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【本編】 原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
第47話
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昼休み、ロザリンドとアビゲイルは向かい合って特別ランチを食べていた。
特別と名付けられるだけあって、軽いコース仕立てのその料理を注文出来るのは、王族と公爵家のみに許された特権だった。
そんな彼等も普段はこんなランチはしない。
現国王陛下も学生の時は食堂の常連であった。
「これが最初で最後の、特別ランチですねっ」
あえて浮わついた調子で、ロザリンドははしゃいで見せた。
『一緒にランチを』と誘われて、普通に食堂だと思い込んでいた。
まさか、王族専用室で特別ランチだなんて……
僅か2時間前にはこの部屋で、オスカーとアビゲイルが密談していたとは、想像もしていないロザリンドだった。
「オスカー様が議会で王族と承認されれば、彼だってこの部屋で特別ランチが食べられるのよ。
またその時にお召し上がりになれば、よろしいのよ」
アビゲイルは微笑んでいるが、これは皮肉なのだろうか?
チカ先生、やっぱりお怒りになっていらっしゃる?
何を言っても言い訳だと受け取られてしまうかもだが、『私だって』と言わせて貰いたい。
『それで作品が面白くなると思ったんです』
『出生の秘密なんて、ヒーローにはぴったりだなと思ったんです』
思ったんです、思ったんです。
頭の中で思っただけだったのに。
それが本当になるなんて。
私だって思っていなかったんです。
……本当は言い訳なんて、するつもりは無い。
何て言えば、この気持ちが伝わるのだろう。
ごめんなさいと、まだ言ってなかったっけ。
そうだ、まず謝らないと。
「アビゲイル様、申し訳ありませんでした……」
「心配しないでいいの、アーノルドは闇落ちなんてしないから。
彼には転生した事を話したの」
「……」
「『乙花』のなかでの彼の行動を話したら、ビックリされてしまったわ。
どうして王太子である自分が、祭りの夜に自らオスカーの後を付けるの?って。
有り得ないでしょ、尾行をするなら人に任せるよ、って笑われたわ」
謝罪している立場でありながら、ロザリンドは彼女の笑顔に見とれた。
普段はすましているのに、笑うとこんなに可愛くなるなんて。
アビゲイルのポテンシャルが半端ない。
「ミシェルの事も話したの。
オスカーを苦しめる為に彼女に近付かないで、って。
彼は自分からはオスカーに敵対行動を取る事はない、と断言してくれた。
……昨夜、お祭りの打ち上げ花火を彼の部屋から見たわ」
「……ミシェルはダンカンと結婚すると決めて、辺境へ行くことになりました」
「……つまり、あの祭りの夜に登場するキャラは全員自分の意思で、夜にあの場に居なかったという事ね?」
「ごめんなさい、仰っている意味が?」
「ダンカンは、復讐など考えてもいない人で、勿論媚薬なんて盛ったりしない。
オスカーは夜にダンカンに会うのを止め、自宅に戻った。
ミシェルは王都を離れることにした。
アーノルドは婚約者に誘惑されて城下になど出なかった。
つまり、全員が誰かに強制されたのではなく、自分の意思で物語とは違う行動を取ったの」
ロザリンドはアビゲイルの言った意味を、直ぐには理解出来なかったが、それらが物語の流れを変えたことは知っている。
彼女自身の記憶も、それによって戻ってきた事は察しがついていた。
「前世の記憶が戻ったことについて、ですね?」
「私も支離滅裂な言い方をしてごめんなさいね。
昨日の貴女からの手紙を読んで、ずっと考えていたことなの……
オスカーとダンカンがお昼に会って、夜の予定が変わったと、書かれていたから……
だったら、ミシェルと媚薬を盛られたオスカーが出会うことはない。
アーノルドはオスカーの後を付けたりしないし、それを目撃して、ミシェルを利用しようとはしない」
「それが関係していた全員が自分の意思で物語とは違う行動をした事になる、ですね?」
自分の言いたいことがロザリンドに伝わったようだ、とアビゲイルはゆっくりした動作で、お茶を飲んだ。
今から考えると記憶が戻り始めたのは、オスカーとダンカンが会い、和解した頃なのだろう。
昨日のお昼過ぎから、彼女の中にチカの記憶が戻ってきた。
それでアーノルドに転生を告白する勇気が出てきた。
祭りに出かけさせないように、彼とは夕方に会う約束だけはしていたけれど、あやふやな記憶でそれがうまく行くのかは不安しかなかった。
「皆が物語通りに進むのなら、前世の記憶は必要ない、と神様は判断されていたのでしょうか?」
「私はそう受け取ったわ……でも、これからはそれが必要になる。
それで私達に記憶を返した、と思えるの」
「……」
前世の記憶が必要になる事態を引き起こしたのは自分だ……
ロザリンドの自己嫌悪の表情に気付き、アビゲイルは話題を変えた。
「貴女のお陰で、この世界の男性は皆様女性にお優しいでしょ?
ああ見えてウチのパパンもそうなの。
お母様や私にはデレデレなの」
「ぱ、パパンって……グレンフォール公爵の事ですか?」
「そうよ、パパンだったり、パピィだったり、どんな風に呼んでも返事してくれるわ。
本当に優しくて、貴女には感謝してるの」
「……」
何度かお見かけした厳格そうに見えるグレンフォール公爵と、愛娘にパピィと呼ばれてデレている父親の姿はうまく重ならないけれど。
女性には絶対に手を出さないこの世界の男性像は、シュウジが反面教師になっているので、私じゃなくて彼のお陰なんですけど、とロザリンドは言いたかったが……
アビゲイルが感謝していると言ってくれるのなら、素直に受け取ろう。
「だから殿下と私がお願いしたら、王太子派は父が抑えてくれると思うわ。
後は中立派にすり寄ってきそうな元第2王子派なんだけど……
ウェズリーのラザフォードはどんな感じなの?」
「ラザフォード侯爵のノース家は元々は中立派なんです。
ウェズリーをランドール殿下の側近に、とクロエ妃から指名されたので、そうなっただけなんです」
「じゃあクロエ妃の実家マクブライト侯爵家一族とその子分、ってことね……
怪しい動きをしそうな人間を、ウチの調査部にピックアップして貰いましょう」
特別と名付けられるだけあって、軽いコース仕立てのその料理を注文出来るのは、王族と公爵家のみに許された特権だった。
そんな彼等も普段はこんなランチはしない。
現国王陛下も学生の時は食堂の常連であった。
「これが最初で最後の、特別ランチですねっ」
あえて浮わついた調子で、ロザリンドははしゃいで見せた。
『一緒にランチを』と誘われて、普通に食堂だと思い込んでいた。
まさか、王族専用室で特別ランチだなんて……
僅か2時間前にはこの部屋で、オスカーとアビゲイルが密談していたとは、想像もしていないロザリンドだった。
「オスカー様が議会で王族と承認されれば、彼だってこの部屋で特別ランチが食べられるのよ。
またその時にお召し上がりになれば、よろしいのよ」
アビゲイルは微笑んでいるが、これは皮肉なのだろうか?
チカ先生、やっぱりお怒りになっていらっしゃる?
何を言っても言い訳だと受け取られてしまうかもだが、『私だって』と言わせて貰いたい。
『それで作品が面白くなると思ったんです』
『出生の秘密なんて、ヒーローにはぴったりだなと思ったんです』
思ったんです、思ったんです。
頭の中で思っただけだったのに。
それが本当になるなんて。
私だって思っていなかったんです。
……本当は言い訳なんて、するつもりは無い。
何て言えば、この気持ちが伝わるのだろう。
ごめんなさいと、まだ言ってなかったっけ。
そうだ、まず謝らないと。
「アビゲイル様、申し訳ありませんでした……」
「心配しないでいいの、アーノルドは闇落ちなんてしないから。
彼には転生した事を話したの」
「……」
「『乙花』のなかでの彼の行動を話したら、ビックリされてしまったわ。
どうして王太子である自分が、祭りの夜に自らオスカーの後を付けるの?って。
有り得ないでしょ、尾行をするなら人に任せるよ、って笑われたわ」
謝罪している立場でありながら、ロザリンドは彼女の笑顔に見とれた。
普段はすましているのに、笑うとこんなに可愛くなるなんて。
アビゲイルのポテンシャルが半端ない。
「ミシェルの事も話したの。
オスカーを苦しめる為に彼女に近付かないで、って。
彼は自分からはオスカーに敵対行動を取る事はない、と断言してくれた。
……昨夜、お祭りの打ち上げ花火を彼の部屋から見たわ」
「……ミシェルはダンカンと結婚すると決めて、辺境へ行くことになりました」
「……つまり、あの祭りの夜に登場するキャラは全員自分の意思で、夜にあの場に居なかったという事ね?」
「ごめんなさい、仰っている意味が?」
「ダンカンは、復讐など考えてもいない人で、勿論媚薬なんて盛ったりしない。
オスカーは夜にダンカンに会うのを止め、自宅に戻った。
ミシェルは王都を離れることにした。
アーノルドは婚約者に誘惑されて城下になど出なかった。
つまり、全員が誰かに強制されたのではなく、自分の意思で物語とは違う行動を取ったの」
ロザリンドはアビゲイルの言った意味を、直ぐには理解出来なかったが、それらが物語の流れを変えたことは知っている。
彼女自身の記憶も、それによって戻ってきた事は察しがついていた。
「前世の記憶が戻ったことについて、ですね?」
「私も支離滅裂な言い方をしてごめんなさいね。
昨日の貴女からの手紙を読んで、ずっと考えていたことなの……
オスカーとダンカンがお昼に会って、夜の予定が変わったと、書かれていたから……
だったら、ミシェルと媚薬を盛られたオスカーが出会うことはない。
アーノルドはオスカーの後を付けたりしないし、それを目撃して、ミシェルを利用しようとはしない」
「それが関係していた全員が自分の意思で物語とは違う行動をした事になる、ですね?」
自分の言いたいことがロザリンドに伝わったようだ、とアビゲイルはゆっくりした動作で、お茶を飲んだ。
今から考えると記憶が戻り始めたのは、オスカーとダンカンが会い、和解した頃なのだろう。
昨日のお昼過ぎから、彼女の中にチカの記憶が戻ってきた。
それでアーノルドに転生を告白する勇気が出てきた。
祭りに出かけさせないように、彼とは夕方に会う約束だけはしていたけれど、あやふやな記憶でそれがうまく行くのかは不安しかなかった。
「皆が物語通りに進むのなら、前世の記憶は必要ない、と神様は判断されていたのでしょうか?」
「私はそう受け取ったわ……でも、これからはそれが必要になる。
それで私達に記憶を返した、と思えるの」
「……」
前世の記憶が必要になる事態を引き起こしたのは自分だ……
ロザリンドの自己嫌悪の表情に気付き、アビゲイルは話題を変えた。
「貴女のお陰で、この世界の男性は皆様女性にお優しいでしょ?
ああ見えてウチのパパンもそうなの。
お母様や私にはデレデレなの」
「ぱ、パパンって……グレンフォール公爵の事ですか?」
「そうよ、パパンだったり、パピィだったり、どんな風に呼んでも返事してくれるわ。
本当に優しくて、貴女には感謝してるの」
「……」
何度かお見かけした厳格そうに見えるグレンフォール公爵と、愛娘にパピィと呼ばれてデレている父親の姿はうまく重ならないけれど。
女性には絶対に手を出さないこの世界の男性像は、シュウジが反面教師になっているので、私じゃなくて彼のお陰なんですけど、とロザリンドは言いたかったが……
アビゲイルが感謝していると言ってくれるのなら、素直に受け取ろう。
「だから殿下と私がお願いしたら、王太子派は父が抑えてくれると思うわ。
後は中立派にすり寄ってきそうな元第2王子派なんだけど……
ウェズリーのラザフォードはどんな感じなの?」
「ラザフォード侯爵のノース家は元々は中立派なんです。
ウェズリーをランドール殿下の側近に、とクロエ妃から指名されたので、そうなっただけなんです」
「じゃあクロエ妃の実家マクブライト侯爵家一族とその子分、ってことね……
怪しい動きをしそうな人間を、ウチの調査部にピックアップして貰いましょう」
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