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第二章
最終話
しおりを挟む舌の裏側に舌先を伸ばし、唾液腺のある柔らかな窪みを刺激し唾液の分泌を促すと、自分自身の舌に先生の唾液を存分に纏わせてから、改めて口腔内を犯した。
上顎の凹凸している部分と下顎の奥歯の歯茎を積極性を持って責め立てると、その部分がお気に入りであるのか、それだけで生理的な快楽が刺激されたのか、身体の中心にある先生のそこは少しづつ兆しを見せ始めた。唾液が粘性を持って舌全体に纏わりついて、口腔内全体がぬめぬめとする。宮ノ内先生の身体は浜に打ち上げられた魚の様にびくんびくんと力無く跳ね、足には次第に力が入らなくなっていった。
俺に縋り付くことで自らの体勢を保つようになった先生は、鼻で呼吸することすら次第に出来なくなっていき、殆ど虫の息になっている。俺はその外連のない、自然に甘えてくる年上の彼の態度に莫大な興奮を覚えて、先生の股を割り、その間に身体を侵入させ、お互いの身体をより密着させた上で、熱り昂った己が灼熱をズボン越しにごりごりと先生の太腿に擦り付けた。
長く長く、ぬっぷりと喉奥近くまで差し込んでいた舌を引き抜くと、先生の身体は糸の切れた操り人形の様になって、かくんと俺に全体重を乗せてきた。俺は先生の身体を抱き留めると、先生のうなじに鼻面を押し付けて深呼吸を繰り返し、先生自身の汗の匂いや体臭を胸いっぱいに吸い込んで、恍惚とした熱い溜息を吐いた。
「あぁ・・・ずっとこうしたかった、先生・・・宮ノ内先生、これ、夢じゃないですよね」
力無く、くたりと身体を預けてくる宮ノ内先生のうなじに音を立てて唇を落とすと、先生は、あん、と微かに喘いだ。唇の刺激一つで身悶える想い人を前にして堪らなくなってしまい、俺は感極まって涙を目尻に滲ませた。
図書館内に併設されている、殆ど人が寄り付かないトイレの、一番奥の個室で。学生と講師が、性行為に及ぶ。
一つ間違えたら退学処分どころの騒ぎではない。しかし、いま正にこの熱を放出しなければいつ暴発するか分からないという切迫した状況にあった俺は、突然泣き始めた先生を一頻り慰め、その身体を再び抱き締めながら、ある決心を固めた。そして、理性の糸を引きちぎり、本能の赴くままに、先生の耳元で熱く囁いたんだ。
『先生、いまこの場所で、俺を受け入れてくれませんか』
先生は小さな子供のようにくすんくすんと泣き噦りながら、俺の背中に、けれど確かな意思を持って両手を回してくれた。愛しくて、愛しくて、胸が苦しくて。俺はもう、それだけで堪らなくなってしまった。暫く逡巡した後、先生は俺に小さく頷きを返して答えてくれた。そして、それを受けた俺は生唾を喉を鳴らして飲み下してから、半ば強引に彼をこの場所へと引き摺り込んだんだ。
『もし告白が不意にされても、自分の気持ちが伝われば、それだけでいい。それで、本望だ』・・・そんなものは、出鱈目だった。自分の心が傷付かないための、面白みの全く感じられない建前だ。
宮ノ内 悠人という存在を抉り出し、俺という存在をその空洞に埋め込みたい。この人に、俺を受け入れて欲しい。昂った心身を、身体で慰めて欲しい。深く深く、愛し合いたい・・・それこそが、俺の純粋なまでの本心だった。
トイレの個室の壁に自分よりひと回りも小さな先生の身体を押し付け、再びぎゅっと抱き締めてから、俺は恐る恐る口を開いた。
「好きです、本当に好きです。こんな場所なのに、やめてあげられなくて、ごめんなさい。でも、もう限界なんです。俺は、貴方に触れたい・・・もっと奥まで」
想って止まない彼の耳元で熱く吐息を混じえながら囁くと、一方的な俺の灼熱を押し付けられている筈の先生は、けれども俺の頬に激しい接吻によって湿った唇を押し当てて、至近距離から俺に微笑んでこう言った。
「触れて・・・たくさん。君に壊されるなら、本望だから」
その言葉を聞いた瞬間、俺は。自分にとって長きに渡り憧憬の対象であり、信仰心すら持ち合わせていた、この人を。殺風景で、使用目的すら異なる、この場所で。犯しつくす事に、決めた。
憧憬、畏敬、心酔、崇拝。
どれだけ言葉巧みに自分の本心を騙眩かしたところで、雄の本性は、結局のところ、どこまでいっても雄なのだ。俺は、こんなにもこの人を抱きたかったのか。そして、こんなにも俺だけの物にしたかったのか。
あぁ、酷く喉が渇いている。ずっと、ずっと、俺は喉がカラカラだった。きっと、この渇きを癒せるのは。貴方しか、いない。
荒々しく息を吐きながら、俺は先生の身体を隅々までまさぐった。尻たぶをスラックスの上から鷲掴みにすると、中心にある秘孔に向けて、変形してしまいそうなほど力強く、ぐにぐにと尻肉を揉みしだいた。この中心にある孔に、俺は自分の灼熱を必ず深々と突き刺す。そして、女であったならその一回で確実に妊娠するであろうという激しい交接をして、男体でありながら疑似妊娠が誘発されるほど、腹の一番奥深くで繰り返し吐精をしてみせる。講師として教壇に立ち、常に俺を教え導いてくれた先生に、今度は俺が、俺の性器の形をその身体に教え込むんだ。排泄器官である肛門とその先にある直腸を、雄の灼熱を従順に咥え込む膣道へと作り替え。俺の性器を根元までぐびぐびと上手に飲み込めるよう、徹底して調教してみせる。
・・・先生を、俺が、調教?その発想に至った途端。背筋を、ぞくぞくとした莫大な興奮が這い上がっていった。憧れてやまない宮ノ内先生に、俺という存在を教え込む。堪らない。堪らなく、甘美な誘惑だ。
甘い誘惑に打ちのめされながら宮ノ内先生の身体を好き勝手に弄くり回しているうちに、興奮が止まる事を知らなくなってしまい、このまま誤射する可能性すらあったが為に、俺は一旦深呼吸をして興奮を押さえつけてから、荒々しい手付きで自分のズボンのファスナーを開けて前を寛げた。勢いよく飛び出してきた己が灼熱の先端を彼の盛り上がった股間部に擦り付け、溢れ出た先走りを彼のスラックスの布地で拭うと、鼻から生暖かい液体がたくたくと零れ落ちそうになった。鼻を啜ってみると、それは鉄の匂いがした。
あぁ、汚してしまった。先生の服を、俺の体液で。ぞくぞくする。堪らなく興奮する。もっと、もっと汚したい。この人に噎せ返る程の自分の性の匂いを、纏わり付かせたい。
「先生、俺、もうこんなです・・・先生が、凄くえっちだから、すぐに出ちゃいそう。でも、頑張って全部先生の中に出します。だから、先生も俺の形、きちんとお尻で覚えて下さいね」
宮ノ内先生は既に接吻だけでへろへろの状態だった。だから、力無く頷きを返すだけだったのだけど、肯定的な反応が返ってきただけで俺は満足した。鼻を啜りながら先生のスラックスのファスナーを下ろして、生理的な反応を示す先生の性器を、恭しい手付きでボクサーパンツの中から取り出す。先走りでしとどに濡れた濃いピンク色の性器を視界に収めただけで、俺は興奮で頭がおかしくなりそうだった。
「・・・ちっちゃい。こんなに小さいと一口でぱくんて食べられちゃいますね・・・本当に凄く可愛いです。こんなところまで愛らしいだなんて、反則ですよ、宮ノ内先生」
過ぎた興奮で滾った頭で、おかしな感想をべらべらと口にすると、宮ノ内先生の頬にサッと朱が掛かった。ぎゅっと掌に爪が食い込むほど硬く手を握りしめて、強烈な羞恥に耐えるその姿は健気そのもので、俺の加虐心を煽ってやまなかった。
口内に勝手に溢れた、血液と混ざり合った血生臭い唾液を先生の性器に向かって見せつけるようにだくだくと垂らし、自分の性器を先生の性器の裏筋にぴたりと密着させ、その二つを纏めて抜き上げると。先生は身体をくの字に曲げて、あ、あ、と俺の手の動きに合わせて小刻みに嬌声をあげ、ビクビク身体を震わせた。二人分の先走りと俺の唾液が掌の中で混ざり合い、ぬちゃぬちゃと淫猥な音を立てている。視覚の暴力が過ぎて、俺は呆気なく果てそうになった。トロトロで粘着性のある、少しだけ赤みがかった液体を多量に生成すると、指でそれを拭い取り、掌にたっぷり溜めてから、一旦自分の性器をボクサーパンツの中にしまい、空いている方の手で一気に宮ノ内先生のスラックスとボクサーパンツを足元まで引き下ろした。
「先生、すみません。お尻をこっちに向けて、自分の手で割り開いて下さい。照明が暗くて良く見えないので、手伝って頂けると助かります」
丁寧に、そして事務的に卑猥な要求をすると、宮ノ内先生は顔を真っ赤に染め上げながら、それでも俺に従った。細かく震える手を使い、尻肉を自らの手で割り開くと、ひくひくと収縮する秘孔を剥き出しにし、俺に向けて晒した。
嗚呼、なんて愛らしいんだろう。こんな所までピンクベージュだなんて、反則もいいところだ。きゅっと窄まっていて、なんとも慎ましい。なのに、こんなにも厭らしいだなんて。早く奥まで貫いて、穿って、穿って、揺さぶりたい。俺の怒張の動きに合わせて真っ赤な内壁やひだが捲れ上がる瞬間を早く見たい。
それにしても、本当に俺に滅茶苦茶にされたいんだろうな。俺だったら恥ずかしくて悔しくて、こんな格好絶対に出来ない。先生には男のプライドとか無いんだろうか。あっても、それが足枷にならないくらい気持ちいい事が好きなのかな。それとも先生は、俺のことが、好きなのかな。
確認してないから分からないけれど、たっぷり愛し合ったら聞いてみてもいいだろうか。これだけ従順だと、俺の事好きなんじゃないかって早とちりしそうになる。してもいいかな、早とちり。これで俺に対して気持ちが特に無いと言われたら、俺は絶対に死ぬ程落ち込む自信がある。でも、この一回でもし身体の相性が良いと分かったなら、そこを足掛かりにして、何とか交際にこじつけられないだろうか。だとしたら、この一回は何としてでも先生を満足させて、必ず成功させてみせる。
それにしても、なんで先生は孕めないんだろう。先生がもしも女の子だったら良かったとは、不思議と全然思わないけど、そこだけが残念だ。ああ、既成事実をさっさと作って戸籍上も家族になりたい。そしたら気持ちが俺に対してなくても、いずれ愛着くらいは持ってくれるかもしれないし。でも、それは寂しいな。どうせなら、俺は先生と、暖かい愛のある家庭を築きたい。俺は宮ノ内先生と・・・悠人さんと、ずっとずっと、愛し合っていたいんだ。
「指入れますね」
唾液だの先走りだのが混ざり合った粘性のある液体を秘孔に塗りたくると、中指をゆっくりゆっくり、悠人さんの呼吸に合わせて挿入していった。彼の呼吸は荒い。目蓋をきつく閉じて、額には汗をびっしょりかいている。けれど、思っていたよりもすんなりと、中指は根元まで入ってくれた。俺はその事実に胸の中がもやもやとして、二本目の指を挿入する前に、胸に沸いた疑問を先生に告げた。
「せ・・・悠人さん、間違っていたらすみません。もしかして悠人さんは・・・こういう行為に慣れてらっしゃるんですか?」
悠人さんは、はたりと意識を取り戻したかのように目蓋を開くと、背後にぴったりと寄り添っている俺と視線を交わした。真っ直ぐに彼の双眸を射抜く様に見つめていると、先生は何かを諦めたように自嘲してから、小さく頷いた。
「・・・俺は君が思っている様な、綺麗な存在じゃない。俺が長袖の服ばかり好んでいる理由を知ったら、君みたいな純情な子は気分が悪くなるか、俺に対する興味を一度に失うか、どちらかだと思う。ごめんね。綺麗なままの姿で出会えなくて」
俺は、悠人さんの独白を聞いて、胸がぎゅっと苦しくなった。なんで、そんなことで、すまなそうにするの。貴方は、ちっとも悪くないし、いつだって俺の目には綺麗に映るんだ。俺の憧れだし、尊敬や信仰対象にすら近しい存在だ。確かに、貴方が俺ではない他の男に身体を開いていたという事実は変わらないのだろうし、その想像をちらっとしただけでも生きた心地がしない。けれど、だからといって今こうして俺の気持ちに懸命になって応えようとしてくれている貴方がいなくなるわけじゃない。
悠人さんは、いつだって俺にとって最高の人なんだから。そんなに自分を、卑下しないで。
「悠人さんは、いつも、どんな時も綺麗です。どんな過去があっても、貴方の美しさは変わらない。俺は、そんな綺麗な貴方の、全てが知りたいんです。好きな食べ物は、好きな本は、好きな映画は、何ですか?俺は貴方の好物を作って貴方と一緒に食べて、その本や映画の感想を言い合える、そんな存在になりたい」
先生。
「俺は貴方の日常に染まりたい」
宮ノ内 悠人さん。
「どんな行為が好きですか?それをしたら、俺に振り向いてくれますか?俺は貴方を、俺以外の他の誰もを必要としなくなる身体に作り替えたいんです。貴方を俺だけの人にしたい。どれだけ取り繕っても、やっぱり俺の本心はそれなんです」
だから。
「だから、俺を愛してくれませんか?」
俺は、悠人さんの返事を聞く前に、二本目の指を彼秘孔の中に挿入した。返事が無かったらどうしようだとか、もし断られたら、これで、この一回で、悠人さんとはもう身体を重ねる機会を失ってしまうんだろうかとか、色んな考えが頭をよぎったけれど。俺は、それ以上に、早くこの人の中に潜り込みたかった。
「あ、ッあぁ・・・ッんぅ、そこ、やぁ・・・っ!」
三本目の指を挿入したところで、悠人さんの反応が明らかに変わった。指を第二関節まで挿入し、性器側に向かって指を曲げ、直腸壁を擽るようにあやした途端。呻き声ではない明らかな嬌声を、彼は口から溢すようになった。探し当てた、これが、きっと男の泣き所だ。しゅんと項垂れてしまっていた彼の性器が、勢いを取り戻して、いまにも腹に付かんばかりに反り返っている。先端からは糸を引いて先走りが漏れ出し、亀頭はぱんぱんに腫れていて、真っ赤な杏飴のようにてかてかしていた。彼の性器が、うっかりむしゃぶりつきたくなるくらいの仕上がりになったところで秘孔にずっぷりと挿入していた指を全て引き抜き、便座のタンクに両手を置かせてから、俺は再び自分のズボンの前を寛げた。
ぶるんと勢い良く飛び出してきた自分の性器を見て、思わず溜息を吐きそうになった。経験もない癖に、なんでこんなに暴力的な見た目をしているんだろう。つくづく自分でも不思議だ。
傘は張り。まるで馬のソレのように、ずんぐりと太く長く。皮も被っていない上に、赤黒く、グロテスク。先走りも多いから、潤滑剤としての役割を多いに果たしてくれる、人から見れば羨ましがられるようなソレ。しかも、絶倫。
悠人さんに出逢わなければ、宝の持ち腐れもいいところだった。それにしても、筆下ろしの相手が初恋の人だなんて。俺は至って平均的なロマンチシズム指数の持ち主だから、この運命の巡り合わせには感謝しかない。でも、もしも下手糞過ぎて悠人さんに気に入って貰えなかったらどうしよう。
俺が様々な想いを抱えながら自分の息子を眺めていると、悠人さんはクスッと小さく笑ってから、そのふくふくとした小さな指で俺の息子の裏筋をするするとなぞった。
「あっ・・・」
さっきの兜合わせも気持ちよかったけれど、あれは自分の手だったから、他人の、しかも想い人である悠人さんから齎される刺激とは全然違う。気持ちいい。指だけなのに、ぴくぴく反応しちゃう。引くぐらい先走り出てる。うわぁ、期待し過ぎだろ。めちゃくちゃ恥ずかしい。
「凄い・・・こんなに長くておっきいの初めて。しかも、こんなにたっぷり涎垂らして・・・俺、本当に君に壊されちゃうんだね」
その言葉選びに、俺は興奮が高まり過ぎてどうにかなるかと思った。生唾をごくりと飲み下し、鼻息をふーふーと激しく繰り返しながら、悠人さんににじり寄る。彼は俺の性器に向かって尻肉を割り開き、充血して縁をふっくらとさせた真っ赤な秘孔を再び剥き出しにした。くぱくぱ収縮を繰り返す秘孔を見ただけで、俺の性器はまた先端からぴゅくぴゅくと先走りを迸らせた。
厭らしい。やらし過ぎます、悠人さん。もうこれは、肛門なんかじゃない。完璧な雌孔だ。雄を受け入れる為の、ソレだ。畜生。俺が、こうしたかった。悠人さんの最初の雄になって。この人の身体を、俺のこの手で思い通りに作り替えたかった。
「女の子と違ってここにしか孔はないから、間違えないよ。大丈夫だから、一番奥までズンッてして?俺、気持ちいいとダメって言う癖があるから、言われても辞めないで、いっぱい突いてね」
もう、勘弁して欲しい。貴方の口上だけで逝っちゃいそう。でも、他の男との行為あっての発言だから、とても複雑だし、心境的にかなり萎える。ので、一定の精神的バランスは保たれた。頭に血が昇り過ぎてくらくらとする。けれど、下半身にも血流が間違いなく局部目掛けて活発に巡っているので、また鼻血を出すような事にはならずに済みそうだ。
俺は、悠人さん、悠人さんと、譫言の様に口の中で彼の名前を転がしながら、彼が剥き出しにしてくれた真っ赤な秘孔に性器の先端をむちゅっ、と当てた。まるで、さっきむしゃぶりついた彼の唇の様にふわふわだ。そのまま腰を進めると、包み込まれる感覚で、俺の性器の先端はごくんと飲み込まれた。
後はもう、言われた通り。奥まで、ズンッと一気に貫いた。下生えが悠人さんの尻肉にさらさらと当たっている。けれど、まだまだ根元までは入りきっていない。俺の性器は、それだけ長大だったのだ。一応の壁らしきものの存在を三層しっかり越え切ったところで、一旦腰の動きを止め、詰めていた息を吹き返す。すると途端に、下半身が溶け出しそうになるほどの強烈な快感が俺の身を襲った。
あまりの心地良さに、身動きがとれない。悠人さんの秘孔の中は、熱くて、トロトロで、竿の部分はやわやわと優しく包み込んでいるのに、敏感な先端と根本付近は、きゅうきゅうに締め付けられている。悠人さん以外に経験はないから比較対象はないのだけど。これは間違いなく、名器中の名器だろう。
「ん、あぁッ!・・・ッすご、ふと、い・・・ッアッ・・・おく、入っちゃだめぇ・・・ッ!!」
悠人さんの膝が、ガクガクと激しく痙攣しながら笑っている。便座のタンクに縋り付き、殆ど足腰に力が入っていない。口の端からは涎を垂らしていて、気持ち良さそうに恍惚とした表情を浮かべていた。どうやら俺の性器は悠人さんのお気に召した様だ。すっかりと感じ入っている様子を見て勢いを取り戻した俺は、一旦亀頭が出るか出ないかくらいまで引き抜いてから、再び最深部を抉る様にして深々と性器を突き入れた。すると、今度は根元までずっぷりと差し込む事ができた。三層ある弁を潜り抜けた先にある、直腸の続きにある空間に、すっぽりと亀頭が包み込まれている感覚がある。あまりの快楽に、俺は奥歯を噛み締めて誤射するのを堪えた。
「・・・かはっ、・・・ッうぇ、ゔぅ・・・」
まるで懐を殴打されたような低い声を上げる悠人さんを見て、俺は心配になってしまって、大丈夫ですか、と荒々しく息を吐きながら尋ねた。すると、彼は。
「大、丈夫だから・・・もう、殺して」
と、虚な目をして、頬を真っ赤な林檎の様に染め上げながら、何だか物騒なことを言い始めた。最初は驚いて目をパチクリとさせたけれど、死ぬほど気持ち良いという事の比喩かもしれないと思い、その言葉選びを難なく受け止めることにした。
死ぬほど気持ちいいから殺してだなんて、だとしたら、なんて殺文句だろう。胸がときめいて仕方ない。悠人さん、可愛い俺の、俺だけの。もっと気持ち良くなって。もっと嘆いて。もっともっと。
俺で、ダメになって。
「殺してあげる」
そう告げて、再び彼の中に深く潜った瞬間。彼は、あぁん、と美しい丹頂鶴の様に高らかに鳴いて、便器の水面に向けて、ぼちゃぼちゃと射精した。
その様子を目撃した俺は、胸をじん、とさせて感極まってしまい。目尻に再び涙を滲ませた。嬉しくて、愛しくて、堪らない。悠人さん、俺ので逝ってくれた。しかも、こんなに早く。俺がズンッて三回しただけで、押し出されたみたいに、ぴゅっぴゅって。前も触ってないのに、後ろだけで俺を感じて。可愛い、可愛過ぎる。あぁ、意味が分からないくらい、好きだ。
あまりの興奮と感動と愛しさで腰が上下するのを止められない。ぐちゅんぐちゅんと粘着質な音を立てながら、大量の先走りでぬるつく秘孔を激しく犯す。たっぷり精液を溜め込んだ睾丸と鼠蹊部で、悠人さんの尻肉をぱちんぱちん乾いた音を立てて叩いているうちに、あっという間に俺自身も追い詰められていった。
「あ、あッ・・・悠人さ、すき、好きです、おれも、もう、イクッ・・・いッ・・・」
譫言を溢しながら悠人さんの後を追いかけるように激しく抽送を繰り返した後、下生えをざりざりと尻肉に擦り付けながら、彼のお腹の中の一番奥に亀頭をずぐんと潜り込ませて、どくどくと大量に吐精した。これまでの人生の中で、一番長く深い快感を伴う射精だった。 甘く、甘く、いつまでも腰がびりびりと痺れている。温い涎が顎を伝い、噛み締めた奥歯がギリギリと音を立てていた。射精した精子の量も、恐らくこれまでで最大量だろう。それに最近自慰をしていなかったから、精液自体とても濃い筈だ。直腸の最奥の更にその先にあるS字結腸の入り口目掛けて亀頭を潜り込ませ、ゼリー状の粘性を伴う濃い精液を、最後の一滴まで残さず全て、時間を掛けてたっぷり注ぎ込む。残滓を直腸の内壁を使って拭いながら、それでいて内壁に精液を擦り込むように小刻みに腰を動かすと、ぬちゃぬちゃと淫らな音がトイレの個室に響き渡った。
女の子だったら、絶対にこれ一発で孕ませられる自信があるのに。本当に本当に惜しい。諦めきれないくらい悔しい。あぁ、愛してます、悠人さん。だから、俺の子を孕んで下さい。最深部を粘性の高いぬるついた精液で濡れた亀頭で念入りに捏ね回し、ねっとりとした丹念な腰使いで出来もしない着床を根気よく促す。そして俺は、硬度を保ち、いまだ孕ませる気しかない、でっぷりと肥え太った性器を駆使して、抜かないまま再び助走を付けて、二回目の絶頂に向けて直走り始めた。悠人さんの身体の最深部を穿り返し、がっぽりと開ききってしまったS字結腸の入り口で亀頭の先端をちゅこちゅこと抜き上げると、俺はあまりの強烈すぎる快感に、喉を反らして天井を仰いだ。
気持ち良すぎる。腰が止まんない。嗚呼、悠人さん。そんなに俺の子種が欲しいんですか?俺の先っぽ、もぐもぐしたり、ちゅぱちゅぱしたり。またたっぷり飲ませてあげますから、そんなに急かさないで。俺、もっとずっと貴方の中に潜っていたいんですから。こんなんじゃ直ぐに逝っちゃいますよ。
「はるとさん、あ・・・ぁ、せんせぇ、すき、すきです。いく、いくから、飲んで。全部、受け止めて」
「ひぃッ、あっ、はぁッ、おく・・・ばっかりされたら、あっ、あっ、ひぬ、ひんじゃ、アンッ」
あ、あ、イク。ほら、逝っちゃう。もう出ちゃう。悠人さんの所為だ、悠人さんがえっちだから、こんな。嗚呼。
「ふぁッ・・・ッあ、ぁ・・・ひぃ・・・・ッあぁあ、んんッ!!」
「・・・あー、あっ、気持ちいい・・・悠人さん、悠人・・・ッ出すよ、一番奥に!」
最深部の更に奥をこじ開け。S字結腸の入り口を亀頭で抉りつつ、たっぷりと。睾丸をびくんびくん痙攣させながら、水っぽい精液を、びしゃびしゃとシャワーのように注ぎ込む。
「・・・ッあ、アッ・・・ふっ・・・い、く・・・ッイクぅ・・・ッやぁああッッ!!」
そして、俺をこんなにも短時間で追い詰めた悠人さんは。シャワーのように大量に迸らせた俺の射精にすっかり感じ入り、舌をだらしなく伸ばしながら全身を痙攣させ、勢いのない、お漏らしした様な射精をぴゅくりぴゅくりと繰り返していた。
二回の激しい交接を終え、抑え込んでいた悠人さんの身体を一旦離すと。彼は、言われなくても分かっているかの様に、俺の精子をぐびぐびと下の口で飲み干していた。まるで一滴も溢したくないとでも言わんばかりに精子を溢さないように努力して、がくがくと笑う膝を叱咤しながら尻を高く持ち上げている。
俺はその高く上がった尻をお疲れ様といわんばかりに愛しさを込めて優しく撫で回すと、激しい交接によりぷっくりと腫れ上がった秘孔に、唐突に指を二本差し入れて、鍵状に曲げた指で、前立腺をぐぽぐぽと激しく刺激した。直腸壁を擦り上げながらしつこく穿くっていると、悠人さんは、涎をだらだら溢しながら、身も世もなく喘ぎまくった。
「ひぅ・・・ッあぁあ!!ダメ、だめぇ・・・ッ!!いく、また逝っちゃう、死ぬぅ!!」
尻を高く上げている状態で、膝をガクガクと震わせながら感じ入る悠人さんに、俺は再び性器を硬くいきり立たせた。
あぁ、際限がない。悠人さんがえっち過ぎるんだもの。だから、仕方ないよね。悠人さんの可愛い声だけで逝っちゃいそうだ。無駄打ちせずに全部注ぎ込みたいんだから、そんなに喜ばないで下さいよ。
「俺のザーメン溢さずに良い子で逝けたら、俺のでちゃんと殺してあげます。ほら、しっかり手でお尻開かないと、前立腺いっぱいこりこりしてあげませんよ。死にたいんでしょ、悠人さん。なら頑張って」
激しい指の挿入の所為で、直腸の奥にたっぷり詰まっていた粘性のある精液が、水っぽい精液と攪拌されて、ぷくぷくと泡立ち始めた。悠人さんは震える手で、秘孔を自分から剥き出しにし、いまにも破裂しそうにぱんぱんに腫れた性器をぷらぷらと揺らしている。俺は舌舐めずりをしながらそれを鷲掴み、亀頭の先端を指の腹でくるくる撫で回しながら前立腺を抉る様にして刺激した。
「あぁッ!!しんじゃう・・・ッひんじゃ、だめ、ダメぇ、んあぁ!!」
絶叫する悠人さんの亀頭の先端から、暖かい液体がびゅーびゅーと勢いよく噴き出す。精液ではない透明の液体だ。匂いもないし、多分おしっこでもない。不思議に思いながら、びくんびくん跳ねる悠人さんの身体を上から強引に抑えつける。そして、絶叫する彼の亀頭を、目をキラキラとさせながら更に刺激し続けた。
「いまの凄く可愛かったです。おしっこじゃありませんよね、コレなんですか?悠人さんは知ってますか?頑張ったらまた出せるかな・・・でも、また出したら本当に貴方、壊れちゃうかなぁ」
蹂躙したい。俺の所為でダメになってあんあん喘いでる悠人さんを、また俺の怒張の一撃で黙らせたい。
ぐちゃぐちゃに侵略したい。
この人を、支配したい。
亀頭の先端をゴシゴシ刺激しながら秘孔をしつこく穿り続けると、きゃんきゃんと雌犬のように叫び声をあげて髪を振り乱す悠人さんの亀頭の先から、漸くまた薄い精液がトロトロと漏れ出てきた。
「悠人さん、まるでお漏らししてるみたいですね。小さいだけじゃなく、俺の手を借りないときちんとした射精も出来ないなんて、本当に可愛らしいんだから。もう、どれだけ俺をときめかせたら気が済むんですか?これ以上おれを好きにさせて、貴方は一体俺をどうするつもりなんですか」
けれどそんな風に言いながらも俺は、俺の手で『ダメ』になっている悠人さんを見て非常に満足がいって。よく出来ましたと彼の頭を撫でながら、その一方で、キツいキツイご褒美をたっぷりとあげることにしたんだ。
悠人さんは、熱り立ち、ガチガチに硬度を保ったままの俺の怒張を視界に収めるだに、再び髪をバサバサと振り乱しながら、だめぇ、とか細く鳴いた。今度は先程までとは雰囲気が異なり、生きるか死ぬかの命運が掛かっているとまでに迫真に迫るものがあった。演技派だなぁ、悠人さん。グッときちゃうなぁ。背筋がゾクッとしましたよ。勿論、興奮で。でも、悠人さんは気持ちいいときはダメというと言っていたし、ダメと言われても止めないでとも告げていたから、止めてあげる事は出来ない。
悠人さん。俺は貴方から見て、誠実な男に見えますか?貴方の為にも、最初に受けたお願いは絶対に完遂します。だって、誠意って、そういうものでしょう?貴方は、本当は俺のコレが欲しくて堪らない筈なんだ。そして、俺に死ぬほど殺されたがっている。
『世界一可愛い、死にたがりの雌犬』
それが貴方の本性なんだから。
もっと正直になって下さい、宮ノ内 悠人先生。そうしたら、俺がきちんと、丁寧に、余すところ無く、徹底的に。
ぶっ殺してあげる。
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カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
とろけてなくなる
瀬楽英津子
BL
ヤクザの車を傷を付けた櫻井雅(さくらいみやび)十八歳は、多額の借金を背負わされ、ゲイ風俗で働かされることになってしまった。
連れて行かれたのは教育係の逢坂英二(おうさかえいじ)の自宅マンション。
雅はそこで、逢坂英二(おうさかえいじ)に性技を教わることになるが、逢坂英二(おうさかえいじ)は、ガサツで乱暴な男だった。
無骨なヤクザ×ドライな少年。
歳の差。
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