由だけでバカにして来た挙げ句、縁談を持ち込むような連中の家の令嬢なんぞ、まっぴらごめんだ」
「そういった家とは付き合いはないし、既にチェックしているから断るとも」
コーヒーを飲みながら、冷たい声でそんな話をする二人に苦労して来たことが窺える。だからこそ、結婚するまでは、そしてジークハルト様が許してくださるならば、できうるかぎり二人の仕事を手伝おう。
二人に明日何が食べたいか聞くと、ロールキャベツと鶏か魚の照り焼きが食べたいとリクエストをもらったので頷き、部屋へと戻る。お風呂に入ってアイニさんたちにマッサージをしてもらうと、かなり疲れていたのかあっという間に眠気が襲って来た。
なんとか魔物たちと侍女たちにお礼とおやすみの挨拶をすると、目を瞑った。
……ジークハルト様にキスされたのを、家族やアイニさんたちにバッチリ見られたことが恥ずかしくて顔を上げられない。というか、誰か止めてくれたっていいじゃない……。
「ミカ、口付けだけで照れているのか? 顔が赤いぞ? ……可愛いなぁ……そんな顔が見れるのならば、もっとしたくなる」
「……っ」
そんなことを囁いて、耳や頭にキスをしないでください、ジークハルト様! 皆様がニヤニヤしながら私たちを生温い目で見ているではありませんか!
そんな私の羞恥心はともかく、夜会の会場は舞踏会も開かれる大きな場所で、謁見の間よりも広いのだという。ジークハルト様は私をエスコートしながらそう教えてくれた。
今のジークハルト様の服は私と同じワインレッドの貴族服で、アスコットタイをしている。貴族服はビクトリア朝のフロックコートやモーニングなど、男性が結婚式などに着る服に近いデザインだ。
身長が高くがっしりとしたジークハルト様にとても似合っている。騎士服についていたサッシュなどの装飾品やマントもしておらず、剣も腰に差していない。
「ミカ。疲れないか?」
「大丈夫ですよ。過保護はやめてくださいね? 今まで通りで大丈夫ですから」
そう返してジークハルト様を見上げると、心配そうに見ていたものの笑みを向けてくれた。つられるように笑みを向けると、笑みが深くなる。
「今日の夜会ではそれほど長い時間そこにいる必要はない」
「そうなのですか?」
「ああ。発表の時にほぼ紹介は終わっているし、各家の茶会や夜会の招待は俺に直接くるか、アイゼンを通してミカに行くことになるからな。アイゼン自身が紹介しない限り、近寄らせはしないだろう。もちろん俺も近寄らせはしないが」
「紹介してくださった方と話すのは問題ないでしょうか」
「問題はないが、今日紹介されたばかりだからな……もしかしたら、誰も近寄っては来ないかもしれん」
紹介されもしないのにいきなり近寄ってくるような者は、ジークハルト様か父や兄に媚を売りたいだけの人間だそう。なので、そういった人には近づくなと言われた。
もっとも、父も兄も、ジークハルト様ですら近寄らせない気がするのは気のせいだろうか。
お茶会に関しても、最初は兄か父と一緒に行くか、ジークハルト様に時間があれば連れて行ってくれるという。但し、行く家となると上級貴族に限られてしまうそうだけれど。
……貴族の付き合い方って、まるで会社同士の付き合いみたいだと思った瞬間だった。そのことを父や兄に聞いたら、「微妙に違うが似たようなものだな」と言っていたから、概ね間違っていないのだろう。
正式な貴族同士の付き合い方なんて私にはわからないことだし、これから覚えていけばいいと言ってくれた。
会場に着き、ジークハルト様と一緒に先に王へ挨拶をし、それから王太后様や他の王族の方にも挨拶をする。その時に王太后様から王子妃教育のことで時間や期間などいろいろ聞かれたけれど、私はまだ勉強中なので当主である父と相談してほしいと返事をすれば満足そうに頷いていた。……もしかして試されたのだろうか。
それはともかく、挨拶が終わると父や兄と合流し、話しながら料理を食べたりしていた。お酒も薦められてワインを飲んだけれど、口当たりと喉越しのいい、芳醇な味のワインだ。
酔うと困るのでたくさん飲むことはしなかったけれど。
途中で宰相様ご夫妻が加わり男性陣は政治の話をし始めてしまったので、奥様であるラファエラ様と話をする。プラチナブロンドでグリーンの瞳のラファエラ様は、その名前の通り天使のような方だ。
童顔なのを気にされていたけれどそのようなことはなく、話をしているととても頭の回転が早い方だというのがわかる。さすがは公爵家のお嬢様といったところか。
そこにラファエラ様のご友人が二人、ご夫婦でいらした。二人は公爵家と侯爵家の方で、婚約発表の時に父が紹介してしてくださった方の家のご令嬢だ。
どちらも一人娘だからとお婿さんをとっていて、先ほど旦那様を紹介できなかったことを詫びていた。
「まあ、既に紹介されていたんですのね。彼女たちはわたくしの友人でもありますの」
「改めて、よろしくお願いいたしますわ、ミカ様」
「わたくしもお願いいたしますわ、ミカ様」
「私こそ、よろしくお願いいたします。まだまだ勉強中の身ですので、いろいろと教えてくださると嬉しいです」
そう挨拶を交わして笑みを向けると、三人は笑顔を向けて頷いてくださった。
「ふふ……よろしくてよ。ミカ様はご病気で、ずっとお勉強ができなかったと聞いておりますもの」
「わたくしも聞きましたわ。短期間でよくぞここまでと思いますもの」
「所作がとても綺麗でしたもの。とても努力なさったんですのね」
「ありがとうございます。そ、そうですね……」
そんな会話をしていく。貴族は噂好きだと聞いていたけれど……兄の言った意味がわかった気がする。確かに「異世界から来ました」と言って敬遠されるよりも、このほうがまだマシだと思えるのが不思議だ。
彼女たちは上流階級の方たちだけあって、話題がとても豊富だ。向こうにいた時に私と一緒にいてくれた友人や知り合いの女性を彷彿とさせて、なんだか懐かしくなる。
父や兄、ジークハルト様が私たちの会話を止めないことからも、彼女たちは信頼できる人物だということがわかる。
しばらく雑談し、お茶会をする約束をしたところで男性陣の話が終わったようで、そこでお開きとなった。そのあとジークハルト様と一曲踊り、その場をあとにして客間へと戻る。
「ミカ、慣れないから疲れただろう?」
「はい……」
よほど疲れた顔をしていたのか、客間に着くとジークハルト様が心配してくれた。疲れていないと言いたかったけれど、さすがに誤魔化すのは無理だった。
「アイゼン。明日の午前中、時間があるだろうか? ミカに布を届けたいのだが……」
「明日は実花を連れて登城することになっていますので、お昼にいらしてはいかがでしょうか」
「おお、そうさせてもうらうとしよう! では、お弁当とやらを所望するぞ!」
「私のですか? それとも料理長のでしょうか」
「ミカは意地悪なことを言う。もちろんミカの手製のやつをだ」
「……何か食べたいものはありますか?」
「特にない。今まで見たことのないものを期待している」
嬉しそうにリクエストをしてくるジークハルト様に、どのようなお弁当にしようかと頭を悩ませる。ジークハルト様に今日のお礼を言い、帰る支度をする。これからあの魔法陣がある場所まで移動し、そこから帰るという。
行きと違い、帰りの案内はジークハルト様自らがしてくださった。
現在の時刻は夜の十時過ぎ。お付きの人の紹介は明日のお昼にするということになった。……彼らの分のお弁当も用意しなければならないだろうか。
魔法陣がある部屋に着くと、扉のところに騎士が二人いた。ジークハルト様を見ると敬礼している。
それに頷いたジークハルト様が扉を開けさせ、私たちが中に入ると一旦扉が閉められた。来る時と同様に兄が魔法陣を発動し、今度は先にアイニさんとシェーデルさんが家に帰る。
「アイゼン、今日はありがとう。それではミカ、また明日」
「どういたしまして」
「はい」
挨拶を交わしている間にアレイさんと仔虎姿になったナミルさん、兄が魔法陣に乗る。そして父のあとに続いて魔法陣に乗ろうとしたら、ジークハルト様に呼び止められた。
「ミカ、お弁当を楽しみにしている」
「はい。ん……」
抱きしめられて、お弁当を頼まれたと思ったらすぐに唇が塞がれた。口腔を味わうようなキスで、思わず身体が震える。
「ゴホンっ! 殿下、そろそろ娘を返していただけますかな?」
咳払いのあとで父の低い声が響くと、ジークハルト様は名残惜しそうにキスを止め、私を解放する。彼の温もりがなくなって寂しい。
「おやすみなさい、ジークハルト様」
「ああ、おやすみ。また明日」
挨拶を交わして父の隣に行く。ジークハルト様を見れば手を上げていた。
その顔がとても寂しそうに見えて、私と同じ気持ちなのだと思うと少しだけ寂しさが紛れる。
それではと言った父の合図で視界が白く光ると、あっという間に我が家に着いてしまった。全員コーヒーを飲みたいからと着替えることにし、着替えたあとはサロンで夜のお茶会もどきです。
「まさか、グラナートがあそこまで実花に惚れるとはねぇ……」
「お、お兄様……っ」
「次はアルの番か?」
「そうだね。まあ、そのうち縁談でも舞い込んで来るんじゃなの?」
「ああ、そうだろうな」
私がジークハルト様と婚約したことで王家との繋がりができるから、それに擦り寄りたい家から縁談が舞い込むだろうと父も兄も言う。
「『角がない』って理由だけでバカにして来た挙げ句、縁談を持ち込むような連中の家の令嬢なんぞ、まっぴらごめんだ」
「そういった家とは付き合いはないし、既にチェックしているから断るとも」
コーヒーを飲みながら、冷たい声でそんな話をする二人に苦労して来たことが窺える。だからこそ、結婚するまでは、そしてジークハルト様が許してくださるならば、できうるかぎり二人の仕事を手伝おう。
二人に明日何が食べたいか聞くと、ロールキャベツと鶏か魚の照り焼きが食べたいとリクエストをもらったので頷き、部屋へと戻る。お風呂に入ってアイニさんたちにマッサージをしてもらうと、かなり疲れていたのかあっという間に眠気が襲って来た。
なんとか魔物たちと侍女たちにお礼とおやすみの挨拶をすると、目を瞑った。
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