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現代篇
フォーチュンリング 3
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町の中にあるけど山裾に近い私の家は、夏とはいえ夜になると肌寒い。
「夜も遅いし、風邪引くと困るから中に入ろう。それにこれからいくらでも時間はあるし、邪魔する姫もいない」
「宗重さん……」
「俺がどんなふうに過ごしてきたのか、毎日少しづつ話そう」
「はい」
宗重さんにまんまと説き伏せられ、その日はお開きになった。そして時間と場所を決めて、過去の宗重さんがどうやって過ごしていたのかを聞いたのだ。
時には私の亡くなった家族や、晧兄たちのことを聞かれたこともある。「警察官なんです」と教えると、驚いていたっけ。
祖父を通して料理の仕方がわからないと猛先輩や透子先輩から伝言があったと言われ、それを教えに行ったこともある。教師や宗重さん、藤堂先輩にも言われたこともあり、教えるだけで手は出さなかった。
そんなことをして過ごした二週間の合宿も、明日で最後。今日は雨降りだからと現在は私の部屋にいて、私を温めるように、今までの時間を埋めるように、背中から抱き締められていた。
まあ、所謂恋人座りってやつだ。……実はかなり恥ずかしかったりする。
ふいに宗重さんに「タバコ吸っていいか?」と聞かれたので灰皿を取りに行って戻ると、また背中から抱き締められた。最近の宗重さんはこういったスキンシップが激しくて、先輩たちにからかわれて困っている。
だというのに、宗重さんはどこ吹く風なのだ。
むかつくとは思うものの、ずっと疑問に思っていて今まで聞けなかったことがあったので、それを聞いてみることにした。
「そういえば……私が帰ったあと、宗重さんは何をしていたんですか? 奈都姫さんにくっついて行ったんですか?」
この話だけはどうしても聞けなかったし、宗重さん自身も語らなかったのだ。だから聞いたんだけど、私が思っている以上に寂しげに聞こえたらしい私の声で、何か考え事をしていたらしい宗重さんが反応した。
タバコを吸ってる宗重さんもカッコいいなぁ……なんて、考える私は、自分でも呆れるほどだと思う。
「いや……。殿に願い出て職を辞したあと、火乃香を探すために旅に出ようとしたんだ」
「え?」
「まあ、実際旅に出たんだけどな。『火乃香』という名前以外、どこの出身かとかどこにいるのかすらもわからなかったから、あてのない旅をするつもりだったんだ」
「……」
ふーっと私にかからないように紫煙を吐き出した宗重さん。部屋の中にタバコの匂いがする。
窓を開けといてよかった。
「出発の日、政親が『餞別だ』と言って、路銀と師匠……高野山の偉いお坊さんを紹介してくれたから、高野山の坊主になった」
「は?!」
「輪廻転生の理で、いつかお前に逢えるかも知れないから修行しとけ、って言われてさ」
「……」
宗重さんにそんなことを言われたら、何も言えなかった。
「修行が終わったあと高野山を降りて、宗庵様――師匠の名前だけど、宗庵様が管理してたお寺に入って、寺の住職になった。宗庵様の跡目を継いだ形だな」
「住職……って、ホントにお坊さんになったの?」
「そう。それが今の俺の実家なんだ。まあ俺は三男坊だから修行もしてないし、修行中の兄貴がいるから俺は継がなくていいんだけどな」
そう言って最後の紫煙を吐き出し、タバコの火を消した。そんな宗重さんに驚いたけど、あれ? と呟いてからあることに至って、俯いた。
「宗重さん……けっ、こ、ん……、した、んだ……」
「あれを結婚、と捉えるならば、結婚した……ことになるのか?」
微妙な物言いに、ん? と思って宗重さんの方に顔を向けたら、眉間に思いっきり皺を寄せていた。そして私を見ると微笑んでから唇に軽いキスを落とされた。
「なっ?!」
「嫉妬か? 可愛いな」
ククッと嬉しそうに破顔され、私は頬が熱くなって行く……真っ赤になっていくのがわかる。
「む、むむ、宗重さん?! 真面目な話をして……」
話している途中でまたもやチュッとキスされて固まってしまった。え……宗重さんってこんな人だったっけ?!
って思ったんだけど、よくよく考えたらこんな人だったと思い出し、内心悶えていた。
「はは、ごめん」
そう言って、宗重さんは私の銀色の髪を優しく撫でると、冷めたコーヒーを飲んだ。
「師匠の末娘だったんだが……なんて言うか、あの時代にはまだいなかった、破天荒なお嬢さんでさ」
「破天荒、ですか?」
「ああ。まあ、破天荒というより、今でいうところの『肉食系女子』ってやつ? そんな女だった」
「えーー?!」
宗重さんは盛大に溜息をついたあと、私の頭に自分の顎をのせて、すっごく嫌そうな顔しした。
「所謂『夜這い』をかけられて食われたんだ」
そう聞いて目が点になる。夜這いって、つまり、そういう行為をすることで……。
歴史の授業だったか古典の授業だったか覚えてないけど、先生がそんなことを授業中に話していたことを思い出した。
「確かに肉食系ですね……。けど、な、なんで夜這いなんか……」
「俺がずっと断っていたからかな。彼女――『たえ』は俺を慕っていたが、俺は火乃香だけがほしかったし、好きだった。火乃香以外と結婚する気がなかったんだ」
頭のてっぺんにキスを落とされた。そう言ってくれたことが凄く嬉しい。そしてその時の会話も教えてくれた。
『あの、宗重様』
『そなたにその名前で呼ばれたくはない。宗遵と呼んでくれと、何度言えばわかってもらえるんだ?』
『でも……』
『その名を呼んでいいのは火乃香だけだ。そなたではないし、迷惑だ』
『……っ!』
はっきりとそう言ったらしい。……どうでもいい人には冷たい人なんだな、って思ったけど、私も同じことをするだろうなと思ったら何も言えなかった。
「でも、何度断られても、たえさんは諦めなかったんですね。ストーカーみたい」
「ああ。あそこまでとは、正直思わなかったんだ」
「なんで夜這いかけられたんですか? 人の気配を読むの、得意でしたよね?」
上目遣いで宗重さんを見ると、苦笑いしていた。
「その日、寺で葬式があってさ。村一番の有力者で、でも村のことを真剣に考えてるような、人格者の葬式だった。宴会が好きな人だったらしくて、弔いがわりに村の皆が集まって宴会始めちゃったんだよ。飲んだら駄目なのに無礼講とばかりに師匠や俺も巻き込んで、大騒ぎ。その時の俺は酒を飲んでるふりをして水を飲んでたんだが、彼女に一服盛られたらしくて、気付いた時には彼女が俺の上に跨がってよがってた」
その時の行為が当たりだったらしくて子供が出来てしまい、自分のしたことを告白したたえさんは、父親や母親にこっぴどく怒られたという。
宗重さんのお師匠さんはその心労が祟って体調を崩し、孫の顔を見ることなく他界してしまい、ただ一人の弟子だった宗重さんが寺を継いだんだそうだ。
そして夫もいないはずなのにお腹が膨れていくたえさんの外聞を憚って、彼女の母親は宗重さんに泣きつき、『二度と宗重さんに近づかない、近づけさせないなら』という条件で結婚を承諾したと語った。
そんな話を聞いてしまい、ぼんっと音がしそうな程真っ赤になると「ほ、ホントに肉食系な人だったんですね……」と呟いた。
授業で習ったし、そういう漫画があるのはわかってる。読んだことはないけど知っている身としては、真っ赤にならざるを得なかった。
「夜も遅いし、風邪引くと困るから中に入ろう。それにこれからいくらでも時間はあるし、邪魔する姫もいない」
「宗重さん……」
「俺がどんなふうに過ごしてきたのか、毎日少しづつ話そう」
「はい」
宗重さんにまんまと説き伏せられ、その日はお開きになった。そして時間と場所を決めて、過去の宗重さんがどうやって過ごしていたのかを聞いたのだ。
時には私の亡くなった家族や、晧兄たちのことを聞かれたこともある。「警察官なんです」と教えると、驚いていたっけ。
祖父を通して料理の仕方がわからないと猛先輩や透子先輩から伝言があったと言われ、それを教えに行ったこともある。教師や宗重さん、藤堂先輩にも言われたこともあり、教えるだけで手は出さなかった。
そんなことをして過ごした二週間の合宿も、明日で最後。今日は雨降りだからと現在は私の部屋にいて、私を温めるように、今までの時間を埋めるように、背中から抱き締められていた。
まあ、所謂恋人座りってやつだ。……実はかなり恥ずかしかったりする。
ふいに宗重さんに「タバコ吸っていいか?」と聞かれたので灰皿を取りに行って戻ると、また背中から抱き締められた。最近の宗重さんはこういったスキンシップが激しくて、先輩たちにからかわれて困っている。
だというのに、宗重さんはどこ吹く風なのだ。
むかつくとは思うものの、ずっと疑問に思っていて今まで聞けなかったことがあったので、それを聞いてみることにした。
「そういえば……私が帰ったあと、宗重さんは何をしていたんですか? 奈都姫さんにくっついて行ったんですか?」
この話だけはどうしても聞けなかったし、宗重さん自身も語らなかったのだ。だから聞いたんだけど、私が思っている以上に寂しげに聞こえたらしい私の声で、何か考え事をしていたらしい宗重さんが反応した。
タバコを吸ってる宗重さんもカッコいいなぁ……なんて、考える私は、自分でも呆れるほどだと思う。
「いや……。殿に願い出て職を辞したあと、火乃香を探すために旅に出ようとしたんだ」
「え?」
「まあ、実際旅に出たんだけどな。『火乃香』という名前以外、どこの出身かとかどこにいるのかすらもわからなかったから、あてのない旅をするつもりだったんだ」
「……」
ふーっと私にかからないように紫煙を吐き出した宗重さん。部屋の中にタバコの匂いがする。
窓を開けといてよかった。
「出発の日、政親が『餞別だ』と言って、路銀と師匠……高野山の偉いお坊さんを紹介してくれたから、高野山の坊主になった」
「は?!」
「輪廻転生の理で、いつかお前に逢えるかも知れないから修行しとけ、って言われてさ」
「……」
宗重さんにそんなことを言われたら、何も言えなかった。
「修行が終わったあと高野山を降りて、宗庵様――師匠の名前だけど、宗庵様が管理してたお寺に入って、寺の住職になった。宗庵様の跡目を継いだ形だな」
「住職……って、ホントにお坊さんになったの?」
「そう。それが今の俺の実家なんだ。まあ俺は三男坊だから修行もしてないし、修行中の兄貴がいるから俺は継がなくていいんだけどな」
そう言って最後の紫煙を吐き出し、タバコの火を消した。そんな宗重さんに驚いたけど、あれ? と呟いてからあることに至って、俯いた。
「宗重さん……けっ、こ、ん……、した、んだ……」
「あれを結婚、と捉えるならば、結婚した……ことになるのか?」
微妙な物言いに、ん? と思って宗重さんの方に顔を向けたら、眉間に思いっきり皺を寄せていた。そして私を見ると微笑んでから唇に軽いキスを落とされた。
「なっ?!」
「嫉妬か? 可愛いな」
ククッと嬉しそうに破顔され、私は頬が熱くなって行く……真っ赤になっていくのがわかる。
「む、むむ、宗重さん?! 真面目な話をして……」
話している途中でまたもやチュッとキスされて固まってしまった。え……宗重さんってこんな人だったっけ?!
って思ったんだけど、よくよく考えたらこんな人だったと思い出し、内心悶えていた。
「はは、ごめん」
そう言って、宗重さんは私の銀色の髪を優しく撫でると、冷めたコーヒーを飲んだ。
「師匠の末娘だったんだが……なんて言うか、あの時代にはまだいなかった、破天荒なお嬢さんでさ」
「破天荒、ですか?」
「ああ。まあ、破天荒というより、今でいうところの『肉食系女子』ってやつ? そんな女だった」
「えーー?!」
宗重さんは盛大に溜息をついたあと、私の頭に自分の顎をのせて、すっごく嫌そうな顔しした。
「所謂『夜這い』をかけられて食われたんだ」
そう聞いて目が点になる。夜這いって、つまり、そういう行為をすることで……。
歴史の授業だったか古典の授業だったか覚えてないけど、先生がそんなことを授業中に話していたことを思い出した。
「確かに肉食系ですね……。けど、な、なんで夜這いなんか……」
「俺がずっと断っていたからかな。彼女――『たえ』は俺を慕っていたが、俺は火乃香だけがほしかったし、好きだった。火乃香以外と結婚する気がなかったんだ」
頭のてっぺんにキスを落とされた。そう言ってくれたことが凄く嬉しい。そしてその時の会話も教えてくれた。
『あの、宗重様』
『そなたにその名前で呼ばれたくはない。宗遵と呼んでくれと、何度言えばわかってもらえるんだ?』
『でも……』
『その名を呼んでいいのは火乃香だけだ。そなたではないし、迷惑だ』
『……っ!』
はっきりとそう言ったらしい。……どうでもいい人には冷たい人なんだな、って思ったけど、私も同じことをするだろうなと思ったら何も言えなかった。
「でも、何度断られても、たえさんは諦めなかったんですね。ストーカーみたい」
「ああ。あそこまでとは、正直思わなかったんだ」
「なんで夜這いかけられたんですか? 人の気配を読むの、得意でしたよね?」
上目遣いで宗重さんを見ると、苦笑いしていた。
「その日、寺で葬式があってさ。村一番の有力者で、でも村のことを真剣に考えてるような、人格者の葬式だった。宴会が好きな人だったらしくて、弔いがわりに村の皆が集まって宴会始めちゃったんだよ。飲んだら駄目なのに無礼講とばかりに師匠や俺も巻き込んで、大騒ぎ。その時の俺は酒を飲んでるふりをして水を飲んでたんだが、彼女に一服盛られたらしくて、気付いた時には彼女が俺の上に跨がってよがってた」
その時の行為が当たりだったらしくて子供が出来てしまい、自分のしたことを告白したたえさんは、父親や母親にこっぴどく怒られたという。
宗重さんのお師匠さんはその心労が祟って体調を崩し、孫の顔を見ることなく他界してしまい、ただ一人の弟子だった宗重さんが寺を継いだんだそうだ。
そして夫もいないはずなのにお腹が膨れていくたえさんの外聞を憚って、彼女の母親は宗重さんに泣きつき、『二度と宗重さんに近づかない、近づけさせないなら』という条件で結婚を承諾したと語った。
そんな話を聞いてしまい、ぼんっと音がしそうな程真っ赤になると「ほ、ホントに肉食系な人だったんですね……」と呟いた。
授業で習ったし、そういう漫画があるのはわかってる。読んだことはないけど知っている身としては、真っ赤にならざるを得なかった。
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