オカマ上司の恋人【R18】

饕餮

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泪視点

Singapore Sling

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 圭に指輪を見せてもらっていた未来の義弟妹の反応は様々だったが、上の二人は目を丸くして驚き、一番下はよくわかっていないのかきょとんとしていた。まぁ、まだ小学生だというから無理もない話だが。

 そのうち上の義弟である翼が「格ゲーしよう」と誘ってくれたのでしばらく二人で遊んでいたのだが、途中で参戦した下の義弟である葵を交えて、格闘ゲームだけでなく葵もできるボードゲームやトランプなどをしてさんざん遊んだ。
 俺自身が一番下なために最初はどう接していいかわからなかったが、遊んでいるうちにいつの間にか二人に溶け込めていた。未だに口は悪いものの、義妹の真琴も認めてくれているようだった。
 在沢家を辞したあとでの車中で、思わず「あー……疲れた……」と本音が出てしまったが、「お疲れ様」と圭に労われた。それだけで疲れがとれる。

「でも楽しかったわ」
「それはよかったです。ところで、どこに向かってるの? 自宅の方向じゃないみたいだけれど……」
「ん? アタシの実家。今朝言わなかったかしら?」

 話しながらも車はしつかり発車させる。本当は在沢家に一泊してから実家に向かうつもりだったのだが、事前に「今年は泊まり客があるから」と言われていたためギリギリまで在沢家に居させてもらい、その足で実家に向かうことに決めたのだ。

「でも、いいのかな……私なんかが行っても……」

 不安そうに呟く圭に、姉たちや父が『絶対に連れてこい』って言ったこと、俺の婚約者なんだから私なんかって言わないのと話して圭の不安を和らげるも、圭は不安そうに膝に乗せている紙袋を掴んでいた。


 ***


「さあ、ついたわよ」
「…………」

 車をガレージに入れたあとで、自分と圭の荷物を持って玄関まで案内をしたのだが、家を見上げた圭は何に驚いたのか、あんぐりと口を開けている。

(もう……そんな顔して……。でも可愛い!)

 今すぐキスをして押し倒したい衝動にかられるが、今はまだ我慢する。何に驚いたのか圭が一歩足を引いたので、手をガシッと掴み

「今更逃げるのはナシよ」

 と釘を刺し、手を握ったまま圭を引いて玄関をくぐり「ただいま」と声をかけた。
 奥からパタパタと走る音がしたかと思うと、瑠香が現れた。

「お圭ちゃん、いらっしゃい!」

 と言っていきなり圭を抱き締めた。

(また?! またなの?!)

 さすがにいい加減にしてほしいと思い「姉さん! お圭ちゃんはアタシのよ!」と圭をぐっと引き寄せると瑠香が顔をしかめた。

「泪のケチ!」
「ケチじゃないわよ!」

 イライラしながらそう言うが、そのへんは姉弟の気安さか、瑠香も容赦がない。

「ふん! まぁ、いいわ。改めて……いらっしゃい、お圭ちゃん」
「こんばんは、瑠香さん。お招きありがとうございます」
「いいのよ。さあ、堅苦しい挨拶はナシ! あがってちょうだいな」
「はい。お邪魔します」

 俺を無視して話す二人に多少苛つくものの、圭が嬉しそうだからいいかと思い直し、圭と一緒に瑠香のあとをくっついて行くと、座敷に通された。
 荷物を置くために腰を少し屈めると、立っている圭が目に入る。先に座っていればと言おうとして足が悪いことを思い出し、自分の失態に気付くが後の祭だ。
 「あっ」と声を出し、部屋を出て行こうとした瑠香を呼び止め、部屋を変えてくれるように頼むと、一瞬変な顔をしたものの瑠香も思い出したのか「ごめんなさい、失念してたわ!」とパタパタと走り去って行った。

「一旦座りましょ? 足を伸ばしたままでいいからね?」

 優しくそう言うと、圭は申し訳なさそうな顔をして俯いてしまった。

「ごめんなさい……」
「どうして謝るの?」
「だって……」

 圭がゆっくりと腰を下ろしながら足を伸ばして座ったのを確認すると、圭の後ろに座り込み抱き締めた。

「ちょっ……泪さん!」

 圭の慌てた声に悪戯心が芽生える。

「背もたれ代わりよ。寄っ掛かって」

 そう言って圭をぐっと引き寄せ、両方の胸をわし掴む。

「でも……んっ」
「昨日は触れられなかったから、ちょっと触れるだけよ」
「あ……っ」

 そういえば昨日だけじゃないんだっけ……と思ながら、圭の胸を堪能するように円を描くようにゆっくり回しながら揉み、首筋に舌を這わせるが、遠くでパタパタと言う音が聞こえ始めたために内心で溜息をつき、胸を愛撫するのを諦める。

「あら残念……時間切れ。今夜は、この数日分もたっぷり可愛がってあげるからね♪」

 胸から手を離してお腹の辺りで手を組むと、チュッと頬にキスを落とす。それと同時に「お待たせ」と言って瑠香が入って来たが、俺たちを見て目を眇た。

「泪……イチャついてないで、一緒に来なさい」
「いいじゃないの、婚約者同士なんだから」
「皆の目のやり場に困るから言ってんのよ」
「ハイハイ、申し訳ございませんでした! 行きましょ? お圭ちゃん」

 まったく! イチャつくくらいいいでしょ?! と思いつつも立ち上がり、圭をひょいと持ち上げて立たせ、荷物を持ち上げる。それと同時に「用意はいいかしら? はい。じゃあ出発ー!」と瑠香の声がかかり、二人でまた瑠香のあとをくっついて行った。
 着いた先は皆が寛ぐための居間で、ソファーには穏やかな顔をした両親が座っていた。


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