17 / 18
17【悪役令嬢】クロエ
しおりを挟む
私が『実は魔王』のノワール・ブラン先生と音楽室に入ると、ヒロインと攻略対象者達が集まっていた。
でもその様子は私が見たところ、今までヒロインが思い描いていたであろう甘いものではない……みたいね。
「これはどういう集まりなんだ?」
先ずはノワールがらしくもなく、教師っぽく言うから、ちょっと笑えた。
自称ヒロインを皆でいたぶる為に集まってるのだと、わかってるくせにね。
私ひとりでも彼等を止められるだろうとは思っていたけれど、念の為ノワールに頼んで、付いてきて貰ったのだ。
今までのこの部屋の皆の言動を、ノワールは画像(音声付き)で見せてくれていて、アンドレがヒロインに手をかけたのを確認したから突入した。
密室の中では誰かのタガが外れると、それに同調する者が出てくる。
そしてそれは全員に広がってしまう。
特に義弟のジュールは長年暴力に晒されてきたから、割りとそれを普通に思っているところがあって、彼がヒロインに手を出すのを恐れたからだ。
このゲームはR18だから、どんな暴力性をジュールが見せるか、想像つかない。
アンドレは気が弱いから、それほど心配していないけれど、ジュールとシャルルはどちらも闇抱えてそうなところで波長が合うようで、このふたりが揃っていると不穏この上ない。
そういう訳で私がここへ来たのは彼等が暴走するのを止める為だから、ヒロインを助けるのは二の次にしてたけど、ごめんね?
そして私がわざとゆっくり攻略対象者達を見渡せば。
イケメン達も私の顔を見て、直ぐに目を逸らす。
男6人でひとりの女の子を囲んで脅している現場を押さえられて、少しは恥ずかしく思ってるのね。
私がヒロインの腕を掴んでいたアンドレに近付くと、下を向いたままで彼女を放した。
「怪我はない?」
いつもの丁寧な言葉遣いを止めて、普通な感じで話しかけると。
ヒロインは私に抱きついて、大きな瞳から綺麗な涙をぽろぽろ流しだした。
「だ、だずげ……で……」
全部濁音になってるよ、可愛いな。
そりゃあね、男6人に囲まれて全方向から責められたら、恐ろしいよね、ビビるよね。
いいよ、助けてあげる。
ルックスがいいから、泣いててもそそられるね。
綺麗な女の子は好きよ、百合ルートもいいかも、ね?
震えているヒロインの肩を抱きながら、この場で一番地位の高いリシャールにきつめに言う。
「ビグローさんの事は、お世話役の私に任せていただきたいのです。
殿下達のお手を煩わせないと、約束致しますから」
リシャールは何か言いたげだったけれど、私の目を見て。
ノワールに頭を下げて、黙ってそのまま音楽室を出ていった。
その後にシャルル、ドミニク、アンドレ、ジュール、エイドリアンが続く。
最後尾のエイドリアンが私に振り向いたから、頷いて少しだけ微笑んで見せた。
彼はお飾り王太子妃ルートに進んだ場合、あのひとが駄目だったら行こうかな、の攻略キャラだから、ちょっと愛想良くしとかないといけない。
「ブラン先生も……
ご協力、どうもありがとうございました」
私がさりげなく、貴方ももう行って欲しい発言をすると、先生はギロリと睨んでくる。
「俺様を適当にあしらいやがって。
この次は……」
金色の瞳が妖しく光って、先生が私に手を伸ばしてくる。
魔王の色気が半端なくて、傍らのブリジットが「ひいっ!」と短く声をあげた。
これだから全年齢向けゲームしかしたことがないヤツは。
私の唇に伸ばそうとしていた手を、ノワールは止めた。
私は彼の瞳を見つめながら笑顔になる。
「無詠唱でバリアを張ったか?」
「何の事だか」
ノワールは私を、特別に想っている。
自分の名前を呼ぶのが、私だけだから。
『◯◯◯◯◯◯』
それは、第6天魔王と名乗った戦国武将の名前。
貴方の名前は、私が日本語で名付けたから、この世界では私以外知らないし、発音も出来ないのよ。
「……まあ、いいだろう。
俺様は気長に口説く質だから、な?」
さすがに1000年魔王なだけあるわ。
そう、気長によろしくね。
◇◇◇
自分が悪役令嬢ヒロインのゲームに転生したと気付いたのは、3年前。
婚約者のリシャールから『本当の恋をしたい』なんて、たわけた願いを聞かされた時だった。
あれ、何、これ?
目の前で婚約者に向かって口に出してはいけないことを説得しようとする無神経なリシャールの顔を呆れて見ながら、何故かこの場面既視感あるなぁって思って。
そしたら急に頭の中を様々な情景がいくつもいくつも通りすぎて行った。
婚約者である王太子リシャールをはじめとした……
シャルル、アンドレ、ドミニク。
それから魔王ノワール、ジュール、エイドリアン。
……そして、あのひとが。
彼等がそれぞれ甘い声で、私の名前を呼び手を差し出してくるオープニングだった。
ゲームのメイン舞台は学院を卒業した後。
学生の間に攻略対象者達との簡単なエピソードをこなしつつ、リシャールを攻略対象に選択したら、2つのルートに分岐する。
お飾り王太子妃と愛され王太子妃の2つ。
卒業までにリシャールからの好感度が高いと、愛され王太子妃だけど。
愛されルートは、リシャールの他にシャルルと、ドミニク、アンドレとの恋が始まって、人妻なのに逆ハーですみません、て感じ。
反対にライバルに負けて好感度が低いと、お飾りルート。
ライバルとリシャールのイチャイチャを横目で見つつ、公務だけをさせられてしまう。
それに耐えられなくなった私が仮死状態になる薬を飲んで、死亡偽装した後に王城脱出、薬の入手と国外逃亡を手助けしてくれたエイドリアンとの『王弟』ルートと。
隠していた聖なる力を発揮して、蔑ろにしてくれちゃった関係者全員に盛大なざまぁしてからお迎えに来て貰うノワールの『魔王』ルート。
お飾りではどっちのルートを選択しても、リシャールは偽りの『光の乙女』に夢中になって、消えた正妃の私を冷遇していたことを自己陶酔型ポエムにして、後悔するんだけどね……バカめ。
一生、グダグダ自分を憐れんでろ。
リシャールなんて要らないから、私は敢えて、お飾りを選ぶ。
だから、現状エイドリアンとノワールの好感度は保険としてキープしておくの。
「あ、ありがとう……ございました!
あたし、貴女にひどいことしたのに、助けて貰えるなんて!」
「……いいの、気にしないでね?
あのひと達もちょっと行き過ぎただけだから」
スパイだの、処刑だの、ちょっと暴走気味で怖かったね?
この自称ヒロインのブリジットさん、この世界が『底辺令嬢~』と思い込んで行動していたのよね。
だけどここは違う、って知らないのは、多分。
……このゲームが発売される前に前世の彼女は亡くなってるんだね。
このゲーム、世間に広く宣伝されてた仮タイトルが
『底辺令嬢~part2』だったんだけど、発売された本タイトルは
『身も心も全部をあなたに~悪役令嬢ですが、全方向から愛されています! 』でした!
でもその様子は私が見たところ、今までヒロインが思い描いていたであろう甘いものではない……みたいね。
「これはどういう集まりなんだ?」
先ずはノワールがらしくもなく、教師っぽく言うから、ちょっと笑えた。
自称ヒロインを皆でいたぶる為に集まってるのだと、わかってるくせにね。
私ひとりでも彼等を止められるだろうとは思っていたけれど、念の為ノワールに頼んで、付いてきて貰ったのだ。
今までのこの部屋の皆の言動を、ノワールは画像(音声付き)で見せてくれていて、アンドレがヒロインに手をかけたのを確認したから突入した。
密室の中では誰かのタガが外れると、それに同調する者が出てくる。
そしてそれは全員に広がってしまう。
特に義弟のジュールは長年暴力に晒されてきたから、割りとそれを普通に思っているところがあって、彼がヒロインに手を出すのを恐れたからだ。
このゲームはR18だから、どんな暴力性をジュールが見せるか、想像つかない。
アンドレは気が弱いから、それほど心配していないけれど、ジュールとシャルルはどちらも闇抱えてそうなところで波長が合うようで、このふたりが揃っていると不穏この上ない。
そういう訳で私がここへ来たのは彼等が暴走するのを止める為だから、ヒロインを助けるのは二の次にしてたけど、ごめんね?
そして私がわざとゆっくり攻略対象者達を見渡せば。
イケメン達も私の顔を見て、直ぐに目を逸らす。
男6人でひとりの女の子を囲んで脅している現場を押さえられて、少しは恥ずかしく思ってるのね。
私がヒロインの腕を掴んでいたアンドレに近付くと、下を向いたままで彼女を放した。
「怪我はない?」
いつもの丁寧な言葉遣いを止めて、普通な感じで話しかけると。
ヒロインは私に抱きついて、大きな瞳から綺麗な涙をぽろぽろ流しだした。
「だ、だずげ……で……」
全部濁音になってるよ、可愛いな。
そりゃあね、男6人に囲まれて全方向から責められたら、恐ろしいよね、ビビるよね。
いいよ、助けてあげる。
ルックスがいいから、泣いててもそそられるね。
綺麗な女の子は好きよ、百合ルートもいいかも、ね?
震えているヒロインの肩を抱きながら、この場で一番地位の高いリシャールにきつめに言う。
「ビグローさんの事は、お世話役の私に任せていただきたいのです。
殿下達のお手を煩わせないと、約束致しますから」
リシャールは何か言いたげだったけれど、私の目を見て。
ノワールに頭を下げて、黙ってそのまま音楽室を出ていった。
その後にシャルル、ドミニク、アンドレ、ジュール、エイドリアンが続く。
最後尾のエイドリアンが私に振り向いたから、頷いて少しだけ微笑んで見せた。
彼はお飾り王太子妃ルートに進んだ場合、あのひとが駄目だったら行こうかな、の攻略キャラだから、ちょっと愛想良くしとかないといけない。
「ブラン先生も……
ご協力、どうもありがとうございました」
私がさりげなく、貴方ももう行って欲しい発言をすると、先生はギロリと睨んでくる。
「俺様を適当にあしらいやがって。
この次は……」
金色の瞳が妖しく光って、先生が私に手を伸ばしてくる。
魔王の色気が半端なくて、傍らのブリジットが「ひいっ!」と短く声をあげた。
これだから全年齢向けゲームしかしたことがないヤツは。
私の唇に伸ばそうとしていた手を、ノワールは止めた。
私は彼の瞳を見つめながら笑顔になる。
「無詠唱でバリアを張ったか?」
「何の事だか」
ノワールは私を、特別に想っている。
自分の名前を呼ぶのが、私だけだから。
『◯◯◯◯◯◯』
それは、第6天魔王と名乗った戦国武将の名前。
貴方の名前は、私が日本語で名付けたから、この世界では私以外知らないし、発音も出来ないのよ。
「……まあ、いいだろう。
俺様は気長に口説く質だから、な?」
さすがに1000年魔王なだけあるわ。
そう、気長によろしくね。
◇◇◇
自分が悪役令嬢ヒロインのゲームに転生したと気付いたのは、3年前。
婚約者のリシャールから『本当の恋をしたい』なんて、たわけた願いを聞かされた時だった。
あれ、何、これ?
目の前で婚約者に向かって口に出してはいけないことを説得しようとする無神経なリシャールの顔を呆れて見ながら、何故かこの場面既視感あるなぁって思って。
そしたら急に頭の中を様々な情景がいくつもいくつも通りすぎて行った。
婚約者である王太子リシャールをはじめとした……
シャルル、アンドレ、ドミニク。
それから魔王ノワール、ジュール、エイドリアン。
……そして、あのひとが。
彼等がそれぞれ甘い声で、私の名前を呼び手を差し出してくるオープニングだった。
ゲームのメイン舞台は学院を卒業した後。
学生の間に攻略対象者達との簡単なエピソードをこなしつつ、リシャールを攻略対象に選択したら、2つのルートに分岐する。
お飾り王太子妃と愛され王太子妃の2つ。
卒業までにリシャールからの好感度が高いと、愛され王太子妃だけど。
愛されルートは、リシャールの他にシャルルと、ドミニク、アンドレとの恋が始まって、人妻なのに逆ハーですみません、て感じ。
反対にライバルに負けて好感度が低いと、お飾りルート。
ライバルとリシャールのイチャイチャを横目で見つつ、公務だけをさせられてしまう。
それに耐えられなくなった私が仮死状態になる薬を飲んで、死亡偽装した後に王城脱出、薬の入手と国外逃亡を手助けしてくれたエイドリアンとの『王弟』ルートと。
隠していた聖なる力を発揮して、蔑ろにしてくれちゃった関係者全員に盛大なざまぁしてからお迎えに来て貰うノワールの『魔王』ルート。
お飾りではどっちのルートを選択しても、リシャールは偽りの『光の乙女』に夢中になって、消えた正妃の私を冷遇していたことを自己陶酔型ポエムにして、後悔するんだけどね……バカめ。
一生、グダグダ自分を憐れんでろ。
リシャールなんて要らないから、私は敢えて、お飾りを選ぶ。
だから、現状エイドリアンとノワールの好感度は保険としてキープしておくの。
「あ、ありがとう……ございました!
あたし、貴女にひどいことしたのに、助けて貰えるなんて!」
「……いいの、気にしないでね?
あのひと達もちょっと行き過ぎただけだから」
スパイだの、処刑だの、ちょっと暴走気味で怖かったね?
この自称ヒロインのブリジットさん、この世界が『底辺令嬢~』と思い込んで行動していたのよね。
だけどここは違う、って知らないのは、多分。
……このゲームが発売される前に前世の彼女は亡くなってるんだね。
このゲーム、世間に広く宣伝されてた仮タイトルが
『底辺令嬢~part2』だったんだけど、発売された本タイトルは
『身も心も全部をあなたに~悪役令嬢ですが、全方向から愛されています! 』でした!
35
お気に入りに追加
393
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします
宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。
しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。
そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。
彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか?
中世ヨーロッパ風のお話です。
HOTにランクインしました。ありがとうございます!
ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです!
ありがとうございます!
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

【完結】真実の愛だと称賛され、二人は別れられなくなりました
紫崎 藍華
恋愛
ヘレンは婚約者のティルソンから、面白みのない女だと言われて婚約解消を告げられた。
ティルソンは幼馴染のカトリーナが本命だったのだ。
ティルソンとカトリーナの愛は真実の愛だと貴族たちは賞賛した。
貴族たちにとって二人が真実の愛を貫くのか、それとも破滅へ向かうのか、面白ければどちらでも良かった。
【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい
三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。
そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。

転生悪役令嬢は冒険者になればいいと気が付いた
よーこ
恋愛
物心ついた頃から前世の記憶持ちの悪役令嬢ベルティーア。
国の第一王子との婚約式の時、ここが乙女ゲームの世界だと気が付いた。
自分はメイン攻略対象にくっつく悪役令嬢キャラだった。
はい、詰んだ。
将来は貴族籍を剥奪されて国外追放決定です。
よし、だったら魔法があるこのファンタジーな世界を満喫しよう。
国外に追放されたら冒険者になって生きるぞヒャッホー!

婚約破棄は踊り続ける
お好み焼き
恋愛
聖女が現れたことによりルベデルカ公爵令嬢はルーベルバッハ王太子殿下との婚約を白紙にされた。だがその半年後、ルーベルバッハが訪れてきてこう言った。
「聖女は王太子妃じゃなく神の花嫁となる道を選んだよ。頼むから結婚しておくれよ」
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる