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【本編】 原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
第2話
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ロザリンドがふたりに負けず劣らずの美少女であったなら、風当たりはましだったかもしれないが、残念なことにロザリンドは凡庸な容姿の少女だった。
自分に自信なさげな大人しい侯爵令嬢。
それが多くの人が受けるロザリンドの印象だったが。
彼女の本当の性格は、大人しい令嬢などではなかった。
物事を少し斜めから見るような。
人物の裏側を探り、皮肉な言葉を心中で呟くような。
そのような少女であった。
だから顔色を変えてしまって、周囲のお姉様達を悦ばせてしまったことに悔しさを感じたが、直ぐに思い直した。
(いいわ、ウェズリーの浮気に傷付いたと、思われた方が同情されやすいわよね……彼には悪者になって貰いましょう)
お姉様方は、強さより弱さを見せる少女の姿を望んでいるだろうから。
今ここから、私に対しての風当たりは少しは弱くなるだろう、とふんだのだ。
「そうなんですね……
私、何も知らなくて」
「お可哀想なロザリンド様。
ノース様とは、お会いになっていらっしゃらないの?」
「そうなんです……」
答えたロザリンドの声は弱々しく聞こえたが、それは嘘だった。
その前日もウェズリーはコルテスの邸へ遊びに来て、楽しく夕食を共にしていた。
学苑では恋人と仲睦まじく過ごしているようだがウェズリーのロザリンドに対する態度は以前と変わりなく、お姉様方から教えてもらうまで、ロザリンドは彼の浮気に気付いていなかった。
ウェズリーの性格上、浮気を隠しながら婚約者ともうまくやろうとして行動しているのではなく、あまり深く考えずにそうなっているのだろう、と思われた。
ウェズリーには、元来そういうところがある。
やる事、言う事、全て悪気がないのだ。
だから余計に始末が悪いとも言える。
馬鹿者ウェズリーの事だから。
『真実の愛』なんて口にしても、どれ程のものかわからない。
それは学生の間だけのことなのかもしれない。
このまま、彼はロザリンドと結婚をするつもりなのだろう。
だから大事にしたくなくて、お義兄様は黙っているのだろうか、とロザリンドは考えた。
なるほど……
ウェズリーとオスカーのふたりが何も言わないつもりなら、私からは何も聞くまい、とロザリンドは決めた。
その代わり……その時が来たら。
ウェズリーなり、オスカーなり、どちらかが私にその事を告げたなら。
お父様にお願いして、どんな目に合わせてやろうかしら。
そして、今。
その時がやってきた。
ウェズリーがとうとう! ようやく!
浮気を告白したのだ!
……だが、やはりウェズリーはウェズリーだった。
申し訳ないと頭を下げるわけでもなく、自分の行動を悔いている風でもなく。
いつものおしゃべりと変わらない軽い調子で。
浮気相手との別離を婚約者に語ってみせた。
「俺は真実の愛の相手だと思ってたんだけど、ミシェルにとっては違ってたみたいなんだ。
それで昨日さようなら、と言われてね」
「……ミシェルとおっしゃるのが、貴方の浮気相手?」
「いやぁ、俺は浮気じゃなかったんだけどね」
浮気じゃなかったのなら、本気だったの?
ロザリンドとの婚約解消を願い出るわけでもなく。
良くもまあ、そんなセリフが吐けるわね、とロザリンドは婚約者の顔を見た。
その上自分から別れたのではなく振られた、とウェズリーは言った。
情けないと自分で思わないの、とイラついた。
「別れたのなら黙っていたら良かったのに、どうしてわざわざその話を私にするの?」
「だって、入学したら君の耳に入る話だろう?
その前に伝えとかなきゃ、と思ってさ」
おあいにくさま、もう聞かされた話よ。
このバカ(ウェズリー) 、どうしてくれようか?
自分に自信なさげな大人しい侯爵令嬢。
それが多くの人が受けるロザリンドの印象だったが。
彼女の本当の性格は、大人しい令嬢などではなかった。
物事を少し斜めから見るような。
人物の裏側を探り、皮肉な言葉を心中で呟くような。
そのような少女であった。
だから顔色を変えてしまって、周囲のお姉様達を悦ばせてしまったことに悔しさを感じたが、直ぐに思い直した。
(いいわ、ウェズリーの浮気に傷付いたと、思われた方が同情されやすいわよね……彼には悪者になって貰いましょう)
お姉様方は、強さより弱さを見せる少女の姿を望んでいるだろうから。
今ここから、私に対しての風当たりは少しは弱くなるだろう、とふんだのだ。
「そうなんですね……
私、何も知らなくて」
「お可哀想なロザリンド様。
ノース様とは、お会いになっていらっしゃらないの?」
「そうなんです……」
答えたロザリンドの声は弱々しく聞こえたが、それは嘘だった。
その前日もウェズリーはコルテスの邸へ遊びに来て、楽しく夕食を共にしていた。
学苑では恋人と仲睦まじく過ごしているようだがウェズリーのロザリンドに対する態度は以前と変わりなく、お姉様方から教えてもらうまで、ロザリンドは彼の浮気に気付いていなかった。
ウェズリーの性格上、浮気を隠しながら婚約者ともうまくやろうとして行動しているのではなく、あまり深く考えずにそうなっているのだろう、と思われた。
ウェズリーには、元来そういうところがある。
やる事、言う事、全て悪気がないのだ。
だから余計に始末が悪いとも言える。
馬鹿者ウェズリーの事だから。
『真実の愛』なんて口にしても、どれ程のものかわからない。
それは学生の間だけのことなのかもしれない。
このまま、彼はロザリンドと結婚をするつもりなのだろう。
だから大事にしたくなくて、お義兄様は黙っているのだろうか、とロザリンドは考えた。
なるほど……
ウェズリーとオスカーのふたりが何も言わないつもりなら、私からは何も聞くまい、とロザリンドは決めた。
その代わり……その時が来たら。
ウェズリーなり、オスカーなり、どちらかが私にその事を告げたなら。
お父様にお願いして、どんな目に合わせてやろうかしら。
そして、今。
その時がやってきた。
ウェズリーがとうとう! ようやく!
浮気を告白したのだ!
……だが、やはりウェズリーはウェズリーだった。
申し訳ないと頭を下げるわけでもなく、自分の行動を悔いている風でもなく。
いつものおしゃべりと変わらない軽い調子で。
浮気相手との別離を婚約者に語ってみせた。
「俺は真実の愛の相手だと思ってたんだけど、ミシェルにとっては違ってたみたいなんだ。
それで昨日さようなら、と言われてね」
「……ミシェルとおっしゃるのが、貴方の浮気相手?」
「いやぁ、俺は浮気じゃなかったんだけどね」
浮気じゃなかったのなら、本気だったの?
ロザリンドとの婚約解消を願い出るわけでもなく。
良くもまあ、そんなセリフが吐けるわね、とロザリンドは婚約者の顔を見た。
その上自分から別れたのではなく振られた、とウェズリーは言った。
情けないと自分で思わないの、とイラついた。
「別れたのなら黙っていたら良かったのに、どうしてわざわざその話を私にするの?」
「だって、入学したら君の耳に入る話だろう?
その前に伝えとかなきゃ、と思ってさ」
おあいにくさま、もう聞かされた話よ。
このバカ(ウェズリー) 、どうしてくれようか?
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