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第22話
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「みぃーつけた!」
そう言いながら、私の腕を掴んだのは。
バージニア王女殿下のお茶会でのかくれんぼが始まる時。
『鬼に見つかるまで、決して出てきてはいけませんよ』
私にそう命じた、6年生のローラ・グレイシー伯爵令嬢でした。
お昼休みの図書室でした。
私は次回、アシュフォード殿下にお会いした時に渡すクッキーの他に、別のお菓子も作りたいな、と思っていて。
帰宅してから料理長に相談する前に、殿下がお好みの甘くないお菓子があるのか知りたくて、図書室にお菓子の本があれば、と軽い気持ちで立ち寄ったのです。
いつも私の友人達はお昼休みは校庭で遊ぶので、その日私はひとりでした。
「貴女は皆で楽しくかくれんぼしていたのに、途中で隠れるのをやめて、アシュフォード殿下と長い間お話をしていたのでしょう?」
グレイシー伯爵令嬢に腕を取られて、そのままぐいぐい引っ張られて。
私が連れてこられたのは、図書室の一番奥の専門書が並ぶ、初等部から高等部までの生徒が誰も来ないような、そんな本棚が並んだ一角でした。
そこには5年生のバージニア王女殿下を中心に、お茶会に参加されていたご令嬢方や初めて見る4年生の方達も居て、私は10人近くの上級生達に囲まれてしまったのでした。
「アシュフォード殿下に何を言ったのか知らないけど、そのせいで王女殿下は王妃陛下にご注意されたのよ」
グレイシー伯爵令嬢が憎々しげに言って。
誰かが『謝れ』と、言って。
その一言を皮切りに、周りから口々に
『謝れ』『舐めるな』等と言い出されて。
この場を仕切っているのはグレイシー伯爵令嬢でしたが、多分これにはバージニア王女殿下のご意向があっての事なのでしょう、とは思いました。
何故なら、グレイシー伯爵令嬢は何も言わない王女殿下の方を何度も見ていたからです。
囲まれて文句を言われるだけなら、お昼休みが終わるまで我慢しようと思っていたのですが。
初めて見る方から突き飛ばされて。
後ろによろめいた私を、背後にいた方がまた突いて。
前にふらふらと出た私は、膝を着きました。
「身体だけじゃなくて、態度もデカいのよ。
最初から跪きなさいよ」
立ち上がれないように両肩を上から押さえつけられてしまいました。
頭を上げると、目の前には腕組みをしたバージニア王女殿下が。
「お母様から初めてお茶会に参加する幼い子には、優しくしてあげないといけません、と叱られたのよ。
私は貴女に優しくしたわよね?」
王女殿下は『幼い』の部分を強調してお話になったので、皆様はその箇所で一斉に嗤いました。
「お隣のリヨンには身体の大きなクジラの王女がいたの。
首と手足の長い不格好な貴女には、バロウズのキリン令嬢と、名前を付けてあげる」
「……」
不格好なキリン令嬢、と周りから口々に罵られ嗤われても。
我慢、我慢と、自分を抑えていました。
私は父に似て大きいので、私を押さえつけている小柄な先輩方など、振り払える気がしていました。
それに周りを囲まれているけれど、あそこからなら逃げ出せる、と一際小柄な先輩を突き飛ばして逃げるイメージも固まっていました。
でも、それをしなかったのは今日逃げても、これからずっと狙われる、と確信していたからです。
それなら、ここで、この一回で終わるように。
王女殿下の気が済むまで。
多分、多分口だけ、手は出されない。
殴られたりはない。
私の身体に傷を付ければ、父が黙っていません。
口で罵倒するだけなら『そんな事は言っていない』と言い逃れは出来ます。
だから、今だけ我慢すれば。
「姉妹揃って図々しい!
貴女の姉も、本当に腹が立つわ」
王女殿下は泣きもせず、謝りもしない私に、本当に腹を立てていらっしゃるようなので。
悪い事をした覚えは何一つ無いのに謝るしかないのかしら、と考えていると……
今、姉の事を図々しい、と仰せに?
「お兄様にいただいたと、見せびらかして」
「あ、姉からも聞きました。
とても偉そうに、周りの方達に見せつけていた、と」
グレイシー伯爵令嬢も、王女殿下に話を合わせて。
お兄様からいただいた?
クラリスはアシュフォード殿下から何かをいただいて、それを見せびらかしていた?
私はふたりから何も聞いていません。
殿下は何を渡したの?
姉は何をいただいたの?
「王女殿下、お教えくださいませ……」
私が王女殿下にお願いしようとした時、誰もいないはずの方角から声がしました。
「はい、そこまで。
さっきから聞いていたら、まるで下町のゴロツキだね」
手を叩きながら、ひとりの男性が現れました。
若いのか若くないのか、見分けがつかない不思議な雰囲気の方でした。
制服は着ていらっしゃらないので、先生なのかも知れません。
身長は多分、大きな父と同じくらい、でも痩せていらっしゃるので、父より高く、いえ、ひょろ長く見えました。
寝癖なのか癖毛なのかわからない、くしゃくしゃとした黒髪に赤い瞳の先生は初めて見るので、中等部か高等部の先生だと思われました。
「ゴロツキ?誰に向かって」
バージニア王女殿下は、一瞬拳を振り上げられて。
ですが、現場を見られた事で慌てて逃げ出そうとした方達もいらっしゃって。
私達は奥に居ましたので、男性の目の前を通らねば図書室から出ることは叶わず、最初に側を駆け抜けようとした方の腕をすばやく掴んで、こちらへ押し戻したのです。
それが見せしめのように荒々しいやり方だったので他の方は怖じ気づいて、その場に立ち竦むだけでした。
「はい、逃げても無駄。
僕はあまり生徒の顔を覚えようとしてないけれど、記憶力はいいからね。
君達8人の顔はちゃんと覚えたから、午後の授業中に初等部高学年の全クラス回って、ひとりひとり顔を見て、名前を確認して、指差して。
昼休みの図書室で何をやっていたか、クラスメート全員の前でぶちまけようと思ってる」
その恐ろしい考えに、私までもが震えそうになりました。
クラスメート全員の前で?
そんな真似をされたら……学生の間だけでなく、本格的に社交界に参加しても。
大人になっても……苛めをした人間だと皆は覚えている。
「そうされるのが嫌なら、こんな馬鹿な真似は金輪際しないことだ」
「全員の顔を覚えたなんて、あり得ないわ!」
気丈に振る舞おうとするグレイシー伯爵令嬢に、先生は面倒くさそうに答えられました。
「そうだねぇ、そう思うなら、これからもどうぞ後輩苛めを続けたらいいよ、グレイシー嬢」
「え、どうして……」
初等部担当でない先生に家名で呼ばれて、グレイシー伯爵令嬢の顔色が変わりました。
「君の姉上、高等部2年に居るよね。
君はそっくりだからね?」
「……」
「はい、それとね、君と君と君もクラスまで行かなくても、どこの家門の子かわかるなぁ。
君達の兄や姉は、僕の教え子だからね」
口では生徒の顔は覚えない、と仰っていたのに。
先生の頭の中では、この場に居るご令嬢方のご兄弟をちゃんと把握されているようでした。
「特に第1王女殿下、貴女のご行状は高等部でも有名です。
財務大臣のご令嬢にこのような真似は、両陛下も庇い切れると、お考えですか?」
「ふ、不敬です!」
目の前で指差してくる先生の手を払いのけて、王女殿下は大声を上げました。
そんな声を出したら、他の方も集まってくるのに。
「不敬ですか?
僕はこの国の人間ではないので、貴女なんか怖くないですよ」
「名前を!名前を名乗りなさい!」
本当に王女殿下に怒られても、この先生は平気なんだと思いました。
わざとらしく、ゆっくりと淑女に対する紳士の礼を先生はされました。
「申し遅れました。
高等部で伝承民俗学の教鞭を取っております。
イシュトヴァーン・ストロノーヴァと申します」
赤い瞳が悪戯っ子のようにキラキラ輝いていました。
それがストロノーヴァ先生と私の出会いでした。
そう言いながら、私の腕を掴んだのは。
バージニア王女殿下のお茶会でのかくれんぼが始まる時。
『鬼に見つかるまで、決して出てきてはいけませんよ』
私にそう命じた、6年生のローラ・グレイシー伯爵令嬢でした。
お昼休みの図書室でした。
私は次回、アシュフォード殿下にお会いした時に渡すクッキーの他に、別のお菓子も作りたいな、と思っていて。
帰宅してから料理長に相談する前に、殿下がお好みの甘くないお菓子があるのか知りたくて、図書室にお菓子の本があれば、と軽い気持ちで立ち寄ったのです。
いつも私の友人達はお昼休みは校庭で遊ぶので、その日私はひとりでした。
「貴女は皆で楽しくかくれんぼしていたのに、途中で隠れるのをやめて、アシュフォード殿下と長い間お話をしていたのでしょう?」
グレイシー伯爵令嬢に腕を取られて、そのままぐいぐい引っ張られて。
私が連れてこられたのは、図書室の一番奥の専門書が並ぶ、初等部から高等部までの生徒が誰も来ないような、そんな本棚が並んだ一角でした。
そこには5年生のバージニア王女殿下を中心に、お茶会に参加されていたご令嬢方や初めて見る4年生の方達も居て、私は10人近くの上級生達に囲まれてしまったのでした。
「アシュフォード殿下に何を言ったのか知らないけど、そのせいで王女殿下は王妃陛下にご注意されたのよ」
グレイシー伯爵令嬢が憎々しげに言って。
誰かが『謝れ』と、言って。
その一言を皮切りに、周りから口々に
『謝れ』『舐めるな』等と言い出されて。
この場を仕切っているのはグレイシー伯爵令嬢でしたが、多分これにはバージニア王女殿下のご意向があっての事なのでしょう、とは思いました。
何故なら、グレイシー伯爵令嬢は何も言わない王女殿下の方を何度も見ていたからです。
囲まれて文句を言われるだけなら、お昼休みが終わるまで我慢しようと思っていたのですが。
初めて見る方から突き飛ばされて。
後ろによろめいた私を、背後にいた方がまた突いて。
前にふらふらと出た私は、膝を着きました。
「身体だけじゃなくて、態度もデカいのよ。
最初から跪きなさいよ」
立ち上がれないように両肩を上から押さえつけられてしまいました。
頭を上げると、目の前には腕組みをしたバージニア王女殿下が。
「お母様から初めてお茶会に参加する幼い子には、優しくしてあげないといけません、と叱られたのよ。
私は貴女に優しくしたわよね?」
王女殿下は『幼い』の部分を強調してお話になったので、皆様はその箇所で一斉に嗤いました。
「お隣のリヨンには身体の大きなクジラの王女がいたの。
首と手足の長い不格好な貴女には、バロウズのキリン令嬢と、名前を付けてあげる」
「……」
不格好なキリン令嬢、と周りから口々に罵られ嗤われても。
我慢、我慢と、自分を抑えていました。
私は父に似て大きいので、私を押さえつけている小柄な先輩方など、振り払える気がしていました。
それに周りを囲まれているけれど、あそこからなら逃げ出せる、と一際小柄な先輩を突き飛ばして逃げるイメージも固まっていました。
でも、それをしなかったのは今日逃げても、これからずっと狙われる、と確信していたからです。
それなら、ここで、この一回で終わるように。
王女殿下の気が済むまで。
多分、多分口だけ、手は出されない。
殴られたりはない。
私の身体に傷を付ければ、父が黙っていません。
口で罵倒するだけなら『そんな事は言っていない』と言い逃れは出来ます。
だから、今だけ我慢すれば。
「姉妹揃って図々しい!
貴女の姉も、本当に腹が立つわ」
王女殿下は泣きもせず、謝りもしない私に、本当に腹を立てていらっしゃるようなので。
悪い事をした覚えは何一つ無いのに謝るしかないのかしら、と考えていると……
今、姉の事を図々しい、と仰せに?
「お兄様にいただいたと、見せびらかして」
「あ、姉からも聞きました。
とても偉そうに、周りの方達に見せつけていた、と」
グレイシー伯爵令嬢も、王女殿下に話を合わせて。
お兄様からいただいた?
クラリスはアシュフォード殿下から何かをいただいて、それを見せびらかしていた?
私はふたりから何も聞いていません。
殿下は何を渡したの?
姉は何をいただいたの?
「王女殿下、お教えくださいませ……」
私が王女殿下にお願いしようとした時、誰もいないはずの方角から声がしました。
「はい、そこまで。
さっきから聞いていたら、まるで下町のゴロツキだね」
手を叩きながら、ひとりの男性が現れました。
若いのか若くないのか、見分けがつかない不思議な雰囲気の方でした。
制服は着ていらっしゃらないので、先生なのかも知れません。
身長は多分、大きな父と同じくらい、でも痩せていらっしゃるので、父より高く、いえ、ひょろ長く見えました。
寝癖なのか癖毛なのかわからない、くしゃくしゃとした黒髪に赤い瞳の先生は初めて見るので、中等部か高等部の先生だと思われました。
「ゴロツキ?誰に向かって」
バージニア王女殿下は、一瞬拳を振り上げられて。
ですが、現場を見られた事で慌てて逃げ出そうとした方達もいらっしゃって。
私達は奥に居ましたので、男性の目の前を通らねば図書室から出ることは叶わず、最初に側を駆け抜けようとした方の腕をすばやく掴んで、こちらへ押し戻したのです。
それが見せしめのように荒々しいやり方だったので他の方は怖じ気づいて、その場に立ち竦むだけでした。
「はい、逃げても無駄。
僕はあまり生徒の顔を覚えようとしてないけれど、記憶力はいいからね。
君達8人の顔はちゃんと覚えたから、午後の授業中に初等部高学年の全クラス回って、ひとりひとり顔を見て、名前を確認して、指差して。
昼休みの図書室で何をやっていたか、クラスメート全員の前でぶちまけようと思ってる」
その恐ろしい考えに、私までもが震えそうになりました。
クラスメート全員の前で?
そんな真似をされたら……学生の間だけでなく、本格的に社交界に参加しても。
大人になっても……苛めをした人間だと皆は覚えている。
「そうされるのが嫌なら、こんな馬鹿な真似は金輪際しないことだ」
「全員の顔を覚えたなんて、あり得ないわ!」
気丈に振る舞おうとするグレイシー伯爵令嬢に、先生は面倒くさそうに答えられました。
「そうだねぇ、そう思うなら、これからもどうぞ後輩苛めを続けたらいいよ、グレイシー嬢」
「え、どうして……」
初等部担当でない先生に家名で呼ばれて、グレイシー伯爵令嬢の顔色が変わりました。
「君の姉上、高等部2年に居るよね。
君はそっくりだからね?」
「……」
「はい、それとね、君と君と君もクラスまで行かなくても、どこの家門の子かわかるなぁ。
君達の兄や姉は、僕の教え子だからね」
口では生徒の顔は覚えない、と仰っていたのに。
先生の頭の中では、この場に居るご令嬢方のご兄弟をちゃんと把握されているようでした。
「特に第1王女殿下、貴女のご行状は高等部でも有名です。
財務大臣のご令嬢にこのような真似は、両陛下も庇い切れると、お考えですか?」
「ふ、不敬です!」
目の前で指差してくる先生の手を払いのけて、王女殿下は大声を上げました。
そんな声を出したら、他の方も集まってくるのに。
「不敬ですか?
僕はこの国の人間ではないので、貴女なんか怖くないですよ」
「名前を!名前を名乗りなさい!」
本当に王女殿下に怒られても、この先生は平気なんだと思いました。
わざとらしく、ゆっくりと淑女に対する紳士の礼を先生はされました。
「申し遅れました。
高等部で伝承民俗学の教鞭を取っております。
イシュトヴァーン・ストロノーヴァと申します」
赤い瞳が悪戯っ子のようにキラキラ輝いていました。
それがストロノーヴァ先生と私の出会いでした。
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