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メリークリスマス!!

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 男二人で観覧車に並ぶのは少し恥ずかしかった。



「観覧車は大人気だな。カップルばっかだし。まあ・・・俺たちもだけどなっ!」

「そーだな。男同士で並ぶの恥ずかしかったな。」



圭一郎は穏やかな表情で微笑んでいる。



「なあ直樹。俺さ、お前を好きになって本当に良かった。一緒に居れる事が本当に幸せ。」



「うん。俺もだよ。」



「直樹の事を好きかもと思ったときは・・・怖かった。まさか男を好きになるなんて思わなかったし。そんなはずない、友達だって何回も言い聞かせて」



「うん。」



「男友達を好きになるはずないって思いたくて、わざと色んな女の子と過ごしてみたけど、やっぱり何をしても直樹の事が気になって気になって仕方なかった。毎日苦しくて、もう認めてしまった方が楽だって思ったんだ。」



「うん。」



「それで、友達として一緒に居ようと決めてたけど、あのハロウィンで家に集まった時に抑えられなくてキスして、直樹からも好きって言ってもらえて、エッチして・・・あの日は本当に幸せだった。」



「うん。俺も。」



「今の幸せは、あの日から始まったんだよな。」



「うん。」



「元カノと別れた日に俺が教室に戻ってなかったら。体育祭の日に直樹が倒れてなかったら。直樹が俺の背中で昼寝をしてなかったら。あの日、直樹が俺の部屋に残ってくれてなかったら。この偶然が一つでも欠けていたら、今の幸せはなかったかもしれないと思う事があるよ。」



「そう考えると奇跡みたいだな。」



「そうだね。・・・俺は、この先、三年になっても卒業しても大人になっても、ずっと直樹と一緒に居たいよ。そのくらい好きだ。俺の人生を直樹にあげたいと思うくらいに。」



「うん。」



「男同士だから、親の事とか考えると簡単に言える事ではないし、まだ俺たちも高校生で経済力もないから何を言っても説得力はないけど、二人で部屋を借りて、朝起きたら直樹がいる生活を送りたい。」



「うん。」



「ねえ、直樹・・・。」



「ん?」



「俺は、直樹の人生が欲しいよ。俺の人生も全部あげるから。」



「・・・俺さ、圭一郎に流された感じでエッチして付き合ったみたいだけど、自分が気付いていなかっただけで、ちゃんと圭一郎のこと初めから好きだったよ。それから、どんどん好きになってる。まだまだ好きになると思うんだよ。」



「・・・嬉しい。」



「それで考えたんだよ。うちはさ、姉ちゃんはもう結婚してるし、兄ちゃんだって居る。だから家のことは心配ないんじゃないかって。自分で稼ぐようになった時、もしも家族に理解してもらえなかったら家を出ちゃえばいいやって考えるくらいに、俺の人生ヤバくなってるよ。」



「うん。」



「家族を切ってでも圭一郎と一緒に居たいと思うのはヤバいよな。できれば家族に受け入れてほしいけど。」



「俺も、できる限り受け入れてもらえるように努力はしたい。」



「だからさ・・・多分、とっくに、俺の人生の中心にいるのは圭一郎なんだよ。この先何があるか分からない。人の気持ちなんて目に見えないし絶対なんてないだろ?」



「うん。」



「この先、圭一郎の気持ちが変わるかもしれないし、俺たちもまだまだガキだから。これからいろんな人に出会っていくんだろうし。」



「うん。」



「それでも俺は圭一郎を選ぶから。」



「うん。」



「人生でも俺自身でも、全部なんでも圭一郎にあげるよ。一緒に生きていきたい。」



「直樹。好きだ。大好きだよ。俺から離れないで。」







「俺は多分、圭一郎のことを・・・愛しちゃってる。」







「っ!!!またそんな可愛いことを!!直樹っ。」



 観覧車は、頂上を少し過ぎたあたり。圭一郎に抱き締められながらキスをする。

いつものキスよりも甘く感じた。





「・・・・・直樹。大変だ。」

「ん?どーした?」

「勃った。」

「・・・・・は?」



 地上に着くまでに何とか抑えて急いで圭一郎の家に向かった。



 この日のエッチは、今までで一番幸せだったかもしれない。

感じた幸せが大きかった分、次の日、体から聞こえる悲鳴も大きかった。

だけど、それすらも幸せに感じる。





クリスマスには、二人でペアリングを買った。そんな高価なものではないけど大切な証のひとつだ。冬休みは、ほぼ毎日一緒にいて、宿題したりエッチしたり年越ししたりエッチしたり初詣に行ったりエッチしたりして過ごした。

 初詣の時、偶然にも健介たちに会ったのだけど・・・健介の彼氏は、圭一郎とはタイプの違う綺麗系のイケメンだ。健介の言っていた『魔王系ツンデレ』というのが、何となく分かった気がした。





 そして、幸せな冬休みを終え、三学期を迎えた。

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