32 / 102
第32話
しおりを挟む
「迎えに来たよ」
私は少し呆けていたんだと思います。
直ぐにお返事が出来なくて。
「アグネス、あのね……」
「悪魔ですか? 殿下ではないですよね?」
「え?」
ここにいるはずの無いアシュフォード殿下に化けた悪魔が可笑しそうに笑います。
悪魔は色んなものに姿を変えて、人を誘惑するのです。
今は昼間で、もうすぐお茶の時間。
場所は教会の前。
まだ明るい内に、こんなところで騙されそうになるなんて、待ち合わせは教会の中にすれば良かったと思いました。
「アグネス、あのね」
殿下の顔をした悪魔が繰り返しました。
「俺は本物。
絵葉書を姉上に出しただろう?
直ぐに届けて貰って、直ぐに来たんだ」
俺、と悪魔が言いました。
やっぱり、偽物だ。
「違います、殿下はご自分の事は私、と言うのです。
悪魔よ、この場から速やかに立ち去れ」
私はベンチから立ち上がり、プレストンから貰った小瓶をポケットから取り出して頭上に掲げました。
これは調理場の水だろうけれど、本物の聖水と間違えて逃げ出してくれないかと思って。
それなのに、平気で悪魔は私の前に跪いて手を差し出すのです。
「本物は、俺って言うんだ。
私なんてスカしてるあっちが偽物。
聖水をかけるの? いいよ、かけても。
悪魔は払えても、俺は払えないよ」
「……」
「君は俺が本物のフォードだって、わかってる。
もう落ち着いた? 立ち去らないからね。
話をしよう?」
かけて欲しいならかけてあげる、そう思った私は悪魔に水をかけました。
悪魔め、私に笑うな、優しく……笑って……
手を差し出さないで。
本当に水をかけられると思っていなかったのか、悪魔は少したじろいで、それから胸を押さえて苦しみ出しました。
苦しい振りをしばらく続けていたアシュフォード殿下も、もう疲れたのか頭をあげられて。
もう少し苦しんで欲しかったのに。
私が笑い出すまで。
私が手を乗せないので、殿下の方から手を握ってきました。
「聖女様、そろそろお茶の時間ですから、ホテルへ戻りましょうか」
◇◇◇
私が殿下に手を引かれてホテルへ戻ると、フロントにはペテルさんとリーエが居ました。
リーエが私と殿下を見て、その目が繋いでる手を見て。
彼女が何か言いたくてムズムズしているのが、その目付きを見てわかりました。
「み、皆さん、皆様、サロンにいます。
後でお茶、お、持って行く、行きます」
いつも、ゆっくりですが落ち着いて正しくバロウズの言葉を話すペテルさんが慌てていました。
殿下がふんわり微笑みながら手を上げたので、ホッとしたように胸を押さえています。
それを見ていたら、そうだ、この御方は王子様だったんだ、特別なひとなんだ、と改めて思いました。
私はさっき、水をかけてしまったけれど。
ペテルさんに案内されてサロンへ行こうとした殿下の手を、私はほどきました。
「リーエと話をしたいので」
「わかった、後でね」
殿下の後ろ姿を見ていたら、リーエが私の隣に来ました。
「ウチを出ようとしたら、入ってきて。
あんまり綺麗過ぎてビックリしちゃった。
あの御方がフォード様でしょう?
後からもうひとり入ってきた茶色の髪の人もかっこ良かったよ。
他にも4人くらい大人の男の人を連れてきてて、その人達も素敵だった。
バロウズの男の人って、皆あんなに綺麗なの?」
茶色の髪のひと……きっとレイノルド・マーシャル様の事でしょう。
4人って護衛の人達かな。
近衛騎士様は全員貴族だし、見目が良くないとなれないので素敵なんだと思いました。
「ひどいよ、ずっと待ってたんだよ。
パエルさんに会えると思ってたのに」
「ごめーん、出掛けしなにあの人が来て、お母さんにダウンヴィル夫人は居ますか、って絵葉書見せてて。
ダウンヴィルって奥様の事だし、アグネスがお姉さんに出した葉書だからね?
ついフォード様ですか? って聞いちゃったの。
そしたら、そうですよ、って言うから。
アグネスは教会の所に居ますよ、って教えちゃったんだ」
「もお、いきなり来るからびっくりして、悪魔かと思ったよ」
リーエは声を上げて笑いました。
「聖水かけたの? あのひと髪が濡れてたね」
リーエにはプレストンから貰った小瓶を見せていたので、かけた事がばれました。
私も何だか可笑しくて、ふたりで笑っていたら、ベイシス夫人が私を呼びに来ました。
私はいいよ、と遠慮するリーエと腕を組んでサロンへと向かいました。
サロン内では、祖母と殿下とマーシャル様、護衛騎士様が扉の前にひとり、殿下の後にひとり。
いち早く、私達に気付いたマーシャル様がにっこり笑って、手を振ってくださって。
祖母と話をしていた殿下が、立ち上がって迎えてくださいました。
私に大人の女性に対するような扱いをするので、今日の殿下は以前と違う人みたいで。
殿下は祖母の近くの椅子を、私とリーエにお譲りくださって、ご自分はマーシャル様のお隣に移動してくださいました。
「リーエも一緒に来たのね、丁度良かったわ。
アグネス、明日は殿下達と観光に行ってらっしゃいな。
お隣の街で、市場が立つそうなの」
「おばあ様はどうなさるのですか?」
「私ね、この国がとても気に入ってしまったの。
ですからね、是非夏の別荘を構えたいと思うの。
そうなると、これから物件を探して、トルラキアとバロウズと両国からお許しを貰って、登録届けを出してと、しなくてはいけないことも多いでしょう?
殿下が紹介状を書いて下さると仰せになっていてね。
シュトウブさんと一緒にお城へ行って、担当の方に他国の者が住宅を購入するするにはトルラキアでは何が必要なのかを、聞きに行きたいの」
「でも、シュトウブさんがいなかったら……」
「リーエを案内に、ってペテルさんからお許しを貰いましたよ」
学校の授業があるのに、勝手に決めてリーエは大丈夫なのかしら。
気になって隣を見ると、リーエはとても嬉しそうな顔をしていました。
「奥様、パエルを誘ってもよろしいでしょうか?」
「もちろん、いいわよ。
よろしいですわね、殿下?」
殿下も頷いていらっしゃいました。
殿下とマーシャル様とリーエとパエルさんと私と4人の護衛騎士様。
直ぐに帰国されるかも、と思っていた殿下と街へ行けるなんて。
姉を好きな殿下は悪魔なのに。
もう諦めると決めていたのに。
会いに来てくれて、優しくされたら。
私は胸が高鳴るのを押さえることが出来ませんでした。
私は少し呆けていたんだと思います。
直ぐにお返事が出来なくて。
「アグネス、あのね……」
「悪魔ですか? 殿下ではないですよね?」
「え?」
ここにいるはずの無いアシュフォード殿下に化けた悪魔が可笑しそうに笑います。
悪魔は色んなものに姿を変えて、人を誘惑するのです。
今は昼間で、もうすぐお茶の時間。
場所は教会の前。
まだ明るい内に、こんなところで騙されそうになるなんて、待ち合わせは教会の中にすれば良かったと思いました。
「アグネス、あのね」
殿下の顔をした悪魔が繰り返しました。
「俺は本物。
絵葉書を姉上に出しただろう?
直ぐに届けて貰って、直ぐに来たんだ」
俺、と悪魔が言いました。
やっぱり、偽物だ。
「違います、殿下はご自分の事は私、と言うのです。
悪魔よ、この場から速やかに立ち去れ」
私はベンチから立ち上がり、プレストンから貰った小瓶をポケットから取り出して頭上に掲げました。
これは調理場の水だろうけれど、本物の聖水と間違えて逃げ出してくれないかと思って。
それなのに、平気で悪魔は私の前に跪いて手を差し出すのです。
「本物は、俺って言うんだ。
私なんてスカしてるあっちが偽物。
聖水をかけるの? いいよ、かけても。
悪魔は払えても、俺は払えないよ」
「……」
「君は俺が本物のフォードだって、わかってる。
もう落ち着いた? 立ち去らないからね。
話をしよう?」
かけて欲しいならかけてあげる、そう思った私は悪魔に水をかけました。
悪魔め、私に笑うな、優しく……笑って……
手を差し出さないで。
本当に水をかけられると思っていなかったのか、悪魔は少したじろいで、それから胸を押さえて苦しみ出しました。
苦しい振りをしばらく続けていたアシュフォード殿下も、もう疲れたのか頭をあげられて。
もう少し苦しんで欲しかったのに。
私が笑い出すまで。
私が手を乗せないので、殿下の方から手を握ってきました。
「聖女様、そろそろお茶の時間ですから、ホテルへ戻りましょうか」
◇◇◇
私が殿下に手を引かれてホテルへ戻ると、フロントにはペテルさんとリーエが居ました。
リーエが私と殿下を見て、その目が繋いでる手を見て。
彼女が何か言いたくてムズムズしているのが、その目付きを見てわかりました。
「み、皆さん、皆様、サロンにいます。
後でお茶、お、持って行く、行きます」
いつも、ゆっくりですが落ち着いて正しくバロウズの言葉を話すペテルさんが慌てていました。
殿下がふんわり微笑みながら手を上げたので、ホッとしたように胸を押さえています。
それを見ていたら、そうだ、この御方は王子様だったんだ、特別なひとなんだ、と改めて思いました。
私はさっき、水をかけてしまったけれど。
ペテルさんに案内されてサロンへ行こうとした殿下の手を、私はほどきました。
「リーエと話をしたいので」
「わかった、後でね」
殿下の後ろ姿を見ていたら、リーエが私の隣に来ました。
「ウチを出ようとしたら、入ってきて。
あんまり綺麗過ぎてビックリしちゃった。
あの御方がフォード様でしょう?
後からもうひとり入ってきた茶色の髪の人もかっこ良かったよ。
他にも4人くらい大人の男の人を連れてきてて、その人達も素敵だった。
バロウズの男の人って、皆あんなに綺麗なの?」
茶色の髪のひと……きっとレイノルド・マーシャル様の事でしょう。
4人って護衛の人達かな。
近衛騎士様は全員貴族だし、見目が良くないとなれないので素敵なんだと思いました。
「ひどいよ、ずっと待ってたんだよ。
パエルさんに会えると思ってたのに」
「ごめーん、出掛けしなにあの人が来て、お母さんにダウンヴィル夫人は居ますか、って絵葉書見せてて。
ダウンヴィルって奥様の事だし、アグネスがお姉さんに出した葉書だからね?
ついフォード様ですか? って聞いちゃったの。
そしたら、そうですよ、って言うから。
アグネスは教会の所に居ますよ、って教えちゃったんだ」
「もお、いきなり来るからびっくりして、悪魔かと思ったよ」
リーエは声を上げて笑いました。
「聖水かけたの? あのひと髪が濡れてたね」
リーエにはプレストンから貰った小瓶を見せていたので、かけた事がばれました。
私も何だか可笑しくて、ふたりで笑っていたら、ベイシス夫人が私を呼びに来ました。
私はいいよ、と遠慮するリーエと腕を組んでサロンへと向かいました。
サロン内では、祖母と殿下とマーシャル様、護衛騎士様が扉の前にひとり、殿下の後にひとり。
いち早く、私達に気付いたマーシャル様がにっこり笑って、手を振ってくださって。
祖母と話をしていた殿下が、立ち上がって迎えてくださいました。
私に大人の女性に対するような扱いをするので、今日の殿下は以前と違う人みたいで。
殿下は祖母の近くの椅子を、私とリーエにお譲りくださって、ご自分はマーシャル様のお隣に移動してくださいました。
「リーエも一緒に来たのね、丁度良かったわ。
アグネス、明日は殿下達と観光に行ってらっしゃいな。
お隣の街で、市場が立つそうなの」
「おばあ様はどうなさるのですか?」
「私ね、この国がとても気に入ってしまったの。
ですからね、是非夏の別荘を構えたいと思うの。
そうなると、これから物件を探して、トルラキアとバロウズと両国からお許しを貰って、登録届けを出してと、しなくてはいけないことも多いでしょう?
殿下が紹介状を書いて下さると仰せになっていてね。
シュトウブさんと一緒にお城へ行って、担当の方に他国の者が住宅を購入するするにはトルラキアでは何が必要なのかを、聞きに行きたいの」
「でも、シュトウブさんがいなかったら……」
「リーエを案内に、ってペテルさんからお許しを貰いましたよ」
学校の授業があるのに、勝手に決めてリーエは大丈夫なのかしら。
気になって隣を見ると、リーエはとても嬉しそうな顔をしていました。
「奥様、パエルを誘ってもよろしいでしょうか?」
「もちろん、いいわよ。
よろしいですわね、殿下?」
殿下も頷いていらっしゃいました。
殿下とマーシャル様とリーエとパエルさんと私と4人の護衛騎士様。
直ぐに帰国されるかも、と思っていた殿下と街へ行けるなんて。
姉を好きな殿下は悪魔なのに。
もう諦めると決めていたのに。
会いに来てくれて、優しくされたら。
私は胸が高鳴るのを押さえることが出来ませんでした。
41
お気に入りに追加
1,836
あなたにおすすめの小説
旦那様は大変忙しいお方なのです
あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。
しかし、その当人が結婚式に現れません。
侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」
呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。
相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。
我慢の限界が――来ました。
そちらがその気ならこちらにも考えがあります。
さあ。腕が鳴りますよ!
※視点がころころ変わります。
※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
古代魔法を専門とする魔法研究者のアンヌッカは、家族と研究所を守るために軍人のライオネルと結婚をする。
ライオネルもまた昇進のために結婚をしなければならず、国王からの命令ということもあり結婚を渋々と引き受ける。
しかし、愛のない結婚をした二人は結婚式当日すら顔を合わせることなく、そのまま離れて暮らすこととなった。
ある日、アンヌッカの父が所長を務める魔法研究所に軍から古代文字で書かれた魔導書の解読依頼が届く。
それは禁帯本で持ち出し不可のため、軍施設に研究者を派遣してほしいという依頼だ。
この依頼に対応できるのは研究所のなかでもアンヌッカしかいない。
しかし軍人の妻が軍に派遣されて働くというのは体裁が悪いし何よりも会ったことのない夫が反対するかもしれない。
そう思ったアンヌッカたちは、アンヌッカを親戚の娘のカタリーナとして軍に送り込んだ――。
素性を隠したまま働く妻に、知らぬ間に惹かれていく(恋愛にはぽんこつ)夫とのラブコメディ。
【完結】期間限定聖女ですから、婚約なんて致しません
との
恋愛
第17回恋愛大賞、12位ありがとうございました。そして、奨励賞まで⋯⋯応援してくださった方々皆様に心からの感謝を🤗
「貴様とは婚約破棄だ!」⋯⋯な〜んて、聞き飽きたぁぁ!
あちこちでよく見かける『使い古された感のある婚約破棄』騒動が、目の前ではじまったけど、勘違いも甚だしい王子に笑いが止まらない。
断罪劇? いや、珍喜劇だね。
魔力持ちが産まれなくて危機感を募らせた王国から、多くの魔法士が産まれ続ける聖王国にお願いレターが届いて⋯⋯。
留学生として王国にやって来た『婚約者候補』チームのリーダーをしているのは、私ロクサーナ・バーラム。
私はただの引率者で、本当の任務は別だからね。婚約者でも候補でもないのに、珍喜劇の中心人物になってるのは何で?
治癒魔法の使える女性を婚約者にしたい? 隣にいるレベッカはささくれを治せればラッキーな治癒魔法しか使えないけど良いのかな?
聖女に聖女見習い、魔法士に魔法士見習い。私達は国内だけでなく、魔法で外貨も稼いでいる⋯⋯国でも稼ぎ頭の集団です。
我が国で言う聖女って職種だからね、清廉潔白、献身⋯⋯いやいや、ないわ〜。だって魔物の討伐とか行くし? 殺るし?
面倒事はお断りして、さっさと帰るぞぉぉ。
訳あって、『期間限定銭ゲバ聖女⋯⋯ちょくちょく戦闘狂』やってます。いつもそばにいる子達をモフモフ出来るまで頑張りま〜す。
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結まで予約投稿済み
R15は念の為・・
愛のない貴方からの婚約破棄は受け入れますが、その不貞の代償は大きいですよ?
日々埋没。
恋愛
公爵令嬢アズールサは隣国の男爵令嬢による嘘のイジメ被害告発のせいで、婚約者の王太子から婚約破棄を告げられる。
「どうぞご自由に。私なら傲慢な殿下にも王太子妃の地位にも未練はございませんので」
しかし愛のない政略結婚でこれまで冷遇されてきたアズールサは二つ返事で了承し、晴れて邪魔な婚約者を男爵令嬢に押し付けることに成功する。
「――ああそうそう、殿下が入れ込んでいるそちらの彼女って実は〇〇ですよ? まあ独り言ですが」
嘘つき男爵令嬢に騙された王太子は取り返しのつかない最期を迎えることになり……。
※この作品は過去に公開したことのある作品に修正を加えたものです。
またこの作品とは別に、他サイトでも本作を元にしたリメイク作を別のペンネー厶で公開していますがそのことをあらかじめご了承ください。
つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?
蓮
恋愛
少しネガティブな天然鈍感辺境伯令嬢と目つきが悪く恋愛に関してはポンコツコミュ障公爵令息のコミュニケーションエラー必至の爆笑(?)すれ違いラブコメ!
ランツベルク辺境伯令嬢ローザリンデは優秀な兄弟姉妹に囲まれて少し自信を持てずにいた。そんなローザリンデを夜会でエスコートしたいと申し出たのはオルデンブルク公爵令息ルートヴィヒ。そして複数回のエスコートを経て、ルートヴィヒとの結婚が決まるローザリンデ。しかし、ルートヴィヒには身分違いだが恋仲の女性がいる噂をローザリンデは知っていた。
エーベルシュタイン女男爵であるハイデマリー。彼女こそ、ルートヴィヒの恋人である。しかし上級貴族と下級貴族の結婚は許されていない上、ハイデマリーは既婚者である。
ローザリンデは自分がお飾りの妻だと理解した。その上でルートヴィヒとの結婚を受け入れる。ランツベルク家としても、筆頭公爵家であるオルデンブルク家と繋がりを持てることは有益なのだ。
しかし結婚後、ルートヴィヒの様子が明らかにおかしい。ローザリンデはルートヴィヒからお菓子、花、アクセサリー、更にはドレスまでことあるごとにプレゼントされる。プレゼントの量はどんどん増える。流石にこれはおかしいと思ったローザリンデはある日の夜会で聞いてみる。
「つかぬことをお伺いいたしますが、私はお飾りの妻ですよね?」
するとルートヴィヒからは予想外の返事があった。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
【完結】名ばかり婚約者だった王子様、実は私の事を愛していたらしい ~全て奪われ何もかも失って死に戻ってみたら~
Rohdea
恋愛
───私は名前も居場所も全てを奪われ失い、そして、死んだはず……なのに!?
公爵令嬢のドロレスは、両親から愛され幸せな生活を送っていた。
そんなドロレスのたった一つの不満は婚約者の王子様。
王家と家の約束で生まれた時から婚約が決定していたその王子、アレクサンドルは、
人前にも現れない、ドロレスと会わない、何もしてくれない名ばかり婚約者となっていた。
そんなある日、両親が事故で帰らぬ人となり、
父の弟、叔父一家が公爵家にやって来た事でドロレスの生活は一変し、最期は殺されてしまう。
───しかし、死んだはずのドロレスが目を覚ますと、何故か殺される前の過去に戻っていた。
(残された時間は少ないけれど、今度は殺されたりなんかしない!)
過去に戻ったドロレスは、
両親が親しみを込めて呼んでくれていた愛称“ローラ”を名乗り、
未来を変えて今度は殺されたりしないよう生きていく事を決意する。
そして、そんなドロレス改め“ローラ”を助けてくれたのは、名ばかり婚約者だった王子アレクサンドル……!?
【完結】さようなら、婚約者様。私を騙していたあなたの顔など二度と見たくありません
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
婚約者とその家族に虐げられる日々を送っていたアイリーンは、赤ん坊の頃に森に捨てられていたところを、貧乏なのに拾って育ててくれた家族のために、つらい毎日を耐える日々を送っていた。
そんなアイリーンには、密かな夢があった。それは、世界的に有名な魔法学園に入学して勉強をし、宮廷魔術師になり、両親を楽させてあげたいというものだった。
婚約を結ぶ際に、両親を支援する約束をしていたアイリーンだったが、夢自体は諦めきれずに過ごしていたある日、別の女性と恋に落ちていた婚約者は、アイリーンなど体のいい使用人程度にしか思っておらず、支援も行っていないことを知る。
どういうことか問い詰めると、お前とは婚約破棄をすると言われてしまったアイリーンは、ついに我慢の限界に達し、婚約者に別れを告げてから婚約者の家を飛び出した。
実家に帰ってきたアイリーンは、唯一の知人で特別な男性であるエルヴィンから、とあることを提案される。
それは、特待生として魔法学園の編入試験を受けてみないかというものだった。
これは一人の少女が、夢を掴むために奮闘し、時には婚約者達の妨害に立ち向かいながら、幸せを手に入れる物語。
☆すでに最終話まで執筆、予約投稿済みの作品となっております☆
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる