83 / 87
北北西の国・ウェイラント篇
おうとへゴーでしゅ 3
しおりを挟む
「どこにあるでしゅか!? しゅぐにかえましゅか!? どんなあじでしゅか!?」
「いいから落ち着け、ステラ!」
「いひゃいれひゅー!」
矢継ぎ早に質問したら、アルバートさんに落ち着けと頬っぺたを軽く引っ張られた。ガッデム! 痛いがな!
あぷあぷしてたら通過する町にあるというので、寄ってもらうことに。
「味も素っ気もないんだが、それはいいのか?」
「ひんしゅによるでしゅよ。わたちがちってるのは、ほのかなあまみをかんじるんでしゅよ」
「へえ……。食ってみてえな」
「いいれしゅよ。あとでたくでしゅ」
「……たく?」
どんな調理法かわからなかったらしく、首を傾げるアルバートさん。昼か晩ご飯に実践するというと、ニッコリ笑って頷いた。
それはいいんだが、まずはどんな米なのかわからないと炊き方がうまくいかない。なのでそれを伝えるとちょうど一時間ほど走った先にそこそこ大きな町で、米を作っているところを通過するそうなので、その町に寄ることに。
他にも欲しいものがないか聞かれたから、主にこの国で買える食材が欲しいというと、品数が揃っているのは王都が一番だそうなので、そこまでお預けに。
どんな食材があるのか、装飾品のデザインはどうするかなどの話をしているとあっという間に町に着いたので、中へと入る。
王都へと至る道だからなのか、そこそこの賑わいがある。まあ、初冬なのでまだ人は多いが、もっと寒くなるともっと人が減るという。
……え? これで初冬!?
どういうことだと話を聞くと、今はまだ十月の半ばで、これからもっと寒くなり、雪も深くなるという。特に今いる国とひとつ前に国は北の極限に位置する国で、この世界で一番初めに雪が降る地域。
なので、積雪一メートルや二メートルなんざ、まだまだ可愛いモンらしい。
……それは恐ろしい。どんだけ降って積もるんだよ。
そんなこの世界の北国事情は置いといて。話しているうちに店に着いたので、店内へと入る。
「ここは主に穀物を扱っている店なんだ」
「ほえ~」
アルバートさんが教えてくれた通り、店内にはたくさんの穀物が並んでいる。麦や豆はもちろんのこと、この世界独特のものなのか、直径一センチほどの円形で平べったいものが棚の中にあった。
あれだよ。見た目は箱や袋に入ったシリアル。ただし、こちらはその形状のまま実にぎっしりと詰まっているらしく、見本となる実が置かれていた。
大きさとしては直系一・五センチ、長さ五センチほどの楕円形。豆やとうもろこしのように片面にくっつき、十から十五枚ほどがずら~っと並んでいる、マメ科の植物というか穀物だそうだ。
売っているものは乾燥させているそうで、そのまま食べるもよし、スープに入れたり牛乳に入れたりして食べるもよしだそうな。って、食べ方はまんま地球のシリアルじゃん(笑)
味見として一枚食べさせてくれたんだけど、食感はまんまシリアルで、味はちょっと甘みのある大豆。なかなか美味しいけど、確かに甘さが足りない。
とはいえ、元日本人で海外出張してた私だ。乾燥した果物を小さく切ってヨーグルトに入れたり、牛乳や豆乳と一緒に食べたことがある人間だ。
ヨーグルトがあるかどうかはわからんが、牛乳で食べるのはアリだと思う。
てなわけで、一番大きな麻袋で二袋ぶん、買ってもらった。つうか、お金を出そうとしたらテトさんが買ってくれた。おっと、今は兄だった(笑)
「テトにいしゃま、ありあとー」
「どういたしまして。他には必要なものはあるかい?」
「んと、おこめがほしいでしゅ」
「ああ、そういえば……」
本来の目的である米のことを伝えると、すぐに店員に話をして米のあるコーナーに案内してもらう。すると、そこには数種類の米が。どれも脱穀はしているけれど、精米まではしていない状態だ。
見た目はインディカ米の長粒種が二種類、同じ細さでその半分くらいの短粒種も二種類、あとは日本でよく見たジャポニカ米と同じ形だ。しかも、もち米に似たものもあるようで、突くと粘りが出て延びるという説明がついている米もある。
これは期待できそう!
そして短粒種だけど、同じ短粒種であるジャポニカ米よりも細く、もち米よりも小さい。説明を見ても、これはニワトリの餌になるもののようだ。
あとは、粟や稗、キヌアのような極小粒の穀物、あられサイズの穀物もあったりと、見ていて面白い。雑穀米として炊いてもいいかも!
なんて思いつつ欲しいと思ったものを指差し、試しだからと麻袋の一番小さいもので一袋ずつ購入。ジャポニカ米ともち米っぽいものだけは、一番おおきな麻袋で購入してもらった。
店のおっちゃんはそんなに買って大丈夫かと、不安そうというか不思議そうな顔をして首を捻っていたが。
他は特にないので、もしあれば乾燥果物を売っている店に寄ってほしいというと、すぐに移動。そこで今の時期に並んでいる旬の果物と、乾燥果物を買ってもらい、町をあとにする。
肉や乳製品に関しては出発した町である程度購入したけれど、途中に牧場があるというので寄ってもらうことに。
だって、実物を見てみたいじゃない?
てなわけで、牧場に向かってしゅっぱーっつ!
「いいから落ち着け、ステラ!」
「いひゃいれひゅー!」
矢継ぎ早に質問したら、アルバートさんに落ち着けと頬っぺたを軽く引っ張られた。ガッデム! 痛いがな!
あぷあぷしてたら通過する町にあるというので、寄ってもらうことに。
「味も素っ気もないんだが、それはいいのか?」
「ひんしゅによるでしゅよ。わたちがちってるのは、ほのかなあまみをかんじるんでしゅよ」
「へえ……。食ってみてえな」
「いいれしゅよ。あとでたくでしゅ」
「……たく?」
どんな調理法かわからなかったらしく、首を傾げるアルバートさん。昼か晩ご飯に実践するというと、ニッコリ笑って頷いた。
それはいいんだが、まずはどんな米なのかわからないと炊き方がうまくいかない。なのでそれを伝えるとちょうど一時間ほど走った先にそこそこ大きな町で、米を作っているところを通過するそうなので、その町に寄ることに。
他にも欲しいものがないか聞かれたから、主にこの国で買える食材が欲しいというと、品数が揃っているのは王都が一番だそうなので、そこまでお預けに。
どんな食材があるのか、装飾品のデザインはどうするかなどの話をしているとあっという間に町に着いたので、中へと入る。
王都へと至る道だからなのか、そこそこの賑わいがある。まあ、初冬なのでまだ人は多いが、もっと寒くなるともっと人が減るという。
……え? これで初冬!?
どういうことだと話を聞くと、今はまだ十月の半ばで、これからもっと寒くなり、雪も深くなるという。特に今いる国とひとつ前に国は北の極限に位置する国で、この世界で一番初めに雪が降る地域。
なので、積雪一メートルや二メートルなんざ、まだまだ可愛いモンらしい。
……それは恐ろしい。どんだけ降って積もるんだよ。
そんなこの世界の北国事情は置いといて。話しているうちに店に着いたので、店内へと入る。
「ここは主に穀物を扱っている店なんだ」
「ほえ~」
アルバートさんが教えてくれた通り、店内にはたくさんの穀物が並んでいる。麦や豆はもちろんのこと、この世界独特のものなのか、直径一センチほどの円形で平べったいものが棚の中にあった。
あれだよ。見た目は箱や袋に入ったシリアル。ただし、こちらはその形状のまま実にぎっしりと詰まっているらしく、見本となる実が置かれていた。
大きさとしては直系一・五センチ、長さ五センチほどの楕円形。豆やとうもろこしのように片面にくっつき、十から十五枚ほどがずら~っと並んでいる、マメ科の植物というか穀物だそうだ。
売っているものは乾燥させているそうで、そのまま食べるもよし、スープに入れたり牛乳に入れたりして食べるもよしだそうな。って、食べ方はまんま地球のシリアルじゃん(笑)
味見として一枚食べさせてくれたんだけど、食感はまんまシリアルで、味はちょっと甘みのある大豆。なかなか美味しいけど、確かに甘さが足りない。
とはいえ、元日本人で海外出張してた私だ。乾燥した果物を小さく切ってヨーグルトに入れたり、牛乳や豆乳と一緒に食べたことがある人間だ。
ヨーグルトがあるかどうかはわからんが、牛乳で食べるのはアリだと思う。
てなわけで、一番大きな麻袋で二袋ぶん、買ってもらった。つうか、お金を出そうとしたらテトさんが買ってくれた。おっと、今は兄だった(笑)
「テトにいしゃま、ありあとー」
「どういたしまして。他には必要なものはあるかい?」
「んと、おこめがほしいでしゅ」
「ああ、そういえば……」
本来の目的である米のことを伝えると、すぐに店員に話をして米のあるコーナーに案内してもらう。すると、そこには数種類の米が。どれも脱穀はしているけれど、精米まではしていない状態だ。
見た目はインディカ米の長粒種が二種類、同じ細さでその半分くらいの短粒種も二種類、あとは日本でよく見たジャポニカ米と同じ形だ。しかも、もち米に似たものもあるようで、突くと粘りが出て延びるという説明がついている米もある。
これは期待できそう!
そして短粒種だけど、同じ短粒種であるジャポニカ米よりも細く、もち米よりも小さい。説明を見ても、これはニワトリの餌になるもののようだ。
あとは、粟や稗、キヌアのような極小粒の穀物、あられサイズの穀物もあったりと、見ていて面白い。雑穀米として炊いてもいいかも!
なんて思いつつ欲しいと思ったものを指差し、試しだからと麻袋の一番小さいもので一袋ずつ購入。ジャポニカ米ともち米っぽいものだけは、一番おおきな麻袋で購入してもらった。
店のおっちゃんはそんなに買って大丈夫かと、不安そうというか不思議そうな顔をして首を捻っていたが。
他は特にないので、もしあれば乾燥果物を売っている店に寄ってほしいというと、すぐに移動。そこで今の時期に並んでいる旬の果物と、乾燥果物を買ってもらい、町をあとにする。
肉や乳製品に関しては出発した町である程度購入したけれど、途中に牧場があるというので寄ってもらうことに。
だって、実物を見てみたいじゃない?
てなわけで、牧場に向かってしゅっぱーっつ!
479
お気に入りに追加
9,083
あなたにおすすめの小説
私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!
りーさん
ファンタジー
ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。
でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。
こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね!
のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!
記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される
マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。
そこで木の影で眠る幼女を見つけた。
自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。
実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。
・初のファンタジー物です
・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います
・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯
どうか温かく見守ってください♪
☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
本当にありがとうございます!
異世界でゆるゆる生活を満喫す
葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。
もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。
家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。
ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。
転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~
丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。
一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。
それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。
ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。
ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。
もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは……
これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。
自重をやめた転生者は、異世界を楽しむ
饕餮
ファンタジー
書籍発売中!
詳しくは近況ノートをご覧ください。
桐渕 有里沙ことアリサは16歳。天使のせいで異世界に転生した元日本人。
お詫びにとたくさんのスキルと、とても珍しい黒いにゃんこスライムをもらい、にゃんすらを相棒にしてその世界を旅することに。
途中で魔馬と魔鳥を助けて懐かれ、従魔契約をし、旅を続ける。
自重しないでものを作ったり、テンプレに出会ったり……。
旅を続けるうちにとある村にたどり着き、スキルを使って村の一番奥に家を建てた。
訳アリの住人たちが住む村と、そこでの暮らしはアリサに合っていたようで、人間嫌いのアリサは徐々に心を開いていく。
リュミエール世界をのんびりと冒険したり旅をしたりダンジョンに潜ったりする、スローライフ。かもしれないお話。
★最初は旅しかしていませんが、その道中でもいろいろ作ります。
★本人は自重しません。
★たまに残酷表現がありますので、苦手な方はご注意ください。
表紙は巴月のんさんに依頼し、有償で作っていただきました。
黒い猫耳の丸いものは作中に出てくる神獣・にゃんすらことにゃんこスライムです。
★カクヨムでも連載しています。カクヨム先行。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!
白夢
ファンタジー
何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。
そう言われて、異世界に転生することになった。
でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。
どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。
だからわたしは旅に出た。
これは一人の幼女と小さな幻獣の、
世界なんて救わないつもりの放浪記。
〜〜〜
ご訪問ありがとうございます。
可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。
ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。
お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします!
23/01/08 表紙画像を変更しました
夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります
ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。
七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!!
初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。
【5/22 書籍1巻発売中!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。