転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮

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北西の国・ミルヴェーデン篇

しゅじょくとくせいでしゅ 1

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 なんだかあったかいなあ。
 すんごいいい匂いがするぞ……。
 そんなことを思った途端、くぅと小さくお腹が鳴った。

<ぶくくっ! 目が覚めたか、ステラ>
「んにゅ……。ふわぁ……おあよーごじゃいましゅ、バトラーしゃん」
<おはよう。ほら、ご飯の時間だぞ>
「ごはん! たべましゅ!」

 神獣おとなたち全員に小さく鳴ったお腹のことでからかわれ、いつの間に寝たんだろうと考えつつも、黒虎姿のバトラーさんに促されたのでいそいそと起きだす。晩ご飯はテトさんと一緒に作ったものの残りであるシチューとパン、ステーキ。
 ただし、シチューに入っている野菜の種類が増え、パンもチーズやはちみつ、ナッツ類が練り込まれているものが増えている。しかも、私の分のステーキは小さくカットしてある。
 さすがテトさんだ。
 ウキウキしながらいただきますをしたあと、話し合いはどうなったか聞いたのだが。

「まず、俺たちはステラがいることから、スタンピードの原因調査は断った」
「ことわってだいじょぶなんでしゅか?」
「ああ。そのための証明書でもある」
「にゃるほろー」

 証明書はこのためにあるのかと納得した。
 それにバトラーさんが言っていた通り、証明書がなくとも私をダンジョンに連れて行くことはしないそうだ。連れて行くにしても、せめて冒険者登録ができる年齢に達するか、フォレストウルフの群れを私一人で対処できるようになるまではダメらしい。
 まあ、今のところダンジョンにはまったく興味がないので、どうでもいいんだけどね。

「それと、ステラの種族について大切な話がある」
「たいしぇつなはなし、でしゅか?」
「ああ」

 種族についての大切な話かあ。そういえば、話すと言われていたけれど、今まで話してくれたことはなかったね。
 希少な種族であることは聞いているが、どんな特性があるんだろう。

「まず、この世界には様々な種族がいる。ステラも出会った獣人族しかり、人もしかり」
「他にもいるけれど、今はたくさんいるとだけ憶えておいてね」
「あい」

 セバスさんとセレスさんの言葉に頷く。今あれこれ言われても、間違いなく憶えていられないからね。三歳児の頭脳、舐めんなよ?
 私自身は憶えていられる自信はあるが、如何せん精神が体に引っ張られている状態だからね~。今は確実に、細かい種族まで憶えられる自信はない。
 まあ、そんな私の事情は置いといて。

「その中でも特別な種族があり、それがステラの神族と魔族だ」
「まじょく?」
「ああ。とはいえ、どちらも神の眷属とも子孫とも言われている種族でな」
「どちらも魔力量が多いことと、容姿が整っていること。そして長命種でもあるの」

 長命種……ってことは、かなり長生きってことか。
 つか、神の眷属とか子孫ってなんだよ! そんな特別な種族になんかなりとうなかったよ!
 普通~に百年生きられればそれでいいんだけどなあ……。
 今さら言っても仕方がない。バステト様がよかれと思ってやったことなんだろうし。
 とはいえ、バステト様以外にも神様がいるとは思わなかった!
 おっと、話が脱線した。
 で、種族特性なんだが。
 セバスさんたち曰く、神族も魔族も神の子孫なのは間違いないんだそうだ。そして神獣同様に、バステト様から世界を見守るという、いわば監視の役目を負っていたそうだ。
 ……つまり、過去形。一部の国で内乱や戦争はあるものの、平和な世の中になったからその監視は全て神獣たちが担い、今は神に捧げる食物を作っているという。
 ……なんんだそれは。農耕民族?
 まず、住んでいる土地自体が特別な場所にあって、どちらも他の種族が簡単に行き来できるような場所ではない。そして神族が植物を、魔族が動物を育て、それらを神殿に奉納しているそうだ。
 もちろん、その奉納分とは別に自分たちが食べるものも作っているし、滅多に来ないとはいえ、他種族とも交流がある。けれど、その交流の中で別の土地を見てみたいと思う人が出てくるし、逆にその土地に住み着く他種族もいる。
 だから孤立無援というわけじゃないそうだ。
 ただ、やはり他の種族に比べると数が少ないからなのか、あるいは世間知らずだからなのか、住み慣れた地を離れた人は騙されやすく、いつの間にか奴隷にされていることも多々ある。しかも、昔は悪人が入り放題だったものだから、その見目麗しい容姿を目当てに連れ去られてしまうことも多発。
 まあ、とにかくいろんな問題が持ち上がり、これ以上数を減らされるのはまずいということで、悪人が入れない結界を開発。それを魔道具にしたりもしたようだ。

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