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番外編2
天界で節分
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薬師の神様としてヒィヒィ言いながらなんとか仕事をこなし始めて二年。日本で言うなら節分の時期が来た。
天界にいるから特に何かをするでもなく、暇つぶしにダンジョンの宝箱に入れるポーションを作っていたら、アマテラス様とスサノオ様が、牛の頭と馬の頭をした、筋骨隆々な人たちを連れて来た。
「おお~、すっごい筋肉ですね! 触ってもいいですか?」
「やめなさい、優衣。この二人は地獄の獄卒だから。新人の神である優衣が触ったら、そっちに引っ張られるわよ?」
「うぅ……お素敵筋肉なのにぃ……」
「俺ので我慢しておけって。な?」
「わーい! スサノオ様、ありがとうございます!」
さっそくスサノオ様に抱きついて、素敵な胸筋や背筋、上腕二頭筋をスリスリ……じゃなくて!
地獄の獄卒がなんで天界に来ているんだろう?
ちなみに、地獄にいる人たちもみんな神様なんだって。人間界では邪心系の扱いになっているし顔も怖いけど、みなさん優しい人たちだ。
お仕事だから厳しくしているのであって、心の中では涙を流しながら仕事をしている、らしい。……ほんとかな。
まあ、それは横に置いといて。
「この二人は牛頭と馬頭。ちょっと邪気が体に入っちゃって、困っているんですって」
「邪気、ですか? それと私になんの関係が?」
「お、おでたちに、神酒に浸した神豆をぶ、ぶつけて、ほ、ほしいんだな」
「お、おらたち、それで、年に四回、じ、邪気を、は、祓ってもらってるんだな」
「あ~、つまり、豆まきをしろってことですか?」
「そうなの」
なるほど。というか、なんで豆を撒いてほしいんだろう? しかも、神豆という神が作る豆を使って。よっぽど不思議そうにしていたのか、アマテラス様が説明してくれた。
地獄にいる獄卒たちも神様とはいえ、穢れた魂が地獄に来るから、どうしても影響されてしまうそうだ。それを祓うのが節分のとき。
年に四回あるんだけど、いつもはオオナムチ様かスクナビコナ様が神酒を作って豆まきをするのに、今回はオオナムチ様は人間界に蔓延っているインフルエンザの対応に追われ、スクナビコナ様はぎっくり腰になったとかで、動けないらしい。
おおう……スクナビコナ様……。
だから今回は特例として、私に神酒を作ることと豆まきの依頼に来たんだとか。
「私でいいのであればやります。けど、手元には神豆はありませんよ?」
「そう思って持って来たわ。これを使ってくれるかしら」
「わかりました。じゃあ、さっそく神酒を作りますね」
下界にいる薬師たちが奉納してくれた薬草やベアの内臓など神酒の材料を倉庫から出し、パパっと作る。豆を浸すと聞いたので大きな瓶にいっぺんに入れた。
その中にアマテラス様から預かった神豆を浸し、しばらく待つ。すると、神豆が神酒を吸い上げ、淡く光った。
「そこまででいいわ、優衣。豆を取り出してちょうだい」
「はい」
光りっぱなしの豆を取り出してみると、神酒は綺麗に吸い取られていた。瓶から笊にあけ、アマテラス様に渡す。
「じゃあ、優衣。オオナムチとスクナビコナの代わりに豆まきをしてちょうだい」
「えっ!? 私がやるんですか⁉」
「そうよ? 獄卒たちにとって、薬師の神がやることに意味があるんだもの」
だから毎回、オオナムチとスクナビコナが豆まきをしていたんだし、と言うアマテラス様。
日本の神様がやることに意味があって、本来ならば異世界の神である私だと意味がないんだって。穢れが祓えないから。
だけど私は元日本人だし、ご先祖様は神職の家系でもあったことから日本の神様に爪先を突っ込んでいるからと、私に話を持ってきたらしい。
「ゆ、優衣ちゃん、おねげえしますだ」
「おらたちの穢れを、は、はらってほしいんだな」
「……わかりました。じゃあやりますね。鬼は~外~! 福は~うち~!」
笊をしっかりと持ち、牛頭さんと馬頭さんに豆を撒く。
ゼーバルシュの神域に広がる、豆まきの声。牛頭さんと馬頭さんに豆をぶつけるたびに、その体から黒い靄が飛び出してくる。
靄が飛び出すとそのまま光になって消えていくのは、なんとも不思議な光景だ。
豆がなくなるまで撒くと、役目を終えた神豆が消えていく。
「あ、ありがとうなんだな」
「た、助かったんだな」
「どういたしまして」
スっと頭を下げる牛頭さんと馬頭さん。仕事が忙しいからと、アマテラス様と一緒に帰っていった。
ゼーバルシュだと、鬼に近いのはオーガかな。さすがに豆まきをするわけにはいかないけど、久しぶりに豆まきをして、とても楽しかった。
天界にいるから特に何かをするでもなく、暇つぶしにダンジョンの宝箱に入れるポーションを作っていたら、アマテラス様とスサノオ様が、牛の頭と馬の頭をした、筋骨隆々な人たちを連れて来た。
「おお~、すっごい筋肉ですね! 触ってもいいですか?」
「やめなさい、優衣。この二人は地獄の獄卒だから。新人の神である優衣が触ったら、そっちに引っ張られるわよ?」
「うぅ……お素敵筋肉なのにぃ……」
「俺ので我慢しておけって。な?」
「わーい! スサノオ様、ありがとうございます!」
さっそくスサノオ様に抱きついて、素敵な胸筋や背筋、上腕二頭筋をスリスリ……じゃなくて!
地獄の獄卒がなんで天界に来ているんだろう?
ちなみに、地獄にいる人たちもみんな神様なんだって。人間界では邪心系の扱いになっているし顔も怖いけど、みなさん優しい人たちだ。
お仕事だから厳しくしているのであって、心の中では涙を流しながら仕事をしている、らしい。……ほんとかな。
まあ、それは横に置いといて。
「この二人は牛頭と馬頭。ちょっと邪気が体に入っちゃって、困っているんですって」
「邪気、ですか? それと私になんの関係が?」
「お、おでたちに、神酒に浸した神豆をぶ、ぶつけて、ほ、ほしいんだな」
「お、おらたち、それで、年に四回、じ、邪気を、は、祓ってもらってるんだな」
「あ~、つまり、豆まきをしろってことですか?」
「そうなの」
なるほど。というか、なんで豆を撒いてほしいんだろう? しかも、神豆という神が作る豆を使って。よっぽど不思議そうにしていたのか、アマテラス様が説明してくれた。
地獄にいる獄卒たちも神様とはいえ、穢れた魂が地獄に来るから、どうしても影響されてしまうそうだ。それを祓うのが節分のとき。
年に四回あるんだけど、いつもはオオナムチ様かスクナビコナ様が神酒を作って豆まきをするのに、今回はオオナムチ様は人間界に蔓延っているインフルエンザの対応に追われ、スクナビコナ様はぎっくり腰になったとかで、動けないらしい。
おおう……スクナビコナ様……。
だから今回は特例として、私に神酒を作ることと豆まきの依頼に来たんだとか。
「私でいいのであればやります。けど、手元には神豆はありませんよ?」
「そう思って持って来たわ。これを使ってくれるかしら」
「わかりました。じゃあ、さっそく神酒を作りますね」
下界にいる薬師たちが奉納してくれた薬草やベアの内臓など神酒の材料を倉庫から出し、パパっと作る。豆を浸すと聞いたので大きな瓶にいっぺんに入れた。
その中にアマテラス様から預かった神豆を浸し、しばらく待つ。すると、神豆が神酒を吸い上げ、淡く光った。
「そこまででいいわ、優衣。豆を取り出してちょうだい」
「はい」
光りっぱなしの豆を取り出してみると、神酒は綺麗に吸い取られていた。瓶から笊にあけ、アマテラス様に渡す。
「じゃあ、優衣。オオナムチとスクナビコナの代わりに豆まきをしてちょうだい」
「えっ!? 私がやるんですか⁉」
「そうよ? 獄卒たちにとって、薬師の神がやることに意味があるんだもの」
だから毎回、オオナムチとスクナビコナが豆まきをしていたんだし、と言うアマテラス様。
日本の神様がやることに意味があって、本来ならば異世界の神である私だと意味がないんだって。穢れが祓えないから。
だけど私は元日本人だし、ご先祖様は神職の家系でもあったことから日本の神様に爪先を突っ込んでいるからと、私に話を持ってきたらしい。
「ゆ、優衣ちゃん、おねげえしますだ」
「おらたちの穢れを、は、はらってほしいんだな」
「……わかりました。じゃあやりますね。鬼は~外~! 福は~うち~!」
笊をしっかりと持ち、牛頭さんと馬頭さんに豆を撒く。
ゼーバルシュの神域に広がる、豆まきの声。牛頭さんと馬頭さんに豆をぶつけるたびに、その体から黒い靄が飛び出してくる。
靄が飛び出すとそのまま光になって消えていくのは、なんとも不思議な光景だ。
豆がなくなるまで撒くと、役目を終えた神豆が消えていく。
「あ、ありがとうなんだな」
「た、助かったんだな」
「どういたしまして」
スっと頭を下げる牛頭さんと馬頭さん。仕事が忙しいからと、アマテラス様と一緒に帰っていった。
ゼーバルシュだと、鬼に近いのはオーガかな。さすがに豆まきをするわけにはいかないけど、久しぶりに豆まきをして、とても楽しかった。
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