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―番外編 3年生― 二人の幸せ
しおりを挟む部屋に入るなり抱きついてきた圭一郎。
いつも圭一郎は部屋に着くと直ぐに私服に着替えるけど、今日は制服のまま過ごしている。
「大学に入ったら・・・どんな生活になるんだろうな。」
「圭一郎はサークルとか沢山誘われそうだよな。女子に。」
「・・・心配?」
「・・・別に心配じゃない。・・・うそ。心配。」
圭一郎はモテるんだ。大学に入れば可愛い女子も沢山いるだろう。そしたらいつの日か目が覚めて『やっぱり女の子がイイ』って思う日が来るかもしれない。その時に俺は身を引くことが出来るだろうか。もう友達には戻れないと思う。だから俺の中には圭一郎と生きていく選択肢しかないんだ。
「圭一郎。本当はさ・・・男女で付き合って結婚して子供を産むのが普通だろ?俺たちは男同士で普通の結婚だって子供だって出来ない。親に孫の顔も見せてあげられない。」
「・・・直樹?・・・何でそんな事言うの?」
「俺たちは世間からしたら普通じゃないんだよ。でもさ、もう圭一郎を手放せる自信はない。」
「何言ってんだよ。それはこっちのセリフ。直樹が居ない生活なんて耐えられないよ。」
「うん。俺も。・・・だからさ、本当に覚悟を決めないといけないのは今からかもしれないと思って。」
「うん。」
「今までは高校生で、ある意味ままごとみたいな感覚で付き合ってたけど、これからは本当に人生がかかってくるだろ。」
「そうだね。」
「何事もなく俺たちが『普通』に戻るなら大学の四年間は最後のチャンスだと思うんだよ。」
「・・・・。」
「でも俺は、もう普通に戻れないくらい圭一郎と一緒に居たいんだ。ずっと。圭一郎、本当に好きだ。もう戻れない。本当に好き。」
「っ・・・。直樹。俺も好きだよ。愛してるよ。ずっと一緒に生きていきたい。本当に愛してる。直樹じゃないとダメなんだ。」
しばらく抱き合って、気持ちも落ち着いたころ圭一郎がニヤッとしたのが分かり、思わず少し距離をとる。
「そういえば直樹。イきたいって言ったよな??」
こっこれは!!ダーク野田の顔だ!!さっきまでのしんみり雰囲気はどーしたよ!いつエロスイッチ入れたんだよ!!俺、押してねーよ。スイッチ押してねーよ。
「直樹。おいで・・・。」
王子様のような甘い笑顔で両手を広げる圭一郎の胸に思い切り飛び込んだ。
心底安心する。この体温と匂い。あの体育祭の帰りと同じ温度。いつまでもくっついていたくなる。圭一郎がいれば幸せだ。
何もしなくても、こうやってギュッてしてるだけで充分なのかもしれない。
・・・なんて思っていたのは自分だけでした。
気付いたらシャツのボタンは全開。ベルトも外されズボンのチャックも全開。
・・・でたよ。圭一郎の早業。
気づいた時には押し倒され、深い深いキスをされておりました。
「んぅ・・・ふ・・・。」
「なおき・・・なおき・・・。」
あぁ。この大きな手で触られるのが大好きだ。触れられたところから熱が広がる感覚が気持ちいい。
「はぁっあぁぁぁ・・・」
「きもちー?・・・なおきぃ・・・」
この欲で掠れた声が好きだ。囁く吐息がゾクゾクする。
俺の身体の全てを知っている手、口、目線。捉えられたらもう逃げられない。逃げる気なんて無くなるくらいの快楽と幸せを与えてくれる。
付き合ったあの日から、圭一郎に何回イかされた?圭一郎は俺の身体で何回イッた?もう数えきれないくらいだ。
心も身体も全て圭一郎のものだ。
「俺はもう全部圭一郎の物だから、好きにしていいよ。」
正常位で奥まで突かれて快楽に目を閉じていれば、胸に何かがポタポタと滴ってきて不意に目を開けると、腰をふっている圭一郎が涙を流していた。
初めての事に驚き焦って声をかける。
「圭一郎!?どうしたの!!??」
「うぅっ。な・・おきっ・・うぅ・・・なおきっ・・」
俺も混乱しながら、宥めるように圭一郎の頭を撫でた。
「どうした?大丈夫だよ。」
「な、なおきぃ・・・離れたくない。今まで毎日一緒に居たのに・・・いやだ・・・はなれ・・たくない。」
その言葉を聞いて、気づいたら俺も泣いてた。
卒業が近づくにつれて、毎日考えてた。漠然とした不安や寂しさを自分の中で処理しきれない時もあった。お互いに自分の将来のために大学へ行くんだから、そんな不安は言葉にしてはいけないと思い込んでた。
でも、圭一郎も同じことを思ってくれてたんだ。一緒だった。
それだけで、すごく安心した。
「圭一郎。俺も一緒だよ。お前と離れるのが寂しくて怖い。できる事なら一日中一緒に居たい。俺も同じ気持ちだよ。」
そう言って、下から力いっぱい抱きしめた。
・・・圭一郎の息子は挿ったままだけど。
「俺、バイトも頑張ってお金貯めるから。そしたら一緒に部屋探そうよ。一日でも早く圭一郎と住めるように学校もバイトも頑張るよ。」
「なおきぃ~・・・。俺も頑張る。ずっと一緒に居られるように。頑張る。」
「うん。二人で頑張ろう。圭一郎、愛してるよ。」
「俺も。愛してる。」
暫く抱き合ってお互いの体温を感じていた。
・・・圭一郎の息子は挿ったままだけど。
その後、少し動いた圭一郎の息子がイイところにあたり。思わず「あぁっ」と声が出ると、再びエロスイッチがONになったようで、奥まで突かれ同時に前も扱かれ、手と口と全部でトロトロに溶かされて二人で何度も果てた。
学校はもうないので、久しぶりに体中に痕がついていた。でもそれがとても嬉しかった。
大学に行ったら沢山の出会いが待っている。いろいろな経験をしていくと思う。
それでも、俺の心も身体も圭一郎を求めるだろう。圭一郎に求められる限り全てを捧げるだろう。
いつまでも求めてもらえるように頑張ろう。
でも頑張るといっても、一人で頑張らなくてもいいんだ。俺たち二人で頑張っていけばいいんだ。
二人の未来のために。二人の幸せのために!!
■■■■■■■■■■■■■■■
最後までお付き合いいただいた皆様に感謝申し上げます。
これにて終了になります。
ありがとうございました。
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