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【本編】 原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
第3話
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ロザリンドが自分を脳内で痛め付ける算段をしているとは思いもせずに、ウェズリーは能天気に話続ける。
「ミシェルは自分がこの世界に転生してきたことに気がついたらしいんだ。
それで、本当に自分が結ばれるべき相手が王太子殿下だと思い出したんだって」
何をペラペラと話しているの、とロザリンドは理解に苦しんだ。
そして、冒頭の言葉になった。
「君は転生って、言葉を知っている?」
「て、転生?」
「俺も何言ってるのかわからなくてさ、ミシェルが言うには、俺達が今生きているこの世界は少女マンガの世界なんだって」
「少女マンガ? 何?」
少女は勿論わかるが、マンガって?
ロザリンドにとって、転生もマンガも初めて聞く言葉だった。
「なんかさ、人物画とか風景画とか、ごっちゃになってて。
小説の挿絵ってあるだろ?
あの小さい絵を繋げて、その絵とセリフで物語を進めていく絵本、みたいなものだって。
コミ、コミックとかも言ってたな……」
説明するウェズリーにも良くわかっていないようなので、それを聞かされるロザリンドはますますわからない。
「とにかく、俺たちの王国も人間も皆、そのマンガの中の世界なんだって。
で、ミシェルはそのマンガが大好きだったニホンジンだったらしい」
「はぁあ?」
「昨日転倒して頭を打って、急にそれを思い出して、自分がその話のヒロインに転生していることに気がついたそうなんだ」
「はぁあ? はぁ?」
何を言ってるのか、訳がわからない!
ロザリンドには、自らをヒロインと言う浮気女の言い分も、それを言われるまま伝えるバカなウェズリーの言いたいことも理解出来なかった。
だから、つい。
行儀の悪い相槌をわざとした。
「その、はぁあ? って、やめてよ。
令嬢らしさに欠けるよ」
ウェズリーが笑いながら言ったその言葉が、ロザリンドのモヤりを刺激した。
何が可笑しくてニヤニヤしているのか。
やめて、なんて言える立場か。
そうか、やめて欲しいなら。
もう一回言ってやる。
「はぁあ? そんなこと貴方に言われる筋合いないでしょ?
私がどんな言葉使いしようと、貴方には言われたくない」
「……」
「大体、何様のつもりよ?
真実の愛だか何だか知らないけど、浮気は浮気でしょ?
謝るのが先じゃないの? 」
「……」
「転生とかマンガとか、ワケわからない言葉で誤魔化そうとするなんて貴方の方が男らしくないわ」
「……」
「貴方の浮気は有名な話よ?
お茶会の話のネタによく聞かされたもの。
私が知らないからと貴方は何食わぬ顔してウチに来てたわよね。
なんて面の皮の厚い男なんだろうと……」
笑顔じゃなくなったウェズリーが何も言わないのをいいことにロザリンドはどんどんぶちまけた。
一度言い出せば、どんどん言葉が溢れ出てきた。
文字通り、溢れるようにウェズリーに対する罵倒の言葉が浮かんでくる。
自分に対しての文句が止まらないロザリンドの様子に、最初は目を見開いていたウェズリーだったが、さすがの彼も顔色が変わりつつあった。
それでもロザリンドの口は止まらなかった。
それで、彼女は今まで自分が言いたいことを我慢していたことに、はじめて気付いた。
別にこの婚約なんかなくなったっていい。
言える時に全部吐き出さなくては、後から後悔すると思った。
「相手に振られたから、ですって?
良くも私にその話をする気になったわね。
それを聞いて私が喜ぶとでも思ってるの?」
「なあ、ロージー……」
「私はずっと我慢してたのよ。
貴方の事を愛してるから我慢してた訳じゃないわよ。
私から愛されていると思っていたのなら、それは思い上がりと言うものよ」
「そんなことは思ってないけど!
ロージー、もうそろそろその辺でやめろ」
「やめないわよ、命令なんかしないでよ」
「命令? 違う、これは警告して……」
脅すようにウェズリーが人差し指を突きつけてくる。
自分に向かって目の前に突き出された指に、抑えられない怒りが沸き上がった。
「指さすなよ、バカ」
「ミシェルは自分がこの世界に転生してきたことに気がついたらしいんだ。
それで、本当に自分が結ばれるべき相手が王太子殿下だと思い出したんだって」
何をペラペラと話しているの、とロザリンドは理解に苦しんだ。
そして、冒頭の言葉になった。
「君は転生って、言葉を知っている?」
「て、転生?」
「俺も何言ってるのかわからなくてさ、ミシェルが言うには、俺達が今生きているこの世界は少女マンガの世界なんだって」
「少女マンガ? 何?」
少女は勿論わかるが、マンガって?
ロザリンドにとって、転生もマンガも初めて聞く言葉だった。
「なんかさ、人物画とか風景画とか、ごっちゃになってて。
小説の挿絵ってあるだろ?
あの小さい絵を繋げて、その絵とセリフで物語を進めていく絵本、みたいなものだって。
コミ、コミックとかも言ってたな……」
説明するウェズリーにも良くわかっていないようなので、それを聞かされるロザリンドはますますわからない。
「とにかく、俺たちの王国も人間も皆、そのマンガの中の世界なんだって。
で、ミシェルはそのマンガが大好きだったニホンジンだったらしい」
「はぁあ?」
「昨日転倒して頭を打って、急にそれを思い出して、自分がその話のヒロインに転生していることに気がついたそうなんだ」
「はぁあ? はぁ?」
何を言ってるのか、訳がわからない!
ロザリンドには、自らをヒロインと言う浮気女の言い分も、それを言われるまま伝えるバカなウェズリーの言いたいことも理解出来なかった。
だから、つい。
行儀の悪い相槌をわざとした。
「その、はぁあ? って、やめてよ。
令嬢らしさに欠けるよ」
ウェズリーが笑いながら言ったその言葉が、ロザリンドのモヤりを刺激した。
何が可笑しくてニヤニヤしているのか。
やめて、なんて言える立場か。
そうか、やめて欲しいなら。
もう一回言ってやる。
「はぁあ? そんなこと貴方に言われる筋合いないでしょ?
私がどんな言葉使いしようと、貴方には言われたくない」
「……」
「大体、何様のつもりよ?
真実の愛だか何だか知らないけど、浮気は浮気でしょ?
謝るのが先じゃないの? 」
「……」
「転生とかマンガとか、ワケわからない言葉で誤魔化そうとするなんて貴方の方が男らしくないわ」
「……」
「貴方の浮気は有名な話よ?
お茶会の話のネタによく聞かされたもの。
私が知らないからと貴方は何食わぬ顔してウチに来てたわよね。
なんて面の皮の厚い男なんだろうと……」
笑顔じゃなくなったウェズリーが何も言わないのをいいことにロザリンドはどんどんぶちまけた。
一度言い出せば、どんどん言葉が溢れ出てきた。
文字通り、溢れるようにウェズリーに対する罵倒の言葉が浮かんでくる。
自分に対しての文句が止まらないロザリンドの様子に、最初は目を見開いていたウェズリーだったが、さすがの彼も顔色が変わりつつあった。
それでもロザリンドの口は止まらなかった。
それで、彼女は今まで自分が言いたいことを我慢していたことに、はじめて気付いた。
別にこの婚約なんかなくなったっていい。
言える時に全部吐き出さなくては、後から後悔すると思った。
「相手に振られたから、ですって?
良くも私にその話をする気になったわね。
それを聞いて私が喜ぶとでも思ってるの?」
「なあ、ロージー……」
「私はずっと我慢してたのよ。
貴方の事を愛してるから我慢してた訳じゃないわよ。
私から愛されていると思っていたのなら、それは思い上がりと言うものよ」
「そんなことは思ってないけど!
ロージー、もうそろそろその辺でやめろ」
「やめないわよ、命令なんかしないでよ」
「命令? 違う、これは警告して……」
脅すようにウェズリーが人差し指を突きつけてくる。
自分に向かって目の前に突き出された指に、抑えられない怒りが沸き上がった。
「指さすなよ、バカ」
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