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北北西の国・ウェイラント篇
はっけんでしゅ
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あれこれ話をしているうちに、窓の外に木造の柵がちらほら見えてくる。ただし、海外出張中に見た牧場にあった柵よりも背丈が高いような……?
はて、どうしてだろうと思ってずっと見ていたら牛が見えた。柄はシマウマのような縞々模様なので地球のものとは違うけれど、それでも形は牛だった。
だが、めっちゃデカかった。間近で見てないから正しい大きさはわからないものの、推測するに象よりもデカいかもしれないシルエットだ。
「ほえ~……おっきいでしゅ!」
「ん? ああ、あれはこの国でも一番大きな牛で、ガイバラーという品種だよ」
「ほかにもいるんでしゅか?」
「うん。主にミルクを出す牛がホルーシュとホワイトカウ。肉牛だとガイバラーの他にブラックカウとヘレフォルバイソン、ジャジーが有名かな。ジャジーはミルクも美味しいんだよ」
「しょうなんれしゅね
他にもいるよ、と説明してくれたテトさんが教えてくれたのはいいんだが、微妙に地球と似通った名前の牛がいるなあ。ホルーシュってホルスタインじゃね? あと、ヘレフォルってヘレフォードじゃね? ジャジーはジャージーじゃね?
ブラックカウは、案外黒毛和牛とかだったりして。
……なんかそんな気がしてきた。
バステト様ー! どうせなら、地球と同じ名前にしてほしかった!
そんなことを言ったところで、今さらどうにもならない。もしかしたらバステト様じゃなく、他の神様が関わっているかもしれないしね。
複数いるんだもの、案外相談しつつあちこちの世界を参考にしてたりして。……ありえそうだ。
そんなことを考えていると、ところどころ柵が途切れ、新たにまた柵が見えてくる。畜産が特産と言っているだけあり、かなりの数の牧場があるようだ。
今通っているところはどうも牛が多いらしく、雪に埋もれつつものんびりと歩いているのが遠目でもわかる。その牛を追い立てているのが、馬に乗った人間だ。
たまたま柵の近くを通ったのが見れたんだけれど、馬もデカいんだぜー。残念ながら神話とか伝説に出てくるような六本脚とか八本脚じゃなく、四本脚の馬だったが、とにかくデカい。
イギリスにシャイヤー種という馬がいるそうなんだが、シャイヤー種の中でも一際デカかった馬の名前がサンプソンというそうで。記録によると体高二メートル超えの馬で、某世紀末な長兄が乗っていた黒王号なみのデカさだと、アメリカにいる時の同僚だったイギリス人が教えてくれたんだが。
イギリス人がどうして黒王号を知っていたのかはともかく、その馬よりもさらにデカかったのだ。色は鹿毛だったけれど肌は艶々していて、綺麗な馬だった。
他にも白や靴下をはいたように脚の先が白い黒毛の馬もいたりして、なかなか見ごたえがある。そんなことを考えていたら、バトラーさんが今見ているのは馬の飼育をしている牧場で育った馬だと教えてくれた。
その牧場では主に軍馬を育てているが、馬車用の馬も同時に飼育しているとのこと。いろんなお馬さんがいるんだなあ。
今乗っている馬は、軍を引退した馬じゃないかとのこと。あれか。競走馬が引退したあと、乗馬クラブや騎馬隊に行ったりするのと同じってことか。
ちなみに、日本にある騎馬隊は三ヶ所しかない。皇宮警察騎馬隊、警視庁騎馬隊、京都府警察平安騎馬隊だ。どれもテレビなどで見たことがあると思う。
アメリカにいた時はニューヨークで騎馬警察を見たけれど、あれはカッコよかった。しかも、めっちゃフレンドリーなので、許可さえもらえれば写真も撮れたんだぜ~。
懐かしいなあ……なんて思っているうちに、石壁が見えてくる。だけど、今まで通って来た国の壁よりも低い。
なんでなのか理由を聞いたら、狂暴な魔物がいないのと、盗賊などが隠れられる大きな森がないからなんだって。確かに、見渡す限り平原と柵しか見えないもんね。
とはいえ、森の近くにある町や村はもう少し高さがあるらしい。低いとホーンラビットが柵を越えるからなんだって。
……どんだけジャンプ力があるんだ、ホーンラビットよ。
まあ、大抵は魔物除けの魔道具なり薬なりが柵に仕掛けられているそうなので、襲われる確率もそこまで高くないし、スライムやホーンラビット如きでは負けないので脅威にもなっていないとのこと。
そんな柵の説明を受けている間に、町の門に到着する。さり気なく馭者をしているキャシーさんとスーお兄様を見ると、キャシーさんが腰に着けているバッグから紙束と宝石箱の一部を門番に見せているところだった。
……なるほど、ああやって見せていたのね。そして手を伸ばしてきた門番よりも先に宝石箱の蓋を閉めてしまったことから、この町の門番は信用に値しない、と。
当然のことながら、うしろにいた上司らしき人に頭を叩かれた手を出した門番は、首根っこを掴まれてそのまま裏へと引っ張っていかれたのだった。
……達者でなー。そのまま牢屋行きじゃないといいなー。
盗む意図がなかったとしても、高額商品に手を出したらあかんとセバスさんが言っていることからも、あの行動はダメダメだったもよう。食材の在庫確認じゃないんだから、宝石などに手を延ばしたらあかん、ってことですな。
欲しかったら宝石商にでも行って買ってねー!
そんなトラブルもどきはあったものの、無事に町の中へと入ることができたのだった。
はて、どうしてだろうと思ってずっと見ていたら牛が見えた。柄はシマウマのような縞々模様なので地球のものとは違うけれど、それでも形は牛だった。
だが、めっちゃデカかった。間近で見てないから正しい大きさはわからないものの、推測するに象よりもデカいかもしれないシルエットだ。
「ほえ~……おっきいでしゅ!」
「ん? ああ、あれはこの国でも一番大きな牛で、ガイバラーという品種だよ」
「ほかにもいるんでしゅか?」
「うん。主にミルクを出す牛がホルーシュとホワイトカウ。肉牛だとガイバラーの他にブラックカウとヘレフォルバイソン、ジャジーが有名かな。ジャジーはミルクも美味しいんだよ」
「しょうなんれしゅね
他にもいるよ、と説明してくれたテトさんが教えてくれたのはいいんだが、微妙に地球と似通った名前の牛がいるなあ。ホルーシュってホルスタインじゃね? あと、ヘレフォルってヘレフォードじゃね? ジャジーはジャージーじゃね?
ブラックカウは、案外黒毛和牛とかだったりして。
……なんかそんな気がしてきた。
バステト様ー! どうせなら、地球と同じ名前にしてほしかった!
そんなことを言ったところで、今さらどうにもならない。もしかしたらバステト様じゃなく、他の神様が関わっているかもしれないしね。
複数いるんだもの、案外相談しつつあちこちの世界を参考にしてたりして。……ありえそうだ。
そんなことを考えていると、ところどころ柵が途切れ、新たにまた柵が見えてくる。畜産が特産と言っているだけあり、かなりの数の牧場があるようだ。
今通っているところはどうも牛が多いらしく、雪に埋もれつつものんびりと歩いているのが遠目でもわかる。その牛を追い立てているのが、馬に乗った人間だ。
たまたま柵の近くを通ったのが見れたんだけれど、馬もデカいんだぜー。残念ながら神話とか伝説に出てくるような六本脚とか八本脚じゃなく、四本脚の馬だったが、とにかくデカい。
イギリスにシャイヤー種という馬がいるそうなんだが、シャイヤー種の中でも一際デカかった馬の名前がサンプソンというそうで。記録によると体高二メートル超えの馬で、某世紀末な長兄が乗っていた黒王号なみのデカさだと、アメリカにいる時の同僚だったイギリス人が教えてくれたんだが。
イギリス人がどうして黒王号を知っていたのかはともかく、その馬よりもさらにデカかったのだ。色は鹿毛だったけれど肌は艶々していて、綺麗な馬だった。
他にも白や靴下をはいたように脚の先が白い黒毛の馬もいたりして、なかなか見ごたえがある。そんなことを考えていたら、バトラーさんが今見ているのは馬の飼育をしている牧場で育った馬だと教えてくれた。
その牧場では主に軍馬を育てているが、馬車用の馬も同時に飼育しているとのこと。いろんなお馬さんがいるんだなあ。
今乗っている馬は、軍を引退した馬じゃないかとのこと。あれか。競走馬が引退したあと、乗馬クラブや騎馬隊に行ったりするのと同じってことか。
ちなみに、日本にある騎馬隊は三ヶ所しかない。皇宮警察騎馬隊、警視庁騎馬隊、京都府警察平安騎馬隊だ。どれもテレビなどで見たことがあると思う。
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とはいえ、森の近くにある町や村はもう少し高さがあるらしい。低いとホーンラビットが柵を越えるからなんだって。
……どんだけジャンプ力があるんだ、ホーンラビットよ。
まあ、大抵は魔物除けの魔道具なり薬なりが柵に仕掛けられているそうなので、襲われる確率もそこまで高くないし、スライムやホーンラビット如きでは負けないので脅威にもなっていないとのこと。
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・「転移先は薬師が少ない世界でした」1~6巻、文庫版1~2巻発売中。こちらは本編完結。
・「転移先は薬師が少ない世界でした」コミカライズ 1巻発売中。毎月第三木曜日更新
・「自重をやめた転生者は、異世界を楽しむ」一巻発売中!
を連載中です。よろしくお願いします!
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