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シュタール編
今……桜って言った……?!
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あれから四日たった。
その内の三日間私はひたすら眠り続け、お腹が空いて目が覚めたらユースレスの問題以外はほとんど終わっていたのには驚いた。
アストを助けたと言うよりも、アストに利用……もとい。巻き込まれた感じがしなくもないが、とりあえず黙っておく。今はアスト、私、布にくるまれた王子達、ルガトが馬車の中にいる。馬車の外にはカムイ、デューカス、ルガトの護衛騎士二人が馬車を守っていた。
私が王子達を癒したり、癒し疲れて眠りこけている間に、王様やルガトはベアトリーチェとその叔父を調べ上げていた。
ルガト曰く、ベアトリーチェの叔父は、この国では珍しく選民意識の強い人だった。自分よりも高い地位にある者には媚へつらい、下にある者は見下していた。当然の事ながら、神殿関係者も見下していたらしい。
そんな中、彼の姪を含む三人が王妃候補として王太子の後宮に入った。元々姪と王太子は恋仲であると噂があったし、王も王太子もそのつもりで王妃教育を始めようとその準備をしている矢先に横槍が入った。『ユースレスにいる今代の最高位の巫女は三人いる。過去にも巫女を王妃を迎えた記録がある。それならば、巫女を王妃に迎えてはどうか』、と。
その場にいた人は、姪の父親――自分の兄を含めて誰も反対しなかった。いや、王太子は反対を示していたが、結局は『是』と頷いた。王と王太子との間で何らかのやり取りをし、それを納得した上で巫女を王妃に迎えたらしい。機密扱いになるからかその辺の詳しいことは教えてもらえなかったが。
その話は兄を通してすぐに彼に伝わった。彼は『巫女ごとき平民の女を、何故王妃に迎えねばならい!』と激昂したが、兄は逆に『現王妃を愚弄するのか!』と弟を叱りつけた。当時の王妃が平民だったのは有名な話だったし、シュタール自体がそれほど身分を気にしない国風だったからだ。
貴族は貴族、平民は平民。だが、税を納める領民や国民がいなければ、貴族も、王族ですらも暮らしてはいけない。そして、貴族も王族も、何らかの形で領民や国民に感謝を捧げてしるし、領民に混じって働いている貴族もいる。それを、この叔父は全く判っていなかったらしい。
叔父の言葉は瞬く間に社交界に広がりをみせ、いつしか王の耳にも入り、叔父にその罪を償わせるつもりでいたが逃亡。必死に探したものの何処に隠れているのかわからず、二年半も過ぎた頃ほとぼりが冷めたと思ったのか、叔父の姿があちこちで目撃され始めた。
王は王太子に位を譲ったとは言え未だに健在であり、叔父の罪は未だに許されてはいない。逃亡したことで更に罪が重くなっている。姿を現し始めたのならと慎重に事を運び、叔父を捕まえる算段が整ったころ、王妃と寵姫の周辺で異変がおき始めた。
王妃や他の側室に付いていた神官はそのままなのに、寵姫に付いていた中級以上の神官がいなくなった。理由を問えば、『『滅びの繭 』が着くような危ない寵姫など、国を滅ぼしかねない』と言う。
それを聞いたルガトは焦った。過去の文献によると別の国でも同じようなことがあり、いくつも滅んでいたからだ。神官と一緒に王に進言をしても、一笑に伏すばかりで埒があかない。それでもしつこく進言し、渋々ながらも王妃周辺や寵姫周辺のことを調べる許可をもらうと、まず寵姫周辺から調べ始めた。
調べ始めた途端に寵姫周辺で叔父の影がちらつき、寵姫の部屋をこっそり調べれば即効性の毒と遅効性の毒が出てくる。調べる度に毒が減っていることから使われているのは一目瞭然だが、別の話題からそれとなく王妃に問えば、『浄化してから飲んだり食べたりしている』と言われて安堵する。
理由を問えば、納得の行く答えだったから一先ず安心するも、油断は出来ない。それに、遅効性の毒が誰に使われているのかもわからないため、安心は出来なかった
一方のベアトリーチェも、調べれば調べる程埃が出てきた。叔父が見つからなかった二年半、ベアトリーチェは叔父のついた嘘を信じ、側室や王家の者しか使えない王領に叔父を隠していた。それだけでも罪は重いのに、彼女は自分にとって心地よい叔父の甘言に耳を傾け、王の寵愛を独り占めしているにも拘わらず、それ以上を……王妃の座を求めた。そして、それ以上の贅沢も。
だが、王はそれに頷くことなく、側室という立場のままベアトリーチェを愛した。それ故に、ベアトリーチェは自分の立場も忘れ、どんどん我儘になって行った。王妃のアストリッドよりも先に、そして数多く王に抱かれているにも拘わらず、自分よりも先に王妃が子供を二人産んだという嫉妬心からかも知れない。
最高位の巫女がどんな存在かをきちんと聞いていなかったベアトリーチェは、『王妃を亡き者にすれば、寵姫のお前が王妃になれる。王子達を亡き者にすれば、自分の子供が王位につける』と言った叔父の甘言に耳を傾け、叔父がくれた毒をお茶会の席で王妃に盛った。
だが、たった一滴で死ぬと聞かされていた毒を王妃に盛っても王妃は死なない。それならばと王妃付きの侍女の婚約者をその毒の効能を確かめるために毒を使って殺し、泣いている侍女に近付いて『婚約者を殺したのは王妃だ』と嘘をついて王妃を憎むよう仕向け、毒味が終わった後でこれを使えば復讐が出来ると毒を渡して使わせたものの、それでも王妃は死ななかった。
ならば王子達を先に殺そうと、王が雇った乳母達の家族を監禁して『王や王妃に言ったり、いうことを聞かなければ家族全員を殺す』と脅し、王子達に毒を盛らせようとしたものの、乳母達は一向に毒を盛らない。それならばと、乳母達が持っていたミルクと王子達を奪い、それに遅効性の毒を数滴混ぜて飲ませた。
乳母達は家族が殺されてしまうかも知れない恐怖と戦いながら、毒入りミルクを王子達に飲ませないよう、監視の目を潜り抜けながら毒が入っていないミルクを飲ませ、ベアトリーチェや監視が側にいる時は、本来入れる筈の毒の量を一滴だけ入れて残りはこっそりと捨てて王子達にミルクを飲ませていたらしい。
謁見の間の出来事は、監視者にせっつかれて仕方なくミルクを飲ませ、監視者やベアトリーチェの目を欺く為の演技だったらしい。……すっかり騙された。二人には悪いことしたな、と胸が痛かったが。
――ルガトは『そんなことが表沙汰になれば、愛想をつかされるだけなんですがね。狂ってるとしか言いようがありません』とぼやいていた。
結局、叔父は前王妃に対する不敬罪もあって即日処刑され、ベアトリーチェは侍女の前で自分が婚約者を殺したことを白状させられた後、王様に許しを願って手を伸ばしても一瞥されることもなかった。
そして叔父を王宮に勝手に手引きし招き入れたこと、王領の無断使用、王妃暗殺未遂、二人の王子暗殺に関わったとして、ベアトリーチェもまた即日処刑された。
侍女は、ベアトリーチェに利用されたことを知り、王妃暗殺未遂に関わったことを王様とアストに詫び、アストに許され止められたにも拘わらず、隠し持っていた毒を含んで自殺してしまった。
そして王子達の乳母は毒を飲ませたものの『滅びの繭』の量や毒を飲ませた回数、家族の命を盾に脅されていたことで情状酌量され、王宮の乳母を辞めることを処罰とした。乳母達の家族は監禁先でかなり衰弱してはいたものの無事に保護され、助け出された。
因みに乳母達はルガトの屋敷で侍女として雇いいれる事こととなり、そこで一生懸命働いているという。
乳母達はともかく侍女は正直に話したし、アスト達に許されたんだから自殺しなくてもいいんじゃないのかなとも思ったりもした。
だが、ルガトによると両親は他界している上に婚約者も殺され、王宮に留まろうと王宮を辞めようと王妃暗殺未遂に関わったという話は何処に行っても付いて回るといったことから、一生そんなレッテルを貼られるよりは……と思ったのかも知れない。
……今となってはもう判らないが。
アストも王と話し合い、王子達の状態と女神の託宣から離婚が受理された。王子たちの亡骸は『王墓ではなく自分の故郷で……』と願ったアストに、王様は苦しそうな、辛そうな、悲しそうな顔をしながらも全てを了承したと、私はご飯を食べながらルガトやアストから全てを聞かされた。
その後、事件以降ずっと王宮に留まっていたルガトが「一旦屋敷に帰ります」と言い、ついでにアスト達は自分の屋敷に暫く滞在させ、私とカムイをデューカスの屋敷まで送ると言ったので、現在はルガトが用意した馬車の中にいると言うわけだった。
「それにしても……良かったんですか?」
「何がですかな?」
「王様。二人の王子とアスト、寵姫までいなくなってかなり沈んでましたけど」
「構いませんよ。散々私どもが苦言を呈したのに、それにずっと耳を貸さなかった罰です」
「……それは手厳しいですね」
ルガトの言葉に苦笑しながらも、私は笑っている王子達の紅葉の手をつつきながら、四日前の……眠る直前のことを思い出す。
――あの日。枕に突っ伏して肩を震わせていた私は、ぶっちゃけた話、大声で笑っていた。
アストとルガトの女優・俳優っぷりがあまりにも可笑しくて。しかも二人共王様に負けず劣らず悲壮感たっぷりな顔をしていたし、扉の中から聞こえたアストの泣き声は本当に泣いているように聞こえたから、笑いを堪えていたのだ。
近衛騎士さんと話している時も、女官さんが部屋に案内してくれている時も、唇を噛んで笑いを耐えていた。おかげで唇は泣くことを耐えるように震わせることも出来たし、笑っちゃいけないと思ったからそれに耐えるように眉間に力を入れていたから涙目にもなり、近衛騎士さん達に泣いていると思わせる事が出来た。
カムイに『気付かれたらどうする』と何度も怒られたが、一人にしてくれと女官さんに言ったためかいつの間にか寝ていた私が起きた後で「その日の夜は誰もこなかった」とカムイが教えてくれた。
そもそも、王子達を死んだことにしたいんですが、と言ったのはルガトだった。
『意味が判りません』
『ベアトリーチェ様の周辺で不穏な動きがあると報告を受けましたので、私が陛下に何度も『ベアトリーチェ様やアストリッド様の周辺に気を配って下さい』と仰っても、『判った』と仰るだけで何も行動を起こさなかったんですよ』
『……』
『『滅びの繭』の話をしても一向に信じない。ご自分のお子だというのに、王子達に会うのも七日に一度。アストリッド様の妊娠中に、アストリッド様の公務の一つである孤児院訪問をベアトリーチェ様に頼めばすっぽかす。その話を陛下にしても、陛下は信じなかったのですよ。まあ、動けるようになったアストリッド様が孤児院に行った後、『孤児院に誰も行ってないと伺いましたがどういうことですの?! わたくし、陛下にもルガト様にも、子供達のためのものをきちんと届けて下さいとお願い致しましたわよね?!』と言われて、初めて私の話が本当だったと気付いたようですが。その後からですよ、私がベアトリーチェ様を調べ始めたのは。証拠も揃い、どうやってベアトリーチェ様を捕縛しようかと考えていた矢先に、アストリッド様がセレシェイラ殿をお連れしてあのような結末を迎えたのは、私にとって嬉しい誤算でしたね』
『…………』
『ですので、セレシェイラ殿。私は陛下にお灸を据えたいので、是非とも協力して頂きたいんですが』
やっぱり意味が判らんと思いつつも、にこやかに笑ったルガトの背後には何故かドス黒いオーラが見え隠れしていて、私は頷くことしか出来なかった。だからと言って私には……いや、巫女には人を殺すような術を持っているわけでも、王子達の癒しを中断することも出来ない。そう言うと、ルガトは
『我が家には、仮死になって敵を欺くための薬がありましてね。仮死と言っても、浅く呼吸しながら深く眠るだけの薬で、上級以上の巫女様が浄化をすればすぐに解ける薬です』
と、王子達を見た。
『……それを王子達に、私が飲ませろと言うんですか?』
『いいえ。薬は私が飲ませます。セレシェイラ様は王子達をきちんと癒し、癒しが終わったら私に教えて下さい』
『教えるのは構いませんけど……。尤も、あと少し癒せば、王子達は全快しますよ』
『でしたら、次に私が王子達のところに訪ねて来るまで癒して頂けますか?』
『……その前に、聞きたいんですが』
『なんでしょう?』
『アストが王様にどんな話をするとか、聞いていますか?』
私がそう聞くと、ルガトは私に目を向けて『知っています』と頷いた。
『託宣の通り王子達をアストリッド様に返し、貴女達も一緒に王宮を無事に出るためには、この方法しかないんです』
辛そうな顔をしたルガトに、私は内心溜息をつきながらも『判りました』と苦笑しながら言った。
『ただ、私も巫女の力を相当使っていますし、この二日間全く眠っていませんから、一度寝てしまったらいつ起きるか判りません。それでよければ』
『ええ、構いません。後は私がなんとかします』
話し終えたルガトは席を立ち、次の日の深夜近くまで顔を出さなかった。ルガトが深夜近くなって顔を出した頃、王子達を癒し終えていた私はそのまま黙って頷くと王子達の側を離れ、ルガトに場所を譲ると、ルガトは隠し持っていたミルクを二人の王子達に飲ませて王子達を眠らせた。
それを確認して頷いたルガトに、私はわざと慌てた声で『ルガトさん、王子達の容態が……!』とルガトと場所を変わってそう言うと、ルガトは慌てた様子で王様とアスト、侍医を呼びに行った隙に、手遅れだと言う顔をして待っていたのだ。因みに、王子達の浄化をしたのはアストである。
「食えないおっさんだよね、ルガトさんて」
「だからこそ、宰相なんかをやっているんです」
「……デスヨネー」
にっこり笑ったルガトから視線を反らした。返事が棒読みになるのは仕方がない。はあ、と溜息をついた私にルガトは苦笑しつつも、アストの方に目を向けた。
「アストリッド様、王子……いえ、ご子息達と幸せになって下さい。それと、言うなら今しかありませんよ?」
「そうですわね」
二人の会話の意味が判らず首を傾げていると。
「あの……シェイラ。いいえ、サクラ、わたくしの、その……お友達になって頂けますか?」
「は? もう友達でしょ? てか、今……桜って言った……?!」
「はい。どういうわけか、きちんとサクラと呼べます。それに、お友達だったのは『リーチェ』であってサクラではありませんし、『リーチェ』は既にこの世にいませんもの」
「アスト?」
「『リーチェ』の記憶の有無など関係ありません。わたくしがお友達になりたいのは、サクラです。ですから、わたくしの友人になっていただけますか?」
「あ……」
初めて私の本当の名前を呼んでくれたアスト。それに、記憶の有無など関係ないと言い、私と友達になりたいと言ったアスト。
『黒木 桜』として認識してくれた。それがどんなに嬉しいことか、アストには判らないだろう。だから私は素直に頷くと、アストは嬉しそうに頷き、ルガトも嬉しそうに微笑んでいた。二人の笑顔が似ているなとは思ったものの、今は先に聞かなければならないことがある。
「そう言えばアスト。侍女さんにあれだけ『滅びの繭』がくっついていたのに、何であの人を側において侍女にしてたの? アストには見えてないわけじゃなかったよね?」
「……ミリアは、わたくしが嫁いで来た時からずっとついていてくれた侍女なのですが、本当によくしてくれましたの。そして、よく気のつく方でしたわ。恋人が出来て、婚約もして、本当に幸せそうでした。結婚後は侍女を辞めることになっておりましたけれど、それでもわたくしはミリアが大切だったのです。婚約者が何者かに殺された時は、それは酷く泣いて……」
当時を思い出しているのか、アストは目を瞑っている。
「ですが暫くたったころ、ミリアの目が変わりました。いつもわたくしを穏やかに見ていた目が、憎しみを向ける目に変わってしまった。それがずっと判らなかったのです。知らないうちにミリアを傷つけていたのだろうか、だから『滅びの繭』がついたのかと悩みましたわ。でも、今回の件でその理由が判りました。わたくしを殺そうとしていたとしても、ずっとわたくしの側にいて欲しかった。それほど大切でしたのに……」
寂しそうな顔をしたアストの頭を撫で、ふと、ハンナやジェイド達のことを思い出す。約束の四日目はとうに過ぎた。あの手紙を読んで彼らは怒るだろうか。それとも『リーチェ』ではない私がいなくなってホッとしているだろうか。
私がいることで、ジェイドとマキアの幸せを壊したくない。ラーディとハンナ、キアロとスニル達に喧嘩をさせたくない。ズキン、と傷んだ胸に無理矢理蓋をしてそっと瞼を伏せたとき、アストが躊躇いがちに「あの……」と声をかけてきた。
「どうしたの?」
「あの、わたくし、サクラに謝らなければならないことがありますの」
「謝らなければならないこと?」
「ええ。実は……」
アストがそこまで言った時、馬車が止まった。先にデューカスの家に寄ると言っていたから、デューカスの家に着いたんだろう。話が出来なかったせいか、アストは「また後で話しますわ」と言って子供たちを一旦私とルガトに預けると、開けられた扉から降りる。それに続くように子供を抱えたまま私とルガトが降りると、そこにはイプセンと『滅びの繭』が全く着いていない王宮にいた乳母達がいた。
「あれ、乳母さん達……」
「ここに来るよう、私が二人を呼びました。セレシェイラ殿、お子は二人に預けて下さい」
「なるほど。侍女は表向き、って訳ですか。……お願いします」
笑顔つきで乳母の一人に子供を差し出すと、びくびくしていた二人はハッとした顔をした後で、泣きそうな顔をしながら子供を受け取った。
「あの時は殴ったり脅したりしてごめんなさい。痛かったよね? 今は事情が判ってるし、本当にあんなことしないから。てか、そもそも私にはそんなこと出来ないし」
「セレシェイラ様……」
「二人でアストや子供たちを支えてあげてくださいね」
はい、と返事をした二人は凄く晴れやかな顔をしていたからそれに満足していると、遠くから走って来る音がした。なんだろうと思って振り向いた途端。
「シェイラ!」
そう言われてギュッと抱き締められた。その声は、私を嬉しくも寂しくもさせる声で。
「ジェイド……?」
私は、男女構わず抱き付かれる運命なんだろうかと考えながらも、その腕の中で呆然としていた。
その内の三日間私はひたすら眠り続け、お腹が空いて目が覚めたらユースレスの問題以外はほとんど終わっていたのには驚いた。
アストを助けたと言うよりも、アストに利用……もとい。巻き込まれた感じがしなくもないが、とりあえず黙っておく。今はアスト、私、布にくるまれた王子達、ルガトが馬車の中にいる。馬車の外にはカムイ、デューカス、ルガトの護衛騎士二人が馬車を守っていた。
私が王子達を癒したり、癒し疲れて眠りこけている間に、王様やルガトはベアトリーチェとその叔父を調べ上げていた。
ルガト曰く、ベアトリーチェの叔父は、この国では珍しく選民意識の強い人だった。自分よりも高い地位にある者には媚へつらい、下にある者は見下していた。当然の事ながら、神殿関係者も見下していたらしい。
そんな中、彼の姪を含む三人が王妃候補として王太子の後宮に入った。元々姪と王太子は恋仲であると噂があったし、王も王太子もそのつもりで王妃教育を始めようとその準備をしている矢先に横槍が入った。『ユースレスにいる今代の最高位の巫女は三人いる。過去にも巫女を王妃を迎えた記録がある。それならば、巫女を王妃に迎えてはどうか』、と。
その場にいた人は、姪の父親――自分の兄を含めて誰も反対しなかった。いや、王太子は反対を示していたが、結局は『是』と頷いた。王と王太子との間で何らかのやり取りをし、それを納得した上で巫女を王妃に迎えたらしい。機密扱いになるからかその辺の詳しいことは教えてもらえなかったが。
その話は兄を通してすぐに彼に伝わった。彼は『巫女ごとき平民の女を、何故王妃に迎えねばならい!』と激昂したが、兄は逆に『現王妃を愚弄するのか!』と弟を叱りつけた。当時の王妃が平民だったのは有名な話だったし、シュタール自体がそれほど身分を気にしない国風だったからだ。
貴族は貴族、平民は平民。だが、税を納める領民や国民がいなければ、貴族も、王族ですらも暮らしてはいけない。そして、貴族も王族も、何らかの形で領民や国民に感謝を捧げてしるし、領民に混じって働いている貴族もいる。それを、この叔父は全く判っていなかったらしい。
叔父の言葉は瞬く間に社交界に広がりをみせ、いつしか王の耳にも入り、叔父にその罪を償わせるつもりでいたが逃亡。必死に探したものの何処に隠れているのかわからず、二年半も過ぎた頃ほとぼりが冷めたと思ったのか、叔父の姿があちこちで目撃され始めた。
王は王太子に位を譲ったとは言え未だに健在であり、叔父の罪は未だに許されてはいない。逃亡したことで更に罪が重くなっている。姿を現し始めたのならと慎重に事を運び、叔父を捕まえる算段が整ったころ、王妃と寵姫の周辺で異変がおき始めた。
王妃や他の側室に付いていた神官はそのままなのに、寵姫に付いていた中級以上の神官がいなくなった。理由を問えば、『『滅びの繭 』が着くような危ない寵姫など、国を滅ぼしかねない』と言う。
それを聞いたルガトは焦った。過去の文献によると別の国でも同じようなことがあり、いくつも滅んでいたからだ。神官と一緒に王に進言をしても、一笑に伏すばかりで埒があかない。それでもしつこく進言し、渋々ながらも王妃周辺や寵姫周辺のことを調べる許可をもらうと、まず寵姫周辺から調べ始めた。
調べ始めた途端に寵姫周辺で叔父の影がちらつき、寵姫の部屋をこっそり調べれば即効性の毒と遅効性の毒が出てくる。調べる度に毒が減っていることから使われているのは一目瞭然だが、別の話題からそれとなく王妃に問えば、『浄化してから飲んだり食べたりしている』と言われて安堵する。
理由を問えば、納得の行く答えだったから一先ず安心するも、油断は出来ない。それに、遅効性の毒が誰に使われているのかもわからないため、安心は出来なかった
一方のベアトリーチェも、調べれば調べる程埃が出てきた。叔父が見つからなかった二年半、ベアトリーチェは叔父のついた嘘を信じ、側室や王家の者しか使えない王領に叔父を隠していた。それだけでも罪は重いのに、彼女は自分にとって心地よい叔父の甘言に耳を傾け、王の寵愛を独り占めしているにも拘わらず、それ以上を……王妃の座を求めた。そして、それ以上の贅沢も。
だが、王はそれに頷くことなく、側室という立場のままベアトリーチェを愛した。それ故に、ベアトリーチェは自分の立場も忘れ、どんどん我儘になって行った。王妃のアストリッドよりも先に、そして数多く王に抱かれているにも拘わらず、自分よりも先に王妃が子供を二人産んだという嫉妬心からかも知れない。
最高位の巫女がどんな存在かをきちんと聞いていなかったベアトリーチェは、『王妃を亡き者にすれば、寵姫のお前が王妃になれる。王子達を亡き者にすれば、自分の子供が王位につける』と言った叔父の甘言に耳を傾け、叔父がくれた毒をお茶会の席で王妃に盛った。
だが、たった一滴で死ぬと聞かされていた毒を王妃に盛っても王妃は死なない。それならばと王妃付きの侍女の婚約者をその毒の効能を確かめるために毒を使って殺し、泣いている侍女に近付いて『婚約者を殺したのは王妃だ』と嘘をついて王妃を憎むよう仕向け、毒味が終わった後でこれを使えば復讐が出来ると毒を渡して使わせたものの、それでも王妃は死ななかった。
ならば王子達を先に殺そうと、王が雇った乳母達の家族を監禁して『王や王妃に言ったり、いうことを聞かなければ家族全員を殺す』と脅し、王子達に毒を盛らせようとしたものの、乳母達は一向に毒を盛らない。それならばと、乳母達が持っていたミルクと王子達を奪い、それに遅効性の毒を数滴混ぜて飲ませた。
乳母達は家族が殺されてしまうかも知れない恐怖と戦いながら、毒入りミルクを王子達に飲ませないよう、監視の目を潜り抜けながら毒が入っていないミルクを飲ませ、ベアトリーチェや監視が側にいる時は、本来入れる筈の毒の量を一滴だけ入れて残りはこっそりと捨てて王子達にミルクを飲ませていたらしい。
謁見の間の出来事は、監視者にせっつかれて仕方なくミルクを飲ませ、監視者やベアトリーチェの目を欺く為の演技だったらしい。……すっかり騙された。二人には悪いことしたな、と胸が痛かったが。
――ルガトは『そんなことが表沙汰になれば、愛想をつかされるだけなんですがね。狂ってるとしか言いようがありません』とぼやいていた。
結局、叔父は前王妃に対する不敬罪もあって即日処刑され、ベアトリーチェは侍女の前で自分が婚約者を殺したことを白状させられた後、王様に許しを願って手を伸ばしても一瞥されることもなかった。
そして叔父を王宮に勝手に手引きし招き入れたこと、王領の無断使用、王妃暗殺未遂、二人の王子暗殺に関わったとして、ベアトリーチェもまた即日処刑された。
侍女は、ベアトリーチェに利用されたことを知り、王妃暗殺未遂に関わったことを王様とアストに詫び、アストに許され止められたにも拘わらず、隠し持っていた毒を含んで自殺してしまった。
そして王子達の乳母は毒を飲ませたものの『滅びの繭』の量や毒を飲ませた回数、家族の命を盾に脅されていたことで情状酌量され、王宮の乳母を辞めることを処罰とした。乳母達の家族は監禁先でかなり衰弱してはいたものの無事に保護され、助け出された。
因みに乳母達はルガトの屋敷で侍女として雇いいれる事こととなり、そこで一生懸命働いているという。
乳母達はともかく侍女は正直に話したし、アスト達に許されたんだから自殺しなくてもいいんじゃないのかなとも思ったりもした。
だが、ルガトによると両親は他界している上に婚約者も殺され、王宮に留まろうと王宮を辞めようと王妃暗殺未遂に関わったという話は何処に行っても付いて回るといったことから、一生そんなレッテルを貼られるよりは……と思ったのかも知れない。
……今となってはもう判らないが。
アストも王と話し合い、王子達の状態と女神の託宣から離婚が受理された。王子たちの亡骸は『王墓ではなく自分の故郷で……』と願ったアストに、王様は苦しそうな、辛そうな、悲しそうな顔をしながらも全てを了承したと、私はご飯を食べながらルガトやアストから全てを聞かされた。
その後、事件以降ずっと王宮に留まっていたルガトが「一旦屋敷に帰ります」と言い、ついでにアスト達は自分の屋敷に暫く滞在させ、私とカムイをデューカスの屋敷まで送ると言ったので、現在はルガトが用意した馬車の中にいると言うわけだった。
「それにしても……良かったんですか?」
「何がですかな?」
「王様。二人の王子とアスト、寵姫までいなくなってかなり沈んでましたけど」
「構いませんよ。散々私どもが苦言を呈したのに、それにずっと耳を貸さなかった罰です」
「……それは手厳しいですね」
ルガトの言葉に苦笑しながらも、私は笑っている王子達の紅葉の手をつつきながら、四日前の……眠る直前のことを思い出す。
――あの日。枕に突っ伏して肩を震わせていた私は、ぶっちゃけた話、大声で笑っていた。
アストとルガトの女優・俳優っぷりがあまりにも可笑しくて。しかも二人共王様に負けず劣らず悲壮感たっぷりな顔をしていたし、扉の中から聞こえたアストの泣き声は本当に泣いているように聞こえたから、笑いを堪えていたのだ。
近衛騎士さんと話している時も、女官さんが部屋に案内してくれている時も、唇を噛んで笑いを耐えていた。おかげで唇は泣くことを耐えるように震わせることも出来たし、笑っちゃいけないと思ったからそれに耐えるように眉間に力を入れていたから涙目にもなり、近衛騎士さん達に泣いていると思わせる事が出来た。
カムイに『気付かれたらどうする』と何度も怒られたが、一人にしてくれと女官さんに言ったためかいつの間にか寝ていた私が起きた後で「その日の夜は誰もこなかった」とカムイが教えてくれた。
そもそも、王子達を死んだことにしたいんですが、と言ったのはルガトだった。
『意味が判りません』
『ベアトリーチェ様の周辺で不穏な動きがあると報告を受けましたので、私が陛下に何度も『ベアトリーチェ様やアストリッド様の周辺に気を配って下さい』と仰っても、『判った』と仰るだけで何も行動を起こさなかったんですよ』
『……』
『『滅びの繭』の話をしても一向に信じない。ご自分のお子だというのに、王子達に会うのも七日に一度。アストリッド様の妊娠中に、アストリッド様の公務の一つである孤児院訪問をベアトリーチェ様に頼めばすっぽかす。その話を陛下にしても、陛下は信じなかったのですよ。まあ、動けるようになったアストリッド様が孤児院に行った後、『孤児院に誰も行ってないと伺いましたがどういうことですの?! わたくし、陛下にもルガト様にも、子供達のためのものをきちんと届けて下さいとお願い致しましたわよね?!』と言われて、初めて私の話が本当だったと気付いたようですが。その後からですよ、私がベアトリーチェ様を調べ始めたのは。証拠も揃い、どうやってベアトリーチェ様を捕縛しようかと考えていた矢先に、アストリッド様がセレシェイラ殿をお連れしてあのような結末を迎えたのは、私にとって嬉しい誤算でしたね』
『…………』
『ですので、セレシェイラ殿。私は陛下にお灸を据えたいので、是非とも協力して頂きたいんですが』
やっぱり意味が判らんと思いつつも、にこやかに笑ったルガトの背後には何故かドス黒いオーラが見え隠れしていて、私は頷くことしか出来なかった。だからと言って私には……いや、巫女には人を殺すような術を持っているわけでも、王子達の癒しを中断することも出来ない。そう言うと、ルガトは
『我が家には、仮死になって敵を欺くための薬がありましてね。仮死と言っても、浅く呼吸しながら深く眠るだけの薬で、上級以上の巫女様が浄化をすればすぐに解ける薬です』
と、王子達を見た。
『……それを王子達に、私が飲ませろと言うんですか?』
『いいえ。薬は私が飲ませます。セレシェイラ様は王子達をきちんと癒し、癒しが終わったら私に教えて下さい』
『教えるのは構いませんけど……。尤も、あと少し癒せば、王子達は全快しますよ』
『でしたら、次に私が王子達のところに訪ねて来るまで癒して頂けますか?』
『……その前に、聞きたいんですが』
『なんでしょう?』
『アストが王様にどんな話をするとか、聞いていますか?』
私がそう聞くと、ルガトは私に目を向けて『知っています』と頷いた。
『託宣の通り王子達をアストリッド様に返し、貴女達も一緒に王宮を無事に出るためには、この方法しかないんです』
辛そうな顔をしたルガトに、私は内心溜息をつきながらも『判りました』と苦笑しながら言った。
『ただ、私も巫女の力を相当使っていますし、この二日間全く眠っていませんから、一度寝てしまったらいつ起きるか判りません。それでよければ』
『ええ、構いません。後は私がなんとかします』
話し終えたルガトは席を立ち、次の日の深夜近くまで顔を出さなかった。ルガトが深夜近くなって顔を出した頃、王子達を癒し終えていた私はそのまま黙って頷くと王子達の側を離れ、ルガトに場所を譲ると、ルガトは隠し持っていたミルクを二人の王子達に飲ませて王子達を眠らせた。
それを確認して頷いたルガトに、私はわざと慌てた声で『ルガトさん、王子達の容態が……!』とルガトと場所を変わってそう言うと、ルガトは慌てた様子で王様とアスト、侍医を呼びに行った隙に、手遅れだと言う顔をして待っていたのだ。因みに、王子達の浄化をしたのはアストである。
「食えないおっさんだよね、ルガトさんて」
「だからこそ、宰相なんかをやっているんです」
「……デスヨネー」
にっこり笑ったルガトから視線を反らした。返事が棒読みになるのは仕方がない。はあ、と溜息をついた私にルガトは苦笑しつつも、アストの方に目を向けた。
「アストリッド様、王子……いえ、ご子息達と幸せになって下さい。それと、言うなら今しかありませんよ?」
「そうですわね」
二人の会話の意味が判らず首を傾げていると。
「あの……シェイラ。いいえ、サクラ、わたくしの、その……お友達になって頂けますか?」
「は? もう友達でしょ? てか、今……桜って言った……?!」
「はい。どういうわけか、きちんとサクラと呼べます。それに、お友達だったのは『リーチェ』であってサクラではありませんし、『リーチェ』は既にこの世にいませんもの」
「アスト?」
「『リーチェ』の記憶の有無など関係ありません。わたくしがお友達になりたいのは、サクラです。ですから、わたくしの友人になっていただけますか?」
「あ……」
初めて私の本当の名前を呼んでくれたアスト。それに、記憶の有無など関係ないと言い、私と友達になりたいと言ったアスト。
『黒木 桜』として認識してくれた。それがどんなに嬉しいことか、アストには判らないだろう。だから私は素直に頷くと、アストは嬉しそうに頷き、ルガトも嬉しそうに微笑んでいた。二人の笑顔が似ているなとは思ったものの、今は先に聞かなければならないことがある。
「そう言えばアスト。侍女さんにあれだけ『滅びの繭』がくっついていたのに、何であの人を側において侍女にしてたの? アストには見えてないわけじゃなかったよね?」
「……ミリアは、わたくしが嫁いで来た時からずっとついていてくれた侍女なのですが、本当によくしてくれましたの。そして、よく気のつく方でしたわ。恋人が出来て、婚約もして、本当に幸せそうでした。結婚後は侍女を辞めることになっておりましたけれど、それでもわたくしはミリアが大切だったのです。婚約者が何者かに殺された時は、それは酷く泣いて……」
当時を思い出しているのか、アストは目を瞑っている。
「ですが暫くたったころ、ミリアの目が変わりました。いつもわたくしを穏やかに見ていた目が、憎しみを向ける目に変わってしまった。それがずっと判らなかったのです。知らないうちにミリアを傷つけていたのだろうか、だから『滅びの繭』がついたのかと悩みましたわ。でも、今回の件でその理由が判りました。わたくしを殺そうとしていたとしても、ずっとわたくしの側にいて欲しかった。それほど大切でしたのに……」
寂しそうな顔をしたアストの頭を撫で、ふと、ハンナやジェイド達のことを思い出す。約束の四日目はとうに過ぎた。あの手紙を読んで彼らは怒るだろうか。それとも『リーチェ』ではない私がいなくなってホッとしているだろうか。
私がいることで、ジェイドとマキアの幸せを壊したくない。ラーディとハンナ、キアロとスニル達に喧嘩をさせたくない。ズキン、と傷んだ胸に無理矢理蓋をしてそっと瞼を伏せたとき、アストが躊躇いがちに「あの……」と声をかけてきた。
「どうしたの?」
「あの、わたくし、サクラに謝らなければならないことがありますの」
「謝らなければならないこと?」
「ええ。実は……」
アストがそこまで言った時、馬車が止まった。先にデューカスの家に寄ると言っていたから、デューカスの家に着いたんだろう。話が出来なかったせいか、アストは「また後で話しますわ」と言って子供たちを一旦私とルガトに預けると、開けられた扉から降りる。それに続くように子供を抱えたまま私とルガトが降りると、そこにはイプセンと『滅びの繭』が全く着いていない王宮にいた乳母達がいた。
「あれ、乳母さん達……」
「ここに来るよう、私が二人を呼びました。セレシェイラ殿、お子は二人に預けて下さい」
「なるほど。侍女は表向き、って訳ですか。……お願いします」
笑顔つきで乳母の一人に子供を差し出すと、びくびくしていた二人はハッとした顔をした後で、泣きそうな顔をしながら子供を受け取った。
「あの時は殴ったり脅したりしてごめんなさい。痛かったよね? 今は事情が判ってるし、本当にあんなことしないから。てか、そもそも私にはそんなこと出来ないし」
「セレシェイラ様……」
「二人でアストや子供たちを支えてあげてくださいね」
はい、と返事をした二人は凄く晴れやかな顔をしていたからそれに満足していると、遠くから走って来る音がした。なんだろうと思って振り向いた途端。
「シェイラ!」
そう言われてギュッと抱き締められた。その声は、私を嬉しくも寂しくもさせる声で。
「ジェイド……?」
私は、男女構わず抱き付かれる運命なんだろうかと考えながらも、その腕の中で呆然としていた。
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