私の彼は、空飛ぶイルカに乗っている

饕餮

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本編

★ひばりへの思いと訓練と新人と

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 正月明けてすぐにブルーインパルスの訓練が始まる。五日には飛行初めがあるからだ。で、訓練を開始したわけだが……。

(うーん……下手になってるな)

 師匠や先輩たちも『一日乗らないだけで腕が鈍る』と言ってたが、今まさにその状態だ。それは俺だけではないようで、内心安堵している。まあ、これが初めてってわけでもないし、休み明けの時はしょっちゅう思うことではあるが。
 戦闘機と違い、ブルーインパルスはアクロバット飛行を主体としている部隊だ。だからこそ戦闘機以上に気を抜けないし、訓練を疎かにしたりしないしできない。
 ならしで飛ばし、訓練によってその精度を上げ、勘を取り戻していく。隊長の合図でそれぞれが編隊を組み、展示飛行を練習する。五日までそんなに時間がない中でやるのだから、訓練や練習も過酷になるのは仕方がない。

 一月から三月まではあまり他の基地に行くことがないため、訓練をするしかない。それでも他の基地に行かないというのが全くないわけではないので訓練はかかせないし、これを怠ると事故に繋がりかねないから日々の訓練は必要だ。それは戦闘機にも言えることで、常に訓練をしている。

 訓練を終えてミーティングをし、それが終われば帰宅となる。キーパーたちや他のパイロットに冬季休暇のお土産を渡しているし俺も多少なりとももらっているから、帰宅してから食べることにしていた。
 着替えてスマホの電源を入れると、メールマークが付く。それを開けばひばりからだった。

【お疲れ様です。訓練は終わった? 怪我はしてない? 今日はブルーインパルスのバッグチャームをたくさん作ったよ】

 そんなメールが来ていて、心が温かくなる。いつだってひばりからのメールは俺を気遣う言葉に溢れているからだ。返事は帰ってからすることにし、今はメールを閉じる。スマホの下にはひばりがビーズで作ってくれたブルーインパルスの四番機が揺れていた。それをポケットから見えるように入れると歩き出した。


 去年は数日しか帰らなかった実家だが、今年は冬季休暇の期間ギリギリまで実家にいた。そのほとんどはひばりと会っていたが、学に『帰って来た』と連絡したのがまずかったのか、急遽『高校の時のクラス会をやろう!』と言い出して、学をはじめとした当時仲のよかった連中とクラス会と称した飲み会に連れていかれた。
 普段離れているから毎日ひばりに会いたいのに……という思いがなかったわけじゃないが、ひばりもバイトをしたり実家で扱っている商品を作っているというし、俺もクラスメイトに会うのは久しぶりだったから、そこは仕方ないかと内心で溜息をついた。

 ひばりと行った遊園地の翌日、まさか「川越まで旅行に行こうぜ!」と無理矢理連れて行かれるとは思ってもみなかったが。基地にいるパイロットやキーパーたちのお土産はこれでいいかと川越名物のロングふ菓子を買って帰った。そのふ菓子は1メートルもあるかなり長いもので、数人で分けると楽に食べられる。それを複数購入した。
 ひばりのお土産も買おうと思っていたのだが、地元から出たことがないひばりを連れて来たかったから買わず、夏季休暇の時にでも連れてこようと考えた。

 そして初詣をした日、ひばりを抱き潰す勢いで抱いた。まあ、結局は抱き潰してしまったんだが。
 柔らかくて滑らかな肢体と小さめの乳房と乳首は感度抜群で、蜜壺の感度もその狭さも最高だった。ずっと蜜壺の中に挿れておきたいくらいだった。
 熱い蜜壺のナカは俺の肉竿をきゅうきゅうと絞めつけて俺にしがみつき、可愛い声で啼き、喘いだ。その行動が俺を煽っているなど、ひばりは知らないだろう。

 白い裸体は綺麗で、左の乳房にほくろがあるひばり。

 抱いた回数は多いわけじゃないが、俺の愛撫に慣れつつあるのか、全身で気持ちいいと訴えていた。それが可愛くてつい愛撫が長くなってしまったが、啼いて淫らに乱れる姿が見れるたびにゾクゾクしたものだ。
 しばらく会えなくなるからこそ時間がある時は抱いたし、ひばりもそれに答えてくれた。自分勝手な考えだとは思うが、俺はそれが嬉しかった。

 松島に帰って来る日、ひばりが見送ってくれた。笑顔を浮かべてはいたが、目は今にも泣きそうだった。だから抱きしめて、約束をした。月に一回は帰ってくるから、その時はずっと一緒にいて愛し合おうと。

「また、そんなストレートにっ……!」

 真っ赤になって怒っていたが、照れ隠しだったようで頷いた。そんなひばりを離したくはなかったが、抱きしめていた腕をほどいて手を振ると、ひばりも手を振ってくれた。


 自宅に着いたので寮で出される飯を食べに行く用意をしてからひばりにメールを打つ。
 他愛もない会話ではあるが、そのやり取りはとても楽しいものだった。

 そんなことをして、月に一回ではあったが約束通り休みにはとんぼ返りでひばりと会って抱いた。
 そんな生活をしていたら早いものであっという間に四月になった。今日から三番機の後継者候補たちや新しいキーパーたちが来るというので、玉置隊長や整備統括から紹介があった。

「新田原から来た白勢しらせ 拓真たくま一等空尉だ。タックネームはタックとなる」

 隊長からの紹介後、「白勢です。よろしくお願いします」と挨拶した彼の声はかなりイイ声だった。しかもイケメンだ。ラパンこと因幡さんの交代の時期が迫っていることと白勢が若いことから、三番機に乗ることになるのは容易に想像がつく。二番機と三番機は若いパイロットが乗ることが多いからだ。

(これは人気が出るだろうな……)

 顔と声、そして今までのドルフィンライダーの中でも一番若い。相当の人気者になるだろうと思ったのは大当たりで、各地でアナウンスをしはじめた白勢――タックは女性たちから黄色い声を飛ばされていた。笑顔も爽やかだから余計だ。
 そんなタックは、三番機の女性ドルフィンキーパーである浜路三曹がお気に入りだ。必死にアピールするものの、浜路さんにスルーされまくっている。まあ、浜路さんも満更ではないようで、そのうちくっつくだろうと傍観していた。

 それはともかく、タックが来てからは三番機周辺がやたらと賑やかになった。ラパンですら「俺にはいちごミルク味の飴をくれないのか?」と言い出す始末。

 なんでいちごミルク味の飴?

 そう思っていた時期が俺にもありました。
 なんのことはない、タックのイケボと喉を心配した浜路さんがのど飴を常に持ち歩いていてそれをラパンや他のライダーに配ってくれていたのだが(俺も何回かもらったことがある)、どうやらタックのだけはいちごミルク味の飴を渡していると他のキーパーから聞いた。
 まあ、のちにいちごミルク味はラパンがもらっていて、タックがニッキ飴をもらっていたと判明したが。……渋いチョイスだな、浜路さん。

(……天然無自覚の浜路さんだと苦労しそうだよな……。タック、頑張れ)

 そんなことを考えたのがまずかったんだろうか……のちに無自覚に惚気る二人のせいでひばりに会いたくなって「ひばりぃぃぃっ!」と叫ぶことになろうとは、この時の俺は思ってもいなかった。


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