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第73話 アシュフォードside
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先生がベルを鳴らせば、待ち構えていた様に家令が来たので、何事か指示をする。
直ぐさま、5人の下男達がそれぞれ両手に銀の二本立て燭台を持ち、応接間のあちらこちらに置き、蝋燭に火を灯した。
ほぼ同時に家令が厚いカーテンを閉じると、部屋の中の灯りは20本の揺らめく蝋燭の焔だけ。
そして先生は窓際のデスクの上の燭台に太くて長い蝋燭を1本灯して、夫人に手渡した。
先生が下がろうとする家令に告げた。
「こちらから呼ぶまで、誰もここに近付けるな。
例え当代が私を呼んでも、だ」
それらは手順があまりにもスムーズで、短時間に行われたので焦ったアグネスは、あちらこちらに目をやっていた。
目の前で行われた展開の早さに理解が追い付いていないのだ。
彼女に疑問を持つ時間を与えないまま、迅速に物事を進める先生に。
協力をお願いしたのは間違いではなかったか、少しだが恐怖を覚えた。
蝋燭の灯りが穏やかに微笑む夫人の顔に影を落としていた。
「深く深呼吸をして、全てを私に委ねてくださいませ」
「イェニィ伯爵夫人……私……」
「どうぞ、私の事はアーグネシュとお呼びくださいね?
私もアグネスと呼ぶ事をお許しくださいませ。
私達は同じ名を持つ女同士です。
私が貴女をお守り致しますから。
ここでは誰からも貴女を傷付けたりさせません」
夫人は静かに感じのいい声で、語り掛けた。
少しでも安心させたくて、俺は握る手にそっと力を込める。
「術が上手くかからなくても、それはアグネスのせいではないの。
貴女のせいだなんて、私が誰にも思わせないわ。
だから、ただ私を信じて?
貴女は目を閉じて息をするだけ、そう、そう吐くことだけに集中して。
吐けば勝手に吸えるから、吸うことに意識を向けないで。
そう、ゆっくり、ゆっくり……」
夫人の静かな声がやがて囁きに変わり。
それまで震えていたアグネスの右手から緊張のこわばりが消えた。
深く吐くだけの呼吸を繰り返させて。
俺には違和感があった。
一度だけだが、俺は高等部の友人の邸のパーティーで催眠術を見たことがあった。
術師は自分を囲む着飾った貴族達の中で。
無作為に1人の男を選んだように見えたが、それが本当に無作為だったか、うるさく言うような奴なんか居ない。
直前に周囲に紛れ込んでいた初めて見る男だが。
たかが余興だ、主催の当主を怒らせる事もない。
無事に術を掛けられた男が猫になって鳴く様を。
明るい照明の下で皆が気楽に、雑談混じりに眺めていた。
あれはこんなにゆっくり時間を掛けて進めてはいなかった。
アグネスは一度も見たことがないと言っていたから、知らないのだ。
……これは何だ? これは……催眠術なんかじゃない。
暗くて深い闇と蝋燭だけの明るさ。
落ち着けるように静かに言葉を掛けて。
心を解すように温かな掌を合わせて。
先生と、アグネスと同じ名を持つこの女性は、催眠術と称して何の術をアグネスに掛けようとしているんだ?
妖しの国の、幻術なのか。
それでも催眠状態に入ったのだろうか。
アグネスの右手から完全に力が抜けた。
伏せられた金の長い睫毛がチリチリと震えている。
「貴女のお名前を確認させてね?」
「アグネス……アグネス・スロー、ン……」
「そうね、貴女はアグネス・スローンね、ちゃんと答えてくれてありがとう。
アグネスは現在、何をしているの?」
「……貴族学院の……中等部で」
「貴女は努力家なのね、留学生で、ご実家から離れて……
まだお若いのに、淋しくはない?」
「おばあ様と友達も居るので……淋しくはない……」
これは本当に催眠状態で、夫人の質問に答えているのかな?
俺と離れているのを淋しいと言ってくれたらいいのに。
「トルラキアを気に入ってくれたのね、嬉しいわ。
アグネスのお友達の名前を教えてくださる?」
「……リーエ、ナルストワ・アンナリーエ」
「……」
一瞬、夫人が言葉を失ったように感じた。
あり得ないが、平民のアンナリーエを知っているのか?
「……とてもいいお友達が居て良かったわ。
卒業するまで貴女はバロウズに帰りたくないのね?」
「……帰りたくない、帰れないの、今は」
「ご家族はバロウズなのに? 理由を教えて?」
帰れないの意味がわからず、俺も理由が知りたい。
ここまで、質問に淀み無く答えていたアグネスが口ごもった。
「大丈夫よ、大丈夫。
貴女が何を言っても、誰も貴女を咎めない。
貴女が何かを知っていて、それを言えなかったのも同じ様に責めないから」
アグネスの瞳は閉じられたまま。
答えたくないのか、答えたいのか、わからない。
抗うように首を振り始めたので、苦しんで居るのならもうこれ以上は無理をさせたくない。
そう思って俺達3人から離れた窓際のデスクからこちらを見ている先生の方を伺うが、黙ってこちらを見ているだけだ。
アグネスの沈黙を気にしないのか、夫人も焦ること無く黙っている。
「バロウズから逃げ出したの……怖くて、申し訳なくて。
私がしたこと……誰にも知られたくなかった」
「そうなの? お話してくれたら、楽になれるわ。
貴女ひとりが抱えなくてもいいの。
私はずっと貴女の味方よ、話してくれたら、力になれると思うの」
あくまでも優しい夫人の声に、目を瞑ったままのアグネスが涙を流した。
何をこんなに苦しんでいたのか、何も気付いていなかった自分に腹が立つ。
やはり、リヨンなんかに行くんじゃなかった。
家族を失って傷付いていた君の側にずっと居るべきだった……
「私が……私が殺したの。
クラリスに消えてほしかった。
……憎くて、居なくなってと呪ったの」
◇◇◇
侯爵夫人とクラリスが亡くなったのは、馬車が滑落したからだ。
それに至った詳細は先生に話した。
特に口止めはしなかったから、事前情報として先生は夫人の耳にも入れている筈だ。
だから、この場の3人は呪いのせいだなんて思っていない。
口にしてしまって楽になったアグネスは、辿々しいが言葉を紡いでいく。
アンナリーエから教えて貰った恋の邪魔者を消す呪いの方法。
グラスに満月を映して……とやり方を話す。
時折、黙る合間に夫人が相槌を打った。
それは全て肯定的な短い相槌。
『そうなの』『わかるわ』とか。
だが結果はグラスは割れ、呪いは完了しなかったという。
それなのに翌日、姉が亡くなってしまい、無関係だとは思えない、とアグネスは辛そうに話した。
「どうしてアグネスはお姉様に消えて欲しかったの?
邪魔に思うことをクラリスがしたのでしょう?」
夫人はあくまでも、そうさせたクラリスに責任があったように話した。
アグネスから罪悪感を失くす為だ。
俺も聞きたかった。
俺が好きなのはアグネスだけで、パートナーにしたことから生じた誤解はブレスレットの件も含めてわかってくれてた筈だ。
「殿下がクラリスに愛していると言っていたの」
信じられない言葉に握った手に思わず力が入り、アグネスがぶるっと身をすくませた。
夫人が俺を睨む。
俺は首を振った。
あり得ない、クラリスに愛してるなんて言った事は……
あった、あの温室でだ。
あれをアグネスが聞いていた……
「それは誰かから聞いたの?
それとも自分の耳で聞いたの?」
「温室で聞いたの、トルラキア語で会話をしていたの。
『私はあなただけを愛しています』
もう一度と、クラリスに言われて繰り返して。
ちゃんと言ってとお願いされて、3回仰せになっていたのを確かに聞いたの。
ふたりは笑って……楽しそうだった」
直ぐさま、5人の下男達がそれぞれ両手に銀の二本立て燭台を持ち、応接間のあちらこちらに置き、蝋燭に火を灯した。
ほぼ同時に家令が厚いカーテンを閉じると、部屋の中の灯りは20本の揺らめく蝋燭の焔だけ。
そして先生は窓際のデスクの上の燭台に太くて長い蝋燭を1本灯して、夫人に手渡した。
先生が下がろうとする家令に告げた。
「こちらから呼ぶまで、誰もここに近付けるな。
例え当代が私を呼んでも、だ」
それらは手順があまりにもスムーズで、短時間に行われたので焦ったアグネスは、あちらこちらに目をやっていた。
目の前で行われた展開の早さに理解が追い付いていないのだ。
彼女に疑問を持つ時間を与えないまま、迅速に物事を進める先生に。
協力をお願いしたのは間違いではなかったか、少しだが恐怖を覚えた。
蝋燭の灯りが穏やかに微笑む夫人の顔に影を落としていた。
「深く深呼吸をして、全てを私に委ねてくださいませ」
「イェニィ伯爵夫人……私……」
「どうぞ、私の事はアーグネシュとお呼びくださいね?
私もアグネスと呼ぶ事をお許しくださいませ。
私達は同じ名を持つ女同士です。
私が貴女をお守り致しますから。
ここでは誰からも貴女を傷付けたりさせません」
夫人は静かに感じのいい声で、語り掛けた。
少しでも安心させたくて、俺は握る手にそっと力を込める。
「術が上手くかからなくても、それはアグネスのせいではないの。
貴女のせいだなんて、私が誰にも思わせないわ。
だから、ただ私を信じて?
貴女は目を閉じて息をするだけ、そう、そう吐くことだけに集中して。
吐けば勝手に吸えるから、吸うことに意識を向けないで。
そう、ゆっくり、ゆっくり……」
夫人の静かな声がやがて囁きに変わり。
それまで震えていたアグネスの右手から緊張のこわばりが消えた。
深く吐くだけの呼吸を繰り返させて。
俺には違和感があった。
一度だけだが、俺は高等部の友人の邸のパーティーで催眠術を見たことがあった。
術師は自分を囲む着飾った貴族達の中で。
無作為に1人の男を選んだように見えたが、それが本当に無作為だったか、うるさく言うような奴なんか居ない。
直前に周囲に紛れ込んでいた初めて見る男だが。
たかが余興だ、主催の当主を怒らせる事もない。
無事に術を掛けられた男が猫になって鳴く様を。
明るい照明の下で皆が気楽に、雑談混じりに眺めていた。
あれはこんなにゆっくり時間を掛けて進めてはいなかった。
アグネスは一度も見たことがないと言っていたから、知らないのだ。
……これは何だ? これは……催眠術なんかじゃない。
暗くて深い闇と蝋燭だけの明るさ。
落ち着けるように静かに言葉を掛けて。
心を解すように温かな掌を合わせて。
先生と、アグネスと同じ名を持つこの女性は、催眠術と称して何の術をアグネスに掛けようとしているんだ?
妖しの国の、幻術なのか。
それでも催眠状態に入ったのだろうか。
アグネスの右手から完全に力が抜けた。
伏せられた金の長い睫毛がチリチリと震えている。
「貴女のお名前を確認させてね?」
「アグネス……アグネス・スロー、ン……」
「そうね、貴女はアグネス・スローンね、ちゃんと答えてくれてありがとう。
アグネスは現在、何をしているの?」
「……貴族学院の……中等部で」
「貴女は努力家なのね、留学生で、ご実家から離れて……
まだお若いのに、淋しくはない?」
「おばあ様と友達も居るので……淋しくはない……」
これは本当に催眠状態で、夫人の質問に答えているのかな?
俺と離れているのを淋しいと言ってくれたらいいのに。
「トルラキアを気に入ってくれたのね、嬉しいわ。
アグネスのお友達の名前を教えてくださる?」
「……リーエ、ナルストワ・アンナリーエ」
「……」
一瞬、夫人が言葉を失ったように感じた。
あり得ないが、平民のアンナリーエを知っているのか?
「……とてもいいお友達が居て良かったわ。
卒業するまで貴女はバロウズに帰りたくないのね?」
「……帰りたくない、帰れないの、今は」
「ご家族はバロウズなのに? 理由を教えて?」
帰れないの意味がわからず、俺も理由が知りたい。
ここまで、質問に淀み無く答えていたアグネスが口ごもった。
「大丈夫よ、大丈夫。
貴女が何を言っても、誰も貴女を咎めない。
貴女が何かを知っていて、それを言えなかったのも同じ様に責めないから」
アグネスの瞳は閉じられたまま。
答えたくないのか、答えたいのか、わからない。
抗うように首を振り始めたので、苦しんで居るのならもうこれ以上は無理をさせたくない。
そう思って俺達3人から離れた窓際のデスクからこちらを見ている先生の方を伺うが、黙ってこちらを見ているだけだ。
アグネスの沈黙を気にしないのか、夫人も焦ること無く黙っている。
「バロウズから逃げ出したの……怖くて、申し訳なくて。
私がしたこと……誰にも知られたくなかった」
「そうなの? お話してくれたら、楽になれるわ。
貴女ひとりが抱えなくてもいいの。
私はずっと貴女の味方よ、話してくれたら、力になれると思うの」
あくまでも優しい夫人の声に、目を瞑ったままのアグネスが涙を流した。
何をこんなに苦しんでいたのか、何も気付いていなかった自分に腹が立つ。
やはり、リヨンなんかに行くんじゃなかった。
家族を失って傷付いていた君の側にずっと居るべきだった……
「私が……私が殺したの。
クラリスに消えてほしかった。
……憎くて、居なくなってと呪ったの」
◇◇◇
侯爵夫人とクラリスが亡くなったのは、馬車が滑落したからだ。
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特に口止めはしなかったから、事前情報として先生は夫人の耳にも入れている筈だ。
だから、この場の3人は呪いのせいだなんて思っていない。
口にしてしまって楽になったアグネスは、辿々しいが言葉を紡いでいく。
アンナリーエから教えて貰った恋の邪魔者を消す呪いの方法。
グラスに満月を映して……とやり方を話す。
時折、黙る合間に夫人が相槌を打った。
それは全て肯定的な短い相槌。
『そうなの』『わかるわ』とか。
だが結果はグラスは割れ、呪いは完了しなかったという。
それなのに翌日、姉が亡くなってしまい、無関係だとは思えない、とアグネスは辛そうに話した。
「どうしてアグネスはお姉様に消えて欲しかったの?
邪魔に思うことをクラリスがしたのでしょう?」
夫人はあくまでも、そうさせたクラリスに責任があったように話した。
アグネスから罪悪感を失くす為だ。
俺も聞きたかった。
俺が好きなのはアグネスだけで、パートナーにしたことから生じた誤解はブレスレットの件も含めてわかってくれてた筈だ。
「殿下がクラリスに愛していると言っていたの」
信じられない言葉に握った手に思わず力が入り、アグネスがぶるっと身をすくませた。
夫人が俺を睨む。
俺は首を振った。
あり得ない、クラリスに愛してるなんて言った事は……
あった、あの温室でだ。
あれをアグネスが聞いていた……
「それは誰かから聞いたの?
それとも自分の耳で聞いたの?」
「温室で聞いたの、トルラキア語で会話をしていたの。
『私はあなただけを愛しています』
もう一度と、クラリスに言われて繰り返して。
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ふたりは笑って……楽しそうだった」
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