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【サイドストーリー】 攻略対象者に転生しましたが推しの親友枠におさまったので、彼の初恋を見守ることにします!
第5話
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王立貴族学苑には貴族の子弟しか入学出来ない。
オルコット家は貴族ではなかったが、カーネルは魔法省副長官の地位に就いていて、準貴族の扱いだった。
このまま順調に長官に任命されれば、一代限りの男爵となるだろう。
貴族学苑では高等部から、普通科と魔法科、騎士科に分かれる。
中等部までは同じ教室で学ばせるのは、卒業してからも同じ社会で共に過ごすからだ。
特に王城では、様々な場面で、彼等は顔を合わす。
文官と近衛騎士と魔法省役人として、協力することも多い。
学苑同期、と言う横の関係は、この国では縦の上下関係よりも所属を超えて親密だ、とされていた。
と言う訳で。
中等部の彼等は、共通の一般科目と選択の専門科目の単位を取ることになっていた。
この日のグレンジャーは専門の魔法実習の授業で教師に褒められて、大変気分が良かった。
幼い頃は迫害の理由にされていた彼の赤い瞳は、ここでは羨望の的だったし、何より……オルコットの名前が彼の後ろ楯になっていて。
少なくとも、この学年の魔法科に進む同期の中では、グレンジャーの能力は頭ひとつ抜けていた。
当然、このクラスの魔法専門の生徒の中心に居るのはグレンジャーだった。
一応は同じ教室で一般科目の授業では机の並べているクラスメートではあっても、最初から全員と馴染めるのは無理な話だった。
人懐こい陽気なグレンジャーでもそうだ。
まだ入学して3週間。
全員が手探り状態で、選択授業を同じくする自分と同じ専門の生徒とつるんでいた。
だが、クラスで一番最初に動いたのは、意外な男子生徒だった。
「オルコット、昼飯、一緒に食わないか?」
普通科専門のオスカー・オブライエン。
黒髪に紫の瞳の大人びた……
皆の中心に居るような、リーダータイプではないのに、何故か目につく生徒だった。
「お、おう、食おう」
オスカーの誘いに応じたグレンジャーは、制服の袖を引っ張られた。
入学してから直ぐに行動を共にするようになった、カール・ライデルだ。
「何だよ、カール?」
「僕達を裏切るの?」
「は?」
カールが何を言いたいのか、分からないグレンジャーではなかったが。
たかが昼食をオスカーと食べるだけで、どうして裏切りと言われなければならないのか。
普段、にこやかな親しみやすさを醸し出しているグレンジャーの表情が変わり、カールは怯えを見せた。
カールの後ろに居たクラスメートも、何とも言えない顔をした時、悪くなり掛けた雰囲気を救ったのは、言い出したオスカーだった。
「ライデルも、一緒に行こう。
全員で、中庭で食べよう」
全員で、かよ……
ホッとしたような、残念なような、何とも複雑な感情がグレンジャーに沸き上がってきた。
「そうだ、おい、マーゴット!
お前等も来いよ、ウチのクラス全員で中庭占拠してやろう!」
オスカーはそんなグレンジャーの感情にも気付かずに。
今度は騎士科に進むグループの中心人物に声を掛けた。
アラン・マーゴットは王立騎士団団長の次男だ。
こちらの様子を、離れたところから伺っていたアランも、おぉ、と返事を返した。
そんな男子生徒達のやり取りを見ていた女子生徒も、入りたいと言い出して。
なんと、その日はクラス全員で、中庭に出ることになった。
それをきっかけにして彼等はクラス全員で週一回、中庭で昼休みを過ごすことになり、学苑中等部史上一番団結力の強いクラスと呼ばれることになった。
前世の記憶をまだ、取り戻せていないグレンジャーは気が付いていなかった。
この時、オスカーが声をかけた自分と、アラン・マーゴットは『乙花』のヒロイン、ミシェル・フライの逆ハーレム要員で。
すなわち攻略対象者だったから、オスカーが声をかけた、ということを。
オルコット家は貴族ではなかったが、カーネルは魔法省副長官の地位に就いていて、準貴族の扱いだった。
このまま順調に長官に任命されれば、一代限りの男爵となるだろう。
貴族学苑では高等部から、普通科と魔法科、騎士科に分かれる。
中等部までは同じ教室で学ばせるのは、卒業してからも同じ社会で共に過ごすからだ。
特に王城では、様々な場面で、彼等は顔を合わす。
文官と近衛騎士と魔法省役人として、協力することも多い。
学苑同期、と言う横の関係は、この国では縦の上下関係よりも所属を超えて親密だ、とされていた。
と言う訳で。
中等部の彼等は、共通の一般科目と選択の専門科目の単位を取ることになっていた。
この日のグレンジャーは専門の魔法実習の授業で教師に褒められて、大変気分が良かった。
幼い頃は迫害の理由にされていた彼の赤い瞳は、ここでは羨望の的だったし、何より……オルコットの名前が彼の後ろ楯になっていて。
少なくとも、この学年の魔法科に進む同期の中では、グレンジャーの能力は頭ひとつ抜けていた。
当然、このクラスの魔法専門の生徒の中心に居るのはグレンジャーだった。
一応は同じ教室で一般科目の授業では机の並べているクラスメートではあっても、最初から全員と馴染めるのは無理な話だった。
人懐こい陽気なグレンジャーでもそうだ。
まだ入学して3週間。
全員が手探り状態で、選択授業を同じくする自分と同じ専門の生徒とつるんでいた。
だが、クラスで一番最初に動いたのは、意外な男子生徒だった。
「オルコット、昼飯、一緒に食わないか?」
普通科専門のオスカー・オブライエン。
黒髪に紫の瞳の大人びた……
皆の中心に居るような、リーダータイプではないのに、何故か目につく生徒だった。
「お、おう、食おう」
オスカーの誘いに応じたグレンジャーは、制服の袖を引っ張られた。
入学してから直ぐに行動を共にするようになった、カール・ライデルだ。
「何だよ、カール?」
「僕達を裏切るの?」
「は?」
カールが何を言いたいのか、分からないグレンジャーではなかったが。
たかが昼食をオスカーと食べるだけで、どうして裏切りと言われなければならないのか。
普段、にこやかな親しみやすさを醸し出しているグレンジャーの表情が変わり、カールは怯えを見せた。
カールの後ろに居たクラスメートも、何とも言えない顔をした時、悪くなり掛けた雰囲気を救ったのは、言い出したオスカーだった。
「ライデルも、一緒に行こう。
全員で、中庭で食べよう」
全員で、かよ……
ホッとしたような、残念なような、何とも複雑な感情がグレンジャーに沸き上がってきた。
「そうだ、おい、マーゴット!
お前等も来いよ、ウチのクラス全員で中庭占拠してやろう!」
オスカーはそんなグレンジャーの感情にも気付かずに。
今度は騎士科に進むグループの中心人物に声を掛けた。
アラン・マーゴットは王立騎士団団長の次男だ。
こちらの様子を、離れたところから伺っていたアランも、おぉ、と返事を返した。
そんな男子生徒達のやり取りを見ていた女子生徒も、入りたいと言い出して。
なんと、その日はクラス全員で、中庭に出ることになった。
それをきっかけにして彼等はクラス全員で週一回、中庭で昼休みを過ごすことになり、学苑中等部史上一番団結力の強いクラスと呼ばれることになった。
前世の記憶をまだ、取り戻せていないグレンジャーは気が付いていなかった。
この時、オスカーが声をかけた自分と、アラン・マーゴットは『乙花』のヒロイン、ミシェル・フライの逆ハーレム要員で。
すなわち攻略対象者だったから、オスカーが声をかけた、ということを。
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