私の彼は、空飛ぶイルカに乗っている

饕餮

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番外小話

やっぱり弟子にも属性が付いた

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 松島の空は、今日もいい天気だ。

「おはようございます。今日からよろしくお願いします」
「こちらこそ。何気に重要なポジだから、しっかり訓練を頼む」
「はい」

 そしてずっとアナウンス業務と課程を終えて合格した牛木ことバイソンは、今日から俺の後ろに乗ることになった。弟子が来なくて一年業務が延びていたから、やっとか……という思いと寂しいという思いが湧く。
 まあ、こればっかりは仕方がない。何せパイロットが圧倒的に足りないからな。女性パイロットの訓練も始まって、一部では飛んでるらしいから、数年後か、遅くとも十年後には女性のドルフィンライダーが誕生しているかも知れん。
 それはそれで楽しみではあるが、モテモテだった八神師匠のせいで四番機に乗るとエロ属性が付く――なんて言われてるからなあ……。女性にそんな属性が付いたら、大変なことになりそうだ。

 それはともかく。

 バイソンと一緒にウォークダウンから始め、一緒に機体を見て回って説明していく。そして俺が前、バイソンを後ろに乗せ、まずは四機で飛び立った。
 地上でも説明はしているが、言葉と実際に体験するのでは感覚が違う。あれこれと説明しながら訓練を終え、地上に戻って来た。

 それを一日に何回も、そして日々訓練していく。それが一週間もしたころだろうか……四番機の機付長である小島がとんでもないことを言い出した。

「なあ……モーさんに色気が出てきてないか?」
「は?」
「なんつーか……ジッタの時もそうだったんだが、一週間も乗ってるとその機体にあった雰囲気というかそういうのを纏い始めるんだが、モーさんもそれに近くてなあ……」

 微妙に首を捻りつつもそんなことを言う小島に、また変なことを言い出さないか? とか思ってたんだ、この時の俺は。以前、「四番機に乗ればイイことがあるという証明になるだろ?」とか言いやがったからな、小島は。

 そして日々訓練を重ね、確かに妙な色気を醸し出し始めたバイソンが、妻子持ちだというのに基地の女たちにモテ始めた二ヶ月後。

「ジッタ、実は妻に二人目ができたんです」
「……は?」
「なんか、妻が『最近の龍ちゃんは色気があってカッコいいし……私、すっごくドキドキしてるんだけど? 責任取って?』なんて言われて頑張った結果というか……。それで、昨日病院に行ったらしくて、妊娠が発覚したそうです」
「「「「はあーーーっ?!」」」」

 バイソンの話が聞こえてしまったらしい、四番機のキーパーたちと揃って叫んだよ、俺は! 俺とひばりの間にはまだそんな兆候など一切ないというのに、バイソンは四番機に乗り始めたら二人目ができたと言ってくるし……。

 あれか? 神様が「お前は結婚してないから、子どもは作らせん!」って言ってるってことなのか?
 何回もゴムなしでひばりを抱いているのにできないってことは、そういうことなのか?

 ぐぬぬ……と内心ではガッカリしつつもバイソンにおめでとうを言い、ひばりに頼んでまたぬいぐるみを渡そうか、と考えたのだった。

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