オカマ上司の恋人【R18】

饕餮

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圭視点

Night Stalker ★

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今回は視点がコロコロと変わります。
圭→前嶋→小田桐→圭
となります。真ん中あたりから軽めのレイプ表現があります。苦手な方はご注意ください。



*******



 小田桐に行った翌日の夜、父に『週末は二人で帰って来い』と言われたので、素直に泪と二人で在沢家に行って驚いた。同期全員(私も含めて十人いる)からと企画室、秘書課、そして長崎部長と葛西専務の連名で結婚祝いの品々が届いていたのだ。
 父曰く、私が帰ったあとで大変な思いをしたと苦虫を何匹も噛み潰したような顔で伝えて来たので謝り、お祝いをくれた人にお礼状を書いて父に渡して帰って来た。

「それにしても、すごいわね……なんか嫉妬しちゃうわ」

 とは泪の弁だけれど、個人的なお祝いは葎のものだけだったので、その辺は泪もホッとしていた。

「元弟は、あれから何か言って来た?」
「ううん。でも、父さんからのメールだと、『何か吹っ切れたのかすごく頑張ってる』、って」
「そう。でも、二人で話したのは良かったのか、悪かったのか……」
「泪さん……」
「アタシにしてみれば甘いと思うわ。でも、二卵性とは言え、双子なら仕方ないのかもね」
「どうして?」
「だって、双子は魂が二つに分かれたものだとも言うでしょ? それにお圭ちゃん、あの弟を憎みきれなくなって来てるでしょ」

 そう聞かれて素直に頷く。葎と話したからなのか、或いは私が泪と出会い、幸せになったからなのかはわからない。確かに葎の両親に関しては会いたいとも思わないし未だに蟠りはあるけれど、葎に関しては会いたいとは思わないものの、蟠りは薄れている気がする。

「お圭ちゃんは優しいから……。まあ、その辺がお圭ちゃんたる所以なんだと思うし」
「泪さん……」
「他の男の話は終わり! 嬉しいことを言ってくれたお礼に、今度はアタシが構い倒してあげる♪」

 苦笑しながらも泪は私を抱き上げてお風呂へ行くと、お風呂とベッドで動けなくなるまで抱かれてしまった。

 そして翌日は私の誕生日という日。

 今日は会食の日で、昼に予定されている。本当は休日にやる予定だったのだけれど、穂積エンタープライズのトップ二人の休みが合わないうえに取ることもできず、しかもこの週末も二人は予定が入ってしまってるために結局平日の今日になってしまったのだ。在沢家側は前もって知らされていたから二人は有給休暇を取ったと言っていたので、合流するのはお店でとなっている。

「じゃあ、アタシは先に行ってるわね。お圭ちゃん、クライアントに書類を渡したらお店に来てちょうだい。前嶋さん、よろしく」
「了解。じゃあ、圭、行こうか」
「はい」

 前嶋に促されて車に乗り込むと、車はすぐに発車する。
 つい三十分ほど前にクライアントが来社し商談をしていたのだけれど、何かトラブルがあったのか時間がないからとこちらの書類作成を待たずに帰ってしまったのだ。まさか重要書類をファックスやメールするわけにもいかず、クライアント側が誰か別の者に取りに行かせると言ってくれたのだけれど会食があるし、会食の会場に行く道すがらにクライアントの会社があるため、それらの事情を伏せて別の商談に向かう途中で寄るからということで落ち着いたのだ。
 クライアントの会社に着いたので前嶋の車から降りて受付に向かうと、受付のところでクライアントが待っていた。

「あわただしくて申し訳ありません」
「いえ、お気になさらず。こちらが書類となります。ご確認いただけますか?」

 書類を渡すとクライアントはその場で書類を確認して行く。

「……はい、大丈夫のようです。専務にも申し訳ありませんとお伝え下さい」
「畏まりました。それでは失礼いたします」

 深々とお辞儀をしてその場をあとにすると、会社を出て前嶋の車がある方へ向かう。二、三歩歩き出したところで後ろから「葎?!」と呼ばれ、手をぐっと引っ張られた。驚いて後ろを振り向くと、小田桐 政行がいた。仕事はどうしたのだろう?

「小田桐部長、私は」
「すまない。圭、だったな。奇遇だな。どこかの帰りか?」
「穂積専務のお使いです。部長は?」
「俺も商談の帰り。喫茶店でコーヒーを飲んでたら、君がこの会社に入って行くのが見えたから」
「そうなんですか。あの、これから別の場所に行かなければならないので、そろそろ手を離してください」
「ダメだ。やっと捕まえたんだ……離さない」
「部長……?」

 訝しげに思って小田桐の顔を見上げ、ゾッとした。
 無表情なのに目だけが爛々と光っていて、とても怖かった。逃げようと手を引っ張るけれど、びくともしない。

「嫌! 離して! 圭輔さん、助けて! 圭……んんっ!」

 口と鼻を塞がれたかと思うと、つんとした臭いがした。

「圭!!」

 薄れ行く意識の中で前嶋の叫び声と車のドアの開閉の音を聞き、泪の顔が浮かんだところで意識を手放した。


 ***


 圭の叫び声が聞こえて声のしたほうを向くと、小田桐で圭を舐めるように見ていた男が圭を抱えて車に乗り込むところだった。あわてて車を降りたものの、車は既に発車してしまったあとだった。

「くそっ、油断した!」

 一緒に行けばよかったと後悔して車を殴りつけてから中へ戻ると、一度ゆっくり深呼吸をする。後ろに積んであったノートパソコンを膝に乗せて立ち上げると、泪に電話をする。

『はい、穂積です』
「泪さん、前嶋です」
『あら、前嶋さん。遅いから連絡しようと思ってたの。今どこ?』
「それどころじゃない! 圭が拉致された!」
『なんですって?!』
「すまん、俺のミスだ! 今からそっちに行くから、一緒に追いかけよう!」
『わかったわ!』

 言うが早いかすぐにスマホを切ってパソコンを操作する。

(この方向なら大丈夫……間に合う!)

 もう一度スマホを手に取り、別の相手に電話をする。

「お久しぶりです、前嶋です。課長にお願いがあるんですが……」

 電話の相手とやり取りをして電話を切ると、助手席にパソコンを置く。車を急発進させて泪がいる会食会場に向かった。


 ***


「やっと手に入れた……」

 商談の帰りに喉が渇き、喫茶店に寄ってコーヒーを飲んでいた。何気なく外に視線を向けた時だった。偶然見つけた、彼女の姿。いつもあの男が……鋭い目をした男が一緒にいて話しかけることもできなかったが、今日は珍しく彼女一人だった。
 ……チャンスだと思った。いつも持ち歩いている液体をハンカチに染み込ませ、彼女が出てくるのを待って近付いたのだ。

 あの出張の日、告白して彼女を抱くつもりだった。だが、俺はクライアントに予想以上に飲まされ、その目的すらも忘れて気付けば朝だったのだ。あの時はまだ時間があると思っていた。まだチャンスはある、と。
 だが、彼女が体調を崩して会社を休み、俺は長期の海外出張を言い渡されて出張に出ている間に、彼女は穂積に行ってしまった。それでもまだチャンスはあると思っていた。思っていたのに……。
 眠る圭の頬を愛おしげに撫で、そのまま下におろして行く。夢にまで見た大きな胸をそっと掴むと、想像以上に柔らかかった。
 早く目覚めてほしい……その祈りが通じたかのように彼女が身動ぎ、瞼をそっと上げた。

「ん……」
「気が付いたか」
「ここ、は……」
「俺が住んでる部屋だ」

 慌てて起き上がろうとしたので、上から両手を押さえつけた

「部長……どうして……?」
「あの町にいるころから君がほしかった」
「え……?」

 シュルリとネクタイを外して彼女の手を一纏めにして縛ると、ベッドのパイプにそれを結びつけた。

「嫌! 外して!」

 体を左右に振って暴れる彼女の大きな胸が、俺を誘うようにゆらゆらと揺れる。

「それなのに、葎は悉く邪魔をした」
「……葎?」
「あの日も俺は君に告白するつもりだったのに、逆に葎は俺に告白し、まんまと君だと思い込ませた」
「えっ」

 彼女の質問をかわしながら、手を伸ばして服の上から彼女の胸を鷲掴み、円を描くように回す。

「嫌っ!」
「柔らかいな……直に触りたい……」

 自分のワイシャツのボタンを二、三個外して彼女の胸を触ると、そのまま下へおろして行く。

「部長、止めて!」
「だが、俺だって馬鹿じゃない。すぐに君じゃないと気づいた。だが、君は学のせいで入院し、俺が私立へ行ってる間に、いつの間にかあの町からいなくなってた」

 セーターを捲り上げると、予想以上に大きな胸と、無数の傷痕が目に入る。その姿がとても痛ましかった。

「嫌……っ!」
「可哀想に……」

 両手で傷をそっと撫で、そのまま上に這わせて胸を掴む。

「いやあっ!」
「本当に柔らかい……」

 そのまましばらく揉んで一旦胸から手を離す。フロントにあるホックを外してブラを全開にすると、胸が揺れた。その胸に手を伸ばして掴み、円を描くように回しながらゆっくりと揉む。

「あっ、いやっ」
「胸が弱いのか……。ずっと君を探したよ。諦めかけて親父の会社に入った時、君を見つけて驚いた」

 回していた手を止めて起ち上がり始めた乳首を擦ると、びくりと彼女の身体が震えた。

「いやっ! 止めて!」
「ふうん……乳首も弱いんだな……」

 そのまま擦っていると、彼女の言葉とは裏腹に、どんどん乳首が固く起ち上がって行く。誘われるように彼女の乳首に吸い付く。ちゅうっと吸うとさらに乳首が硬く起ち上がったので、舌でぐるりと舐めて溝をなぞり、下から上へと舐め上げ、セーターの隙間から見える鎖骨にキスマークを見つけた。

「いやぁっ、助け……っ」
「忌々しいキスマークだ。俺のものと塗り替えてやる!」
「いやっ!」

 乳首をカリッ、と歯で扱いてから両手で胸を掴み、起ち上がった乳首を指で挟んで揉みしだくと、キスマークに俺の唇と舌を這わせてから、きつく吸い上げた。

「痛っ! いやっ、いやぁっ!」
「大丈夫……すぐによくなる……結婚相手のこともすぐに忘れる」

 そのまま唇と舌を這わせて両方の乳房にキスマークをつけると、片手を離してもう一度乳首に吸い付く。

「何て柔らかくて、気持ちいいんだ」
「やっ、ひ……っく…………るい……っ……く……」

 空いた手でスカートを捲りあげて太股に手を這わせると、彼女の体がびくりと震えた。

「いやっ! やめて!」

 甘い乳首を舌で愛撫しながら、下着に手を入れて秘列をなぞる。だが、そこは思っていた以上に濡れていなかった。

「あまり濡れてないな……だが、これくらいなら……」
「やだ! やめて! 泪さん! 圭輔さん! 助けて!!」
「助けは来ない。諦めて、俺だけのモノになれ!」
「いや……いやああぁぁぁっっ!!!」

 あまり濡れていない蜜壺に指を入れようとした時だった。バタバタと走る音とバタンという音がしたかと思うと脇腹に痛みが走り、すごい勢いでベッドから落ちた。あまりの痛さに踞っていると低い男の声がした。

「てめえっ! 俺の妻に何しやがる!!」

 怒声が聞こえて思わず顔を上げると、あの鋭い目をした男と……穂積の専務が憤怒の形相で立っていた。


 ***


 怖かった。小田桐が全く知らない人に見えて、とても怖かった……腕を縛りあげ、私の胸を揉む男が。
 その力加減は泪と同じように優しいのに、その行為はただただ気持ち悪いだけだった。やめてほしかったのに、聞いてくれなかった。

 犯される。汚れてしまう。泪にもう会えない――
 そう思って目を瞑った時だった。

「てめえっ! 俺の妻に何しやがる!!」

 いるはずのない、大好きな泪の声が聞こえた。

 目を開けると、泪が羽織っていたジャケットを脱いで私に被せた。あらわになっていた胸が隠れ、少しだけほっとすると目から涙が零れ落ちた。

「間に合った?!」
「泪……さ……うん……うん……っ!」

 泪にネクタイをほどかれて手が自由になると、泪に手を伸ばした。その手を掴んで私を引き寄せた泪はギュッと強く抱きしめてくれて、そのまま抱き上げる。泪が身体の向きを変えると、前嶋の鋭い目とスーツを着た二人の男が目に入る。
 誰だろうと思っていると、二人の男はジャケットから小型の手帳を出してそれを開いた。その小型の手帳は警察官を示す身分証明書だったので安堵する。
 泪は「あとをお願い」とそのまま歩き出したけれど、私を見た警察官がすれ違いざまに「下に婦人警官がいますのでお話を……」と言って動きだした。泪はそのまま扉をくぐり抜け、玄関を出る。

「拉致監禁と婦女暴行の現行犯で逮捕します」
「婦女暴行?! 違うっ! 俺は…………」

 扉が閉まる瞬間、小田桐のそんな言葉が聞こえた。


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