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ハロウィンしようぜ!

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 再び圭一郎も一緒に昼飯を食べるようになったある日、「ハロウィンパーティーやろうぜ」という友也の呼びかけで、今日は圭一郎の家に集合している。



 ハロウィンには一週間ほど早いけど、圭一郎の家族が二泊三日で旅行に行ってるし明日は学校が休みだから丁度良かった。ハロウィンと言っても別に仮装をするわけでもなく、ただ皆で騒ぎたいだけの集まりだ。



 昼前から集まり、ピザやお菓子を食べながらゲームをしてると、そういえばと順一が口を開いた。



「圭一郎って、告られたりもしてるのに何で最近は彼女作らないんだ?」



 その言葉に、俺も気になってた!と健介も詰め寄る。

 圭一郎は皆の様子に、少し困った顔をしたものの真剣な表情で皆を見据え答える。



「俺、本当に好きな人が出来たんだ。」



 その衝撃的な告白に皆が一瞬ポカーンと口を開け圭一郎を見つめていた。

俺は、何か心臓がチクチクした。



 それからは肉食動物に狙われた小動物の如く、圭一郎は質問攻めに合いもみくちゃにされていた。



 そりゃさ、皆も気になるだろう。だって今まで好きな人の存在なんて微塵も感じられず、付き合っていても女子から言われて付き合う感じで本当に好きで付き合ったことはないと本人も公言していた程だし。しかも、王子様なら告白すればOK貰えるだろうと言えば、その可能性は低いと言っていた。こんなイケメンに靡かないってどんなヤツだよ。いるのか?そんな女子が。



 結局、最後まで誰かは教えてくれなかった。その人だけは大切にしたいんだってさ。圭一郎にこんなに大切に思われるなんて凄いな。・・・・羨ましい。



 それからも遊びまくって、順一が彼女との待ち合わせの時間になった事で解散することになった。昼前からずっと騒いで楽しかったけど超疲れた。今帰るのもダルいから少し休ませてもらおう。



「圭一郎、もう少し居てもいい?ちょい疲れた。休憩したい。」

「・・・。」

「何か用事あるなら帰るから大丈夫だよ。どうせ家近いし帰るわ。」

「いや、何もない。いいよ休んでってよ。」

「マジで大丈夫?何かあったんじゃないの?」

「いや、何もねーよ。大丈夫。」

「そ?じゃーもうちょい居るわ。ありがと。」



 みんな帰って圭一郎と部屋でまったりしてるけど、何か圭一郎の様子がおかしい。こいつ本当は何か用事があったんじゃないのか。眠いなら使っていいよと言われベッドにお邪魔してるけど、圭一郎は凄くソワソワしている感じがする。話しかけても上の空っぽい返事しか返ってこない。



「ねえ、何かさっきからソワソワしてね?本当は何か予定あったんじゃないのか?」

「マジで何もないって!大丈夫だから!」

「本当か?」

「ああ。・・・それより聞きたい事あるんだけど。」

「何?」

「直樹はさ、あれ以降好きな子とかできたのか?」



 おっと。突然の恋ばな?

 あれ以降とは、元カノと別れた時の事だろうな。



「いや、いねぇよ。何か皆と騒いでるのが楽しくて考えても無かったわ。」

「そっか・・・。」



 そういえば・・・あの体育祭の後は聡に会ってない。やっぱり俺の事を恋愛的な意味で好きだったんだよな・・・そうでないとキスまでしないよな・・・。そうだよ、あいつ勝手にキスしてきたんだ。



「なあ、圭一郎。俺の話を聞いてくれる?でも誰にも言わないって約束して欲しんだけど。」

「・・・・分かった。絶対誰にも言わないから聞かせて。」



・・・・何か緊張するな。



「あのさ、えっと。元カノと別れた時に、俺の友達とデキてたって言ったの覚えてる?」

「ああ。覚えてる。」

「体育祭の時にさ、倒れる前にそいつに好きだって言われた。」

「・・・え?は?どういう事?」

「いや、何か俺の事が好きだから彼女と別れさせたかったから、元カノに近づいてその気にさせた・・・みたいな?何かそんなような事言ってた。」

「は?え?そんなん・・・お前の事を傷つけただけじゃねえか。お前と気まずくなったから適当な事言ってるんじゃねーの?」

「うーん。俺も最初はそう思ったんだけど・・・それならキスまでしないだろ?普通。」

「は?直樹キスされたのか?」

「うん。急にされて俺のキャパオーバーでぶっ倒れた。」



 あ、あれ?圭一郎がめちゃくちゃ怖い顔してる!



「直樹は・・・男から告られてキモイとか思ったのか?」

「ほら、俺ってこんな性格じゃん?だから男同士とかってあんまり偏見無いんだよね。好きなら仕方ないと思うし。でもさ、自分が男とっていうのは考えた事が無かったからな。聡の事は好きだけど完全に友達としてだしな。」



「そうか・・・。」

「うん。でもさ相手が男でも女でも自分を好きになってくれるって凄い事じゃん?・・・特に俺みたいなモテない奴にとってはね!だから、聡が本気なら誠実に対応しないといけないだろ。」

「もし、そいつが本気なら付き合うのか?」

「いや、それはないよ。」



 俺はベッドから降り、圭一郎の隣に座った。

圭一郎がもの凄く真剣に俺を見つめている。



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