私の彼は、空飛ぶイルカに乗っている

饕餮

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本編

お出かけ三昧

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 激しく抱かれ、その日のうちに家に帰って来た。今度は迎えに行きたいからと家まで送ってくれて、車を出ようとしたらキスをされて舌も入り込んできた。

「んっ、ふ……っ」

 さっきまで散々キスして私を抱いたというのに……。

「……ひばりが足りない……」
「なんですか、それは」
「もっと沢山ひばりを抱きたいってこと」
「……っ」

 ストレートにそんなことを言われて顔が熱くなる。

「赤くなっちゃって。可愛いなあ、ひばりは」
「うぅ……。私はもうお腹いっぱいです……」
我慢するよ」
「今日は?!」

 なんてことを言うんだ、章吾さんは! イケメンは性欲も強いんですか?!

 ――なんてことは言えるはずもなく、わざとらしく溜息をつくと章吾さんに笑われてしまった。

「明日もバイトだったよね?」
「うん」
「明後日は?」
「明後日はお休みだよ。ついでに言っちゃうけど、明後日のお休みのあと、三十日まで十二時から五時までバイトです」
「うーん、それは残念。なら、明日はちょこっと出かけて、明後日は朝からデートしようか。初詣はどこに行くかその時に決めよう」
「うん!」

 車の中で会話をしてまたキスをされ、やっと開放されたのは十分後だった。

「ただいまー……」

 十一時を回っていたから静かに家の中へと入り、こっそりただいまと告げる。一度自分の部屋に戻ると、着替えを持ってお風呂に入った。
 身体を洗ってる時にふと鏡を見ると乳房やお腹など、見えないところにキスマークが付いている。

(うう……恥ずかしいっ)

 まだ二回しか裸を見られていないけど、やっぱり恥ずかしい。さっさと全身を洗うと湯船に浸かり、温まってから出た。
 部屋に戻るとメールをチェックし、注文がないか確認する。サイトのほうに注文があったので在庫を確認したあと、送る準備をした。送りは明日、バイトに行く前にコンビニに出してくればいいだけだ。
 そろそろコンビニで買える宅急便の箱が残り少なくなって来たので、明日ついでに買えばいいかと作業を終わらせ、眠りについた。

 翌朝、起きてすぐに章吾さんにメールをすると、【ごめん。今日は用事ができたから明日会おう。九時に迎えに行く】と返事が返って来た。

「仕方ないか。章吾さんもこっちに帰ってくるのは久しぶりって言ってたしね」

 友人たちとも会いたいだろうし、自分の用事もあるだろうし……と会えないことに少しだけ寂しさを感じつつ、コンビニに寄ってから荷物を出して宅急便の箱を買うと、バイトに行って精を出した。帰って来てからいつものようにメールチェックをし、注文者に今日発送したメールを送る。そして店舗分の注文やサイト分の補充、新作を作って写真を撮ると、それをサイトにアップしたりしていたらあっという間に時間は過ぎていき、一日が終わった。

 そして翌日の九時。

「おはよう、ひばり」
「おはよう、章吾さん」

 迎えに来た章吾さんの車に乗り込むと、挨拶を交わす。どこに行くのか聞くと、近くの遊園地か動物園はどうかと聞いて来た。さすがに動物園は遠いからと遊園地にした。
 久しぶりに遊園地で遊んで、ディナーを食べながら初詣はどこに行こうか話し合った。

「地元か明治神宮はどう?」
「明治神宮……人が多そう。それに帰ってこれるかな」
「え? 泊まるつもりだけど」
「は?」
「言ったでしょ? ひばりが足りないって。それに俺は二日には松島に帰るし」
「あー……そうだった」

 そうだった。普段の章吾さんは普段松島にいて、向こうで仕事してるんだった。ここ数日一緒にいたから忘れてた。

「……うん、いいよ。明治神宮でも」
「じゃあそうしよう」

 途端に機嫌がよくなる章吾さんに、内心苦笑する。しょうがないなあと思いつつも私も寂しい気持ちに蓋をして、ディナーを楽しんだ。そして発送は今日までだとアナウンスをしている関係上サイトの注文を見るとなかったので、安心して眠りについた。
 そして三十日までの三日間は章吾さんも忙しいのかメールや電話だけで会わず、その間に実家に卸すバッグチャームやアクセ、サイトのアクセ作り、取引している店舗のアクセを作って溜め込んでいた。
 そして大晦日。夜の九時に駅で待ち合わせ。それまでは部屋の掃除をしたりおせち作りを手伝ったり、母に頼まれた買い物に行ったり、アクセを作ったりしていた。実家のお店自体は二十九日から一月五日まで休みなので、それまでにバッグチャームやアクセを作りためておくつもりだ。
 今日と明日は作れないけどバイトは三日まで休みだし、章吾さんが帰ったあとは時間があることもあって、お店が開店するまでにはそこそこ商品が作れると思ってる。福袋作りは双子と父の担当なので、私は関与してない。

「じゃあ行ってくるね」
「帰りは?」
「明日になるよ」
「あらあら。気をつけて行ってらっしゃい」
「はーい」

 母や姉にニヤニヤされつつ家を出て、待ち合わせの駅まで向かう。今日はいつも通る道を変えて章吾さんの実家があると言っていた方向の道を歩いていると、途中で「ひばり!」と声をかけられた。その方向を向くと、章吾さんと藤堂さん、その隣には美沙枝がいた。

「こんばんは」
「こんばんは。途中で会ったんだ。二人も明治神宮に行くんだって。一緒でもいいか?」
「うん! 美沙枝、久しぶり!」
「久しぶり!」

 四人でお喋りしながら改札を通る。それなりに混んでいたけど座れたので一列に並んで座る。

「ひばり、いい雰囲気じゃん」
「そ、そうかな」

 私と美沙枝が真ん中で、両サイドにそれぞれの彼氏が座った途端に、美沙枝からこっそりそんなことを言われた。

「美沙枝と違ってなかなか会えない人だからさ、いる間はいっぱい会おうって言われたから」
「そっか、そうだね。うん、いいと思うよ」

 美沙枝と会話したり章吾さんと会話したり。四人でわいわいして乗り換えたりしてるうちに最寄り駅に着いた。

「じゃあ、ここからは別行動か?」
「そうだな。じゃあな」
「おう」
「ひばり、行こうか」
「うん。みさちゃん、またね」
「まったねー」

 最寄り駅に着いたら別行動。どこに行くのかと聞いたら、先に予約したホテルに行くという。

「ヘリコプターの時もそう思ったけど……よく取れたね」
「実は、先月の段階で予約してたって言ったら驚く?」
「へ? ええっ!」

 まさかそんなに早く予約をしてるなんて思わなかった。行動力ありすぎだよ、章吾さん……。
 歩きながら会話をしている間にホテルに着いたのでチェックイン。一旦部屋に行って時間近くまで落ち着くと、部屋を出て明治神宮に向かった。

「すっごい人出だね」
「ひばり、はぐれると困るから手を繋ごう」
「うん」

 手を繋ぎながら参道を歩く。ご飯を食べて来たというのに、屋台から漂う匂いがお腹を刺激してくるのがつらい。

「ソースの匂い、ヤバイな……お腹空く」
「章吾さんも?」
「ああ。帰りに何か買っていくか?」
「うん!」

 除夜の鐘が鳴り響く境内手前に着く。いいタイミングで来たのか、ちょうど門が開けられた。そしてゆっくりだったけど、お賽銭を入れられる場所まで来た。お賽銭用にとポケットに入れていたお金を投げ入れる。

(章吾さんが健康で、無事にブルーインパルスのお仕事ができますように)

 ちらりと章吾さんの横顔を盗み見て、章吾さんのことを祈る。私よりもずっとずっと大変な仕事をしているんだから、そう願うのは当たり前だ。
 お祈りが終わると、章吾さんが肩に手を回して来たのでドキッとする。

「章吾、さん?」
「さっきよりも人が多いし、他にもやってるから目立たないさ」
「そんな理由?!」
「そんな理由」

 クスクス笑う章吾さんに呆れつつも、嬉しいからいいかとそのままにし、来た道を戻る。途中にあった露店で私はたこ焼き、章吾さんは焼そばとお好み焼を買い、ホテルへと戻った。

「ひばり、たこ焼きの味見させて」
「いいよ。私も焼そばを味見したい」
「いいよ」

 二人で一口ずつ交換して全てを食べ終えると、「一緒にお風呂に入ろうか。そのあといっぱい抱かせて」と言われ、頷く。
 日付的には明日帰ってしまう章吾さん。できるだけ一緒にいたくて素直に頷いた。

「んんんっ! ああんっ! 章吾さんっ、また、くるのっ、あああああっ!」
「はっ、ひばり……何度でもイって……っ、く……っ、締め付けがすごいよっ」
「あうっ、あっ、あっ、ああっ!」

 お風呂で洗いっこして、そこで一度抱かれた。だというのに章吾さんの性欲は収まらなかったのか、「ひばりが足りない」と言っていた通り、私を味わうようにゆっくりじっくり時間をかけて抱いたかと思えば、時に激しく私を揺さぶる章吾さん。

「ひゃあんっ! あああぁぁぁっ!」
「はぁっ、ここ、かな?」
「やっ、変になっちゃう! イっちゃうっ、あああんっ!」
「やっぱここ、か……っ」

 奥にある場所を擦られたら、背中と子宮からいつも以上に甘い痺れが走った。そこを攻められるたびに、思考が奪われて淫らになっていくのが怖い。それが口に出ていたんだろう……章吾さんは「もっと乱れた姿を俺に見せて」と囁き、何度も何度も私をイかせた。

「ひばり……ひばり……っ」
「ああんっ! しょう、ご、さ、あああっ!」

 まるで今まで我慢してました! と謂わんばかりの章吾さんに翻弄され、満足したらしい章吾さんにようやく開放された時は動くことができず、疲れていたのもあってすぐに寝てしまった。


 ――イケメンは絶倫というか、パイロットの体力を嘗めてたと、この時思い知った私だった。


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