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閑話 桜にくっついて来た人々のあれこれ
……と言うわけなのですよ
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バタバタしている謁見の間からあの塔にいた若いお兄さんとおじさんに案内されて連れてこられたのは、応接室っぽい感じの部屋だった。その部屋の前にも騎士が二人いて、お兄さん達と何やら話したあとで中に入れてくれた。
キョロキョロ見回したい衝動にかられつつもまだカムイの躰に入っているからどうしていいか判らず、ぴったりと私の身体に入っているカムイの後に続くと、立ち止まったカムイの隣に座る。
視線だけ動かして室内を見回せば、何やら話しかけたくて仕方がない様子のアストとレーテ、レーテの隣には王太子のクレイオン、クレイオンとレーテの後ろにはヤグアスとお兄さんがいる。そしてアストの後ろにはデューカスとミュラとハンナ、私とカムイの後ろにはジェイドとマクシモス、扉の側にはおじさんがいる。……随分大所帯ですな。
護衛騎士役達や侍女役達、近衛騎士達はともかく、アスト達は座っていいのか判らないらしく所在なさげに立っている。他国にいるんだから、いくら他国の王妃と言えど勝手に座っちゃダメってことなんだろうか。
……貴族とか王族の仕来たりは、現代ニッポンから来た私にはよく判らん。
そして王宮に来る前にアストやレーテ、クレイオンに聞いてみたものの、未だに侍女さんと女官さんの区別が判らん。
それはともかく、この国の王太子夫妻がいるんだから二人が座るように言うか先に座ればいいんじゃないの? とは思うものの、二人が何の行動を起こさないからどうしようもなく、他国の王妃(元だけど)と帝国の皇弟がいるんだから気を使えや! と思ってみても、カムイみたいに話すことが出来ないので黙って座ってる。……念話って手段はあるけど、使い慣れていないせいか凄く疲れるんだよ、あれ。
そうこうするうちに王様と王妃様が来て王様が座るように促したことから、この応接室みたいな部屋が王様たちのプライベートスペースなんだろうと思った。促された王族達四人は漸く座ることが出来たみたいでいくらかホッとしてたみたい。
その後、侍女さん? 女官さん? らしき人が王族の皆様に紅茶を配ってた。いいなあ……私も喉乾いたよ。それなりに緊張していたようで、無性に水分が欲しいんだよね。
ただね……私はいつまでカムイの躰に入っていればいいんだろうか。
カムイ自身は忘れてるわけじゃなさそうだけど、私にはカムイの使う術みたいなのは使えないし、妙に緊張感漂う中でカムイに話しかけるのも躊躇われる。
「カムイ様、説明して頂けるのかしら?」
紅茶を飲んで一息ついたのか沈黙を破り、おずおずといった感じで話しかけたのはアストだった。
「説明致しますが……その前に戻らないと」
「戻る?」
カムイの言葉に全員が首を傾げるものの、カムイはそれに答えることなく小さな声で何かを呟きながらカムイの躰に入っている私の頭に手を乗せると、低かった視線が見慣れた高さになる。
「……あ、戻った! いやー、フェンリルの視線の高さも新鮮だったけど、やっぱ見慣れた視界の方がいいわー」
両手を組んで上に伸ばせば、背中の骨がパキパキと鳴る。ふう、と息を吐いて周りを見れば、周囲は固まっていた。
「…………あれ?」
「サクラ、ですの?」
「うん」
「カムイ様、ではなく?」
「うん」
どこか呆然としながら聞いて来たアストに素直に返事をすると、更に周囲は混乱する様子を見せていた。常に無表情で無口なマクシモスですら目を泳がせているんだから、よっぽど混乱しているらしい。もちろん、こっちの事情を一切知らない国王様サイドは推して知るべし、である。
「ヴォールクリフ殿、ではないのか……?」
「うーん……そうであり、そうでなく、と言った感じなんですが……カムイ、説明宜しく!」
アスト同様に呆然としながらも聞いて来た王様に、私はどんなカラクリになっているかなんて判るわけないし、カムイと呼んだフェンリルに向かって私が説明を丸投げしちゃったもんだから、余計混乱したみたいで。
そんな様子を見ていたカムイは、丸投げされたことに私に一瞥をくれると、溜息をついてから何やら呟く。
えー、いいじゃないか、カムイサン。そもそも説明すると言ったのはあんたでしょーが。
お母さんがいたら「お父さんに向かって『あんた』なんて言わないの!」って軽く頭を叩かれそうだ。
呟きが終わると、フェンリルの躰から私そっくりの男性……本物のヴォールクリフが現れて更にその場が混乱。しかもシュタールから『これから王妃がそっちに行くから宜しくね!』的な手紙が予定通り遅れてシュタール王から来ちゃったもんだから余計混乱して結局収拾がつかず、落ち着いてから話した方がいいだろうということで解散となった。
因みに、カムイはまたフェンリルに戻った。
……ご苦労様でした、お父さん。
***
「……と言うわけなのですよ」
「それでは、貴方は本当にヴォールクリフ殿か……」
「ええ」
カムイ……もとい。フェンリルの姿から帝国皇弟ヴォールクリフの姿に戻ったカムイから説明を受けた人々は昨日と同じ部屋に集められ、王様をはじめとした王族達に出された紅茶やコーヒーやお菓子を飲んだり摘まんだりしながら、カムイの話を聞いていた。メンバーも昨日と同じである。私はその席に座ることを拒否したんだけど、両サイドをアストとレーテにがっちり固められた状態で無理矢理座らされ、嫌々ながらもご相伴に預かっている。
王宮で出されるものだけあって、コーヒーもお菓子も美味しい。
基本的なことはアストが説明した通りだけど、それに補足する形でカムイがヴォールクリフであること、あの塔で妻が殺されるのを目撃したこと、幻影の『リーチェ』が過去にこの王宮に連れて来ていた自分の娘であること、自分がアストやレーテがいた神殿に預け、姿を隠しながら完全に追っ手がつかなくなったら迎えに行くつもりだったことなど(私とカムイが入れ替わっていたのは敢えて話さなかった)を色々端折って話した。
そして、レーテ達をあの塔から救い出したのが私だと暴露した後、あのおじさんとお兄さんは私を思いっきりガン見していた。
因みに、お兄さんは王太子夫妻付きの近衛騎士で、おじさんは近衛の騎士団長さんで両陛下付きなんだそうな。
後日、街で偶然二人に会って聞いた話だけど、周りがおかしくなり始めた頃、王様に『何かあったときは王太子夫妻を護れ』と言われていたらしい。まあ、クレイオンとヤグアスが酷い怪我を負ってたもんだから、それを見て正気に返ったおじさんとお兄さんは相当焦ったらしい。
んで、やっぱりというか、王宮を出たら操られていたのが綺麗さっぱり消えて、怪我をした二人のために傷薬を食事に混ぜてたいらしいんだけど、傷薬自体が作り方を習いたてだったらしい初級巫女が作ったものだったらしく、あまり効き目がなくてこのままでは危ないと危機感を募らせていたところに賊が侵入、三人が消えていたんだそうな。
それはともかく、おじさんに「塔からどうやって三人を連れ出した」とカムイに聞いてたんだけど、犯人は私だと暴露したカムイに、二人の近衛騎士と他にもいた近衛騎士に怪訝そうに見られた。
「どういうことだ」
「……身なりが汚れてた、お腹を空かせた少年。知ってますよね?」
「……え」
「まさか……」
今の私の格好は、王宮にいるからということで、昨日の男装や道着ではなく一応ドレスを借りて着ているのだ、が。
「『ご飯、俺がほとんど食べちゃってごめんなさい。あと、俺が作ったご飯、美味しかった?』」
あの時と同じ低い声で話すと、おじさんとお兄さんは目をまん丸にしながら固まっていた。
「……どうやって助けた」
「実は、あのご飯に入ってたボレの中に、ネムリダケという単に眠らせるだけの食材を入れたんですよ。で、おじさん達が眠っている間に塔から出しました」
「鍵は……」
「塔の入口は無用心にもかかっていませんでしたが、部屋の方はおじさん達が眠った後で合流した人が斬りました」
「……冷めてた食事は」
「ネムリダケ抜きでもう一度作り、同じような場所にお皿を配置しておき、眠りから醒める頃を狙って起こしました。因みに、ネムリダケ入りのは塀の外に穴を掘り、その中に埋めましたよ」
嘘を言っても仕方がないので、多少端折りはしたもののありのまま伝えると、近衛騎士の二人は目を泳がせた後で頭を抱えた。
いやー、本当にごめん。あの時は味方かどうかも判らなかったし、優先順位はレーテ達だったんだから、許してくれ。だが、反省も後悔もしてない。
その後は他愛もない話をしたあと、お昼前に王宮を辞すことになった。その帰り際に早朝にあの女性に毒を飲ませたこと、今後このようなことが起きないようにするために法改革をすることにし、法改革が終わるまで第三王子は幽閉、法改革後に処遇を決めることにしたと、自身も忙しいだろうに、忙しい王様に変わって宰相様が伝えに来た。
カムイは冷めた目で「そうですか」と言っただけで、宰相様に一瞥をくれることなく返事をしていた。
数日後、レーテからアストに向けた手紙には三日間で法改革の原案を作り、きちんと法整備が終わるまでは第三王子の処遇はレーテ達が幽閉されていた塔に幽閉決定、鍵を厳重にかけた上で監視をつけるそうだ。もちろん、塔の入口の鍵もかけることにしたらしい。
それはともかく、実はずっと気になっていることがある。王妃として数年間過ごしたアストの口は、嫁ぐ前の神殿にいた時から固かった。なのに、最初の手紙はともかく、口の固いアストが私の家の場所を簡単に喋ったりするなんてあり得ない。
だからアストではなく、その時一緒にいた人物に突撃しようと思う。
「ジェイド、マクシモス。二人に話があるんだけど、家に寄っていってくれない?」
にっこり笑った私に、ジェイドとマクシモスは何故か目を泳がせながらも頷いた。
キョロキョロ見回したい衝動にかられつつもまだカムイの躰に入っているからどうしていいか判らず、ぴったりと私の身体に入っているカムイの後に続くと、立ち止まったカムイの隣に座る。
視線だけ動かして室内を見回せば、何やら話しかけたくて仕方がない様子のアストとレーテ、レーテの隣には王太子のクレイオン、クレイオンとレーテの後ろにはヤグアスとお兄さんがいる。そしてアストの後ろにはデューカスとミュラとハンナ、私とカムイの後ろにはジェイドとマクシモス、扉の側にはおじさんがいる。……随分大所帯ですな。
護衛騎士役達や侍女役達、近衛騎士達はともかく、アスト達は座っていいのか判らないらしく所在なさげに立っている。他国にいるんだから、いくら他国の王妃と言えど勝手に座っちゃダメってことなんだろうか。
……貴族とか王族の仕来たりは、現代ニッポンから来た私にはよく判らん。
そして王宮に来る前にアストやレーテ、クレイオンに聞いてみたものの、未だに侍女さんと女官さんの区別が判らん。
それはともかく、この国の王太子夫妻がいるんだから二人が座るように言うか先に座ればいいんじゃないの? とは思うものの、二人が何の行動を起こさないからどうしようもなく、他国の王妃(元だけど)と帝国の皇弟がいるんだから気を使えや! と思ってみても、カムイみたいに話すことが出来ないので黙って座ってる。……念話って手段はあるけど、使い慣れていないせいか凄く疲れるんだよ、あれ。
そうこうするうちに王様と王妃様が来て王様が座るように促したことから、この応接室みたいな部屋が王様たちのプライベートスペースなんだろうと思った。促された王族達四人は漸く座ることが出来たみたいでいくらかホッとしてたみたい。
その後、侍女さん? 女官さん? らしき人が王族の皆様に紅茶を配ってた。いいなあ……私も喉乾いたよ。それなりに緊張していたようで、無性に水分が欲しいんだよね。
ただね……私はいつまでカムイの躰に入っていればいいんだろうか。
カムイ自身は忘れてるわけじゃなさそうだけど、私にはカムイの使う術みたいなのは使えないし、妙に緊張感漂う中でカムイに話しかけるのも躊躇われる。
「カムイ様、説明して頂けるのかしら?」
紅茶を飲んで一息ついたのか沈黙を破り、おずおずといった感じで話しかけたのはアストだった。
「説明致しますが……その前に戻らないと」
「戻る?」
カムイの言葉に全員が首を傾げるものの、カムイはそれに答えることなく小さな声で何かを呟きながらカムイの躰に入っている私の頭に手を乗せると、低かった視線が見慣れた高さになる。
「……あ、戻った! いやー、フェンリルの視線の高さも新鮮だったけど、やっぱ見慣れた視界の方がいいわー」
両手を組んで上に伸ばせば、背中の骨がパキパキと鳴る。ふう、と息を吐いて周りを見れば、周囲は固まっていた。
「…………あれ?」
「サクラ、ですの?」
「うん」
「カムイ様、ではなく?」
「うん」
どこか呆然としながら聞いて来たアストに素直に返事をすると、更に周囲は混乱する様子を見せていた。常に無表情で無口なマクシモスですら目を泳がせているんだから、よっぽど混乱しているらしい。もちろん、こっちの事情を一切知らない国王様サイドは推して知るべし、である。
「ヴォールクリフ殿、ではないのか……?」
「うーん……そうであり、そうでなく、と言った感じなんですが……カムイ、説明宜しく!」
アスト同様に呆然としながらも聞いて来た王様に、私はどんなカラクリになっているかなんて判るわけないし、カムイと呼んだフェンリルに向かって私が説明を丸投げしちゃったもんだから、余計混乱したみたいで。
そんな様子を見ていたカムイは、丸投げされたことに私に一瞥をくれると、溜息をついてから何やら呟く。
えー、いいじゃないか、カムイサン。そもそも説明すると言ったのはあんたでしょーが。
お母さんがいたら「お父さんに向かって『あんた』なんて言わないの!」って軽く頭を叩かれそうだ。
呟きが終わると、フェンリルの躰から私そっくりの男性……本物のヴォールクリフが現れて更にその場が混乱。しかもシュタールから『これから王妃がそっちに行くから宜しくね!』的な手紙が予定通り遅れてシュタール王から来ちゃったもんだから余計混乱して結局収拾がつかず、落ち着いてから話した方がいいだろうということで解散となった。
因みに、カムイはまたフェンリルに戻った。
……ご苦労様でした、お父さん。
***
「……と言うわけなのですよ」
「それでは、貴方は本当にヴォールクリフ殿か……」
「ええ」
カムイ……もとい。フェンリルの姿から帝国皇弟ヴォールクリフの姿に戻ったカムイから説明を受けた人々は昨日と同じ部屋に集められ、王様をはじめとした王族達に出された紅茶やコーヒーやお菓子を飲んだり摘まんだりしながら、カムイの話を聞いていた。メンバーも昨日と同じである。私はその席に座ることを拒否したんだけど、両サイドをアストとレーテにがっちり固められた状態で無理矢理座らされ、嫌々ながらもご相伴に預かっている。
王宮で出されるものだけあって、コーヒーもお菓子も美味しい。
基本的なことはアストが説明した通りだけど、それに補足する形でカムイがヴォールクリフであること、あの塔で妻が殺されるのを目撃したこと、幻影の『リーチェ』が過去にこの王宮に連れて来ていた自分の娘であること、自分がアストやレーテがいた神殿に預け、姿を隠しながら完全に追っ手がつかなくなったら迎えに行くつもりだったことなど(私とカムイが入れ替わっていたのは敢えて話さなかった)を色々端折って話した。
そして、レーテ達をあの塔から救い出したのが私だと暴露した後、あのおじさんとお兄さんは私を思いっきりガン見していた。
因みに、お兄さんは王太子夫妻付きの近衛騎士で、おじさんは近衛の騎士団長さんで両陛下付きなんだそうな。
後日、街で偶然二人に会って聞いた話だけど、周りがおかしくなり始めた頃、王様に『何かあったときは王太子夫妻を護れ』と言われていたらしい。まあ、クレイオンとヤグアスが酷い怪我を負ってたもんだから、それを見て正気に返ったおじさんとお兄さんは相当焦ったらしい。
んで、やっぱりというか、王宮を出たら操られていたのが綺麗さっぱり消えて、怪我をした二人のために傷薬を食事に混ぜてたいらしいんだけど、傷薬自体が作り方を習いたてだったらしい初級巫女が作ったものだったらしく、あまり効き目がなくてこのままでは危ないと危機感を募らせていたところに賊が侵入、三人が消えていたんだそうな。
それはともかく、おじさんに「塔からどうやって三人を連れ出した」とカムイに聞いてたんだけど、犯人は私だと暴露したカムイに、二人の近衛騎士と他にもいた近衛騎士に怪訝そうに見られた。
「どういうことだ」
「……身なりが汚れてた、お腹を空かせた少年。知ってますよね?」
「……え」
「まさか……」
今の私の格好は、王宮にいるからということで、昨日の男装や道着ではなく一応ドレスを借りて着ているのだ、が。
「『ご飯、俺がほとんど食べちゃってごめんなさい。あと、俺が作ったご飯、美味しかった?』」
あの時と同じ低い声で話すと、おじさんとお兄さんは目をまん丸にしながら固まっていた。
「……どうやって助けた」
「実は、あのご飯に入ってたボレの中に、ネムリダケという単に眠らせるだけの食材を入れたんですよ。で、おじさん達が眠っている間に塔から出しました」
「鍵は……」
「塔の入口は無用心にもかかっていませんでしたが、部屋の方はおじさん達が眠った後で合流した人が斬りました」
「……冷めてた食事は」
「ネムリダケ抜きでもう一度作り、同じような場所にお皿を配置しておき、眠りから醒める頃を狙って起こしました。因みに、ネムリダケ入りのは塀の外に穴を掘り、その中に埋めましたよ」
嘘を言っても仕方がないので、多少端折りはしたもののありのまま伝えると、近衛騎士の二人は目を泳がせた後で頭を抱えた。
いやー、本当にごめん。あの時は味方かどうかも判らなかったし、優先順位はレーテ達だったんだから、許してくれ。だが、反省も後悔もしてない。
その後は他愛もない話をしたあと、お昼前に王宮を辞すことになった。その帰り際に早朝にあの女性に毒を飲ませたこと、今後このようなことが起きないようにするために法改革をすることにし、法改革が終わるまで第三王子は幽閉、法改革後に処遇を決めることにしたと、自身も忙しいだろうに、忙しい王様に変わって宰相様が伝えに来た。
カムイは冷めた目で「そうですか」と言っただけで、宰相様に一瞥をくれることなく返事をしていた。
数日後、レーテからアストに向けた手紙には三日間で法改革の原案を作り、きちんと法整備が終わるまでは第三王子の処遇はレーテ達が幽閉されていた塔に幽閉決定、鍵を厳重にかけた上で監視をつけるそうだ。もちろん、塔の入口の鍵もかけることにしたらしい。
それはともかく、実はずっと気になっていることがある。王妃として数年間過ごしたアストの口は、嫁ぐ前の神殿にいた時から固かった。なのに、最初の手紙はともかく、口の固いアストが私の家の場所を簡単に喋ったりするなんてあり得ない。
だからアストではなく、その時一緒にいた人物に突撃しようと思う。
「ジェイド、マクシモス。二人に話があるんだけど、家に寄っていってくれない?」
にっこり笑った私に、ジェイドとマクシモスは何故か目を泳がせながらも頷いた。
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