37 / 104
第37話
しおりを挟む
殿下が懸念されていた噂は、ご自身が強く否定されたので学園ではいつの間にか生徒の口には登らなくなってきていました。
ところが、私が感知しない場所で、長く燻っていた噂が、確定したかのように広まっていました。
王国の社交界では……
学園を卒業された第3王子殿下に、まだ婚約者がいない事。
パートナー無しで夜会に参加されて、誰とも踊らずに早々に退席されてしまう事。
毎月決まった週末に現財務大臣の侯爵家に通っている事。
それらの事実から人々は推察して、当然の結論にたどり着き。
王子の16歳の記念夜会でパートナーを勤め、息の合ったダンスを披露した女友達であり。
同じく夜会に出席しない侯爵家令嬢との婚約確定の噂が再燃しつつあったのです。
◇◇◇
それは私の初等部の最終学年が始まった頃でした。
学期が始まったばかりで、夏休みに完了していなかった防火点検作業の為、初等部は早めに下校になりました。
帰宅した私が目にしたのは、いつも殿下が乗ってこられる馬車と、玄関ホールに立っていらした護衛騎士様でした。
私と殿下とのお約束は2週間ごとの週末で。
その日は平日なのに、時間が出来て急に会いに来てくださったのでしょうか?
丁度私もお会いして、早くお渡ししたいものがありました。
私は急ぎ部屋へ行き、制服のままそれを掴んで、階下へ降りました。
そこへ通りかかったメイドが美味しそうなカップケーキを捧げ持って歩いていたので、私は彼女を捕まえました。
「殿下がおいでになっているんでしょう?
私が持って行くわ! どちらでお待ちなの?」
彼女は急に現れた私に戸惑って、直ぐに返事が出来ないようでした。
この家で働いている使用人達は、今では皆私と殿下がお付き合いをしていることは知っているはずなのに、その反応はおかしなものでした。
何かが、ひたひたと私の中に染み込んでいくような感覚でした。
「アシュフォード殿下は、誰と何処に居るの?」
「……温室に、クラリスお嬢様とです」
視線を微妙にずらす彼女を怯えさせたのだと気付いて。
私は明るい声を出しました。
「お姉様となら良かったわ。
また、お父様に何か言われてるのかと心配しちゃった」
殿下が父を苦手にしている事を、この家の皆が微笑ましく思っているのを知っていたので、私はそう誤魔化しました。
「ホールでお待ちになってる騎士様にも、こちらをお出しして休んでいただいてね」
ほっとしたように微笑むメイドから焼き立てのカップケーキのお皿を受け取って、私は温室へ足を進めました。
胸は早鐘を打つように激しく、足はもつれそうになって。
……護衛騎士様を伴わずに、ふたりだけで会っている。
今日のこの時間。
父は登城し、母は昼食会だと、朝食堂で話していました。
兄と私は登校しています。
うちに居るのは、学園を卒業した姉だけ。
今日なら、他には誰も居ないと姉が連絡したのでしょうか?
それで殿下は慌てて会いに来たのでしょうか?
姉の縁談がどうなったのか、知りたくて?
音を立てないように温室へ滑り込むように入りました。
『私は貴方が語る言葉と、自分自身の目で見た貴方の姿だけを信じます』
以前、殿下に誓った言葉を思い出しました。
貴方が姉に何を語るのか、貴方は姉に対してどう行動するのか。
それをこの耳で、この目で確かめなくてはいけない。
ボソボソと話し声が向こうから聞こえてきました。
「誰にも聞かれてないと思うけれど、念の為あっちの言葉で話しましょう」
「そうだな、わかった」
それは……紛うことなき姉と殿下の声でした。
私は思わずその場に座り込みました。
誰かに聞かれたら困る話を、ふたりはこれからすると言うのです。
ふたりは会話を始めて……信じられない事にそれはトルラキア語でした。
私がトルラキアの言葉を学びたいと話した時、殿下はがんばって、と励ましてくれたのに。
3年前には通訳なしでは、買い物も出来なかったのに。
何でも話してくれると、仰っていたくせに。
一体いつから習っていたのでしょうか。
流暢とまでは言えなくても、私よりは遥かにお上手です。
ここまで話せるなら、どうして私に教えてくれなかったのでしょう。
それにクラリスだって。
トルラキアの難しい『ヴ』の発音も完璧だなんて。
姉だって、私が発音の習得に四苦八苦していることは側で見ていたのに。
信じたくは無いけれど、拙い、なかなか進歩しない私のトルラキア語をふたりで嗤っていたのかも、とそこまで卑屈に考える位、私は打ちのめされていました。
私の語学力ではなかなか聞き取れなくて、途切れ途切れに単語を拾うのみでした。
『贈る』『ドレス』『カード』『誤解』『誤魔化す』
『カモフラージュ』
声を潜めて話し合うふたりの会話から聞き取れたのはそれくらいでした。
文章に組み立てると
『ドレスを贈った』『カモフラージュで誤魔化す』だと、思いました。
殿下は姉にドレスを贈った? それともこれから贈る?
私は誤魔化す為のカモフラージュ? 誤解をしないで?
それらの単語の組み合わせは、これ以外にない。
確かめなくては、そう思いました。
ふたりが見つめ合う姿を見る勇気はありませんでした。
でも、ドレスなら。
それが殿下から贈られたもので、意味深な言葉を綴ったカードが添えられていたら。
よろよろと立ち上がった私が聞いたのは、決定的な言葉でした。
『私はあなただけを愛しています』
殿下が口にしたのは、トルラキアの愛の言葉です。
リーエから何度も練習させられて、これだけはちゃんと覚えています。
それを聞いたクラリスは嬉しそうに、声をあげて笑って。
「もう一度、言ってください」
『……私はあなただけを愛しています』
「もっと、ちゃんと言わないと」
「もう、やめた、言わない」
「もう一回だけ、トルラキアの愛してる、って素敵ですね。
うっとりします」
「あのなぁ、これで最後だからな。
『私はあなただけを愛しています』」
姉に請われるまま、何度も愛していると繰り返すその声を、聞きたくなかった。
私の事は好きだよと、今まで何度も言ってくれたけれど。
愛していると言われた事は、一度もありませんでした。
それに、あんなに気安そうな殿下の口調は初めてでした。
私には見せられない本当の姿を、姉には見せているように思えました。
ぐちゃぐちゃな気持ちのまま、私は姉の部屋に飛び込み、クローゼットを物色しました。
どれも皆、姉が着ていて、見たことのあるドレスでした。
そんなあさましい真似をしている自分を、部屋の隅からもうひとりの私が呆れた目で見ていました。
最近読んだ小説で夫の浮気を疑ったヒロインが、夫のワードローブを物色するのです。
まるで浮気が確定したように、取りつかれた様に証拠を探すヒロインを哀れに思ったのに。
今の私がそれだ。
恋人と姉の浮気の証拠を押さえようとしている。
惨めなのに、探す手を止められない。
それらしきものを探る目があちこちへ動く。
その時、円柱型の帽子入れが積まれたコーナーにひとつだけ大きな四角い箱が置かれているのに気付きました。
これだ、と確信しました。
箱の中には紫色のグラデーションが見事なドレスが入っていました。
『あからさまは好きじゃない』
嘘ばっかり、こんな独占欲の塊の様なドレスをクラリスに贈って。
殿下との仲を応援している母が、このドレスに騒いでいないと言うことは、母の留守の間に届いたのでしょうか。
それとも、もしかして今日、殿下はご自分で届けられた?
限りなく事実に近いであろう想像を止めることが出来なくなりました。
私の手はドレスの上に乗せられていたカードを開いていました。
封筒には確かにクラリスの名前があり、間違いなく、このドレスは姉宛に贈られたもの。
そこには。
『愛を込めて アシュフォード・ロイド・バロウズ』
と、流麗な飾り文字が綴られていたのです。
元のようにドレスを箱にしまい、元の場所に戻し。
姉の部屋を出ました。
そして飛び込んだ自分の部屋で泣きました。
私の手には、先日2年越しでリーエから届けられた組み紐がありました。
おばさんはあれから体を壊して、長らく出会い市に出店出来ていなかったそうなのです。
それは黒地に金と青の糸を絡ませて。
あの日、おばさんに私は手首に巻いた赤い組み紐を見せました。
これと同じデザインで対になるようにしてくださいと。
黒い中に、控え目な金と青。
貴方が『あからさまは好きじゃない』と言ったから。
これなら身に付けてくれると思っていました。
『何を聞かされても、噂なんか信じません。
私は貴方が語る言葉と、自分自身の目で見た貴方の姿だけを信じます』
これは誰かからの噂なんかじゃない。
『あなただけを愛しています』と、クラリスに貴方が語った言葉。
『愛を込めて』と、クラリスに貴方が贈った貴方の色のドレス。
私が自分で確認した事実。
胸が千切れるように痛くて、息が出来ない。
私にはもう、あの夏のトルラキアでの皆の笑顔が、うまく思い出せないようになっていました。
ところが、私が感知しない場所で、長く燻っていた噂が、確定したかのように広まっていました。
王国の社交界では……
学園を卒業された第3王子殿下に、まだ婚約者がいない事。
パートナー無しで夜会に参加されて、誰とも踊らずに早々に退席されてしまう事。
毎月決まった週末に現財務大臣の侯爵家に通っている事。
それらの事実から人々は推察して、当然の結論にたどり着き。
王子の16歳の記念夜会でパートナーを勤め、息の合ったダンスを披露した女友達であり。
同じく夜会に出席しない侯爵家令嬢との婚約確定の噂が再燃しつつあったのです。
◇◇◇
それは私の初等部の最終学年が始まった頃でした。
学期が始まったばかりで、夏休みに完了していなかった防火点検作業の為、初等部は早めに下校になりました。
帰宅した私が目にしたのは、いつも殿下が乗ってこられる馬車と、玄関ホールに立っていらした護衛騎士様でした。
私と殿下とのお約束は2週間ごとの週末で。
その日は平日なのに、時間が出来て急に会いに来てくださったのでしょうか?
丁度私もお会いして、早くお渡ししたいものがありました。
私は急ぎ部屋へ行き、制服のままそれを掴んで、階下へ降りました。
そこへ通りかかったメイドが美味しそうなカップケーキを捧げ持って歩いていたので、私は彼女を捕まえました。
「殿下がおいでになっているんでしょう?
私が持って行くわ! どちらでお待ちなの?」
彼女は急に現れた私に戸惑って、直ぐに返事が出来ないようでした。
この家で働いている使用人達は、今では皆私と殿下がお付き合いをしていることは知っているはずなのに、その反応はおかしなものでした。
何かが、ひたひたと私の中に染み込んでいくような感覚でした。
「アシュフォード殿下は、誰と何処に居るの?」
「……温室に、クラリスお嬢様とです」
視線を微妙にずらす彼女を怯えさせたのだと気付いて。
私は明るい声を出しました。
「お姉様となら良かったわ。
また、お父様に何か言われてるのかと心配しちゃった」
殿下が父を苦手にしている事を、この家の皆が微笑ましく思っているのを知っていたので、私はそう誤魔化しました。
「ホールでお待ちになってる騎士様にも、こちらをお出しして休んでいただいてね」
ほっとしたように微笑むメイドから焼き立てのカップケーキのお皿を受け取って、私は温室へ足を進めました。
胸は早鐘を打つように激しく、足はもつれそうになって。
……護衛騎士様を伴わずに、ふたりだけで会っている。
今日のこの時間。
父は登城し、母は昼食会だと、朝食堂で話していました。
兄と私は登校しています。
うちに居るのは、学園を卒業した姉だけ。
今日なら、他には誰も居ないと姉が連絡したのでしょうか?
それで殿下は慌てて会いに来たのでしょうか?
姉の縁談がどうなったのか、知りたくて?
音を立てないように温室へ滑り込むように入りました。
『私は貴方が語る言葉と、自分自身の目で見た貴方の姿だけを信じます』
以前、殿下に誓った言葉を思い出しました。
貴方が姉に何を語るのか、貴方は姉に対してどう行動するのか。
それをこの耳で、この目で確かめなくてはいけない。
ボソボソと話し声が向こうから聞こえてきました。
「誰にも聞かれてないと思うけれど、念の為あっちの言葉で話しましょう」
「そうだな、わかった」
それは……紛うことなき姉と殿下の声でした。
私は思わずその場に座り込みました。
誰かに聞かれたら困る話を、ふたりはこれからすると言うのです。
ふたりは会話を始めて……信じられない事にそれはトルラキア語でした。
私がトルラキアの言葉を学びたいと話した時、殿下はがんばって、と励ましてくれたのに。
3年前には通訳なしでは、買い物も出来なかったのに。
何でも話してくれると、仰っていたくせに。
一体いつから習っていたのでしょうか。
流暢とまでは言えなくても、私よりは遥かにお上手です。
ここまで話せるなら、どうして私に教えてくれなかったのでしょう。
それにクラリスだって。
トルラキアの難しい『ヴ』の発音も完璧だなんて。
姉だって、私が発音の習得に四苦八苦していることは側で見ていたのに。
信じたくは無いけれど、拙い、なかなか進歩しない私のトルラキア語をふたりで嗤っていたのかも、とそこまで卑屈に考える位、私は打ちのめされていました。
私の語学力ではなかなか聞き取れなくて、途切れ途切れに単語を拾うのみでした。
『贈る』『ドレス』『カード』『誤解』『誤魔化す』
『カモフラージュ』
声を潜めて話し合うふたりの会話から聞き取れたのはそれくらいでした。
文章に組み立てると
『ドレスを贈った』『カモフラージュで誤魔化す』だと、思いました。
殿下は姉にドレスを贈った? それともこれから贈る?
私は誤魔化す為のカモフラージュ? 誤解をしないで?
それらの単語の組み合わせは、これ以外にない。
確かめなくては、そう思いました。
ふたりが見つめ合う姿を見る勇気はありませんでした。
でも、ドレスなら。
それが殿下から贈られたもので、意味深な言葉を綴ったカードが添えられていたら。
よろよろと立ち上がった私が聞いたのは、決定的な言葉でした。
『私はあなただけを愛しています』
殿下が口にしたのは、トルラキアの愛の言葉です。
リーエから何度も練習させられて、これだけはちゃんと覚えています。
それを聞いたクラリスは嬉しそうに、声をあげて笑って。
「もう一度、言ってください」
『……私はあなただけを愛しています』
「もっと、ちゃんと言わないと」
「もう、やめた、言わない」
「もう一回だけ、トルラキアの愛してる、って素敵ですね。
うっとりします」
「あのなぁ、これで最後だからな。
『私はあなただけを愛しています』」
姉に請われるまま、何度も愛していると繰り返すその声を、聞きたくなかった。
私の事は好きだよと、今まで何度も言ってくれたけれど。
愛していると言われた事は、一度もありませんでした。
それに、あんなに気安そうな殿下の口調は初めてでした。
私には見せられない本当の姿を、姉には見せているように思えました。
ぐちゃぐちゃな気持ちのまま、私は姉の部屋に飛び込み、クローゼットを物色しました。
どれも皆、姉が着ていて、見たことのあるドレスでした。
そんなあさましい真似をしている自分を、部屋の隅からもうひとりの私が呆れた目で見ていました。
最近読んだ小説で夫の浮気を疑ったヒロインが、夫のワードローブを物色するのです。
まるで浮気が確定したように、取りつかれた様に証拠を探すヒロインを哀れに思ったのに。
今の私がそれだ。
恋人と姉の浮気の証拠を押さえようとしている。
惨めなのに、探す手を止められない。
それらしきものを探る目があちこちへ動く。
その時、円柱型の帽子入れが積まれたコーナーにひとつだけ大きな四角い箱が置かれているのに気付きました。
これだ、と確信しました。
箱の中には紫色のグラデーションが見事なドレスが入っていました。
『あからさまは好きじゃない』
嘘ばっかり、こんな独占欲の塊の様なドレスをクラリスに贈って。
殿下との仲を応援している母が、このドレスに騒いでいないと言うことは、母の留守の間に届いたのでしょうか。
それとも、もしかして今日、殿下はご自分で届けられた?
限りなく事実に近いであろう想像を止めることが出来なくなりました。
私の手はドレスの上に乗せられていたカードを開いていました。
封筒には確かにクラリスの名前があり、間違いなく、このドレスは姉宛に贈られたもの。
そこには。
『愛を込めて アシュフォード・ロイド・バロウズ』
と、流麗な飾り文字が綴られていたのです。
元のようにドレスを箱にしまい、元の場所に戻し。
姉の部屋を出ました。
そして飛び込んだ自分の部屋で泣きました。
私の手には、先日2年越しでリーエから届けられた組み紐がありました。
おばさんはあれから体を壊して、長らく出会い市に出店出来ていなかったそうなのです。
それは黒地に金と青の糸を絡ませて。
あの日、おばさんに私は手首に巻いた赤い組み紐を見せました。
これと同じデザインで対になるようにしてくださいと。
黒い中に、控え目な金と青。
貴方が『あからさまは好きじゃない』と言ったから。
これなら身に付けてくれると思っていました。
『何を聞かされても、噂なんか信じません。
私は貴方が語る言葉と、自分自身の目で見た貴方の姿だけを信じます』
これは誰かからの噂なんかじゃない。
『あなただけを愛しています』と、クラリスに貴方が語った言葉。
『愛を込めて』と、クラリスに貴方が贈った貴方の色のドレス。
私が自分で確認した事実。
胸が千切れるように痛くて、息が出来ない。
私にはもう、あの夏のトルラキアでの皆の笑顔が、うまく思い出せないようになっていました。
25
お気に入りに追加
1,822
あなたにおすすめの小説
【完結済】政略結婚予定の婚約者同士である私たちの間に、愛なんてあるはずがありません!……よね?
鳴宮野々花@軍神騎士団長1月15日発売
恋愛
「どうせ互いに望まぬ政略結婚だ。結婚までは好きな男のことを自由に想い続けていればいい」「……あらそう。分かったわ」婚約が決まって以来初めて会った王立学園の入学式の日、私グレース・エイヴリー侯爵令嬢の婚約者となったレイモンド・ベイツ公爵令息は軽く笑ってあっさりとそう言った。仲良くやっていきたい気持ちはあったけど、なぜだか私は昔からレイモンドには嫌われていた。
そっちがそのつもりならまぁ仕方ない、と割り切る私。だけど学園生活を過ごすうちに少しずつ二人の関係が変わりはじめ……
※※ファンタジーなご都合主義の世界観でお送りする学園もののお話です。史実に照らし合わせたりすると「??」となりますので、どうぞ広い心でお読みくださいませ。
※※大したざまぁはない予定です。気持ちがすれ違ってしまっている二人のラブストーリーです。
※この作品は小説家になろうにも投稿しています。
(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?
青空一夏
恋愛
公爵令嬢の私は婚約者の王太子殿下と優しい家族に、気の合う親友に囲まれ充実した生活を送っていた。それは完璧なバランスがとれた幸せな世界。
けれど、それは一人の女のせいで歪んだ世界になっていくのだった。なぜ私がこんな思いをしなければならないの?
中世ヨーロッパ風異世界。魔道具使用により現代文明のような便利さが普通仕様になっている異世界です。
死に役はごめんなので好きにさせてもらいます
橋本彩里(Ayari)
恋愛
フェリシアは幼馴染で婚約者のデュークのことが好きで健気に尽くしてきた。
前世の記憶が蘇り、物語冒頭で死ぬ役目の主人公たちのただの盛り上げ要員であると知ったフェリシアは、死んでたまるかと物語のヒーロー枠であるデュークへの恋心を捨てることを決意する。
愛を返されない、いつか違う人とくっつく予定の婚約者なんてごめんだ。しかも自分は死に役。
フェリシアはデューク中心の生活をやめ、なんなら婚約破棄を目指して自分のために好きなことをしようと決める。
どうせ何をしていても気にしないだろうとデュークと距離を置こうとするが……
お付き合いいただけたら幸いです。
たくさんのいいね、エール、感想、誤字報告をありがとうございます!
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?
雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。
最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。
ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。
もう限界です。
探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。
忘却令嬢〜そう言われましても記憶にございません〜【完】
雪乃
恋愛
ほんの一瞬、躊躇ってしまった手。
誰よりも愛していた彼女なのに傷付けてしまった。
ずっと傷付けていると理解っていたのに、振り払ってしまった。
彼女は深い碧色に絶望を映しながら微笑んだ。
※読んでくださりありがとうございます。
ゆるふわ設定です。タグをころころ変えてます。何でも許せる方向け。
私が我慢する必要ありますか?【2024年12月25日電子書籍配信決定しました】
青太郎
恋愛
ある日前世の記憶が戻りました。
そして気付いてしまったのです。
私が我慢する必要ありますか?
※ 株式会社MARCOT様より電子書籍化決定!
コミックシーモア様にて12/25より配信されます。
コミックシーモア様限定の短編もありますので興味のある方はぜひお手に取って頂けると嬉しいです。
リンク先
https://www.cmoa.jp/title/1101438094/vol/1/
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる