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第39話 アシュフォードside
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クラリスにドレスを送る、と決めたのはつい最近だ。
贈るじゃない、送るだ。
トルラキアに持ち込んで、売り払って換金したらいいドレスを餞別に送る。
学園を卒業後、王太子から『何をしたいの?』と、問われて『外交を』と答えた。
「外交か……それはいいね」
「ジィン、俺は間違ってないよな?」
久しぶりに王太子をジィンと呼んだ。
兄から可否の返事はないが、冷たい視線もないから、間違ってないはずだ。
「……トルラキア語を習ってるんだって?
あれか、アグネス嬢の影響か?
前ダウンヴィル伯爵夫人がこっちのタウンハウス処分して、あっちに本格的に移住する、って話だしな」
それは初耳だった。
アグネスは知ってるのかな?
「移住に横槍は入れない、よな?」
「現当主夫人じゃ、止めるけれど。
年寄りの老後の計画を潰す気はないよ」
良かった、アグネスの祖母はとてもいい人だ。
アグネスの大好きなものを、俺は守りたい。
「トルラキアの次は、何処の言葉を習得するのか、また教えてくれ」
最低でも何ヵ国語を身に付けろ、と言うのか……
この王太子は人使いが荒い。
加えて王太子から、外務大臣としっかり連携して仕事を覚えろと言われ、最近はよく話をする。
「外国へ持ち出し禁止品ですか?
まず、多額の現金、高額な国産品、貴金属や宝石類、それから……」
つまり、女性が国外に持ち出しても不自然でなく、あれこれ調べられない……ドレスだ!
そう思い付いた。
どうせトルラキアに入国後直ぐに売り払う予定のドレスだ。
クラリスの好みやらサイズやら関係ないだろ。
購入は誰に頼むか、だな。
本人にお金を渡して、自分で購入して貰うか。
さすがに餞別なのに、失礼か。
俺が買いに行くかな、でも何処へ買いに行けばいい?
買ったら、此処に置いとくか。
俺からは直接渡さない方がいいよな。
レイは1つ年上のセクシーだったリリアン・ロイズナー伯爵令嬢と近々結婚する。
彼女に頼むか……
外務大臣と別れ、自分の執務室に戻る道すがら、向こうから第2王子の婚約者イライザ・ガードナー侯爵令嬢が、侍女と共にこちらに向かって歩いてきた。
彼女の姉が一昨年、父親が去年、身内が2年続いて亡くなり、ギルバートとイライザ嬢の婚礼は2年延期になった。
そしてようやく来月、彼女は第2王子妃になる。
「式の最終打ち合わせを、女官長として参りましたの」
「おひとりですか?
ギルバートは?」
「式の後暫くお休みをいただきますでしょう?
ギルバート様はお仕事を捌くのに、お忙しいのです」
忙しくても見送りくらいしてやれよ、と思う。
それで、私で良ければと、エスコートを申し出た。
あまり話すことはないので、世間話の代わりに流行りのドレスとは、等話題を振った。
「まぁ、どなたかにプレゼントなさるの?」
「プレゼントになるのかなぁ、単なるお礼かな」
「私でよろしければ、お見立て致しますわ、どなたに贈られるの?」
「アグネスの姉ですよ、クラリス・スローン侯爵令嬢です。
以前パートナーとして出席して貰ったのに、何のお礼もしていなかったので」
「あぁ、記念夜会の、あの方ね?」
立ち止まったイライザ嬢が遠い目をする。
クラリスの姿を思い出そうとしているらしい。
「3年越しのお礼なのですね?」
「遅すぎて恥ずかしい話ですが、その通りです。
いや、義姉上はお忙しいのに、お手をわずらわせるわけには」
結婚準備で多忙なイライザ嬢を使った、とギルに睨まれそうだ。
普段穏やかな第2王子は、怒ると怖い。
ここは何でも知ってるレイに相談するか。
やはり婚約者のリリアン嬢からクラリスに渡して貰うのが、最善かな。
「私、この前マダム・アローズのブティックで、とても素敵なドレスを見つけましたの。
あれなら彼女にピッタリだわ! オーダーじゃなくてもいいんですのよね?」
そんなにピッタリじゃなくてもいいんだけど。
もちろん、オーダーじゃなくていいし、適当でいいんだよ。
見た目が良くて、高値で買取りして貰えそうなドレスなら。
以前、俺へのプレゼントを、考えるのが面倒で母親から勧められるまま、例のペンを購入した、と聞かされて。
身も蓋もない言われ方だと思ったが、その時のクラリスの気持ちが理解出来た。
「パッと見て、若い女性なら欲しくなる感じのドレスでしたか?」
「もちろんです! とても美しいグラデーションなの!」
グラデーションが何なのか、よくわからないが。
情報をありがとう、じゃあ、そのアローズとやらに買いに行くかな、とガードナー侯爵家の馬車に乗せようとしたら。
「私これからアローズへ行く予定でしたの。
殿下もお忙しいでしょう?」
義姉上と呼んだのがお気に召したのか、イライザ嬢の薄茶の瞳が輝いていた。
『家族になるんですもの、ご遠慮なさらないで』と、嬉しそうに言われ。
そこまで仰るならと、購入をお願いすることにした。
◇◇◇
その『家族になるんですもの』は、俺に対してだと思っていた。
でも、彼女の方はそうじゃなかった。
クラリスに対して、だった。
それに気付いて俺も驚愕したが、目の前のイライザ嬢はもっと衝撃を受けていた。
彼女を庇うように、背中に婚約者を隠してギルバートが俺を指差す。
「イライザが悪いんじゃないぞ!
お前の自業自得じゃないか!」
先手必勝みたいに喧嘩腰はやめてくれ。
俺は別にイライザ嬢を責めてない。
『何で、ですか?』と、言っただけだ。
近く開かれる夜会の打ち合わせをしていた。
王家オールスターズの大人達で。
夜会の名目で招待状を出したが、本当は以前高等部の講演会に来てくれたピアノ奏者の王家主催の凱旋演奏会だ。
この3年でますます彼の名声は高まり、演奏会のチケットは争奪戦だ。
そんなわけで彼の名前を出すと、社交界に激震が走るので内密にしていた。
大体の流れが決まったので、デビュタント前だが、アグネスをパートナーにしたい、と口にした。
アグネスのピアノの腕前はなかなかで、尊敬する世界的ピアノ奏者を間近に見せてあげたかった。
国王陛下が返事をする前に、イライザ嬢が俺に向かって微笑んだ。
「巷では、今回の夜会はアシュフォード殿下の婚約発表だと思われていましたけれど、妹さんをエスコートして差し上げるなんて、クラリス嬢にお願いされたのですね?」
「どうしたのかな? ガードナー侯爵令嬢?」
王太子のこの話し方は、気を付けなくてはいけない。
優しげだが、本当は優しくない気分の時だ。
ギルが婚約者を心配そうに見ている。
その眼差しに気付かない彼女は。
俺に頼まれて『家族になるはず』のクラリスに、ドレスを選んで届けさせたと言い出した。
女性なら誰もが喜ぶ恋人の色のドレス。
友達だと誤魔化す、照れ屋な第3王子の名前でカードを添えさせて貰いました。
簡単に、『愛を込めて』と一言だけ。
クラリスに紫色の素晴らしいグラデーションのドレスを。
それも勝手に『愛を込めて』なんてカードを添えて、勝手に侯爵家に届ける手配をしたと聞かされたから。
今日の午前中に到着なので、もう受け取られているはず、そう締めくくる。
それを聞いた皆は、一瞬動きを止めた。
イライザ嬢がにっこり笑うと、無邪気な小動物みたいに見えた。
それで俺は、小動物を怯えさせないように。
出来る限り、感情を抑えた声で聞いたのだ。
『何で、ですか?』と。
「君は誤解しているみたいだね。
アシュフォードが愛しているのは、友人であるクラリス嬢じゃなくてアグネス嬢だよ」
王太子の言葉にイライザ嬢の表情は固まり、やがて歪んだ。
そして、ギルバートは彼女を庇って……
王妃陛下は慌てて、アローズに使いを出して、ドレスの件は他言無用と箝口令を出す使者を立てた。
王太子は冷静に、今直ぐに侯爵家へ行け、と言う。
ドレスはともかく、名前入りのカードはまずい。
クラリスに俺の目の前で破いて貰え、と付け加える。
震えるイライザ嬢をギルバートは抱き締めていた。
わかってる、わかってる、自業自得だ。
人任せにした俺が悪かった。
俺が好きなのは妹のアグネスだと、ギルから聞いていると思ったんだ。
気が焦って足がもつれそうになる。
馬を出すか、馬車より馬の方が早い。
とにかくアグネスの目に触れさせたくない。
平日の午前中、今なら彼女は学園か。
護衛の騎士が追いかけてくる。
焦っている時こそ、馬は危険だと言う。
仕方なく馬車を出す。
自業自得、その言葉だけが頭の中で繰り返された。
贈るじゃない、送るだ。
トルラキアに持ち込んで、売り払って換金したらいいドレスを餞別に送る。
学園を卒業後、王太子から『何をしたいの?』と、問われて『外交を』と答えた。
「外交か……それはいいね」
「ジィン、俺は間違ってないよな?」
久しぶりに王太子をジィンと呼んだ。
兄から可否の返事はないが、冷たい視線もないから、間違ってないはずだ。
「……トルラキア語を習ってるんだって?
あれか、アグネス嬢の影響か?
前ダウンヴィル伯爵夫人がこっちのタウンハウス処分して、あっちに本格的に移住する、って話だしな」
それは初耳だった。
アグネスは知ってるのかな?
「移住に横槍は入れない、よな?」
「現当主夫人じゃ、止めるけれど。
年寄りの老後の計画を潰す気はないよ」
良かった、アグネスの祖母はとてもいい人だ。
アグネスの大好きなものを、俺は守りたい。
「トルラキアの次は、何処の言葉を習得するのか、また教えてくれ」
最低でも何ヵ国語を身に付けろ、と言うのか……
この王太子は人使いが荒い。
加えて王太子から、外務大臣としっかり連携して仕事を覚えろと言われ、最近はよく話をする。
「外国へ持ち出し禁止品ですか?
まず、多額の現金、高額な国産品、貴金属や宝石類、それから……」
つまり、女性が国外に持ち出しても不自然でなく、あれこれ調べられない……ドレスだ!
そう思い付いた。
どうせトルラキアに入国後直ぐに売り払う予定のドレスだ。
クラリスの好みやらサイズやら関係ないだろ。
購入は誰に頼むか、だな。
本人にお金を渡して、自分で購入して貰うか。
さすがに餞別なのに、失礼か。
俺が買いに行くかな、でも何処へ買いに行けばいい?
買ったら、此処に置いとくか。
俺からは直接渡さない方がいいよな。
レイは1つ年上のセクシーだったリリアン・ロイズナー伯爵令嬢と近々結婚する。
彼女に頼むか……
外務大臣と別れ、自分の執務室に戻る道すがら、向こうから第2王子の婚約者イライザ・ガードナー侯爵令嬢が、侍女と共にこちらに向かって歩いてきた。
彼女の姉が一昨年、父親が去年、身内が2年続いて亡くなり、ギルバートとイライザ嬢の婚礼は2年延期になった。
そしてようやく来月、彼女は第2王子妃になる。
「式の最終打ち合わせを、女官長として参りましたの」
「おひとりですか?
ギルバートは?」
「式の後暫くお休みをいただきますでしょう?
ギルバート様はお仕事を捌くのに、お忙しいのです」
忙しくても見送りくらいしてやれよ、と思う。
それで、私で良ければと、エスコートを申し出た。
あまり話すことはないので、世間話の代わりに流行りのドレスとは、等話題を振った。
「まぁ、どなたかにプレゼントなさるの?」
「プレゼントになるのかなぁ、単なるお礼かな」
「私でよろしければ、お見立て致しますわ、どなたに贈られるの?」
「アグネスの姉ですよ、クラリス・スローン侯爵令嬢です。
以前パートナーとして出席して貰ったのに、何のお礼もしていなかったので」
「あぁ、記念夜会の、あの方ね?」
立ち止まったイライザ嬢が遠い目をする。
クラリスの姿を思い出そうとしているらしい。
「3年越しのお礼なのですね?」
「遅すぎて恥ずかしい話ですが、その通りです。
いや、義姉上はお忙しいのに、お手をわずらわせるわけには」
結婚準備で多忙なイライザ嬢を使った、とギルに睨まれそうだ。
普段穏やかな第2王子は、怒ると怖い。
ここは何でも知ってるレイに相談するか。
やはり婚約者のリリアン嬢からクラリスに渡して貰うのが、最善かな。
「私、この前マダム・アローズのブティックで、とても素敵なドレスを見つけましたの。
あれなら彼女にピッタリだわ! オーダーじゃなくてもいいんですのよね?」
そんなにピッタリじゃなくてもいいんだけど。
もちろん、オーダーじゃなくていいし、適当でいいんだよ。
見た目が良くて、高値で買取りして貰えそうなドレスなら。
以前、俺へのプレゼントを、考えるのが面倒で母親から勧められるまま、例のペンを購入した、と聞かされて。
身も蓋もない言われ方だと思ったが、その時のクラリスの気持ちが理解出来た。
「パッと見て、若い女性なら欲しくなる感じのドレスでしたか?」
「もちろんです! とても美しいグラデーションなの!」
グラデーションが何なのか、よくわからないが。
情報をありがとう、じゃあ、そのアローズとやらに買いに行くかな、とガードナー侯爵家の馬車に乗せようとしたら。
「私これからアローズへ行く予定でしたの。
殿下もお忙しいでしょう?」
義姉上と呼んだのがお気に召したのか、イライザ嬢の薄茶の瞳が輝いていた。
『家族になるんですもの、ご遠慮なさらないで』と、嬉しそうに言われ。
そこまで仰るならと、購入をお願いすることにした。
◇◇◇
その『家族になるんですもの』は、俺に対してだと思っていた。
でも、彼女の方はそうじゃなかった。
クラリスに対して、だった。
それに気付いて俺も驚愕したが、目の前のイライザ嬢はもっと衝撃を受けていた。
彼女を庇うように、背中に婚約者を隠してギルバートが俺を指差す。
「イライザが悪いんじゃないぞ!
お前の自業自得じゃないか!」
先手必勝みたいに喧嘩腰はやめてくれ。
俺は別にイライザ嬢を責めてない。
『何で、ですか?』と、言っただけだ。
近く開かれる夜会の打ち合わせをしていた。
王家オールスターズの大人達で。
夜会の名目で招待状を出したが、本当は以前高等部の講演会に来てくれたピアノ奏者の王家主催の凱旋演奏会だ。
この3年でますます彼の名声は高まり、演奏会のチケットは争奪戦だ。
そんなわけで彼の名前を出すと、社交界に激震が走るので内密にしていた。
大体の流れが決まったので、デビュタント前だが、アグネスをパートナーにしたい、と口にした。
アグネスのピアノの腕前はなかなかで、尊敬する世界的ピアノ奏者を間近に見せてあげたかった。
国王陛下が返事をする前に、イライザ嬢が俺に向かって微笑んだ。
「巷では、今回の夜会はアシュフォード殿下の婚約発表だと思われていましたけれど、妹さんをエスコートして差し上げるなんて、クラリス嬢にお願いされたのですね?」
「どうしたのかな? ガードナー侯爵令嬢?」
王太子のこの話し方は、気を付けなくてはいけない。
優しげだが、本当は優しくない気分の時だ。
ギルが婚約者を心配そうに見ている。
その眼差しに気付かない彼女は。
俺に頼まれて『家族になるはず』のクラリスに、ドレスを選んで届けさせたと言い出した。
女性なら誰もが喜ぶ恋人の色のドレス。
友達だと誤魔化す、照れ屋な第3王子の名前でカードを添えさせて貰いました。
簡単に、『愛を込めて』と一言だけ。
クラリスに紫色の素晴らしいグラデーションのドレスを。
それも勝手に『愛を込めて』なんてカードを添えて、勝手に侯爵家に届ける手配をしたと聞かされたから。
今日の午前中に到着なので、もう受け取られているはず、そう締めくくる。
それを聞いた皆は、一瞬動きを止めた。
イライザ嬢がにっこり笑うと、無邪気な小動物みたいに見えた。
それで俺は、小動物を怯えさせないように。
出来る限り、感情を抑えた声で聞いたのだ。
『何で、ですか?』と。
「君は誤解しているみたいだね。
アシュフォードが愛しているのは、友人であるクラリス嬢じゃなくてアグネス嬢だよ」
王太子の言葉にイライザ嬢の表情は固まり、やがて歪んだ。
そして、ギルバートは彼女を庇って……
王妃陛下は慌てて、アローズに使いを出して、ドレスの件は他言無用と箝口令を出す使者を立てた。
王太子は冷静に、今直ぐに侯爵家へ行け、と言う。
ドレスはともかく、名前入りのカードはまずい。
クラリスに俺の目の前で破いて貰え、と付け加える。
震えるイライザ嬢をギルバートは抱き締めていた。
わかってる、わかってる、自業自得だ。
人任せにした俺が悪かった。
俺が好きなのは妹のアグネスだと、ギルから聞いていると思ったんだ。
気が焦って足がもつれそうになる。
馬を出すか、馬車より馬の方が早い。
とにかくアグネスの目に触れさせたくない。
平日の午前中、今なら彼女は学園か。
護衛の騎士が追いかけてくる。
焦っている時こそ、馬は危険だと言う。
仕方なく馬車を出す。
自業自得、その言葉だけが頭の中で繰り返された。
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