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番外編
魔王は存在しません
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子供たちが成人し、それぞれ一人立ちしたあと、次男に店を任せてのんびりと薬草の世話をしているときだった。難しい顔をしたエアハルトさんが近寄ってきて、溜息をつく。
「どうしたんですか?」
「いや……なんか陛下から呼び出しが来た」
「王様から? エアハルトさんだけですか?」
「いや、SSランク以上全員だ。もちろん、優衣も含まれている」
「あ~……」
そういえば、私もSSランクだったんだと、今さらながら思い出す。エアハルトさんはSSSランクに上がったけど、私はSSランクのままだ。
まあ、冒険者じゃないからね、私は。そんなこんなで店に行き、息子に声をかける。
「ハーラルト、お父さんと一緒にお城に行ってくるね」
「なにかあったの?」
「わからないけど、SSランク以上の冒険者全員が呼び出しだって」
「おやまあ。従魔たちも連れていくんでしょ? 気をつけて行ってきて」
「わかったわ」
苦笑しながらも、次男のハーラルトは手を振って私を見送る。そのまま家に戻ると従魔たちと眷属たちを呼び、エアハルトさんやアレクさん、ナディさんと一緒に城に向かった。
通された場所は、以前話し合いをした会議室だ。
「忙しいところすまぬ。ちと問題が起こっての」
「問題、ですか?」
「ええ。〝魔王〟と名乗る者が出現いたしました」
『…………は?』
宰相様の言葉に王様は溜息をつき、私たちは全員目が点になった。
なんというか、この世界に魔王はいない。魔王イコール魔神族の王になるからだ。単独で魔王と名乗るのは、はっきり言ってありえないのだと、アントス様の知識が教えてくれる。
「どこのバカですか?」
「わからぬ。それを調査してほしいのだ」
「どこかに新たに魔神族の国が興ったという話ではないんですか?」
「それが……」
宰相様いわく、王様宛てに手紙が届き、さすがにそのまま渡すわけにはいかないからと手紙を検めると、溜息をつくような内容が書かれていたという。
「それを今から読み上げますので、意見を聞かせてください」
宰相様の言葉に全員が頷く。すると、すぐに内容を読み始めた宰相様。
簡単に言うと、魔王と名乗っている人物は北大陸から渡ってきた人族で、召喚された人の子孫だという。先祖の恨みを晴らすべく、大陸を滅ぼしに来たらしい。
……なんというか、頭は大丈夫かと言いたい。
「それで、その人物はどこに潜伏しているんだ?」
「初級ダンジョンの第一階層らしいのです。この手紙によると、最下層まで行きながら自分の配下を作ろうと思っていたらしいですが、目撃者によると、初級ダンジョンでテイムできなかったそうです」
「え? スライムですら?」
「ええ。しかも、そのスライムにこてんぱんにやられて、仕方なく第一階層の入り口付近に留まっているようです」
宰相様の言葉に、あちこちから忍び笑いが漏れてくる。そのうち王様が我慢できなくなったみたいで、大声で笑い始めたものだから、私たちも釣られて笑ってしまった。
「くく!! そんなにに弱いなら、ほっといてもいいんじゃないか?」
「そうなんですが、新人冒険者よりも弱いと推定されますが、はっきり申し上げますと邪魔なのですよ。魔王だなどと触れ回り、ダンジョンに国ができたと勘違いされても困るのです」
「ああ……確かに。他国に示しがつかないだろうし」
「ええ。それもあってその場で排除していただいても構いません」
「物語の魔王は、排除されるべき存在だしな」
「はい」
代表でSSSランクのヘルマンさんとスヴェンさんが宰相様と話をしてくれているんだけど……すっごく物騒な話をしているよね! これだったら別に私は必要なかったかもなあ……と若干遠い目をしつつ、みなさんの話を聞いていた。
そして誰が行くのかなどの話し合いをした結果、各パーティーリーダーと、なぜか私が行くことに。なんでよ!
「俺たちに基本の薬草を教えてほしいんだよ」
「知らない奴もいるからな」
「俺たちから初心者の冒険者に教えることもできるし」
「ああ……そういう理由ですか。それなら納得です」
たぶんそれだけじゃないんだろうけど、私は薬草の基本を教えつつ、採取をしててくれればいいと言われてしまえば、頷くしかなかった。そろそろスライムゼリーがなくなってきていたし、ちょうどいいかも!
ということで、初級ダンジョンに潜る当日。
「ああ、あいつか」
「無茶苦茶弱そうなおっさんだなあ……」
ダンジョンに潜ってすぐ、スライムと格闘していた貧相なおっさんがいた。しかも、スライム二匹にボコボコにやられていて、とうとう座り込んで頭を抱え、ガタガタと震えている。
面立ちは日本人っぽいのに、なぜか黒髪じゃない。まあ、子孫と言っているし、召喚されていたのが二千年以上前の話になってきているんだから、子孫はもうこの世界の住人であり、世界の理の枠に入っているんだろう。
「リン、あっちに行って薬草を教えてくれ」
「あのおっさんはどうするんですか?」
「俺がなんとかする」
とても冷たい目でおっさんを見ていたスヴェンさんが、そんなことを言う。きっと、物騒な意味での〝なんとか〟なんだろうと察した。
私に見せたくないんだろう……人を殺すところを。
だからおとなしくスヴェンさんとヘルマンさんの指示に従い、おっさんの姿が見えない場所まで行く。すると、しばらくしてから悲鳴らしき声が聞こえてきて、内心で溜息をついた。
「リンちゃんが気にすることはないぞ?」
「そうだな。アレはもと騎士である俺たちの仕事だ」
「それに、リンちゃんは冒険者じゃないしな」
「それよりも、薬草を教えてくれよ」
「ヘルマンやスヴェンばかりに教えてばっかでずりぃぞ!」
「わ~、すみません! 今から教えますから、今度採取依頼を出してもいいですか?」
「「「「「任せておけ!」」」」」
私の気をそらせるためか、すぐに各パーティーのリーダーの中で、薬草がわからない人たちが話しかけてくる。私もそれにのっかって、すぐに採取の仕方と薬草を教え、一緒に採取した。
「なるほどなあ。ミントくらいしか知らなかったが、結構あるんだな」
「そうですね。ただ、このダンジョンで採れるのは初歩のポーションしか作れないものなので、新人さんが最初に覚えるには最適だと思います」
「だな。確か、医師の薬にも使われている、基本の薬草なんだろう?」
「そうです。あとは全部のダンジョンや森にも生えている、赤いキノコと青いキノコが風邪薬と解熱剤の材料になりますよ」
「あれなら教えれば、新人でもわかるようになるな」
「ああ。特に冬の時期になると大量に必要になるから、新人が稼げる率が上がるし」
「だな」
リーダーたちいわく、薬草やキノコ採取は冒険者になったばかりの新人がやる依頼なんだそうだ。農村や村で暮らしていた子たちは詳しいからすぐに採取に向かえるけど、町や王都で暮らしていた子ではそういうのがわからないらしい。
ギルドには図鑑があって、それを調べてから行くものの、中には似通ったものがあるから、間違って採取してきてしまうという。
特にキノコ類に関しては間違う確率が高いので、失敗扱いになってしまうこともしばしばなんだそうだ。
「まあ、キノコに関しても、今は特に問題ないもんなあ」
「そうですね。万能薬やポイズン、パラライズを作るのに必要ですから」
「ああ。リンちゃんが王都に来てから、他の薬師も張り切りはじめたからな」
「助かるよな。前はポイズンくらいしか作れなかった薬師が、ストーンやフィアーも作れるようになったんだから」
リーダーたちがわいわいとこれまでの薬師の話をしている。私が来る前の薬師たちは、せいぜい頑張ってもパラライズまでが限度で、それ以上になるフィアーやストーンなど、中級以上のダンジョンにある罠のために必要になってくるポーションが作れなかったそうだ。
ところが、見た目が少女の私が来て、伝説ともいえる神酒や万能薬などの上級と最上級ポーションを売り出したものだから、奮起したんだって。もちろん、王様や懇意にしている貴族から発破をかけられたことも原因のひとつだろう。
この世界に来て、なんだかんだと五十年。私が来た当初よりも、薬師の腕が上がっているのは間違いないけど、それでも未だにハイ系までが限度ってどういうことなのかな⁉
息子ですらやっと万能薬とハイパーが作れるようになったのに!
なにか原因があるのかなあ……。やっぱりあの不器用設定が原因なんだろうなあ……。
そんなことを考えながらスヴェンさんとヘルマンさんたちが来るのを、採取しながら待ったのだった。
後日聞いた話なんだけど、〝処理〟する前に、一応あのおっさんから話を聞いたそうだ。魔王という存在について誰から聞いたとか、どこから来たとか。
おっさんいわく、手紙の通りに北大陸から来たことと、北大陸のとある国から来たけど、そこの男爵家から聞いた話だそうだ。
もちろん、魔王はこの世界に存在しないこと、魔王とは魔神族の王のことを指すと話たんだって。そして魔神族でもないおっさんが王になるのかと聞かれるとおっさんはとても驚いて、「そんなつもりはなかった!」と言い訳を始めたらしい。
どのみち王様から処理を命じられているし、ダンジョンを私物化したという迷惑行為により、結局おっさんはその場で斬られ、タグだけを持って帰ってきたという。
タグを王様に渡し、話を聞いたという男爵家がある国に抗議。その国の王や上層部はそんな大それたことを仕出かしていたと知らなかったらしく、すぐに謝罪と共に男爵家の処罰を決定したんだって。
まあ、男爵家は取り潰され、処刑されたらしいけどね。
そして王族や上層部にとっては当たり前の知識でも、庶民や貴族はそういったことを知らないことが多いからと自国と周辺の国ににも周知してもらったらしい。
まあ、元々〝魔王〟という存在がいないことは知られていたから、そのおっさんがよっぽど特殊な環境で過ごしていたか、処刑された男爵がなにかしたんだろうという結論に達し、他国でも笑い話になったという。
それ以降もたまーーーに魔王を名乗る存在がいたらしいけど、すぐに騎士に連れて行かれて〝処理〟されたという。
なんだろう……この世界にも、中二病があるんだなあ……と思った出来事だった。
「どうしたんですか?」
「いや……なんか陛下から呼び出しが来た」
「王様から? エアハルトさんだけですか?」
「いや、SSランク以上全員だ。もちろん、優衣も含まれている」
「あ~……」
そういえば、私もSSランクだったんだと、今さらながら思い出す。エアハルトさんはSSSランクに上がったけど、私はSSランクのままだ。
まあ、冒険者じゃないからね、私は。そんなこんなで店に行き、息子に声をかける。
「ハーラルト、お父さんと一緒にお城に行ってくるね」
「なにかあったの?」
「わからないけど、SSランク以上の冒険者全員が呼び出しだって」
「おやまあ。従魔たちも連れていくんでしょ? 気をつけて行ってきて」
「わかったわ」
苦笑しながらも、次男のハーラルトは手を振って私を見送る。そのまま家に戻ると従魔たちと眷属たちを呼び、エアハルトさんやアレクさん、ナディさんと一緒に城に向かった。
通された場所は、以前話し合いをした会議室だ。
「忙しいところすまぬ。ちと問題が起こっての」
「問題、ですか?」
「ええ。〝魔王〟と名乗る者が出現いたしました」
『…………は?』
宰相様の言葉に王様は溜息をつき、私たちは全員目が点になった。
なんというか、この世界に魔王はいない。魔王イコール魔神族の王になるからだ。単独で魔王と名乗るのは、はっきり言ってありえないのだと、アントス様の知識が教えてくれる。
「どこのバカですか?」
「わからぬ。それを調査してほしいのだ」
「どこかに新たに魔神族の国が興ったという話ではないんですか?」
「それが……」
宰相様いわく、王様宛てに手紙が届き、さすがにそのまま渡すわけにはいかないからと手紙を検めると、溜息をつくような内容が書かれていたという。
「それを今から読み上げますので、意見を聞かせてください」
宰相様の言葉に全員が頷く。すると、すぐに内容を読み始めた宰相様。
簡単に言うと、魔王と名乗っている人物は北大陸から渡ってきた人族で、召喚された人の子孫だという。先祖の恨みを晴らすべく、大陸を滅ぼしに来たらしい。
……なんというか、頭は大丈夫かと言いたい。
「それで、その人物はどこに潜伏しているんだ?」
「初級ダンジョンの第一階層らしいのです。この手紙によると、最下層まで行きながら自分の配下を作ろうと思っていたらしいですが、目撃者によると、初級ダンジョンでテイムできなかったそうです」
「え? スライムですら?」
「ええ。しかも、そのスライムにこてんぱんにやられて、仕方なく第一階層の入り口付近に留まっているようです」
宰相様の言葉に、あちこちから忍び笑いが漏れてくる。そのうち王様が我慢できなくなったみたいで、大声で笑い始めたものだから、私たちも釣られて笑ってしまった。
「くく!! そんなにに弱いなら、ほっといてもいいんじゃないか?」
「そうなんですが、新人冒険者よりも弱いと推定されますが、はっきり申し上げますと邪魔なのですよ。魔王だなどと触れ回り、ダンジョンに国ができたと勘違いされても困るのです」
「ああ……確かに。他国に示しがつかないだろうし」
「ええ。それもあってその場で排除していただいても構いません」
「物語の魔王は、排除されるべき存在だしな」
「はい」
代表でSSSランクのヘルマンさんとスヴェンさんが宰相様と話をしてくれているんだけど……すっごく物騒な話をしているよね! これだったら別に私は必要なかったかもなあ……と若干遠い目をしつつ、みなさんの話を聞いていた。
そして誰が行くのかなどの話し合いをした結果、各パーティーリーダーと、なぜか私が行くことに。なんでよ!
「俺たちに基本の薬草を教えてほしいんだよ」
「知らない奴もいるからな」
「俺たちから初心者の冒険者に教えることもできるし」
「ああ……そういう理由ですか。それなら納得です」
たぶんそれだけじゃないんだろうけど、私は薬草の基本を教えつつ、採取をしててくれればいいと言われてしまえば、頷くしかなかった。そろそろスライムゼリーがなくなってきていたし、ちょうどいいかも!
ということで、初級ダンジョンに潜る当日。
「ああ、あいつか」
「無茶苦茶弱そうなおっさんだなあ……」
ダンジョンに潜ってすぐ、スライムと格闘していた貧相なおっさんがいた。しかも、スライム二匹にボコボコにやられていて、とうとう座り込んで頭を抱え、ガタガタと震えている。
面立ちは日本人っぽいのに、なぜか黒髪じゃない。まあ、子孫と言っているし、召喚されていたのが二千年以上前の話になってきているんだから、子孫はもうこの世界の住人であり、世界の理の枠に入っているんだろう。
「リン、あっちに行って薬草を教えてくれ」
「あのおっさんはどうするんですか?」
「俺がなんとかする」
とても冷たい目でおっさんを見ていたスヴェンさんが、そんなことを言う。きっと、物騒な意味での〝なんとか〟なんだろうと察した。
私に見せたくないんだろう……人を殺すところを。
だからおとなしくスヴェンさんとヘルマンさんの指示に従い、おっさんの姿が見えない場所まで行く。すると、しばらくしてから悲鳴らしき声が聞こえてきて、内心で溜息をついた。
「リンちゃんが気にすることはないぞ?」
「そうだな。アレはもと騎士である俺たちの仕事だ」
「それに、リンちゃんは冒険者じゃないしな」
「それよりも、薬草を教えてくれよ」
「ヘルマンやスヴェンばかりに教えてばっかでずりぃぞ!」
「わ~、すみません! 今から教えますから、今度採取依頼を出してもいいですか?」
「「「「「任せておけ!」」」」」
私の気をそらせるためか、すぐに各パーティーのリーダーの中で、薬草がわからない人たちが話しかけてくる。私もそれにのっかって、すぐに採取の仕方と薬草を教え、一緒に採取した。
「なるほどなあ。ミントくらいしか知らなかったが、結構あるんだな」
「そうですね。ただ、このダンジョンで採れるのは初歩のポーションしか作れないものなので、新人さんが最初に覚えるには最適だと思います」
「だな。確か、医師の薬にも使われている、基本の薬草なんだろう?」
「そうです。あとは全部のダンジョンや森にも生えている、赤いキノコと青いキノコが風邪薬と解熱剤の材料になりますよ」
「あれなら教えれば、新人でもわかるようになるな」
「ああ。特に冬の時期になると大量に必要になるから、新人が稼げる率が上がるし」
「だな」
リーダーたちいわく、薬草やキノコ採取は冒険者になったばかりの新人がやる依頼なんだそうだ。農村や村で暮らしていた子たちは詳しいからすぐに採取に向かえるけど、町や王都で暮らしていた子ではそういうのがわからないらしい。
ギルドには図鑑があって、それを調べてから行くものの、中には似通ったものがあるから、間違って採取してきてしまうという。
特にキノコ類に関しては間違う確率が高いので、失敗扱いになってしまうこともしばしばなんだそうだ。
「まあ、キノコに関しても、今は特に問題ないもんなあ」
「そうですね。万能薬やポイズン、パラライズを作るのに必要ですから」
「ああ。リンちゃんが王都に来てから、他の薬師も張り切りはじめたからな」
「助かるよな。前はポイズンくらいしか作れなかった薬師が、ストーンやフィアーも作れるようになったんだから」
リーダーたちがわいわいとこれまでの薬師の話をしている。私が来る前の薬師たちは、せいぜい頑張ってもパラライズまでが限度で、それ以上になるフィアーやストーンなど、中級以上のダンジョンにある罠のために必要になってくるポーションが作れなかったそうだ。
ところが、見た目が少女の私が来て、伝説ともいえる神酒や万能薬などの上級と最上級ポーションを売り出したものだから、奮起したんだって。もちろん、王様や懇意にしている貴族から発破をかけられたことも原因のひとつだろう。
この世界に来て、なんだかんだと五十年。私が来た当初よりも、薬師の腕が上がっているのは間違いないけど、それでも未だにハイ系までが限度ってどういうことなのかな⁉
息子ですらやっと万能薬とハイパーが作れるようになったのに!
なにか原因があるのかなあ……。やっぱりあの不器用設定が原因なんだろうなあ……。
そんなことを考えながらスヴェンさんとヘルマンさんたちが来るのを、採取しながら待ったのだった。
後日聞いた話なんだけど、〝処理〟する前に、一応あのおっさんから話を聞いたそうだ。魔王という存在について誰から聞いたとか、どこから来たとか。
おっさんいわく、手紙の通りに北大陸から来たことと、北大陸のとある国から来たけど、そこの男爵家から聞いた話だそうだ。
もちろん、魔王はこの世界に存在しないこと、魔王とは魔神族の王のことを指すと話たんだって。そして魔神族でもないおっさんが王になるのかと聞かれるとおっさんはとても驚いて、「そんなつもりはなかった!」と言い訳を始めたらしい。
どのみち王様から処理を命じられているし、ダンジョンを私物化したという迷惑行為により、結局おっさんはその場で斬られ、タグだけを持って帰ってきたという。
タグを王様に渡し、話を聞いたという男爵家がある国に抗議。その国の王や上層部はそんな大それたことを仕出かしていたと知らなかったらしく、すぐに謝罪と共に男爵家の処罰を決定したんだって。
まあ、男爵家は取り潰され、処刑されたらしいけどね。
そして王族や上層部にとっては当たり前の知識でも、庶民や貴族はそういったことを知らないことが多いからと自国と周辺の国ににも周知してもらったらしい。
まあ、元々〝魔王〟という存在がいないことは知られていたから、そのおっさんがよっぽど特殊な環境で過ごしていたか、処刑された男爵がなにかしたんだろうという結論に達し、他国でも笑い話になったという。
それ以降もたまーーーに魔王を名乗る存在がいたらしいけど、すぐに騎士に連れて行かれて〝処理〟されたという。
なんだろう……この世界にも、中二病があるんだなあ……と思った出来事だった。
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