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書籍発売記念小話
仲間の反応(ヨシキ視点)
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Webに載せていた時の再掲です。
書籍に合わせ、加筆修正しています。
*******
温泉で再会したリンから銀髪の神に会う方法を聞かされて驚いたが、もうじき仲間たちのところに着くからと、返信だけしておく。どうせなら仲間と一緒に行ったほうがいいと考えたからだ。
特にもうじき妻となるマドカはかなり怒り狂っていたから、確実に殴るだろう。
俺はどうしようか……と悩む。銀髪の神の状態を見てから決めるか……と思い、ドラール国の拠点に帰った。
ドラゴンの姿で帰ったから、かなり早く着いたのは言うまでもない。
「お帰り! リンはどんな様子だった? 容姿とか」
「容姿は前世のままだった。まあ、異世界転移したんだから、当然だな。それと従魔がたくさんいて、とても元気そうだったぞ?」
「従魔!? え、薬師なんだよな? なのに従魔がいるのか?」
「ああ。神酒が作れるそうでな……それで酷い怪我を治したら懐かれて、従魔になってくれたんだと」
『神酒!?』
神酒が作れるということに驚く仲間たち。これは確かに驚くだろうなあ……とは思っていたが、予想以上の驚き方だった。
当然ではあるか。昔はともかく、現在は神酒を作れる薬師がいないと言われているんだから。
しかも、それを作れるのは、魔神族のハーフとなった、俺たちが知っているリンなのだから余計に。
「アイデクセの王都には、初級から上級まで満遍なくダンジョンがあるし、俺が見たのは西地区だけだが、とても活気があっていい雰囲気だった。蔑むような視線もまったくないし、他にも獣人族やエルフ、ドワーフもいたな。人族もドラゴン族もいたが、みんな仲良くやっていた」
「ほう……それは珍しいね。王族や貴族がしっかりと国や領地を治めているのだろう。で、拠点の場所は?」
「先に連絡機能で知らせた通り、西地区だ。その地区は西地区の中でもAランクやSランク冒険者が住む場所で、リンの店まで徒歩五分くらいの距離だ」
「それは近くていいな」
リンを見守るならば近いほうがいいだろうとそこを買ったが、仲間の様子を見る限り好感触だった。そのことに胸を撫で下ろす。
かなりぼろい建物だったから改装が必要で、ちょうど俺たちも他国から引っ越してくるから、冬をまたいで出来上がるころにアイデクセに着くからと、商人ギルドに話してある。もし間に合わなければ宿に泊まるか、ダンジョンに潜って攻略してもいいしな。
そのあたりのことはアイデクセの拠点に行ってから決めようということになり、まずは教会へと赴く。もちろん、アマテラス様やツクヨミ様、銀髪の神に会いに行くためだ。
仲間たちの殺る気に苦笑しつつ、教会で祈りを捧げる。ふわりと風が吹いたと思ったら、あたりの景色が一変した。
その場所には池と花畑、テーブルと椅子が置かれていた。座っていたのは転生するときに会ったアマテラス様とツクヨミ様、そして銀髪の神――アントス神も座っていたのだが……その顔は見事に腫れ上がり、引っ掻き傷もあった。
その悲惨というか壮絶な顔に、みんなで唖然とする。
「いらっしゃい、転生者たち。優衣――リンから聞いたのかしら?」
『は、はい』
アマテラス様に声をかけられ、慌てて返事をする。どうぞと席をすすめられたので全員で恐縮しながらも座ると、緑茶を出された。その懐かしい味に、涙が出そうになる。
茶葉も紅茶もあるんだからと散々緑茶を探したが、結局見つからなかったものだ。他の転生者仲間に製法を聞いてみたが、誰も知らなくて諦めたものだった。
そしてお茶と、リンがくれたというパウンドケーキを頬張りつつ、リンにも話したという説明を聞いている仲間は、だんだんその表情が険しくなっていく。
一応想定はしていたが、まさかの想定外の話に、最後はアントス様を睨みつけるような目つきになっていた。
そしてアントス様を眺めるのだが……。
「あの……アマテラス様。アントス様のお顔は、あのときのままなんですか?」
「ええ、あのときのままよ。わたくしたち日本の神たち全員でフルボッコにしましたもの、わたくしたちよりも位の低いアントスにとって、すぐに治るということはありませんわね。それに、リンとその従魔たちがいろいろとして帰ったの。その傷も追加されているわ。それすらもまだ治っていないのよ」
「凄かったですね。リンを主と慕う従魔たち……特に、スライムと蜘蛛と狼が一番凄かったですね」
「うわ~……。やるわね、リンと従魔たちは」
「もちろん、オレらもやっていいんですよね?」
「ええ。ツクヨミと一緒に逃げられないようにサポートしますから、ご存分にね」
にっこりと笑ったアマテラス様の言葉に、嬉々として順番を決めるジャンケンを始めたメンバーたち。俺はそれを苦笑して見ていただけだった。
それを不思議そうに見ていたのは、ツクヨミ様だ。
「おや? 君はジャンケンに加わらないのかい?」
「当人とその従魔たちにお仕置きされたんだろ? 殴りたい気持ちがないわけじゃないが、状況を把握した当時ほどではないな。俺はリンが無事ならそれで充分だ」
「そうですか」
にっこり笑う、アマテラス様とツクヨミ様。俺がそんな話をしているうちに順番が決まったのか、それぞれがストレッチを始めているのが、なんとも笑える。
一番手はマドカのようだ。
「さあ、行くわよ、アントス様! 五百年優衣ちゃんを……いいえ、リンを探したあたしたちの恨みを思い知れ!」
「ちょっ、痛い! まっ、ぎゃーーー!!」
「じゃあ次はオレな! 五百年も探させやがって! ふざけんな!」
「ひぃぃーーー!!」
「次は私ですね。赤ちゃんのころから病気ひとつしない子でしたが、この世界ではどうかわかりません。心配させたんですから、これくらいは許されますな?」
「ちょっ、まっ、メスは駄目ですって! いたっ、痛い!!」
「わたしも少しくらいはいいわよね? 夫である先生と一緒に、前世から心配していましたもの」
「ぎゃーーーーー!!」
マドカに始まって、リンを気に入っていた元自衛官で同僚のセイジ、施設の子どもたちを診ていた医師のタクミ、前世は看護師で今世は薬師であるタクミの妻のミユキ。他にも数人の元自衛官や鍛治師や大工が……俺たちのクラン『アーミーズ』のメンバーが、アントス様を殴っている。
「ほどほどにしとけよ? リンは報復を済ませているんだから」
新たにほうじ茶を淹れてくれたアマテラス様にお礼を言い、一口啜る。ほうじ茶を飲みながら仲間たちを見れば、最後の一人が殴り終わり、みんなしてハイタッチをし、こちらに戻ってくるところだった。
アントス様に至ってはぐったりとして地面に転がっているものの、見た目ほど酷いわけではなさそうだ。さすがは神といったところか。
「あ~、すっきりした! あとはリンに会うだけね」
「そうっすね」
「王都でもリンを診てやらねばな」
「わたしも手伝います。できればリンちゃんにポーションの作り方を教えてほしいわね。わたしもそこそこの魔力があるし」
それぞれが自分のやりたいことや感想を言い、リンに会うのが楽しみだと告げる。俺自身も、もう一度会うのが楽しみだ。
別のパーティーに入っているようだが、セイジとタクミに至っては、辛いようなら俺たちのクランに引き抜いてもいいとさえ言っている。
そこはまだ様子見だが、もしとんでもないパーティーならそれも視野に入れておくべきだし、今度リンに会ったとき、『アーミーズ』という逃げ場があることを教えておいたほうがいいと思う。
それぞれにお礼と感謝を言い、教会に送ってもらう。時間がまったくたっていないと言っていたので、五分ほどその場にいると、拠点に戻った。
春までに金を稼ぎ、今持っているものよりも大きな馬車を作らないとならない。それは鍛治師と二人の大工の仕事で、俺たちは資金と材料の調達だ。
ここは木材が出るダンジョンがあるから、今のうちにたくさん確保しておきたい。そして、アイデクセに行くまでに、Sランクに上がりたい。
今のところ評価は上々だし、レベルもあと少しでSランクとなる。そこでランクアップ試験を受けて合格すれば、俺たちのクランは晴れてSランクとなる。
それまでに技量とレベルを上げ、雪解けがきたらこの拠点を売り払って、アイデクセに拠点を移し変える。
「楽しみだな」
従魔たちは進化したそうだから、どんな種族になったのか、そしてリンのレベルがどこまで上がったのか、とても楽しみだった。
書籍に合わせ、加筆修正しています。
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温泉で再会したリンから銀髪の神に会う方法を聞かされて驚いたが、もうじき仲間たちのところに着くからと、返信だけしておく。どうせなら仲間と一緒に行ったほうがいいと考えたからだ。
特にもうじき妻となるマドカはかなり怒り狂っていたから、確実に殴るだろう。
俺はどうしようか……と悩む。銀髪の神の状態を見てから決めるか……と思い、ドラール国の拠点に帰った。
ドラゴンの姿で帰ったから、かなり早く着いたのは言うまでもない。
「お帰り! リンはどんな様子だった? 容姿とか」
「容姿は前世のままだった。まあ、異世界転移したんだから、当然だな。それと従魔がたくさんいて、とても元気そうだったぞ?」
「従魔!? え、薬師なんだよな? なのに従魔がいるのか?」
「ああ。神酒が作れるそうでな……それで酷い怪我を治したら懐かれて、従魔になってくれたんだと」
『神酒!?』
神酒が作れるということに驚く仲間たち。これは確かに驚くだろうなあ……とは思っていたが、予想以上の驚き方だった。
当然ではあるか。昔はともかく、現在は神酒を作れる薬師がいないと言われているんだから。
しかも、それを作れるのは、魔神族のハーフとなった、俺たちが知っているリンなのだから余計に。
「アイデクセの王都には、初級から上級まで満遍なくダンジョンがあるし、俺が見たのは西地区だけだが、とても活気があっていい雰囲気だった。蔑むような視線もまったくないし、他にも獣人族やエルフ、ドワーフもいたな。人族もドラゴン族もいたが、みんな仲良くやっていた」
「ほう……それは珍しいね。王族や貴族がしっかりと国や領地を治めているのだろう。で、拠点の場所は?」
「先に連絡機能で知らせた通り、西地区だ。その地区は西地区の中でもAランクやSランク冒険者が住む場所で、リンの店まで徒歩五分くらいの距離だ」
「それは近くていいな」
リンを見守るならば近いほうがいいだろうとそこを買ったが、仲間の様子を見る限り好感触だった。そのことに胸を撫で下ろす。
かなりぼろい建物だったから改装が必要で、ちょうど俺たちも他国から引っ越してくるから、冬をまたいで出来上がるころにアイデクセに着くからと、商人ギルドに話してある。もし間に合わなければ宿に泊まるか、ダンジョンに潜って攻略してもいいしな。
そのあたりのことはアイデクセの拠点に行ってから決めようということになり、まずは教会へと赴く。もちろん、アマテラス様やツクヨミ様、銀髪の神に会いに行くためだ。
仲間たちの殺る気に苦笑しつつ、教会で祈りを捧げる。ふわりと風が吹いたと思ったら、あたりの景色が一変した。
その場所には池と花畑、テーブルと椅子が置かれていた。座っていたのは転生するときに会ったアマテラス様とツクヨミ様、そして銀髪の神――アントス神も座っていたのだが……その顔は見事に腫れ上がり、引っ掻き傷もあった。
その悲惨というか壮絶な顔に、みんなで唖然とする。
「いらっしゃい、転生者たち。優衣――リンから聞いたのかしら?」
『は、はい』
アマテラス様に声をかけられ、慌てて返事をする。どうぞと席をすすめられたので全員で恐縮しながらも座ると、緑茶を出された。その懐かしい味に、涙が出そうになる。
茶葉も紅茶もあるんだからと散々緑茶を探したが、結局見つからなかったものだ。他の転生者仲間に製法を聞いてみたが、誰も知らなくて諦めたものだった。
そしてお茶と、リンがくれたというパウンドケーキを頬張りつつ、リンにも話したという説明を聞いている仲間は、だんだんその表情が険しくなっていく。
一応想定はしていたが、まさかの想定外の話に、最後はアントス様を睨みつけるような目つきになっていた。
そしてアントス様を眺めるのだが……。
「あの……アマテラス様。アントス様のお顔は、あのときのままなんですか?」
「ええ、あのときのままよ。わたくしたち日本の神たち全員でフルボッコにしましたもの、わたくしたちよりも位の低いアントスにとって、すぐに治るということはありませんわね。それに、リンとその従魔たちがいろいろとして帰ったの。その傷も追加されているわ。それすらもまだ治っていないのよ」
「凄かったですね。リンを主と慕う従魔たち……特に、スライムと蜘蛛と狼が一番凄かったですね」
「うわ~……。やるわね、リンと従魔たちは」
「もちろん、オレらもやっていいんですよね?」
「ええ。ツクヨミと一緒に逃げられないようにサポートしますから、ご存分にね」
にっこりと笑ったアマテラス様の言葉に、嬉々として順番を決めるジャンケンを始めたメンバーたち。俺はそれを苦笑して見ていただけだった。
それを不思議そうに見ていたのは、ツクヨミ様だ。
「おや? 君はジャンケンに加わらないのかい?」
「当人とその従魔たちにお仕置きされたんだろ? 殴りたい気持ちがないわけじゃないが、状況を把握した当時ほどではないな。俺はリンが無事ならそれで充分だ」
「そうですか」
にっこり笑う、アマテラス様とツクヨミ様。俺がそんな話をしているうちに順番が決まったのか、それぞれがストレッチを始めているのが、なんとも笑える。
一番手はマドカのようだ。
「さあ、行くわよ、アントス様! 五百年優衣ちゃんを……いいえ、リンを探したあたしたちの恨みを思い知れ!」
「ちょっ、痛い! まっ、ぎゃーーー!!」
「じゃあ次はオレな! 五百年も探させやがって! ふざけんな!」
「ひぃぃーーー!!」
「次は私ですね。赤ちゃんのころから病気ひとつしない子でしたが、この世界ではどうかわかりません。心配させたんですから、これくらいは許されますな?」
「ちょっ、まっ、メスは駄目ですって! いたっ、痛い!!」
「わたしも少しくらいはいいわよね? 夫である先生と一緒に、前世から心配していましたもの」
「ぎゃーーーーー!!」
マドカに始まって、リンを気に入っていた元自衛官で同僚のセイジ、施設の子どもたちを診ていた医師のタクミ、前世は看護師で今世は薬師であるタクミの妻のミユキ。他にも数人の元自衛官や鍛治師や大工が……俺たちのクラン『アーミーズ』のメンバーが、アントス様を殴っている。
「ほどほどにしとけよ? リンは報復を済ませているんだから」
新たにほうじ茶を淹れてくれたアマテラス様にお礼を言い、一口啜る。ほうじ茶を飲みながら仲間たちを見れば、最後の一人が殴り終わり、みんなしてハイタッチをし、こちらに戻ってくるところだった。
アントス様に至ってはぐったりとして地面に転がっているものの、見た目ほど酷いわけではなさそうだ。さすがは神といったところか。
「あ~、すっきりした! あとはリンに会うだけね」
「そうっすね」
「王都でもリンを診てやらねばな」
「わたしも手伝います。できればリンちゃんにポーションの作り方を教えてほしいわね。わたしもそこそこの魔力があるし」
それぞれが自分のやりたいことや感想を言い、リンに会うのが楽しみだと告げる。俺自身も、もう一度会うのが楽しみだ。
別のパーティーに入っているようだが、セイジとタクミに至っては、辛いようなら俺たちのクランに引き抜いてもいいとさえ言っている。
そこはまだ様子見だが、もしとんでもないパーティーならそれも視野に入れておくべきだし、今度リンに会ったとき、『アーミーズ』という逃げ場があることを教えておいたほうがいいと思う。
それぞれにお礼と感謝を言い、教会に送ってもらう。時間がまったくたっていないと言っていたので、五分ほどその場にいると、拠点に戻った。
春までに金を稼ぎ、今持っているものよりも大きな馬車を作らないとならない。それは鍛治師と二人の大工の仕事で、俺たちは資金と材料の調達だ。
ここは木材が出るダンジョンがあるから、今のうちにたくさん確保しておきたい。そして、アイデクセに行くまでに、Sランクに上がりたい。
今のところ評価は上々だし、レベルもあと少しでSランクとなる。そこでランクアップ試験を受けて合格すれば、俺たちのクランは晴れてSランクとなる。
それまでに技量とレベルを上げ、雪解けがきたらこの拠点を売り払って、アイデクセに拠点を移し変える。
「楽しみだな」
従魔たちは進化したそうだから、どんな種族になったのか、そしてリンのレベルがどこまで上がったのか、とても楽しみだった。
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